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第十六話 アイツが現れた
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「いってらっしゃい」と三人でピーちゃんを見送った。
レベルも上がったし、技も習得したし、きっとまた生きて会えると思う。
♢♢♢
二日後、ピーちゃんは無事に帰ってきた。
ピーちゃんの帰りを待っていたお父さんはお金を受け取るとすぐに出発した。
「魔竜石とお金、どっちがいい?」とお父さんに聞いたら、「お金」と即答された。
「ご苦労様、ピーちゃん。今回も激しい戦いだったの?」
今回は討伐じゃなくて採取だ。
窓枠で休むピーちゃんに冗談っぽく聞いてみた。
『アイツが現れた』
どうやら今回も激しい戦いだったみたいだ。
ピーちゃんの宿敵、アイツと遭遇したらしい。
ピーちゃんが静かに語り出した。
家を出発したピーちゃんは冒険者ギルドに向かった。
そこでアイツと出会った。
「よお。カラスの討伐に行ったんだって?」
扉を頑張って押して入ると、半笑いで近づいてきて聞いてきた。
すぐに馬鹿にされていると気づいたそうだ。
『カラスじゃない。ブラックバード』
「どっちでもいいよ。最低ランクのG級達成していきがるんじゃねえぞ。俺はこの前、E級達成したんだからな」
『僕、C級達成したことある。僕の方が上』
「はぁ? 採取だろ。採取なんて運が良ければ誰でも出来るんだよ。まぐれで成功して調子乗んじゃねえよ」
『調子乗ってない。僕、忙しい』
「おい、待てよ!」
もう話したくないと受付に行こうとしたら、大声で止められた。
「話はここからだ。お前、レベルはいくつだ?」
『教えない』
「教えられないほど低いってわけか。まあいい。討伐クエストを一つ達成できたら、【ダンジョン探索】の許可が貰える。俺の荷物運びとして連れて行ってやるよ。感謝しろよ」
『絶対行かない』
「おい、テメェ! 後悔するぞ!」
後悔なら話を聞くのに使った時間だ。
ピーちゃんは今度はハッキリ無視して受付に向かった。
『灰色ドラゴンの石拾いにきた。取ってきていい?』
「あら、ピーちゃん。助かるわ。他に取ってこれる人がいないから」
すっかり常連だね。受付のお姉さんに名前まで覚えられている。
まあ、冒険者で鳥はピーちゃんだけだろうから覚えられて当然か。
『こっちも助かる。それとダンジョンっ何?』
分からないことあったら聞いた方がいいよ、と僕がいつも言っている。
ピーちゃんは聞いてみた。実は僕も分からない。
「ああ、ダンジョンね。そういえば討伐クエストをクリアしていたわね。ダンジョンって言うのは簡単に言えば【魔物の家】ね」
『家に行って何するの? ご飯食べるの?』
「フフッ。ご飯は食べないわね。家にも色んな家があるでしょ。お金持ちの家もあれば、そうじゃない家もある。お金持ちの家には高くて珍しい物があるから、それを取ってくるのよ」
『……それって泥棒じゃないの?』
僕もそう思う。絶対泥棒だ。
アイツ、ピーちゃんに泥棒の手伝いさせようとしたんだ。
「う~~ん、泥棒と言われたら泥棒かもしれないわね。まあ、ピーちゃんにはダンジョンは関係ないと思うから、深く考える必要ないわよ。魔竜石の採取頑張ってね」
『うん、すぐ取ってくるからお金用意して待ってて。お薬買うお金にする』
「あら? 治療方法が見つかったのね。良かったわね」
『うん、やっとお礼できる。じゃあ行ってくる』
「気をつけるのよ」
こうしてピーちゃんは魔竜石拾いに出発した。
そういえば聞いてなかったけど、僕の病気が治ったらピーちゃんどうするんだろう?
もう家には来ないのかな。友達やめるって言うのかな。
それよりも僕は何をすればいいんだろう。
お父さんみたいに行商人? お母さんみたいに農家手伝い? それともピーちゃんみたいに冒険者?
今まで病気で出来ないって我慢していたけど、僕のやりたいことって何だろう。
全然分かんないや。いつか分かる日が来るのかな?
『ドラゴン、ぶっ飛ばす』
ピ、ピーちゃん。今何って言ったの?
話を聞きながら将来のことを考えていると、不吉な言葉が聞こえてきた。
ピーちゃん、カラスとドラゴンの共通点は飛べるだけだよ。
それ以外は別物だよ。
カラス倒して調子に乗っているピーちゃんが心配だけど、こうして家に帰ってきている。
もしかするともしかするかもしれない。ドラゴン倒しちゃったのかもしれない。
ピーちゃん、早く先を話して。
『ドラゴン倒せば、C級倒したのと一緒。アイツより上』
灰竜山に到着した。空を飛び回る灰色ドラゴンをピーちゃんは地上から見上げた。
ピーちゃんのやる気がみなぎっているのはアイツのせいだ。
一匹のドラゴンに狙いを定めると羽ばたいた。
『”超加速”』
すぐに最速の領域に入ると、ドラゴンの腹下に向かって急上昇する。
そして、そのまま必殺の一撃を繰り出した。
『”バードストライク”』
ドガァ。
『あん? 何か当たったか?』
『…………』
まあ、これが現実だよね。
調子に乗っているだけのピーちゃんに期待した僕が愚かだったよ。
それでコソッと逃げて、巣から魔竜石拾って帰ってきたんだね?
うん、そうだと思った。これにこりて、身の程をわきまえるんだよ。
レベルも上がったし、技も習得したし、きっとまた生きて会えると思う。
♢♢♢
二日後、ピーちゃんは無事に帰ってきた。
ピーちゃんの帰りを待っていたお父さんはお金を受け取るとすぐに出発した。
「魔竜石とお金、どっちがいい?」とお父さんに聞いたら、「お金」と即答された。
「ご苦労様、ピーちゃん。今回も激しい戦いだったの?」
今回は討伐じゃなくて採取だ。
窓枠で休むピーちゃんに冗談っぽく聞いてみた。
『アイツが現れた』
どうやら今回も激しい戦いだったみたいだ。
ピーちゃんの宿敵、アイツと遭遇したらしい。
ピーちゃんが静かに語り出した。
家を出発したピーちゃんは冒険者ギルドに向かった。
そこでアイツと出会った。
「よお。カラスの討伐に行ったんだって?」
扉を頑張って押して入ると、半笑いで近づいてきて聞いてきた。
すぐに馬鹿にされていると気づいたそうだ。
『カラスじゃない。ブラックバード』
「どっちでもいいよ。最低ランクのG級達成していきがるんじゃねえぞ。俺はこの前、E級達成したんだからな」
『僕、C級達成したことある。僕の方が上』
「はぁ? 採取だろ。採取なんて運が良ければ誰でも出来るんだよ。まぐれで成功して調子乗んじゃねえよ」
『調子乗ってない。僕、忙しい』
「おい、待てよ!」
もう話したくないと受付に行こうとしたら、大声で止められた。
「話はここからだ。お前、レベルはいくつだ?」
『教えない』
「教えられないほど低いってわけか。まあいい。討伐クエストを一つ達成できたら、【ダンジョン探索】の許可が貰える。俺の荷物運びとして連れて行ってやるよ。感謝しろよ」
『絶対行かない』
「おい、テメェ! 後悔するぞ!」
後悔なら話を聞くのに使った時間だ。
ピーちゃんは今度はハッキリ無視して受付に向かった。
『灰色ドラゴンの石拾いにきた。取ってきていい?』
「あら、ピーちゃん。助かるわ。他に取ってこれる人がいないから」
すっかり常連だね。受付のお姉さんに名前まで覚えられている。
まあ、冒険者で鳥はピーちゃんだけだろうから覚えられて当然か。
『こっちも助かる。それとダンジョンっ何?』
分からないことあったら聞いた方がいいよ、と僕がいつも言っている。
ピーちゃんは聞いてみた。実は僕も分からない。
「ああ、ダンジョンね。そういえば討伐クエストをクリアしていたわね。ダンジョンって言うのは簡単に言えば【魔物の家】ね」
『家に行って何するの? ご飯食べるの?』
「フフッ。ご飯は食べないわね。家にも色んな家があるでしょ。お金持ちの家もあれば、そうじゃない家もある。お金持ちの家には高くて珍しい物があるから、それを取ってくるのよ」
『……それって泥棒じゃないの?』
僕もそう思う。絶対泥棒だ。
アイツ、ピーちゃんに泥棒の手伝いさせようとしたんだ。
「う~~ん、泥棒と言われたら泥棒かもしれないわね。まあ、ピーちゃんにはダンジョンは関係ないと思うから、深く考える必要ないわよ。魔竜石の採取頑張ってね」
『うん、すぐ取ってくるからお金用意して待ってて。お薬買うお金にする』
「あら? 治療方法が見つかったのね。良かったわね」
『うん、やっとお礼できる。じゃあ行ってくる』
「気をつけるのよ」
こうしてピーちゃんは魔竜石拾いに出発した。
そういえば聞いてなかったけど、僕の病気が治ったらピーちゃんどうするんだろう?
もう家には来ないのかな。友達やめるって言うのかな。
それよりも僕は何をすればいいんだろう。
お父さんみたいに行商人? お母さんみたいに農家手伝い? それともピーちゃんみたいに冒険者?
今まで病気で出来ないって我慢していたけど、僕のやりたいことって何だろう。
全然分かんないや。いつか分かる日が来るのかな?
『ドラゴン、ぶっ飛ばす』
ピ、ピーちゃん。今何って言ったの?
話を聞きながら将来のことを考えていると、不吉な言葉が聞こえてきた。
ピーちゃん、カラスとドラゴンの共通点は飛べるだけだよ。
それ以外は別物だよ。
カラス倒して調子に乗っているピーちゃんが心配だけど、こうして家に帰ってきている。
もしかするともしかするかもしれない。ドラゴン倒しちゃったのかもしれない。
ピーちゃん、早く先を話して。
『ドラゴン倒せば、C級倒したのと一緒。アイツより上』
灰竜山に到着した。空を飛び回る灰色ドラゴンをピーちゃんは地上から見上げた。
ピーちゃんのやる気がみなぎっているのはアイツのせいだ。
一匹のドラゴンに狙いを定めると羽ばたいた。
『”超加速”』
すぐに最速の領域に入ると、ドラゴンの腹下に向かって急上昇する。
そして、そのまま必殺の一撃を繰り出した。
『”バードストライク”』
ドガァ。
『あん? 何か当たったか?』
『…………』
まあ、これが現実だよね。
調子に乗っているだけのピーちゃんに期待した僕が愚かだったよ。
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