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5-1.平穏のためにチクチクと
183.布教計画進行中
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最近の作業スペースになっている草原の一画まで来て、そこに置いてある邪神探索レーダーを手に取った。
これは、DPを貯めると邪神の居場所を示すだけでなく、そこまで移動が可能になる優れモノだ。
「うーん、まだまだだなぁ……」
邪神探索レーダーについているメーターの表示を見て肩をすくめる。まだ1%ほどしか貯まってない。
これには、ダンジョンから得られるDPの三分の一を貯めるよう設定してある。残りの三分の二はダンジョン運営用のために確保しているのだ。
この比率は変えたくないけど、このままだと貯まるまでに相当な時間がかかりそう。
「偽神対策もあるし、のんびりやるか」
邪神探索レーダーを戻して、タブレットを手に取る。
歩夢を勇者としてこの世界に召喚した神殿が祀っている神──俺たちは偽神と呼ぶことにした──をぎゃふんと言わせるため、このダンジョンでも協力することにしているのだ。
もふもふ教を広めて偽神への信仰心を低下させ、偽神の力を削ろう、という形で。
邪神と違って、偽神には俺が直接会ったことがないから、居場所を探るアイテムを作ることはできない。
でも、その代わりに、もふもふの魅力を布教するという素晴らしい役目が俺にはある!
「もっふもふー♪」
即席の歌を口ずさみながら、タブレットを操作する。
もふもふ教で配布するお守りはすでに用意済み。
歩夢がこっちにいる間はほぼダンジョンにいてくれたから、DPを大量に入手できたし、それをお守り作製の原資にしたのだ。
現在は3B階のもふもふ教神殿でのみ、お守りを配布している。
今後、マーレの町中にできるもふもふ教支所で配布する予定もあるが、その分の在庫も十分だ。
もふもふ教支所については、歩夢がマーレの町長と密かに連絡をとり、設立してもらっている。
歩夢はずっと神殿側に監視されてたはずだけど、どうやってその監視を躱したんだろうな?
……まあ、勇者能力を使えばなんでもできそうだし、仲間のドロンは暗殺者技能を持ってるみたいだから、そっちに頼んだのかもしれない。
なにはともあれ、もふもふ教マーレの町支所の完成まではもう少しかかる。
それまでに、もふもふ教布教計画について、しっかりと煮詰めないとな!
『今は何してるのー?』
リルが上からタブレットを覗き込んでくる。
見やすいように角度を調節してあげた。
「もふもふ教内に作る〈ふれあい広場〉に連れていく魔物を探してるんだ」
やはりもふもふ教を広めるには、直接もふもふの魅力を知ることが必須。
この世界でもふもふと言えば魔物であり、それは人類の敵という認識だ。この認識を変えるところから始めなければ。
ということで、もふもふ教内には危なくないもふもふと触れ合える場所を作る予定だ。
これも、マーレの町長に許可をとってある。
密かに送られてきた封書には、〈くれぐれも、人間側の危機感を煽らないようにお願い致します……!〉と書かれていたから、ちゃんと考えて用意しないと。
ちょっぴり、町長が泣きながら書いて送ってきたような気がするし。
『僕が行くー?』
「マーレの町から人がいなくなるぞ……」
町中に神狼が現れたら、人間はすぐさま逃げ出すだろう。
滂沱する町長たちの姿が容易に想像できて、即座にリルの提案を却下した。町中に神狼はよくない。
『ギリギリ、ミーシャくらいまでだろうにゃ』
俺があぐらをかいている傍で毛づくろいをしていたミーシャが言う。
でも、ミーシャもなかなか厳しいと思うぞ? 勇者には敵わなくとも、それなりに強い種族だし。可愛さは満点だけども。
「いや、もっと危険性がなさそうなのがいいと思うんだよな」
『ふーん……人間って弱いもんね』
自分が行けないとわかったリルは興味が薄れた様子で呟き、退屈そうに伏せる。
最近は山に狩りに行く機会もなくて暇そうだ。狩り場にしてる山は、現在魔物の生態系が崩れないように厳密に管理してるから。
新たな狩り場探しを操人形に頼んでるんだけど、全然報告がないなぁ。まさかサボってるわけじゃないよな?
『はいはい、マスター! ボクたちがいこうか~?』
リルの影から飛び出してきた影兎たちが、元気いっぱいにぴょこぴょこと跳ねながら主張する。
影兎たちも、ダンジョンにやって来る冒険者たちの手応えがなさすぎて、退屈しているようだ。
「いや……無理だってわかってるよな?」
苦笑しながら影兎を撫で、提案を却下。
そもそもダンジョン内ですら姿を隠して行動するよう頼んでいる魔物を、外に出すわけがないだろう。リルほどじゃなくても、町がパニック状態になるに決まってる。
『ざんね~ん……』
しょんぼりと項垂れた影兎を撫でながら「可愛さは満点なんだけどな」と慰める。
やっぱりこれくらい可愛い魔物で、かつ、人間にとって危険じゃないタイプを探さなくては。
とはいえ──
「難しい……ダンジョンの魔物って、基本的に戦闘能力あるもんだからな……」
タブレットで数多の魔物の詳細を眺めているのだが、条件に合う魔物がなかなか見つからない。
魔物最弱と言われるスライムさえ、普通の町民にとっては脅威だからなぁ。
「んー……って、あれ?」
ひたすら魔物一覧を見ていたら、一番下まで辿り着いてしまった。
そして、そこにこれまで見たことがなかった表記を見つけて、俺は目を瞬かせる。
「──魔物創造?」
なんかヤベー感じのものを発見したぞ。
これは、DPを貯めると邪神の居場所を示すだけでなく、そこまで移動が可能になる優れモノだ。
「うーん、まだまだだなぁ……」
邪神探索レーダーについているメーターの表示を見て肩をすくめる。まだ1%ほどしか貯まってない。
これには、ダンジョンから得られるDPの三分の一を貯めるよう設定してある。残りの三分の二はダンジョン運営用のために確保しているのだ。
この比率は変えたくないけど、このままだと貯まるまでに相当な時間がかかりそう。
「偽神対策もあるし、のんびりやるか」
邪神探索レーダーを戻して、タブレットを手に取る。
歩夢を勇者としてこの世界に召喚した神殿が祀っている神──俺たちは偽神と呼ぶことにした──をぎゃふんと言わせるため、このダンジョンでも協力することにしているのだ。
もふもふ教を広めて偽神への信仰心を低下させ、偽神の力を削ろう、という形で。
邪神と違って、偽神には俺が直接会ったことがないから、居場所を探るアイテムを作ることはできない。
でも、その代わりに、もふもふの魅力を布教するという素晴らしい役目が俺にはある!
「もっふもふー♪」
即席の歌を口ずさみながら、タブレットを操作する。
もふもふ教で配布するお守りはすでに用意済み。
歩夢がこっちにいる間はほぼダンジョンにいてくれたから、DPを大量に入手できたし、それをお守り作製の原資にしたのだ。
現在は3B階のもふもふ教神殿でのみ、お守りを配布している。
今後、マーレの町中にできるもふもふ教支所で配布する予定もあるが、その分の在庫も十分だ。
もふもふ教支所については、歩夢がマーレの町長と密かに連絡をとり、設立してもらっている。
歩夢はずっと神殿側に監視されてたはずだけど、どうやってその監視を躱したんだろうな?
……まあ、勇者能力を使えばなんでもできそうだし、仲間のドロンは暗殺者技能を持ってるみたいだから、そっちに頼んだのかもしれない。
なにはともあれ、もふもふ教マーレの町支所の完成まではもう少しかかる。
それまでに、もふもふ教布教計画について、しっかりと煮詰めないとな!
『今は何してるのー?』
リルが上からタブレットを覗き込んでくる。
見やすいように角度を調節してあげた。
「もふもふ教内に作る〈ふれあい広場〉に連れていく魔物を探してるんだ」
やはりもふもふ教を広めるには、直接もふもふの魅力を知ることが必須。
この世界でもふもふと言えば魔物であり、それは人類の敵という認識だ。この認識を変えるところから始めなければ。
ということで、もふもふ教内には危なくないもふもふと触れ合える場所を作る予定だ。
これも、マーレの町長に許可をとってある。
密かに送られてきた封書には、〈くれぐれも、人間側の危機感を煽らないようにお願い致します……!〉と書かれていたから、ちゃんと考えて用意しないと。
ちょっぴり、町長が泣きながら書いて送ってきたような気がするし。
『僕が行くー?』
「マーレの町から人がいなくなるぞ……」
町中に神狼が現れたら、人間はすぐさま逃げ出すだろう。
滂沱する町長たちの姿が容易に想像できて、即座にリルの提案を却下した。町中に神狼はよくない。
『ギリギリ、ミーシャくらいまでだろうにゃ』
俺があぐらをかいている傍で毛づくろいをしていたミーシャが言う。
でも、ミーシャもなかなか厳しいと思うぞ? 勇者には敵わなくとも、それなりに強い種族だし。可愛さは満点だけども。
「いや、もっと危険性がなさそうなのがいいと思うんだよな」
『ふーん……人間って弱いもんね』
自分が行けないとわかったリルは興味が薄れた様子で呟き、退屈そうに伏せる。
最近は山に狩りに行く機会もなくて暇そうだ。狩り場にしてる山は、現在魔物の生態系が崩れないように厳密に管理してるから。
新たな狩り場探しを操人形に頼んでるんだけど、全然報告がないなぁ。まさかサボってるわけじゃないよな?
『はいはい、マスター! ボクたちがいこうか~?』
リルの影から飛び出してきた影兎たちが、元気いっぱいにぴょこぴょこと跳ねながら主張する。
影兎たちも、ダンジョンにやって来る冒険者たちの手応えがなさすぎて、退屈しているようだ。
「いや……無理だってわかってるよな?」
苦笑しながら影兎を撫で、提案を却下。
そもそもダンジョン内ですら姿を隠して行動するよう頼んでいる魔物を、外に出すわけがないだろう。リルほどじゃなくても、町がパニック状態になるに決まってる。
『ざんね~ん……』
しょんぼりと項垂れた影兎を撫でながら「可愛さは満点なんだけどな」と慰める。
やっぱりこれくらい可愛い魔物で、かつ、人間にとって危険じゃないタイプを探さなくては。
とはいえ──
「難しい……ダンジョンの魔物って、基本的に戦闘能力あるもんだからな……」
タブレットで数多の魔物の詳細を眺めているのだが、条件に合う魔物がなかなか見つからない。
魔物最弱と言われるスライムさえ、普通の町民にとっては脅威だからなぁ。
「んー……って、あれ?」
ひたすら魔物一覧を見ていたら、一番下まで辿り着いてしまった。
そして、そこにこれまで見たことがなかった表記を見つけて、俺は目を瞬かせる。
「──魔物創造?」
なんかヤベー感じのものを発見したぞ。
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