418 / 555
10章 海は広くて冒険いっぱい
392.フラグさん『がんばった!』
しおりを挟む
ルージュとアール君が進む方向は同じみたいだから、タマモと一緒にぱしゃぱしゃ水泳中です。
ついでに、これまでの情報を共有したよ。
タマモはとあるミッションで【精霊眼鏡】という精霊を見やすくなるアイテムをゲットして、海精霊をたくさん発見したら、仲良くなった海精霊に『宮殿に行くといいよー』と言われてホイホイとやって来たらしい。
最初は宮殿図書館に行くつもりだったけど、すぐにアール君と出会って、予定を変更してここまで辿り着いたようだ。
「僕よりショートカットして進んでるね?」
「途中の重要なミッションをすっ飛ばしてるのを、ショートカットと言っていいのか……?」
タマモが苦笑しながら首を傾げる。
宮殿図書館でリオさんと会って入手した情報はタマモに教えてあげたから、今の展開が終わったらすぐにリオさんに会いに行くつもりらしいよ。ダンジョンとかの攻略、スケジュールが合いそうならタマモも一緒に行けるかも。
「そうだねー。タマモがアール君と出会ったのが海精霊きっかけなら、これって精霊関連のミッションが始まるのかな?」
「その可能性が高いですね。私は宮殿に関して海精霊以外のフラグは立ててないですし」
タマモがすぐに頷く。
自分が立てたフラグを把握できてるなんて凄いね! 僕は全然わからないよ。
ここにいるのも、きっかけは『あれかな?』『これかな?』ってポンポンとたくさん浮かんできて、予想するのも無駄だなって感じだったもん! 幸運値が仕事した可能性もあるし。
「そっか、海精霊かぁ……」
改めて考えてみる。
そういえば、僕、メーアからなんか依頼を受けてたね? 確か、海精霊の里に来てねー、って。何かお願いがある感じだった。
つまり、今、強制的にそっちのシークレットミッションが進行中?
とりあえずマップを開いてみる。
僕の現在地を示す点が、宮殿から離れて不思議な場所にあった。移動にかかった時間を考えると、いつの間にかワープしてたっぽい。
「──おお、海精霊の里が近い……」
進行方向にあるものがわかって、今からメーアのお里を訪問することが確定になりました!
「え、モモさん、精霊の里の場所を知ってるんです? 海エルフさんたちにも秘密の場所らしいですよ……?」
タマモがパチパチと瞬きをしてる。驚かせちゃったみたいだ。
「僕は海精霊の女王に祝福をもらったからー」
「おおっ……さすモモ!」
「うん? それ、褒められてる?」
「もちろんです!」
混じりっけのない好意100%な笑みで言われたから、「そっかー」と聞き流した。
とりあえず、ルージュたちは海精霊たちの意思を受けて行動してると思っていいのかな。
──そんなことを考えている間も、視界の端をフラグさんがぴょんぴょんしてる。タマモが合流してくれたおかげでもう暇じゃなくなったし、可視化スキルをオフにしようかな。
「でも、一個くらいは回収してあげるべき?」
うぅむ、と悩みながら呟く。
タマモに「どうしました?」と聞かれたから状況を教えると、「反則的スキルですねぇ。それを普段全然使わないモモさん、さすモモ!」という感想が返ってきた。
続けて「一個くらいは回収してみてもいいかもしれませんよー」と言ってくれたから、手近なものに触れてみることに決める。
タマモがいるから、何が起きたとしてもちょっとは余裕があるもんねー。
「じゃあ──君に決めた!」
一際激しくヘッドバンギングする勢いで揺れていたフラグさんをタッチする。
今さらだけど、フラグさんの回収ってこんなやり方でいいんだっけ? これまで折ってばっかりだったから、よくわからないや。
んー、と首を傾げたけど、僕のやり方は間違ってなかったらしい。
触れたフラグさんは、ポンッと手のひらサイズに変わったかと思うと、ロケットのようにどこかに飛んでいった。
……あれ? ほんとに間違ってないよね?
ポカンとしながら見送っちゃった。これ、フラグ回収できてなくない?
「あ、モモさん、アール君たちに置いていかれちゃいますよー」
「いや、ルージュなら僕の速度にあわせて進んでくれると思うから大丈夫だよ」
そう答えたけど、タマモが僕の手を掴んで引っ張りながら泳いでくれる。
ニコニコしてるから、たぶん僕と触れ合ってるのが嬉しいんだね。僕、一人で泳げるけど何も言わないことにしました。楽できるのは嬉しいし。
そんなことを考えていると、彼方に飛んでいったフラグさんが、またバビューンッと飛んで帰ってきた。おかえりなさーい。でも、どういうことです?
頭の中でクエスチョンマークが乱舞してる僕を、タマモがきょとんとした顔で見てる。タマモにはフラグさんが見えてないから、状況を把握できてないんだよね。
戻ってきたフラグさんは、僕に触れた途端、ポンッと消えた。
今度こそ、回収できたと思ってもよろしい?
これから何か起きるのかな~?
──どこかからバシャーンと水の音がする。
視界の端に小さな魚じゃないものが見えた気がした。
『おやー? ここによそ者さんがいらっしゃるとはめっずらしー』
いつの間にか、大きな亀さんが目の前にいた。銀色だ。
「おわっ」
「あらっ」
反射的に飛び跳ねて急停止。
ルージュとアール君が『どうしたの?』って感じで振り返り僕たちを確認した後、ポカンと口を開ける。お魚さんが唖然とした表情をしてるの、初めて見たよー。
『ウサギちゃんとキツネ人ちゃん、オレちゃんの背中、空いてるよー? 亀ちゃんタクシーに乗ってくー?』
どうぞ、という感じに亀さんが甲羅を向けてくれた。
亀ちゃんタクシー? ナンパっぽい感じなのはなんでなの?
思わずタマモと顔を見合わせる。
あんまり状況が理解できてないけど、たぶんこの亀さんはキージィと同種で害はないと思うし、乗っていいと思う。
「……乗ったら一時間素早さ+10になるみたいですよ」
「あ、キージィとは上がるステータスが違うんだ?」
キージィに乗ったら幸運値上昇だったもんね。その恩恵があったかどうかはいまいちわからないけど。
タマモが鑑定結果を教えてくれたから、僕は前に会ったキージィの情報を教えてあげた。
いろんな色がいるらしいとは知ってたけど、こんなに早く二体目に会うとは予想してなかったな。
いや、でも、精霊の里が近いなら、精霊の一種っぽい亀さんに会ってもおかしくないのかな?
ついでに、これまでの情報を共有したよ。
タマモはとあるミッションで【精霊眼鏡】という精霊を見やすくなるアイテムをゲットして、海精霊をたくさん発見したら、仲良くなった海精霊に『宮殿に行くといいよー』と言われてホイホイとやって来たらしい。
最初は宮殿図書館に行くつもりだったけど、すぐにアール君と出会って、予定を変更してここまで辿り着いたようだ。
「僕よりショートカットして進んでるね?」
「途中の重要なミッションをすっ飛ばしてるのを、ショートカットと言っていいのか……?」
タマモが苦笑しながら首を傾げる。
宮殿図書館でリオさんと会って入手した情報はタマモに教えてあげたから、今の展開が終わったらすぐにリオさんに会いに行くつもりらしいよ。ダンジョンとかの攻略、スケジュールが合いそうならタマモも一緒に行けるかも。
「そうだねー。タマモがアール君と出会ったのが海精霊きっかけなら、これって精霊関連のミッションが始まるのかな?」
「その可能性が高いですね。私は宮殿に関して海精霊以外のフラグは立ててないですし」
タマモがすぐに頷く。
自分が立てたフラグを把握できてるなんて凄いね! 僕は全然わからないよ。
ここにいるのも、きっかけは『あれかな?』『これかな?』ってポンポンとたくさん浮かんできて、予想するのも無駄だなって感じだったもん! 幸運値が仕事した可能性もあるし。
「そっか、海精霊かぁ……」
改めて考えてみる。
そういえば、僕、メーアからなんか依頼を受けてたね? 確か、海精霊の里に来てねー、って。何かお願いがある感じだった。
つまり、今、強制的にそっちのシークレットミッションが進行中?
とりあえずマップを開いてみる。
僕の現在地を示す点が、宮殿から離れて不思議な場所にあった。移動にかかった時間を考えると、いつの間にかワープしてたっぽい。
「──おお、海精霊の里が近い……」
進行方向にあるものがわかって、今からメーアのお里を訪問することが確定になりました!
「え、モモさん、精霊の里の場所を知ってるんです? 海エルフさんたちにも秘密の場所らしいですよ……?」
タマモがパチパチと瞬きをしてる。驚かせちゃったみたいだ。
「僕は海精霊の女王に祝福をもらったからー」
「おおっ……さすモモ!」
「うん? それ、褒められてる?」
「もちろんです!」
混じりっけのない好意100%な笑みで言われたから、「そっかー」と聞き流した。
とりあえず、ルージュたちは海精霊たちの意思を受けて行動してると思っていいのかな。
──そんなことを考えている間も、視界の端をフラグさんがぴょんぴょんしてる。タマモが合流してくれたおかげでもう暇じゃなくなったし、可視化スキルをオフにしようかな。
「でも、一個くらいは回収してあげるべき?」
うぅむ、と悩みながら呟く。
タマモに「どうしました?」と聞かれたから状況を教えると、「反則的スキルですねぇ。それを普段全然使わないモモさん、さすモモ!」という感想が返ってきた。
続けて「一個くらいは回収してみてもいいかもしれませんよー」と言ってくれたから、手近なものに触れてみることに決める。
タマモがいるから、何が起きたとしてもちょっとは余裕があるもんねー。
「じゃあ──君に決めた!」
一際激しくヘッドバンギングする勢いで揺れていたフラグさんをタッチする。
今さらだけど、フラグさんの回収ってこんなやり方でいいんだっけ? これまで折ってばっかりだったから、よくわからないや。
んー、と首を傾げたけど、僕のやり方は間違ってなかったらしい。
触れたフラグさんは、ポンッと手のひらサイズに変わったかと思うと、ロケットのようにどこかに飛んでいった。
……あれ? ほんとに間違ってないよね?
ポカンとしながら見送っちゃった。これ、フラグ回収できてなくない?
「あ、モモさん、アール君たちに置いていかれちゃいますよー」
「いや、ルージュなら僕の速度にあわせて進んでくれると思うから大丈夫だよ」
そう答えたけど、タマモが僕の手を掴んで引っ張りながら泳いでくれる。
ニコニコしてるから、たぶん僕と触れ合ってるのが嬉しいんだね。僕、一人で泳げるけど何も言わないことにしました。楽できるのは嬉しいし。
そんなことを考えていると、彼方に飛んでいったフラグさんが、またバビューンッと飛んで帰ってきた。おかえりなさーい。でも、どういうことです?
頭の中でクエスチョンマークが乱舞してる僕を、タマモがきょとんとした顔で見てる。タマモにはフラグさんが見えてないから、状況を把握できてないんだよね。
戻ってきたフラグさんは、僕に触れた途端、ポンッと消えた。
今度こそ、回収できたと思ってもよろしい?
これから何か起きるのかな~?
──どこかからバシャーンと水の音がする。
視界の端に小さな魚じゃないものが見えた気がした。
『おやー? ここによそ者さんがいらっしゃるとはめっずらしー』
いつの間にか、大きな亀さんが目の前にいた。銀色だ。
「おわっ」
「あらっ」
反射的に飛び跳ねて急停止。
ルージュとアール君が『どうしたの?』って感じで振り返り僕たちを確認した後、ポカンと口を開ける。お魚さんが唖然とした表情をしてるの、初めて見たよー。
『ウサギちゃんとキツネ人ちゃん、オレちゃんの背中、空いてるよー? 亀ちゃんタクシーに乗ってくー?』
どうぞ、という感じに亀さんが甲羅を向けてくれた。
亀ちゃんタクシー? ナンパっぽい感じなのはなんでなの?
思わずタマモと顔を見合わせる。
あんまり状況が理解できてないけど、たぶんこの亀さんはキージィと同種で害はないと思うし、乗っていいと思う。
「……乗ったら一時間素早さ+10になるみたいですよ」
「あ、キージィとは上がるステータスが違うんだ?」
キージィに乗ったら幸運値上昇だったもんね。その恩恵があったかどうかはいまいちわからないけど。
タマモが鑑定結果を教えてくれたから、僕は前に会ったキージィの情報を教えてあげた。
いろんな色がいるらしいとは知ってたけど、こんなに早く二体目に会うとは予想してなかったな。
いや、でも、精霊の里が近いなら、精霊の一種っぽい亀さんに会ってもおかしくないのかな?
1,217
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。
子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。
マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。
その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。
当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。
そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。
マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。
焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。
やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。
HOTランキング1位になることができました!
皆さま、ありがとうございます。
他社の投稿サイトにも掲載しています。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。