もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
359 / 555
9章 もふうさフィーバー

341.霊峰頂上

しおりを挟む
 ヤナが「お名残惜しいですが、タイムリミットが来てしまいました。どうぞ涙はしまってください。またすぐに会いに来ますからー」などといろいろ言ってから、ログアウトをするために転移で街に戻った。

 僕たち、泣く気配は一切なかったんだけどな?
 スラリンたちが『にぎやかな骸骨だったねー』と話しているのを聞きながら、ちょっぴり納得できない気分を味わう。

「……まぁ、いいや。それより、頂上を目指そっか」

 僕とヒスイは飛んで、スラリンとユキマルはオギンに乗って、霊峰を登っていく。
 頂上はもうすぐだと思うんだけどなぁ。

 しばらく進むと、雲の中に入っちゃったみたいで視界が悪くなった。モンスターと戦いにくいよー。

「この雲、なんか変じゃない?」
「きゅぃ(変って?)」
「イグニスさんに乗って、霊峰の頂上近くに来た時には、こんな雲なかったんだけど」
「キュオ(言われてみれば、そうね。この辺りは雲ができにくいはずだったわ)」

 霊峰出身のオギンも不思議そうに首を傾げた。やっぱり変なんだ。何かが起きてるのかな?
 とりあえず、鑑定してみようと思って、雲を注視する。

——————
時空雲じくううん
 時空系魔力が集まり、雲のように見えている
 時空門が開いている時だけに生じる現象
——————

 ほえ? 時空雲? 時空門? その言葉はよくわからないけど、時空系魔力が集まってるのかぁ。

 そういえば、モンちゃんが霊峰頂上付近にある仙桃ミルクの滝の向こう側には、時空系魔力が濃い洞窟があるって言ってたな。
 もしかして、そこから時空系魔力が漏れ出て、雲になってるってこと?

「この雲が濃い方に向かえば、仙桃ミルクの滝——天兎アンジュラパの生息地が近いかも!」

 テンションが上がってきたぞー。
 ルンルン、と鼻歌を歌いながら、より白さが濃い方へと進む。頂上まで来ると襲ってくるようなモンスターがいないみたいで、ひたすら探し回ることができた。

「ぴぅ(これ、仙桃ミルクじゃない?)」
「お、発見したね! たくさんの仙桃ミルクだー」

 ユキマルが石で囲まれた池のようになっている仙桃ミルクを見つけた。白いモヤに目を凝らすと、岩壁を流れ落ちる仙桃ミルクがぼんやりと見える。あれが仙桃ミルクの滝だ。

「——とりあえず、仙桃ミルク採集~♪」

 仙桃ミルクは天兎アンジュラパの好物で、僕も大好き。たくさん採って、帰ってから美味しいお菓子を作るんだー。

 大量に用意していた瓶にひたすら仙桃ミルクを詰めていく。百個あれば、しばらくは大丈夫そうかな。

「キュオ(甘いにおいね……)」

 オギンはちょっと嫌そう。甘すぎるとクドく感じることがあるもんね。
 キリがいいところで採集をやめて、天兎アンジュラパ探しに移る。どこにいるかな~?

「オギンは天兎アンジュラパがいるところ知ってる?」
「キュオ(さあ? 彼らは好きな時に現れて、好きな時にいなくなるから)」

 なるほど、天兎アンジュラパは自由じゅうなんだね。僕と一緒!
 共通点を見つけてちょっぴり嬉しいけど、会えないのは悲しいなぁ。

天兎アンジュラパ~どこにいるの~。かくれんぼ中かな~。もうい~か~い♪」

 歌うようにリズムをつけて言いながら、仙桃ミルクの滝周辺を探し回る。
 ここは岩場だけど、たまに茂みや木があるから、その陰を覗き込んでみた——いない。

「にゃ(あそこの洞窟は行ってみないにゃ?)」

 ヒスイが仙桃ミルクの滝を指す。
 洞窟かー。そうだね、ストルムの好物を作ってあげたいから、時空系アイテムを採集しに行こうか。

「……行きたいけど、どうやって行けばいいの?」

 滝に近づこうとしたところで、ふと気づく。
 洞窟があるって聞いたけど、そこまでの通路がない。飛んでいくしかないかな? でも、それだとヒスイ以外がついてこれないよ。

「あ、飛翔フライアイテムを使えばいっか」

 ふと思い出して、アイテムボックスからニンジンケーキを取り出す。
 僕の食べかけニンジンを使ったケーキで、食べると飛翔フライスキルを使えるようになるんだよー。短時間だけどね。

 オギンとスラリン、ユキマルに渡して食べてもらい、羽が現れたのを見てから、仙桃ミルクの滝へと飛んで突撃した。

「ひゃっほーい、仙桃ミルク浴びちゃうぞー! ……って、あれ? 濡れずに通れた……」

 仙桃ミルクでベチョベチョになる覚悟で突き進んだのに、何も触れることなく洞窟に辿り着いた。汚れたら、生活魔術【洗浄】でどうにかしようと思ってたのに……どういうこと?

「にゃ(あの滝、幻にゃ)」
「え、そうなの!? 滝があるって聞いてたんだけどなぁ?」
「にゃ(幻の滝はあったにゃ)」
「なるほど?」

 ないけどあった、って意味がわからないけど、まぁいいや。
 それより、洞窟で採集がんばろう。松明を使って明るくしたら、洞窟内のそこかしこに草っぽいものや、苔っぽいものなどが光って見えた。

 白く霞んでないから見やすい。洞窟内は時空系魔力が外より濃そうなのに、時空雲が生じてないって不思議だなぁ。

 首を傾げながらも、採集を開始する。
 空間草に時空草、時空花、時空苔——初めて見たアイテムもあるけど、どれも時空系魔力を含んでて、アイテム作製に使えそう。ストルムが好きな時空団子もたくさん作れるぞー。

 この洞窟内には警戒するべきモンスターがいないみたいで、しばらく採集しながら奥へと進んでいくと——

「……あれ、何?」

 行き止まりになっているところに門扉があった。うっすらと扉が開いてる。そこから淡い光が差し込んでいた。

——————
【時空門】
 時空を隔てる門
 繋がっている先がどこかは、行ってみないとわからない
——————

 これが時空門か。ちょっと開いてるから、時空雲が生じてたんだね。
 どこかに通じてるみたいだけど、行ってみて大丈夫?

 うずうずと好奇心が疼く。
 危険はあるかもしれないけど、見つけたからには行ってみないと損だよね!

 転移ピンをここに設定して、いつでもここに戻れるように準備した。

「むふふ……冒険に出発するよー!」

 どんな場所が待ってるのかな♪

しおりを挟む
感想 2,531

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。