もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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9章 もふうさフィーバー

335.そんなのありー!?

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 しばらくは何事もなく空を進めた。最初よりは風の抵抗を上手く躱せるようになったし。
 でも――

〈未攻略エリアをドラゴン騎乗で進みました。これから一分以内に騎乗をやめない場合、【防衛敵ガーディヴィラン(レベル90)】が現れます〉

 突然のアナウンスが聞こえて、ポカンとしちゃった。
 え、防衛敵ガーディヴィランって何? レベル強すぎだよね!?

 慌ててヘルプを使って調べてみる。

――――――
防衛敵ガーディヴィラン
 推奨されない攻略法で進もうとするプレイヤーを妨害する敵モンスター
 基本的に倒せない
 現れる一分前に警告のアナウンスがあるため、従うのを推奨する
――――――

 倒せないモンスターってありなの!?
 慌てて、ストルムに近くへ着地するよう指示を出す。
 ストルムは不思議そうにしながらも、開けた場所へおりてくれた。

 ――って、めっちゃ雪が積もってる! 埋もれちゃう!
 慌てて、僕とスラリン、ユキマルはオギンの上に避難した。ヒスイはふわっと浮き上がり、身震いして降り積もりそうになる雪を落としている。

『急にどうしておりることにしたの?』
「いや、とんでもない強敵が現れそうな予感がしてね」
「ぴぅ(ボクはわからなかったよ)」

 説明に悩みながらも、ひとまずマップの確認をしてみる。
 ストルムに乗って飛んだルートは、マップ上で僕自身で歩いた道のりとは違う色で示されていた。現在地は、中層を過ぎて上層を半ばまで進んだところ。

 上層には入ったことがなかったから、未攻略エリアを随分と進めたことになる。
 未攻略エリアでも、防衛敵ガーディヴィランが現れるまで結構猶予があるみたいだね。ギリギリを狙って進むのが効率的なんだろうな。

「ま、ズルと言われたらその通りだし、ここからは自分たちの力で進もうか」
「にゃ(がんばるにゃ)」

 気合いを入れるヒスイたちの近くで、ストルムがくわりとあくびをする。

『おいら、眠くなってきたよ……飛んでなかったら寒さが身にしみる……冬眠しちゃうよ……』
「え、防寒アイテム効いてない?」

 防寒アイテムは、貼り付けた対象の体をすっぽり覆って温かさを保てるはずなんだけど。

 飛んでる時は大丈夫だったみたいだし、飛行する能力に寒さを防ぐ効果があるのかな?
 風をまとってるとか、羽ばたくエネルギーで熱が生まれてるとか?

『おいらの大きさ考えてよ……これっぽっちじゃ足りないって……』

 防寒アイテムが十分な効果を示してないのは、サイズの問題かぁ。オギンくらいの大きさを想定した防寒アイテムだったし、仕方ないかも。

 眠そうに瞬くストルムを見て、すぐに帰還させようと決めた。
 ここまで運んでくれただけで十分だし。ストルムの強さも気になるけど、それは別の機会で確かめればいい。

「そっか。乗せてくれてありがとう。帰ってゆっくり休んでね。今度喚ぶ時は、ストルムが好きそうなものをたくさん用意しておくから」
『ありがとう。楽しみにしておくよ。またね……』

 ストルムの姿がパッと消えた。こんなに大きなものが急に消えると、ちょっとビックリする。

「ぴぅ(モンスターが近づいてきてるよ)」
「え、来るの早いってー」

 気分を切り替える暇もなく、ユキマルが接敵のお知らせをしてくれた。
 霊峰上層の敵は強さが一段階上がるって事前情報があったから、緊張するなぁ。

「キュオ(大丈夫よ。私たちがいるんだもの)」
「きゅぃ(僕もがんばるよ!)」
「にゃー(とりあえず、素早さ上げるにゃー。【疾風】!)」

 僕たちをふわっと柔らかな風が包み込む。ヒスイの疾風スキルが効果を示してる証だ。
 同時に雪の勢いが増してきて、視界が悪くなった。これって、敵モンスターの能力によるものかな?

「ぴぅ(来たよ)」
「あれは……」

 吹雪の中に大きなモンスターの姿が見えた。
 一見すると人型なんだけど、歩き方が人っぽくないし、そもそもあんなに大きな人はいないよね。

 強そうな気配を感じる。
 しばらく観察していたら、敵のモンスターが近づいてきて、それが白くて大きなゴリラっぽい姿だとわかった。二足歩行してる。

――――――
大雪猩スノウゴリ
 北の霊峰に生息する氷・岩属性のモンスター
 高い物理攻撃力と跳躍力が特徴
 得意な攻撃は【強打】【雪玉投げ】【岩落とし】
 得意属性【風】苦手属性【木】
――――――

「二属性のモンスターは珍しいね……」

 鑑定結果を見て、ちょっと顔を顰めちゃう。
 でも、苦手属性があるから、倒せないこともないかな? 問題なのは、木属性の仲間がいないことだけど。しかも、風属性のヒスイとは相性が悪そうだし。

「――ヒスイは基本的に僕らのサポートと回避優先で!」
「にゃ(了解にゃー!)」
「物理攻撃は効くはずだから、スラリンとユキマルは攻撃してね」
「きゅぃ!」
「ぴぅ!」
「オギンは好きに戦っちゃって」
「キュオ(わかったわ)」

 それぞれに指示を出してバトル開始――と気合いを入れたところで、大雪猩スノウゴリの足元をウロチョロしてる小さい姿に気づいた。必死に逃げてるみたいだけど……

「あれは、宝石兎ジュエルラビ!? そんなところで何してるの、危ないよー!」

 慌てて警告してみるけど、すでに大雪猩スノウゴリ宝石兎ジュエルラビを襲おうとしている様子で、逃げるのは無理そう。

「うーん……【木の鞭ウッドウィップ】!」

 僕は木魔術を使って大雪猩スノウゴリを攻撃した。
 大雪猩スノウゴリの敵意が僕に逸れ、その隙に宝石兎ジュエルラビが逃げられたらいいなぁ、って思って。

「グオオッ!」
「ぷぅっ!」

 見事に命中した木の鞭ウッドウィップ大雪猩スノウゴリの進行を一瞬止める。
 宝石兎ジュエルラビは少し戸惑った様子だったけど、一目散にどこかへと去っていった。

 救出成功!
 今後は狙われないように気をつけてねー。

「――さて、改めてバトルしよっか」

 僕の宣言と共に、スラリンたちが動き始める。
 みんなで力を合わせて大雪猩スノウゴリを倒すぞー!

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