343 / 555
9章 もふうさフィーバー
327.ご神託です?
しおりを挟む
満を持して(?)、僕は「はいはーい!」と手を挙げた。
タマモがキョトンと首を傾げる。
「えっと、モモさん、何かございますか?」
「うん! 今回のイベントの攻略について、情報があるよ」
「な、なんと! もう有益な情報を入手したんですか!?」
目を見開いて驚くタマモを見上げて、僕は「そうなのです。えっへん」と胸を張った。
隣りにいるルトが「あー、そうだよな。モモってこういうヤツだったな……」と呟きながら遠くを見つめてる。モンちゃんより大人しいリアクションだけど、こういうのもいいね。
会議場には、ざわめきが満ちた。
その中から「さ、さすモモ!」「生ご神託キター!」「もふもふ神さまのご利益ハンパねぇ」という声を拾い上げて、ちょっと『んん?』と思う。
さすモモって何? ご神託は……なんとなくわかる。僕がルトやタマモを通して公開してる情報は、神託って言われてるんだね? 僕はもふもふ教の神なので、間違ってはない……かな?
「今回のイベントはね――」
僕が話し始めた途端、ざわめきがピタリと静まり、全員が僕の声に耳を澄ませているのを感じる。こんなに注目されるとちょっぴり緊張しちゃうよ。
時々タマモから質問を受けながら、モンちゃんから聞いた情報を話し終えると、再びざわめきが戻ってきたからホッと息をつく。
僕はとってもがんばりました。会議の場って、ライブをするのとは違う緊張感があるねぇ。
「モンスターの贈り物、ですか。バトルフィールド内のモンスターに食べ物をあげても、食べてくれるとは限らないですし、毎回贈り物をくれるわけでもないので、最近は試すことがなかったですね……盲点でした」
タマモが感心した様子で言い、「モモさん、素晴らしい情報ありがとうございます!」と微笑んだ。
僕は「どういたしましてー」と応えて、聞こえてくる声に意識を向ける。
タマモ同様、モンスターに食べ物を贈る人はあまりいなかったみたいだ。
特に、バトルフィールド内のモンスターに食べ物をあげる時はテイム目的なことが多くて、贈り物をもらえるシステムのことを忘れてた人が多い感じ。
「宝石兎の好物が果物ということは、市場や農地でどれだけ多くの果物を入手できるかが、イベント攻略の鍵となりそうですね」
真剣な口調でそう言ったタマモが、会議場内を見渡して軽く手を挙げる。
「――この中で農地をお持ちの方は挙手をお願いします」
ポツポツと手が挙がる。
プレイヤー、異世界の住人合わせて数十人くらいかな。会議場内に集まっている人数を考えたら少ない気がする。
まぁ、農地を所有するのって、スローライフしたい人限定って気がするから、妥当なのかな。
「農地をお持ちの皆さまには、果物の栽培量を一時的に増やしていただきたいのですが、よろしいでしょうか? 問題ない方は手をおろしてください」
手を挙げていた人たちが頷き、静かに手をおろした。
それを見て、タマモが嬉しそうに微笑む。
「では、これからイベント期間中は、店舗などをお持ちでない農地所有者の方を対象に、もふもふ教の教会において果物の買取をいたします。買取した果物は教会で販売しますね」
おお、と嬉しそうな声が溢れた。
個人的な取引となると面倒くさいこともあるから、もふもふ教クランが一括して管理してくれるならありがたい人もいるだろうな。
「市場に並んでいる果物に関しては、他の方々の迷惑になるといけませんので、買い占めなどはなさらないようお気をつけくださいね」
タマモはそう言って軽く注意する。
こういうところでのもふもふ教の統制力は信用できるし、結構好きだな。これまで僕もすごくお世話になってるし。
「今回のイベントについては、問題なく攻略できそうですね。もふもふ可愛い宝石兎たちを愛でながら、皆でがんばりましょう」
会場内から「がんばろー!」などたくさんの気合いを込めた声が聞こえてきた。やる気いっぱいでいいね。僕もがんばるぞー!
不意にタマモが通知を確認する仕草をしてから、目を大きく見開いた。唇がわなわなと震え、驚きに満ちた表情になってる。
「タマモ、どうしたの?」
「い、今、交換所でイベントの景品を確認した人から連絡がきました。なんと、今回、『うさぎの遊び場シリーズ』というアイテムが景品に含まれているそうです!」
「遊び場?」
それの何にそんなに驚くの? と、僕が首を傾げると、タマモが大きなスクリーンにいくつか写真を映し出した。
そこにあったのは――
「……うさぎいっぱいの遊具?」
うさ耳がついた観覧車やメリーゴーランド、ミニジェットコースター、コーヒーカップ、ゴーカートなど、遊園地にありそうな乗り物の写真がたくさん乗っていた。うさぎの置物や装飾品もある。
全部、うさぎと卵をモチーフにしててすごく可愛い。ハロウィンで僕が作った遊具のイースターバージョンだ。
これ、めっちゃ欲しい! でも、今回は農地の作物から作るアイテムじゃないんだね……
会場内がざわめき、一気に温度が上がった気がする。
みんな「可愛い! 欲しい!」と、入手に前向きな感じだ。でも、「置くところないなぁ」って悩んでる人もいる。
僕なら異空間(森)に置けるけど、普通はホームの敷地内か農地に置くしかないもんねぇ。
「素晴らしい景品です……! これはモモさんを推すもふもふ教として絶対に逃せないです」
「もふもふ教クランでアイテムを確保するの? 教会に置くつもり?」
タマモを見上げながら聞く。教会に置くなら、みんなで使えるからいいね~。
会議場内のみんなも同じことを考えたのか、期待に満ちた目をタマモに向けていた。
「いえ、教会ではなく……」
「え、じゃあどこに?」
「ふふ、これは第二の議題にも関係するのですが……できましたら、今後もふもふ教で入手する予定の『もふもふアイランド』にうさぎ遊園地として設置したいと思います!」
「「「おおっ!」」」
タマモが拳を高く掲げてやる気に満ちた宣言をすると、会場内から歓喜の声が上がった。
でも、僕はキョトンとしちゃう。
だって……
「もふもふアイランドって……なぁに?」
え、これ、みんなに共通認識されてる言葉なの?
タマモがキョトンと首を傾げる。
「えっと、モモさん、何かございますか?」
「うん! 今回のイベントの攻略について、情報があるよ」
「な、なんと! もう有益な情報を入手したんですか!?」
目を見開いて驚くタマモを見上げて、僕は「そうなのです。えっへん」と胸を張った。
隣りにいるルトが「あー、そうだよな。モモってこういうヤツだったな……」と呟きながら遠くを見つめてる。モンちゃんより大人しいリアクションだけど、こういうのもいいね。
会議場には、ざわめきが満ちた。
その中から「さ、さすモモ!」「生ご神託キター!」「もふもふ神さまのご利益ハンパねぇ」という声を拾い上げて、ちょっと『んん?』と思う。
さすモモって何? ご神託は……なんとなくわかる。僕がルトやタマモを通して公開してる情報は、神託って言われてるんだね? 僕はもふもふ教の神なので、間違ってはない……かな?
「今回のイベントはね――」
僕が話し始めた途端、ざわめきがピタリと静まり、全員が僕の声に耳を澄ませているのを感じる。こんなに注目されるとちょっぴり緊張しちゃうよ。
時々タマモから質問を受けながら、モンちゃんから聞いた情報を話し終えると、再びざわめきが戻ってきたからホッと息をつく。
僕はとってもがんばりました。会議の場って、ライブをするのとは違う緊張感があるねぇ。
「モンスターの贈り物、ですか。バトルフィールド内のモンスターに食べ物をあげても、食べてくれるとは限らないですし、毎回贈り物をくれるわけでもないので、最近は試すことがなかったですね……盲点でした」
タマモが感心した様子で言い、「モモさん、素晴らしい情報ありがとうございます!」と微笑んだ。
僕は「どういたしましてー」と応えて、聞こえてくる声に意識を向ける。
タマモ同様、モンスターに食べ物を贈る人はあまりいなかったみたいだ。
特に、バトルフィールド内のモンスターに食べ物をあげる時はテイム目的なことが多くて、贈り物をもらえるシステムのことを忘れてた人が多い感じ。
「宝石兎の好物が果物ということは、市場や農地でどれだけ多くの果物を入手できるかが、イベント攻略の鍵となりそうですね」
真剣な口調でそう言ったタマモが、会議場内を見渡して軽く手を挙げる。
「――この中で農地をお持ちの方は挙手をお願いします」
ポツポツと手が挙がる。
プレイヤー、異世界の住人合わせて数十人くらいかな。会議場内に集まっている人数を考えたら少ない気がする。
まぁ、農地を所有するのって、スローライフしたい人限定って気がするから、妥当なのかな。
「農地をお持ちの皆さまには、果物の栽培量を一時的に増やしていただきたいのですが、よろしいでしょうか? 問題ない方は手をおろしてください」
手を挙げていた人たちが頷き、静かに手をおろした。
それを見て、タマモが嬉しそうに微笑む。
「では、これからイベント期間中は、店舗などをお持ちでない農地所有者の方を対象に、もふもふ教の教会において果物の買取をいたします。買取した果物は教会で販売しますね」
おお、と嬉しそうな声が溢れた。
個人的な取引となると面倒くさいこともあるから、もふもふ教クランが一括して管理してくれるならありがたい人もいるだろうな。
「市場に並んでいる果物に関しては、他の方々の迷惑になるといけませんので、買い占めなどはなさらないようお気をつけくださいね」
タマモはそう言って軽く注意する。
こういうところでのもふもふ教の統制力は信用できるし、結構好きだな。これまで僕もすごくお世話になってるし。
「今回のイベントについては、問題なく攻略できそうですね。もふもふ可愛い宝石兎たちを愛でながら、皆でがんばりましょう」
会場内から「がんばろー!」などたくさんの気合いを込めた声が聞こえてきた。やる気いっぱいでいいね。僕もがんばるぞー!
不意にタマモが通知を確認する仕草をしてから、目を大きく見開いた。唇がわなわなと震え、驚きに満ちた表情になってる。
「タマモ、どうしたの?」
「い、今、交換所でイベントの景品を確認した人から連絡がきました。なんと、今回、『うさぎの遊び場シリーズ』というアイテムが景品に含まれているそうです!」
「遊び場?」
それの何にそんなに驚くの? と、僕が首を傾げると、タマモが大きなスクリーンにいくつか写真を映し出した。
そこにあったのは――
「……うさぎいっぱいの遊具?」
うさ耳がついた観覧車やメリーゴーランド、ミニジェットコースター、コーヒーカップ、ゴーカートなど、遊園地にありそうな乗り物の写真がたくさん乗っていた。うさぎの置物や装飾品もある。
全部、うさぎと卵をモチーフにしててすごく可愛い。ハロウィンで僕が作った遊具のイースターバージョンだ。
これ、めっちゃ欲しい! でも、今回は農地の作物から作るアイテムじゃないんだね……
会場内がざわめき、一気に温度が上がった気がする。
みんな「可愛い! 欲しい!」と、入手に前向きな感じだ。でも、「置くところないなぁ」って悩んでる人もいる。
僕なら異空間(森)に置けるけど、普通はホームの敷地内か農地に置くしかないもんねぇ。
「素晴らしい景品です……! これはモモさんを推すもふもふ教として絶対に逃せないです」
「もふもふ教クランでアイテムを確保するの? 教会に置くつもり?」
タマモを見上げながら聞く。教会に置くなら、みんなで使えるからいいね~。
会議場内のみんなも同じことを考えたのか、期待に満ちた目をタマモに向けていた。
「いえ、教会ではなく……」
「え、じゃあどこに?」
「ふふ、これは第二の議題にも関係するのですが……できましたら、今後もふもふ教で入手する予定の『もふもふアイランド』にうさぎ遊園地として設置したいと思います!」
「「「おおっ!」」」
タマモが拳を高く掲げてやる気に満ちた宣言をすると、会場内から歓喜の声が上がった。
でも、僕はキョトンとしちゃう。
だって……
「もふもふアイランドって……なぁに?」
え、これ、みんなに共通認識されてる言葉なの?
1,337
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。
子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。
マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。
その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。
当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。
そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。
マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。
焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。
やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。
HOTランキング1位になることができました!
皆さま、ありがとうございます。
他社の投稿サイトにも掲載しています。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。