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4-1.のんびりスローライフ?
140.兎vs.子猫!
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ドロンが脱落し、影兎トッシーと子猫勇者アレックスの対決が始まった。
『そ~れっ!』
[にゃっ]
トッシーが飛び蹴りをすると、その気配を察してアレックスがスレスレのところで躱す。
そして、避けざまに猫パンチを繰り出したアレックスに、トッシーはキックで対応した。
……ぶつかった瞬間に衝撃波のようなものが広がったのは見間違いだよな? そうだと言ってほしい!
「ウサギと子猫の戦い……可愛いのにカッコいい……怖い……」
小動物同士の争いって、もっとほのぼのしてるもんじゃないのか?
怪獣対決のような迫力があって、ちょっと引いちゃうぞ。
まあ、ウサギのような見た目の魔物と、子猫の見た目の勇者、と考えたら、こういう戦いになって当然なのかもしれないけど。
『とりゃあ~!』
[にゃにゃ!]
闇の塊のようなものがトッシーから放たれる。それがアレックスを包み込むかと思った瞬間、巨大な火の玉が生まれてその闇を飲み込んだ。
トッシーが作り上げた闇空間さえも一瞬照らしたその光は、すぐさま消え失せる。それでも、姿を晒しそうになったトッシーは攻撃を中断し、闇に身を潜め気配を殺した。
[にゃ……]
アレックスが油断することなく周囲に目を走らせる。ピンと伸びた尻尾が警戒の強さを物語っていた。
互いに出方を窺うような緊迫感に、モニター越しに見ているだけの俺も、固唾を飲む。
この対決、どう決着するんだ……?
『んー、トッシー、まだ遊んでる?』
『影兎は集団での戦いを得意としてるから、それなりに本気を出してる気がするけどにゃー?』
リルとミーシャが冷静に戦況を観察していた。
影兎たちは和気あいあいとトッシーを応援していて、そこに危機感は一切ない。
俺が勝手に緊張してるだけで、魔物たちにとっては大したことない戦いなのか?
……考えてみると、普段は目で追うことも難しい影兎の動きを俺が把握できてる時点で、トッシーが全力を出していない可能性が高いな。
勇者と戦えるせっかくの機会だから、トッシーは戦いをあっさりと終わらせたくないのかも。
その勇者、子猫の姿だから、ほんとの勇者と戦ってるって言えるかどうかわからないけど。これ、何度でも言うぞ。
「あっちに能力制限がある状態で戦うって、卑怯だと感じることはないのか?」
密かに疑問に思っていたことを聞いてみると、リルがきょとんと目を瞬きながら首を傾げた。
『どうして? ダンジョンの力は、僕たちの力でもあるよ。力の一部が発揮されてるだけなんだから、卑怯なんて思わないよ』
『どんな方法でも戦いを制した者が勝者にゃ』
リルに続き、ミーシャがキリッとした顔で言い切る。
影兎たちも『ひきょう、ってなに~?』『なにをしても、てきをたおせれば、それでいいよね~』などと話していた。
なるほど、ダンジョンの魔物らしい考え方だな。真剣勝負に余計な茶々が入ってるなんて思わないなら、別にいいんだけどさ。
俺だって、可愛いもふもふたちが無駄に傷ついてほしくないから、有利な状況を作り上げておくのは大歓迎だし。
『そ~れ──どんっ!』
[にゃ!?]
アレックスの足元から飛び出したトッシーが、床に前足をついて後ろ足で回し蹴りをした。
咄嗟に結界を張ってアレックスは防御しようとしたようだが、蹴りの勢いを帳消しすることはできなかったようで、結界ごと壁まで飛ばされる。
ここにきて、子猫という小さな体格がデメリットとして表面化したようだ。
軽い体じゃ、影兎の蹴りの力を受け流すのは難しいよなぁ。
それでも、壁に足をつけて衝撃を弱めたアレックスはさすがだ。
というか、子猫姿での戦闘が様になってる。やっぱり、猫化が初めてじゃなかったりする?
『どんどーんっ!』
[にゃ、にゃっ……!]
床に下り立ちながら、一瞬フラリとよろめいたアレックスの隙を見逃さず、トッシーが追撃する。
闇の塊のような玉をいくつも飛ばし、逃げるアレックスに蹴りを放ったのだ。
視界が奪われているアレックスはそのすべてを気配で察知し、なんとか避けようとするも──
「あ、今ガッツリ当たったよな?」
『当たったねー。これは決まったかな?』
ゴロゴロと転がるアレックスを見て俺が呟くと、リルがワクワクとした感じで答えた。
トッシーたちの戦いを見て戦闘意欲がそそられたのか、少し身を起こして爛々とした目をしてる。
……普段はほのぼの可愛いリルも、こういうところを見ると、魔物として最強格の神狼なんだなぁと納得する。
リルを戦いに出すわけにはいかないから、とりあえず、よしよしと鼻筋を撫でて宥めてみた。
『あー、そこそこ、もっと撫でてー』
──すぐさま目を細めて蕩けた顔で懐いてくるから、やっぱりただの大きいだけのワンコでは? なんて思っちゃうけどな!
ウチのワンコが可愛すぎる!
[にゃぅ……]
アレックスが最期の一撃とばかりに輝く光の玉を放ったが、それは闇に潜ったトッシーを照らすこともできずにかき消された。
それと同時に、倒れたアレックスを深い闇が包み飲み込む。
『……すげぇ量のDPが入った』
すかさず確認した画面に映るポイント数に、俺は目を見張って固まる。
アレックスが死に戻りしたのは確実だ。
ただ、下手なドラゴンを倒すよりポイント増加量が多いんだけど……?
勇者ってヤベーな!
それを倒せる影兎もヤベーよ!
……怒らせないようにしよう。
ちょっと背筋が冷えるような気分で、遠くを見つめる。
たぶんアレックスにトッシー──影兎の正体は露見しなかっただろうし、危惧していたような事態は起きなかった。
それは一安心したけど、改めて影兎たちの脅威度の高さを思い知った気がする。
「……とりあえず、勝利したお祝いをしてやるか」
たまにはご機嫌取りをするのも必要だろ?
それで、今後も仲間以外に姿を見せないよう念押ししておかないとな。
『そ~れっ!』
[にゃっ]
トッシーが飛び蹴りをすると、その気配を察してアレックスがスレスレのところで躱す。
そして、避けざまに猫パンチを繰り出したアレックスに、トッシーはキックで対応した。
……ぶつかった瞬間に衝撃波のようなものが広がったのは見間違いだよな? そうだと言ってほしい!
「ウサギと子猫の戦い……可愛いのにカッコいい……怖い……」
小動物同士の争いって、もっとほのぼのしてるもんじゃないのか?
怪獣対決のような迫力があって、ちょっと引いちゃうぞ。
まあ、ウサギのような見た目の魔物と、子猫の見た目の勇者、と考えたら、こういう戦いになって当然なのかもしれないけど。
『とりゃあ~!』
[にゃにゃ!]
闇の塊のようなものがトッシーから放たれる。それがアレックスを包み込むかと思った瞬間、巨大な火の玉が生まれてその闇を飲み込んだ。
トッシーが作り上げた闇空間さえも一瞬照らしたその光は、すぐさま消え失せる。それでも、姿を晒しそうになったトッシーは攻撃を中断し、闇に身を潜め気配を殺した。
[にゃ……]
アレックスが油断することなく周囲に目を走らせる。ピンと伸びた尻尾が警戒の強さを物語っていた。
互いに出方を窺うような緊迫感に、モニター越しに見ているだけの俺も、固唾を飲む。
この対決、どう決着するんだ……?
『んー、トッシー、まだ遊んでる?』
『影兎は集団での戦いを得意としてるから、それなりに本気を出してる気がするけどにゃー?』
リルとミーシャが冷静に戦況を観察していた。
影兎たちは和気あいあいとトッシーを応援していて、そこに危機感は一切ない。
俺が勝手に緊張してるだけで、魔物たちにとっては大したことない戦いなのか?
……考えてみると、普段は目で追うことも難しい影兎の動きを俺が把握できてる時点で、トッシーが全力を出していない可能性が高いな。
勇者と戦えるせっかくの機会だから、トッシーは戦いをあっさりと終わらせたくないのかも。
その勇者、子猫の姿だから、ほんとの勇者と戦ってるって言えるかどうかわからないけど。これ、何度でも言うぞ。
「あっちに能力制限がある状態で戦うって、卑怯だと感じることはないのか?」
密かに疑問に思っていたことを聞いてみると、リルがきょとんと目を瞬きながら首を傾げた。
『どうして? ダンジョンの力は、僕たちの力でもあるよ。力の一部が発揮されてるだけなんだから、卑怯なんて思わないよ』
『どんな方法でも戦いを制した者が勝者にゃ』
リルに続き、ミーシャがキリッとした顔で言い切る。
影兎たちも『ひきょう、ってなに~?』『なにをしても、てきをたおせれば、それでいいよね~』などと話していた。
なるほど、ダンジョンの魔物らしい考え方だな。真剣勝負に余計な茶々が入ってるなんて思わないなら、別にいいんだけどさ。
俺だって、可愛いもふもふたちが無駄に傷ついてほしくないから、有利な状況を作り上げておくのは大歓迎だし。
『そ~れ──どんっ!』
[にゃ!?]
アレックスの足元から飛び出したトッシーが、床に前足をついて後ろ足で回し蹴りをした。
咄嗟に結界を張ってアレックスは防御しようとしたようだが、蹴りの勢いを帳消しすることはできなかったようで、結界ごと壁まで飛ばされる。
ここにきて、子猫という小さな体格がデメリットとして表面化したようだ。
軽い体じゃ、影兎の蹴りの力を受け流すのは難しいよなぁ。
それでも、壁に足をつけて衝撃を弱めたアレックスはさすがだ。
というか、子猫姿での戦闘が様になってる。やっぱり、猫化が初めてじゃなかったりする?
『どんどーんっ!』
[にゃ、にゃっ……!]
床に下り立ちながら、一瞬フラリとよろめいたアレックスの隙を見逃さず、トッシーが追撃する。
闇の塊のような玉をいくつも飛ばし、逃げるアレックスに蹴りを放ったのだ。
視界が奪われているアレックスはそのすべてを気配で察知し、なんとか避けようとするも──
「あ、今ガッツリ当たったよな?」
『当たったねー。これは決まったかな?』
ゴロゴロと転がるアレックスを見て俺が呟くと、リルがワクワクとした感じで答えた。
トッシーたちの戦いを見て戦闘意欲がそそられたのか、少し身を起こして爛々とした目をしてる。
……普段はほのぼの可愛いリルも、こういうところを見ると、魔物として最強格の神狼なんだなぁと納得する。
リルを戦いに出すわけにはいかないから、とりあえず、よしよしと鼻筋を撫でて宥めてみた。
『あー、そこそこ、もっと撫でてー』
──すぐさま目を細めて蕩けた顔で懐いてくるから、やっぱりただの大きいだけのワンコでは? なんて思っちゃうけどな!
ウチのワンコが可愛すぎる!
[にゃぅ……]
アレックスが最期の一撃とばかりに輝く光の玉を放ったが、それは闇に潜ったトッシーを照らすこともできずにかき消された。
それと同時に、倒れたアレックスを深い闇が包み飲み込む。
『……すげぇ量のDPが入った』
すかさず確認した画面に映るポイント数に、俺は目を見張って固まる。
アレックスが死に戻りしたのは確実だ。
ただ、下手なドラゴンを倒すよりポイント増加量が多いんだけど……?
勇者ってヤベーな!
それを倒せる影兎もヤベーよ!
……怒らせないようにしよう。
ちょっと背筋が冷えるような気分で、遠くを見つめる。
たぶんアレックスにトッシー──影兎の正体は露見しなかっただろうし、危惧していたような事態は起きなかった。
それは一安心したけど、改めて影兎たちの脅威度の高さを思い知った気がする。
「……とりあえず、勝利したお祝いをしてやるか」
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それで、今後も仲間以外に姿を見せないよう念押ししておかないとな。
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