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2-1.魔物ですから
44.設置完了
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作り出した新たな空間に、密林の環境を作る。そして、ダンジョン設備から〈謎の遺跡〉を設置。
「謎ってなんなんだろうなぁ」
『ワクワクする響きだねー』
リルがそう言うと、影兎たちも力強く頷いた。
四階層でそのままダンジョン作りを始めたから、たくさんの魔物たちに作製過程を見守られてる。生半可なものは作れないな。
用意したモニターには新たな階層――八階層が映し出されていた。
謎の遺跡は、地上部がパルテノン神殿のような見た目になっていて、地下に空間が続いている。地下は地下墓地のような雰囲気の迷路だ。
『たのしそうなところだね~』
『かげ、いっぱい~』
影兎たちにとっては、好ましい環境らしい。正直、アンデッドがいそうな、おどろおどろしい感じに見えるけど。
「……アンデッドを配置するのはありだな」
アンデッドがいれば、影兎の不可視攻撃を誤魔化せるのでは? なかなかいいアイディアな気がする。
密林には弱めのイヌ・ネコ科系魔物を配置して、遺跡にはアンデッド。そして、四階層の魔物たちを交代で出張させることにする。
「――これでどうだ?」
『いいと思うー』
大まかに配置してみたら、リルが肯定してくれた。影兎たちも『はやくここでたたかいたいな~』と楽しみにしているようだ。
ホッとしながら、トラップや宝箱を設置していく。
ここに冒険者が訪れてくれるように、一・二階層よりもレア度が高いアイテムを入れることにした。
武器や防具などと共に、遺跡では宝石なども入手できるようにする。神殿の隠し財産って感じで、雰囲気があるだろ?
『これ、どこを二階層と繋げるの?』
「あー……森の方かな」
洞窟からいきなり森になって、遺跡を発見する流れの方が楽しそうだ。きっと冒険心をくすぐるはず。
森の中と遺跡内に転移魔法陣を設置する。それぞれ、二階層と四階層の森に繋げた。
『あれ? 屋敷内じゃなくて、森にしたんだ?』
本来のルート――二階層から三階層に渡り、四階層に転移する方法――では、四階層の屋敷内に三階層から繋がる転移魔法陣があるため、リルが不思議そうに首を傾げた。
「そうだ。同じところに転移魔法陣があるのはつまらないし、それに密林遺跡を突破した冒険者なら、次の階層に繋がる転移魔法陣は屋敷内にあるものだと推測しそうだろ?」
『なるほどー。それで使ってみたら、三階層に飛ばされるわけかー。そこは蜂蜜を除いてないから、がんばらないと窒息しちゃうし……マスター、頭いい!』
俺が想定していなかったことまで褒められてしまった。
そういえば、四階層に繋がってる三階層の転移魔法陣って、蜂蜜の海に沈んだ塔の内部にあるんだったな……
転移した途端、周囲は蜂蜜だらけ。よほどの冒険者じゃない限り、パニックになるだろう。すぐさま転移魔法陣を再度使えればいいけど……その余裕がなかったらジ・エンドだ。こわっ。
我ながら恐ろしいダンジョンを作ってしまった気がする……その原因の大半はリルだと思うけど。
「あー、そうだなー、そういうことにしとこうか」
『うん?』
俺の曖昧な言葉に、リルが首を傾げる。
その首筋を撫でてやって誤魔化した。すぐに嬉しそうに尻尾を振るリルは単純で可愛い。
『ミーシャも撫でてにゃー』
「わっ……急に現れたな」
俺の護衛を任されているはずなのに度々姿を消すミーシャが、突然現れて体をすり寄せて来た。
驚いたけど、反射的に頭を撫でる。猫の毛、やわらかー。リルとは触り心地が違うんだよなぁ。
そうやって俺は和んでいたけど、リルはちょっと怒りながら『ミーシャはいつもどこに行ってるのー?』と問い詰めていた。
『七階層の狼族獣人たちを監視していたにゃー。今の時点で、マスターに手を出せるのはあいつらだけにゃー』
「え、意外と護衛をする気があったんだな?」
俺が思わず驚くと、ミーシャは不満そうにプイッとそっぽを向いた。
リルは『それならいいやー』と満足そうに頷いている。
『ミーシャはマスターのこと守るって言ったにゃ』
「そうだったな。忘れててごめん。ありがとう!」
日本の猫カフェで押しにゃんこに拗ねられた時のことが思い浮かぶ。ご機嫌を損ねるのはイヤだー!
ご機嫌取りに煮干しを出したら、ミーシャが仕方なさそうな表情で受け取ってくれた。でも、嬉しそうに尻尾の先が揺れてるのを隠しきれてないぞ。可愛い。
それにしても、狼族獣人ってまだ信用されてないんだな。
まぁ、俺も、実際の体で会うのはロアンナだけだし、その時でも必ずリルを傍に置くことになってるけど。
ちょっとずつ、信頼し合っていけたらいいなぁ。
狼族獣人の大半は物事を深く考えない大らかなタイプだから、リルやミーシャの意識が変わっていくのを待つしかないか。
『マスター、はやくいきたい~』
『にんげんとたたかうぞ~』
影兎や草原狼たちに急かされて、慌てて転移魔法陣を正式に稼働させる。
これで、冒険者たちが新たな空間にやって来るはずだ。
早速向かう影兎たちに、忘れていた注意をした。
「もう一・二階層で冒険者に手を出すなよー」
『わかった~!』
『みつりんいせきでたっぷりあそぶね~!』
うん、いいお返事。
七不思議一つ目の舞台が新たな階層に移っただけな気がするけど、一・二階層の難易度設定が正常化されたんだからよしとしよう。
「謎ってなんなんだろうなぁ」
『ワクワクする響きだねー』
リルがそう言うと、影兎たちも力強く頷いた。
四階層でそのままダンジョン作りを始めたから、たくさんの魔物たちに作製過程を見守られてる。生半可なものは作れないな。
用意したモニターには新たな階層――八階層が映し出されていた。
謎の遺跡は、地上部がパルテノン神殿のような見た目になっていて、地下に空間が続いている。地下は地下墓地のような雰囲気の迷路だ。
『たのしそうなところだね~』
『かげ、いっぱい~』
影兎たちにとっては、好ましい環境らしい。正直、アンデッドがいそうな、おどろおどろしい感じに見えるけど。
「……アンデッドを配置するのはありだな」
アンデッドがいれば、影兎の不可視攻撃を誤魔化せるのでは? なかなかいいアイディアな気がする。
密林には弱めのイヌ・ネコ科系魔物を配置して、遺跡にはアンデッド。そして、四階層の魔物たちを交代で出張させることにする。
「――これでどうだ?」
『いいと思うー』
大まかに配置してみたら、リルが肯定してくれた。影兎たちも『はやくここでたたかいたいな~』と楽しみにしているようだ。
ホッとしながら、トラップや宝箱を設置していく。
ここに冒険者が訪れてくれるように、一・二階層よりもレア度が高いアイテムを入れることにした。
武器や防具などと共に、遺跡では宝石なども入手できるようにする。神殿の隠し財産って感じで、雰囲気があるだろ?
『これ、どこを二階層と繋げるの?』
「あー……森の方かな」
洞窟からいきなり森になって、遺跡を発見する流れの方が楽しそうだ。きっと冒険心をくすぐるはず。
森の中と遺跡内に転移魔法陣を設置する。それぞれ、二階層と四階層の森に繋げた。
『あれ? 屋敷内じゃなくて、森にしたんだ?』
本来のルート――二階層から三階層に渡り、四階層に転移する方法――では、四階層の屋敷内に三階層から繋がる転移魔法陣があるため、リルが不思議そうに首を傾げた。
「そうだ。同じところに転移魔法陣があるのはつまらないし、それに密林遺跡を突破した冒険者なら、次の階層に繋がる転移魔法陣は屋敷内にあるものだと推測しそうだろ?」
『なるほどー。それで使ってみたら、三階層に飛ばされるわけかー。そこは蜂蜜を除いてないから、がんばらないと窒息しちゃうし……マスター、頭いい!』
俺が想定していなかったことまで褒められてしまった。
そういえば、四階層に繋がってる三階層の転移魔法陣って、蜂蜜の海に沈んだ塔の内部にあるんだったな……
転移した途端、周囲は蜂蜜だらけ。よほどの冒険者じゃない限り、パニックになるだろう。すぐさま転移魔法陣を再度使えればいいけど……その余裕がなかったらジ・エンドだ。こわっ。
我ながら恐ろしいダンジョンを作ってしまった気がする……その原因の大半はリルだと思うけど。
「あー、そうだなー、そういうことにしとこうか」
『うん?』
俺の曖昧な言葉に、リルが首を傾げる。
その首筋を撫でてやって誤魔化した。すぐに嬉しそうに尻尾を振るリルは単純で可愛い。
『ミーシャも撫でてにゃー』
「わっ……急に現れたな」
俺の護衛を任されているはずなのに度々姿を消すミーシャが、突然現れて体をすり寄せて来た。
驚いたけど、反射的に頭を撫でる。猫の毛、やわらかー。リルとは触り心地が違うんだよなぁ。
そうやって俺は和んでいたけど、リルはちょっと怒りながら『ミーシャはいつもどこに行ってるのー?』と問い詰めていた。
『七階層の狼族獣人たちを監視していたにゃー。今の時点で、マスターに手を出せるのはあいつらだけにゃー』
「え、意外と護衛をする気があったんだな?」
俺が思わず驚くと、ミーシャは不満そうにプイッとそっぽを向いた。
リルは『それならいいやー』と満足そうに頷いている。
『ミーシャはマスターのこと守るって言ったにゃ』
「そうだったな。忘れててごめん。ありがとう!」
日本の猫カフェで押しにゃんこに拗ねられた時のことが思い浮かぶ。ご機嫌を損ねるのはイヤだー!
ご機嫌取りに煮干しを出したら、ミーシャが仕方なさそうな表情で受け取ってくれた。でも、嬉しそうに尻尾の先が揺れてるのを隠しきれてないぞ。可愛い。
それにしても、狼族獣人ってまだ信用されてないんだな。
まぁ、俺も、実際の体で会うのはロアンナだけだし、その時でも必ずリルを傍に置くことになってるけど。
ちょっとずつ、信頼し合っていけたらいいなぁ。
狼族獣人の大半は物事を深く考えない大らかなタイプだから、リルやミーシャの意識が変わっていくのを待つしかないか。
『マスター、はやくいきたい~』
『にんげんとたたかうぞ~』
影兎や草原狼たちに急かされて、慌てて転移魔法陣を正式に稼働させる。
これで、冒険者たちが新たな空間にやって来るはずだ。
早速向かう影兎たちに、忘れていた注意をした。
「もう一・二階層で冒険者に手を出すなよー」
『わかった~!』
『みつりんいせきでたっぷりあそぶね~!』
うん、いいお返事。
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