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第十話 地獄の猛特訓開始
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『アイツ、ぶっ飛ばす』
お金払わずに扉が開いた瞬間に逃げたそうだ。でも、ピーちゃんめちゃ怒っている。
僕の部屋の扉に体当たりしている。扉壊したら、今度は僕とお母さんが怒るからね。
「ピーちゃん、体当たりするならこっちにして」
『分かった。そいつ、ぶっ飛ばす』
枕を両手で持って構えるとピーちゃんに言った。
扉を壊せるとは思えないけど、念の為だ。
『ぶっ飛ばす。ぶっ飛ばす』
ポスッ、ポスッと乾いた音と軽い衝撃が枕からあがってくる。
ピーちゃんには悪いけど、ぶっ飛ばすのは木から落ちてくる枯葉で我慢した方がいいよ。
『ふぅー、今日はこの辺で勘弁してやる』
どこで覚えた台詞か知らないけど、ピーちゃんは満足したみたいだ。
翼で頭をひと撫ですると枕体当たりをやめた。
「……ピーちゃん、もういいの?」
でも、この程度で終わるなんてありえない。
僕の友達が馬鹿にされたんだ。馬鹿にされたまま終われない。
「ピーちゃん、悔しくないの? 悔しくないの! 僕は悔しいよ‼︎」
『ピィ、ピィー』
ピーちゃん大特訓開始だ。目標は『一人で扉開け』だ。
手始めに窓を一人で開けられるようにする。
窓枠にピーちゃんを立たせると、くちばしで窓を押し開けるように言った。
『ぐぅぅぅ!』
「ピーちゃん、頑張って! ピーちゃんならやれるよ!」
やれば出来る。やらなきゃ出来ない。
窓を押し上げようと一生懸命なピーちゃんを僕も一生懸命応援する。
多分開けられないと思うけど、そんなこと最初から分かっている。
努力は裏切らない。必ず結果は出るはずだ。
『ピィー、ピィー、し、死んじゃう……』
「まだ休憩時間には早すぎるよ! 次は枕体当たり千回だ! ピーちゃん、行くよ!」
一ミリも上げられずに窓枠で倒れているけど、まだまだこんなもんじゃない。
地獄の猛特訓だ。ピーちゃんには悪いけど、僕、今日、鬼になるからね。
♢♢♢
それから三日三晩、僕とピーちゃんの猛特訓は続いた。
でも、そろそろいいよね。
ピーちゃん、もう気は済んだよね? 僕、疲れちゃった。
【種族:ブルーバード レベル10 筋力12 耐久8 敏捷20 器用5 知力5 魔力3 運4 残りポイント6】
『アイツ、ぶっ飛ばす』
疲れている僕とは違い、ピーちゃんのやる気はみなぎっている。
猛特訓の結果はピーちゃんの能力にハッキリ出ている。
最後にポイント6を筋力に分けた。これで筋力18だ。
もう誰にも腰抜けチキン野朗とは言わせない。
窓を押し上げて飛び立ったピーちゃんを窓を押し下げて見送ると、ベッドに横になった。
男になって帰ってくるんだよ、ピーちゃん。
♢♢♢
コツコツ、コツコツ。
それから二日後。窓を突く音が聞こえてきた。
ベッドから起き上がると窓を見た。
「……」
窓の外には包帯だらけのミイラピーちゃんがヨロヨロ飛んでいた。
何も言わなくても分かるよ、ピーちゃん。頑張ったんだね。
窓を開けるとピーちゃんが入ってきた。
窓枠に横になると言ってきた。
『ちょっと転んだ。転んだだけだから』
「そうなんだ。薬草取ってくるね」
何も言うつもりはないらしい。僕も何も聞かないよ。
行儀は悪いけど窓から外に出ると、花壇の薬草を一本取ってきた。
扉を開けて、廊下歩いて、玄関開けるよりも、窓の方が早い。
薬草を食べ終わるとピーちゃんは寝てしまった。
お母さんが「凄い薬草が出来た!」と喜んでいたから、すぐに良くなると思うよ。
お金払わずに扉が開いた瞬間に逃げたそうだ。でも、ピーちゃんめちゃ怒っている。
僕の部屋の扉に体当たりしている。扉壊したら、今度は僕とお母さんが怒るからね。
「ピーちゃん、体当たりするならこっちにして」
『分かった。そいつ、ぶっ飛ばす』
枕を両手で持って構えるとピーちゃんに言った。
扉を壊せるとは思えないけど、念の為だ。
『ぶっ飛ばす。ぶっ飛ばす』
ポスッ、ポスッと乾いた音と軽い衝撃が枕からあがってくる。
ピーちゃんには悪いけど、ぶっ飛ばすのは木から落ちてくる枯葉で我慢した方がいいよ。
『ふぅー、今日はこの辺で勘弁してやる』
どこで覚えた台詞か知らないけど、ピーちゃんは満足したみたいだ。
翼で頭をひと撫ですると枕体当たりをやめた。
「……ピーちゃん、もういいの?」
でも、この程度で終わるなんてありえない。
僕の友達が馬鹿にされたんだ。馬鹿にされたまま終われない。
「ピーちゃん、悔しくないの? 悔しくないの! 僕は悔しいよ‼︎」
『ピィ、ピィー』
ピーちゃん大特訓開始だ。目標は『一人で扉開け』だ。
手始めに窓を一人で開けられるようにする。
窓枠にピーちゃんを立たせると、くちばしで窓を押し開けるように言った。
『ぐぅぅぅ!』
「ピーちゃん、頑張って! ピーちゃんならやれるよ!」
やれば出来る。やらなきゃ出来ない。
窓を押し上げようと一生懸命なピーちゃんを僕も一生懸命応援する。
多分開けられないと思うけど、そんなこと最初から分かっている。
努力は裏切らない。必ず結果は出るはずだ。
『ピィー、ピィー、し、死んじゃう……』
「まだ休憩時間には早すぎるよ! 次は枕体当たり千回だ! ピーちゃん、行くよ!」
一ミリも上げられずに窓枠で倒れているけど、まだまだこんなもんじゃない。
地獄の猛特訓だ。ピーちゃんには悪いけど、僕、今日、鬼になるからね。
♢♢♢
それから三日三晩、僕とピーちゃんの猛特訓は続いた。
でも、そろそろいいよね。
ピーちゃん、もう気は済んだよね? 僕、疲れちゃった。
【種族:ブルーバード レベル10 筋力12 耐久8 敏捷20 器用5 知力5 魔力3 運4 残りポイント6】
『アイツ、ぶっ飛ばす』
疲れている僕とは違い、ピーちゃんのやる気はみなぎっている。
猛特訓の結果はピーちゃんの能力にハッキリ出ている。
最後にポイント6を筋力に分けた。これで筋力18だ。
もう誰にも腰抜けチキン野朗とは言わせない。
窓を押し上げて飛び立ったピーちゃんを窓を押し下げて見送ると、ベッドに横になった。
男になって帰ってくるんだよ、ピーちゃん。
♢♢♢
コツコツ、コツコツ。
それから二日後。窓を突く音が聞こえてきた。
ベッドから起き上がると窓を見た。
「……」
窓の外には包帯だらけのミイラピーちゃんがヨロヨロ飛んでいた。
何も言わなくても分かるよ、ピーちゃん。頑張ったんだね。
窓を開けるとピーちゃんが入ってきた。
窓枠に横になると言ってきた。
『ちょっと転んだ。転んだだけだから』
「そうなんだ。薬草取ってくるね」
何も言うつもりはないらしい。僕も何も聞かないよ。
行儀は悪いけど窓から外に出ると、花壇の薬草を一本取ってきた。
扉を開けて、廊下歩いて、玄関開けるよりも、窓の方が早い。
薬草を食べ終わるとピーちゃんは寝てしまった。
お母さんが「凄い薬草が出来た!」と喜んでいたから、すぐに良くなると思うよ。
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