もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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9章 もふうさフィーバー

327.ご神託です?

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 満を持して(?)、僕は「はいはーい!」と手を挙げた。
 タマモがキョトンと首を傾げる。

「えっと、モモさん、何かございますか?」
「うん! 今回のイベントの攻略について、情報があるよ」
「な、なんと! もう有益な情報を入手したんですか!?」

 目を見開いて驚くタマモを見上げて、僕は「そうなのです。えっへん」と胸を張った。

 隣りにいるルトが「あー、そうだよな。モモってこういうヤツだったな……」と呟きながら遠くを見つめてる。モンちゃんより大人しいリアクションだけど、こういうのもいいね。

 会議場には、ざわめきが満ちた。
 その中から「さ、さすモモ!」「生ご神託キター!」「もふもふ神さまのご利益ハンパねぇ」という声を拾い上げて、ちょっと『んん?』と思う。

 さすモモって何? ご神託は……なんとなくわかる。僕がルトやタマモを通して公開してる情報は、神託って言われてるんだね? 僕はもふもふ教の神なので、間違ってはない……かな?

「今回のイベントはね――」

 僕が話し始めた途端、ざわめきがピタリと静まり、全員が僕の声に耳を澄ませているのを感じる。こんなに注目されるとちょっぴり緊張しちゃうよ。

 時々タマモから質問を受けながら、モンちゃんから聞いた情報を話し終えると、再びざわめきが戻ってきたからホッと息をつく。
 僕はとってもがんばりました。会議の場って、ライブをするのとは違う緊張感があるねぇ。

「モンスターの贈り物、ですか。バトルフィールド内のモンスターに食べ物をあげても、食べてくれるとは限らないですし、毎回贈り物をくれるわけでもないので、最近は試すことがなかったですね……盲点でした」

 タマモが感心した様子で言い、「モモさん、素晴らしい情報ありがとうございます!」と微笑んだ。

 僕は「どういたしましてー」と応えて、聞こえてくる声に意識を向ける。

 タマモ同様、モンスターに食べ物を贈る人はあまりいなかったみたいだ。
 特に、バトルフィールド内のモンスターに食べ物をあげる時はテイム目的なことが多くて、贈り物をもらえるシステムのことを忘れてた人が多い感じ。

宝石兎ジュエルラビの好物が果物ということは、市場や農地でどれだけ多くの果物を入手できるかが、イベント攻略の鍵となりそうですね」

 真剣な口調でそう言ったタマモが、会議場内を見渡して軽く手を挙げる。

「――この中で農地をお持ちの方は挙手をお願いします」

 ポツポツと手が挙がる。
 プレイヤー、異世界の住人NPC合わせて数十人くらいかな。会議場内に集まっている人数を考えたら少ない気がする。
 まぁ、農地を所有するのって、スローライフしたい人限定って気がするから、妥当なのかな。

「農地をお持ちの皆さまには、果物の栽培量を一時的に増やしていただきたいのですが、よろしいでしょうか? 問題ない方は手をおろしてください」

 手を挙げていた人たちが頷き、静かに手をおろした。
 それを見て、タマモが嬉しそうに微笑む。

「では、これからイベント期間中は、店舗などをお持ちでない農地所有者の方を対象に、もふもふ教の教会において果物の買取をいたします。買取した果物は教会で販売しますね」

 おお、と嬉しそうな声が溢れた。
 個人的な取引となると面倒くさいこともあるから、もふもふ教クランが一括して管理してくれるならありがたい人もいるだろうな。

「市場に並んでいる果物に関しては、他の方々の迷惑になるといけませんので、買い占めなどはなさらないようお気をつけくださいね」

 タマモはそう言って軽く注意する。
 こういうところでのもふもふ教の統制力は信用できるし、結構好きだな。これまで僕もすごくお世話になってるし。

「今回のイベントについては、問題なく攻略できそうですね。もふもふ可愛い宝石兎ジュエルラビたちを愛でながら、皆でがんばりましょう」

 会場内から「がんばろー!」などたくさんの気合いを込めた声が聞こえてきた。やる気いっぱいでいいね。僕もがんばるぞー!

 不意にタマモが通知を確認する仕草をしてから、目を大きく見開いた。唇がわなわなと震え、驚きに満ちた表情になってる。

「タマモ、どうしたの?」
「い、今、交換所でイベントの景品を確認した人から連絡がきました。なんと、今回、『うさぎの遊び場シリーズ』というアイテムが景品に含まれているそうです!」
「遊び場?」

 それの何にそんなに驚くの? と、僕が首を傾げると、タマモが大きなスクリーンにいくつか写真を映し出した。
 そこにあったのは――

「……うさぎいっぱいの遊具?」

 うさ耳がついた観覧車やメリーゴーランド、ミニジェットコースター、コーヒーカップ、ゴーカートなど、遊園地にありそうな乗り物の写真がたくさん乗っていた。うさぎの置物や装飾品もある。

 全部、うさぎと卵をモチーフにしててすごく可愛い。ハロウィンで僕が作った遊具のイースターバージョンだ。
 これ、めっちゃ欲しい! でも、今回は農地の作物から作るアイテムじゃないんだね……

 会場内がざわめき、一気に温度が上がった気がする。
 みんな「可愛い! 欲しい!」と、入手に前向きな感じだ。でも、「置くところないなぁ」って悩んでる人もいる。

 僕なら異空間(森)に置けるけど、普通はホームの敷地内か農地に置くしかないもんねぇ。

「素晴らしい景品です……! これはモモさんを推すもふもふ教として絶対に逃せないです」
「もふもふ教クランでアイテムを確保するの? 教会に置くつもり?」

 タマモを見上げながら聞く。教会に置くなら、みんなで使えるからいいね~。
 会議場内のみんなも同じことを考えたのか、期待に満ちた目をタマモに向けていた。

「いえ、教会ではなく……」
「え、じゃあどこに?」
「ふふ、これは第二の議題にも関係するのですが……できましたら、今後もふもふ教で入手する予定の『もふもふアイランド』にうさぎ遊園地として設置したいと思います!」
「「「おおっ!」」」

 タマモが拳を高く掲げてやる気に満ちた宣言をすると、会場内から歓喜の声が上がった。

 でも、僕はキョトンとしちゃう。
 だって……

「もふもふアイランドって……なぁに?」

 え、これ、みんなに共通認識されてる言葉なの?

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