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51エマのため息
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いつの間にか室内に勝手に入ってしまっていた。さすがに、これはまずい。
「メアリー様、不躾なことをいたしました。申し訳ございません」
慌てて頭を下げ立ち去ろうとすると、メアリーが止めるように前に立った。
「エマさん、いい機会だから教えて差し上げるわ」
エマより四つも年下にもかかわらず、上から見下すこの貫禄。メアリーは社交界にデビューしても他の貴族女性たちと充分渡り合っていけるだろう。
「今日のお茶会はお兄様がお招きになったから仕方なくお相手しただけです。
私たちや高級官僚となるロイ様との間には歴然とした身分の差というものがあることをお分かり?
エマさんはご自分でいろいろと貴族の真似事をお勉強なさったらしいですけど、お勉強ではどうにもならないものがありますのよ。
あなた、とても勘違いされているようだから教えて差し上げようと思って。
ロイ様は商家のご出身ですけれど、最難関の一級公務員になられて準貴族なのはご存知よね?
これから社交界にも出て行かれるロイ様をこの世界を知る者が支えなくては。
あの方のように優秀な方は、婿を取りたい貴族女性からもとても人気があるの。
同じ貴族のご令嬢がライバルなら受けて立つつもりだけれど、あなたはただの目障り」
まだ14歳であっても嫉妬は一人前だ。
でもやっぱり子供で、言葉を濁すことなく口いっぱいにエマに対して言葉を投げつける。
メアリーにとってエマはロイの近くにいる邪魔な存在。今日来るエマに立場を分からせなければと意気込んでいたのかも知れない。
そして、この状況はメアリーにとって絶好の機会。部屋に勝手に入っていたエマが全面的に悪いのだから。
ここは大人しく話を聞くしかないようだ。
「それに、お兄様から聞いていますわ。
あなた、世継ぎの王子様と宰相補佐様から気安くお声をかけて頂くのをいいことに思い上がっているのではなくて?
あなたの身分でお二人と親しく口を聞くなどありえないし、あってはならないの。
まさか!
あなた王子様は無理でも宰相補佐様なら狙えると思ってらして?
うそ!嫌だわ。
あの方は公爵家のご嫡男よ?
それに社交界でどれほど人気がおありになるかご存知?
あなたなど到底叶わないほど美しく素晴らしいご婦人方やご令嬢方と親しくお付き合いされているのよ?
お友達とのお茶会でもあの方が話題に上らないことはないわ。
私、一度あるご令嬢と談笑されているところを拝見したことがあるのだけれど、絵に描いたように信じられないほど素敵なご様子だったわ。
そういえば、王子様のご婚約が正式に決まれば、すぐに宰相補佐様のご婚約も整うはずとーーー」
頭を下げるエマの頭上に容赦なくメアリーの口撃が降ってくる。後半以降は聞き流していた。聞くまでもない。
ジークヴァルトに恋人の一人や二人や三人いても不思議じゃない。
メアリーが声高に、婚約だの結婚だのと言ってもエマを動揺させるネタにはならない。
(思い上がっている?まさか。)
日本にいた時、母親の血筋が英国の貴族の家系だからと本家の従兄弟たちに劣らないように教育された。
でも、それは先祖から受け継いできた伝統、格式、品格を守り続けていくという義務や責任、覚悟や苦悩なんて負わなくていいものだった。
だから、美味しいところだけ本物を真似て自分も同じ高貴な者だと勘違いしている人達のように、自分は決してならないと思っていた。
絶対的な身分の壁があるこの世界で生きると決めたのだから、なおさら思い上がったりしない。
先日、ジークヴァルトはエマに誤解をしていたと真摯に謝ってくれた。
それは彼が貴族の紳士として身につけた、ただの礼儀だとちゃんと分かっている。
すごく驚いたけど、そういうことをきちんと出来る彼を尊敬しても、それを好意からくるものだと勘違いするなんてさすがにない。
(に、しても……こんなにポンポンガミガミ言わなくてもいいのに。
はぁ~、何だかいろいろ疲れた……。)
アルベルトの屋敷へ行って心の疲れに気づいてからのエマは夜よく目をさますようになっていた。
この日も夜中にふと目を覚まし、部屋の窓からそっと外の様子をうかがう。
「あ、また来てる」
視線の先には、街の警備隊員の姿があった。最近、目にする機会が多くなったように感じる。
街の安全を守るために警備隊の巡回は昼夜を問わず決まった時間に決まったルートを二人ペアで行われている。
ところが、ここ最近必ず店の前も通っているようなのだ。日中は店番をしていると窓の外に通り過ぎる警備隊員の姿を見かけ、夜中にも店の周りを確認していた。
はじめは気のせいだと思っていた。巡回ルートが変わっただけなのかと。
だが、最近はやたらと目につくように思えて仕方がなかった。
ジークヴァルトたちが安全にお忍び出来るようにこの店が警護対象になっているのか…
でも、エマは自分が監視されているのではと思うことがある。
外出の際に警備隊員に後をつけられているように思うからだ。
“ように思う”というのはエマが目的地に着くまで距離を保って後ろを歩いていて、例えば図書館に付くとスッと通り過ぎて行ってしまう。
今までそんな事はなかったのでエマとしては自意識過剰ではないと思っている。
(私、何かした?……あ)
今日も机の上でもこもこ元気いっぱいの緑の毒草…
「あー王子様は私がこの植物のことを知ってるって気づいているわけで…
それでこの監視?
いやいや、まさか。知ってるだけでこの監視はない…と思う。けど……」
まさか幻覚作用のある毒草やホージ侯爵からエマを守るためにジークヴァルトが手をまわしているなど知るはずのないエマ。
エマは机の引き出しから一通の手紙を取り出した。送り主は、テューセック村の村長。
エマがスーラの店に落ち着いてから村長に無事で過ごしていることを手紙に書いた。
村長からはエマが無事に王都で暮らしていることを喜び、収穫の頃には一度戻ってきてほしい旨の返信があった。
季節はもう夏が終わろうとしている。
国の北東部にあるテューセック村の秋は早い。
エマは月明かりを頼りに手紙を書いた。テューセック村へ久しぶりに戻ることを楽しみにしていると。
「ちょうどいい機会かな。いろいろあって疲れたし。
少しの間王都から離れるのもいいかも。
まさか着いては来ないと思うけど、こっそり行く方法を考えないと」
手紙に封をし、投函し忘れないようにいつもの買い物カゴに入れた。
窓から見える夜回りをする警備隊員の姿にふうと深いため息を漏らすと、再びベッドへと戻った。
*
しばらく歩くと石壁や土壁で出来た建物が立ち並ぶ村が見えてきた。
建ち並ぶと言っても、遠目からの視界に収まる程度の大きさだ。
「やっと着いたぁ」
(数ヶ月ぶりか~。あー疲れた。)
「エ…エマ、おかえり」
村長の息子のハンスだ。
「ハンスさん?!ご無沙汰してます。えっと、待っていてくれたんですか?」
「ああ、今日の午前中に着くって親父への手紙に書いてたから」
(変わらず気弱な感じ。もっと自信持って背筋のばしてればいいのに。
発破かけてくれる彼女かお嫁さんがいたらいいのかも)
ハンスは村長の一人息子で、歳は20代前半。
ひょろりとした高めの身長で茶色の髪に茶色の瞳の素朴で優しげな青年だが、ビクつくような気弱な話し方が年上と思えなくて、エマはもっと胸を張ればいいのにといつも残念に思っていた。
村に入るとたくさんの人が「おかえり!」と声をかけてくれた。
村長の家に着くと、歓迎はさらに盛大だ。奥さんはエマをぎゅうぎゅう抱きしめるし、村長は握手しながら「よく帰ったな!」と肩をバンバン叩く。
それに、村長の家にはエマが村で仲良くしていた女の子たちも何人か来ていて、王都で買ったお土産のお菓子をみんなに配りながら久しぶりにたくさんおしゃべりを楽しんだ。
みんなが帰ったころにはもう夕方になっていた。
「娘たちが帰るとやっと落ち着いたな」
村長が夕食のスープをすすりながら苦笑いをする。
「女の子なんて喋り出したら明日の朝まで喋ってますよ」
奥さんはエマに、「ねえ」といいながらふふふと笑う。
「こんなに喜んでもらって嬉しいです」
村長と奥さんはふくよかで優しげな顔をほころばせる。
夕食も食べ終わり、エマが奥さんと話しをしていると村長が改まった声で、エマをよんだ。
(どうしたのかな?)
「はい?何ですか?」
「明日からこの村の収穫が始まるんだ。
近隣の手伝いも済んだし、今年はうちの村が最後でね。
明日からいろんな村から手伝いがくる」
「収穫!明日からなんですね!もちろん私もお手伝いします」
(いいタイミングで帰ってきてよかった!)
「エマは疲れているだろうし、そこそこ手伝ってくれたら大丈夫だよ。
それに、森の家に帰るには暗いから今日はうちへ泊まっていけばいいさ」
そう言いながら村長は奥さんとハンスをちらりと見て、コホンと小さく咳払いをした。
「それで、収穫が終わってからなんだが…
どうだろうね、エマ。
このまま村に残って、ハンスと結婚してくれないだろうか」
「え……」
「王都のパン屋には結婚してから報告ついでにハンスと一緒に行って荷物を引き払ってきたらいいだろうし」
隣に座る奥さんはそっとエマの手を握って優しく微笑みかける。
正面に座るハンスは顔を真っ赤にして俯いている。
(…け、結婚……?)
「メアリー様、不躾なことをいたしました。申し訳ございません」
慌てて頭を下げ立ち去ろうとすると、メアリーが止めるように前に立った。
「エマさん、いい機会だから教えて差し上げるわ」
エマより四つも年下にもかかわらず、上から見下すこの貫禄。メアリーは社交界にデビューしても他の貴族女性たちと充分渡り合っていけるだろう。
「今日のお茶会はお兄様がお招きになったから仕方なくお相手しただけです。
私たちや高級官僚となるロイ様との間には歴然とした身分の差というものがあることをお分かり?
エマさんはご自分でいろいろと貴族の真似事をお勉強なさったらしいですけど、お勉強ではどうにもならないものがありますのよ。
あなた、とても勘違いされているようだから教えて差し上げようと思って。
ロイ様は商家のご出身ですけれど、最難関の一級公務員になられて準貴族なのはご存知よね?
これから社交界にも出て行かれるロイ様をこの世界を知る者が支えなくては。
あの方のように優秀な方は、婿を取りたい貴族女性からもとても人気があるの。
同じ貴族のご令嬢がライバルなら受けて立つつもりだけれど、あなたはただの目障り」
まだ14歳であっても嫉妬は一人前だ。
でもやっぱり子供で、言葉を濁すことなく口いっぱいにエマに対して言葉を投げつける。
メアリーにとってエマはロイの近くにいる邪魔な存在。今日来るエマに立場を分からせなければと意気込んでいたのかも知れない。
そして、この状況はメアリーにとって絶好の機会。部屋に勝手に入っていたエマが全面的に悪いのだから。
ここは大人しく話を聞くしかないようだ。
「それに、お兄様から聞いていますわ。
あなた、世継ぎの王子様と宰相補佐様から気安くお声をかけて頂くのをいいことに思い上がっているのではなくて?
あなたの身分でお二人と親しく口を聞くなどありえないし、あってはならないの。
まさか!
あなた王子様は無理でも宰相補佐様なら狙えると思ってらして?
うそ!嫌だわ。
あの方は公爵家のご嫡男よ?
それに社交界でどれほど人気がおありになるかご存知?
あなたなど到底叶わないほど美しく素晴らしいご婦人方やご令嬢方と親しくお付き合いされているのよ?
お友達とのお茶会でもあの方が話題に上らないことはないわ。
私、一度あるご令嬢と談笑されているところを拝見したことがあるのだけれど、絵に描いたように信じられないほど素敵なご様子だったわ。
そういえば、王子様のご婚約が正式に決まれば、すぐに宰相補佐様のご婚約も整うはずとーーー」
頭を下げるエマの頭上に容赦なくメアリーの口撃が降ってくる。後半以降は聞き流していた。聞くまでもない。
ジークヴァルトに恋人の一人や二人や三人いても不思議じゃない。
メアリーが声高に、婚約だの結婚だのと言ってもエマを動揺させるネタにはならない。
(思い上がっている?まさか。)
日本にいた時、母親の血筋が英国の貴族の家系だからと本家の従兄弟たちに劣らないように教育された。
でも、それは先祖から受け継いできた伝統、格式、品格を守り続けていくという義務や責任、覚悟や苦悩なんて負わなくていいものだった。
だから、美味しいところだけ本物を真似て自分も同じ高貴な者だと勘違いしている人達のように、自分は決してならないと思っていた。
絶対的な身分の壁があるこの世界で生きると決めたのだから、なおさら思い上がったりしない。
先日、ジークヴァルトはエマに誤解をしていたと真摯に謝ってくれた。
それは彼が貴族の紳士として身につけた、ただの礼儀だとちゃんと分かっている。
すごく驚いたけど、そういうことをきちんと出来る彼を尊敬しても、それを好意からくるものだと勘違いするなんてさすがにない。
(に、しても……こんなにポンポンガミガミ言わなくてもいいのに。
はぁ~、何だかいろいろ疲れた……。)
アルベルトの屋敷へ行って心の疲れに気づいてからのエマは夜よく目をさますようになっていた。
この日も夜中にふと目を覚まし、部屋の窓からそっと外の様子をうかがう。
「あ、また来てる」
視線の先には、街の警備隊員の姿があった。最近、目にする機会が多くなったように感じる。
街の安全を守るために警備隊の巡回は昼夜を問わず決まった時間に決まったルートを二人ペアで行われている。
ところが、ここ最近必ず店の前も通っているようなのだ。日中は店番をしていると窓の外に通り過ぎる警備隊員の姿を見かけ、夜中にも店の周りを確認していた。
はじめは気のせいだと思っていた。巡回ルートが変わっただけなのかと。
だが、最近はやたらと目につくように思えて仕方がなかった。
ジークヴァルトたちが安全にお忍び出来るようにこの店が警護対象になっているのか…
でも、エマは自分が監視されているのではと思うことがある。
外出の際に警備隊員に後をつけられているように思うからだ。
“ように思う”というのはエマが目的地に着くまで距離を保って後ろを歩いていて、例えば図書館に付くとスッと通り過ぎて行ってしまう。
今までそんな事はなかったのでエマとしては自意識過剰ではないと思っている。
(私、何かした?……あ)
今日も机の上でもこもこ元気いっぱいの緑の毒草…
「あー王子様は私がこの植物のことを知ってるって気づいているわけで…
それでこの監視?
いやいや、まさか。知ってるだけでこの監視はない…と思う。けど……」
まさか幻覚作用のある毒草やホージ侯爵からエマを守るためにジークヴァルトが手をまわしているなど知るはずのないエマ。
エマは机の引き出しから一通の手紙を取り出した。送り主は、テューセック村の村長。
エマがスーラの店に落ち着いてから村長に無事で過ごしていることを手紙に書いた。
村長からはエマが無事に王都で暮らしていることを喜び、収穫の頃には一度戻ってきてほしい旨の返信があった。
季節はもう夏が終わろうとしている。
国の北東部にあるテューセック村の秋は早い。
エマは月明かりを頼りに手紙を書いた。テューセック村へ久しぶりに戻ることを楽しみにしていると。
「ちょうどいい機会かな。いろいろあって疲れたし。
少しの間王都から離れるのもいいかも。
まさか着いては来ないと思うけど、こっそり行く方法を考えないと」
手紙に封をし、投函し忘れないようにいつもの買い物カゴに入れた。
窓から見える夜回りをする警備隊員の姿にふうと深いため息を漏らすと、再びベッドへと戻った。
*
しばらく歩くと石壁や土壁で出来た建物が立ち並ぶ村が見えてきた。
建ち並ぶと言っても、遠目からの視界に収まる程度の大きさだ。
「やっと着いたぁ」
(数ヶ月ぶりか~。あー疲れた。)
「エ…エマ、おかえり」
村長の息子のハンスだ。
「ハンスさん?!ご無沙汰してます。えっと、待っていてくれたんですか?」
「ああ、今日の午前中に着くって親父への手紙に書いてたから」
(変わらず気弱な感じ。もっと自信持って背筋のばしてればいいのに。
発破かけてくれる彼女かお嫁さんがいたらいいのかも)
ハンスは村長の一人息子で、歳は20代前半。
ひょろりとした高めの身長で茶色の髪に茶色の瞳の素朴で優しげな青年だが、ビクつくような気弱な話し方が年上と思えなくて、エマはもっと胸を張ればいいのにといつも残念に思っていた。
村に入るとたくさんの人が「おかえり!」と声をかけてくれた。
村長の家に着くと、歓迎はさらに盛大だ。奥さんはエマをぎゅうぎゅう抱きしめるし、村長は握手しながら「よく帰ったな!」と肩をバンバン叩く。
それに、村長の家にはエマが村で仲良くしていた女の子たちも何人か来ていて、王都で買ったお土産のお菓子をみんなに配りながら久しぶりにたくさんおしゃべりを楽しんだ。
みんなが帰ったころにはもう夕方になっていた。
「娘たちが帰るとやっと落ち着いたな」
村長が夕食のスープをすすりながら苦笑いをする。
「女の子なんて喋り出したら明日の朝まで喋ってますよ」
奥さんはエマに、「ねえ」といいながらふふふと笑う。
「こんなに喜んでもらって嬉しいです」
村長と奥さんはふくよかで優しげな顔をほころばせる。
夕食も食べ終わり、エマが奥さんと話しをしていると村長が改まった声で、エマをよんだ。
(どうしたのかな?)
「はい?何ですか?」
「明日からこの村の収穫が始まるんだ。
近隣の手伝いも済んだし、今年はうちの村が最後でね。
明日からいろんな村から手伝いがくる」
「収穫!明日からなんですね!もちろん私もお手伝いします」
(いいタイミングで帰ってきてよかった!)
「エマは疲れているだろうし、そこそこ手伝ってくれたら大丈夫だよ。
それに、森の家に帰るには暗いから今日はうちへ泊まっていけばいいさ」
そう言いながら村長は奥さんとハンスをちらりと見て、コホンと小さく咳払いをした。
「それで、収穫が終わってからなんだが…
どうだろうね、エマ。
このまま村に残って、ハンスと結婚してくれないだろうか」
「え……」
「王都のパン屋には結婚してから報告ついでにハンスと一緒に行って荷物を引き払ってきたらいいだろうし」
隣に座る奥さんはそっとエマの手を握って優しく微笑みかける。
正面に座るハンスは顔を真っ赤にして俯いている。
(…け、結婚……?)
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