431 / 967
最後の恋は神さまとでした
おまけの打ち上げ/2
しおりを挟む
「昔話や、趣味の話です」
「そういえば、明と月さんの趣味って何ですか?」
明引呼は肉の切れ端を口へ押し込んだ。
「オレは仕事仕事でよ、趣味っつうのがあんまりねえんだよな」
「月さんは?」
「僕は盆栽です」
颯茄はパッと笑顔になって話を拾った。
「素敵な盆栽なんですよね。家族で大きな木を眺めているモチーフで作ってあったりとかするんです」
精巧にできたミニチュア――箱庭で、颯茄は盆栽など興味がなかったのに、一気に楽しみに変わったのだった。メインのステーキよりも、野菜やスープを口に運んでいる月命に、妻は問いかける。
「あと最近、始めたことありますよね?」
「お茶です」
「縁側と日本庭園を自宅に作ったんです。月さん用に」
「えぇ、作っていただきました」
ニコニコの笑顔というよりは、今はにっこり微笑んでいる月命だった。
「最初は遠慮してたんです。洋風のガーデニングを、子供たちが楽しんでやっているので、景観を壊してはいけないと言って」
颯茄は庭園ができるまでの経緯を考えると、なぜだかほっとするのだった。
「でも、家族じゃないですか。やってほしいわけですよ。庭の隅の方が空いていたので、そこに日本庭園作って、茶室に縁側もあるんです。離れなので、そこへ行くまでは金色の渡り廊下を歩いてゆくんです」
「明引呼をはじめとする、みんなが遊びにきてくれますよ」
「今では、夫婦の憩いの場と化してます」
天井と壁も金色に塗られている、廊下を歩いてゆくと、自然と心が落ち着いていき、縁側へ立つ頃には和の心で望めるのだ。
颯茄はステーキを小さく切って、口の中へ入れて肉汁と肉の弾力をかみしめるように味わう。何度食べてもあきのこないどころか、いくらでも食べられてしまう美味しさが麻薬のように、彼女に襲いかかる。
まだ話は途中で、彼女は何とか誘惑に打ち勝ち、順番の人の名を呼んだ。
「それでは、次の人は光さんです。どうでしたか?」
「よくまとまっていたのではありませんか」
「ありがとうとざいます。バイセクシャルの複数婚の突破口となる人物の一人が光さんなので、どうしても、話が多くなってしまいました」
何度もバランスを見た結果だったが、訂正するにしても、どうしても抜かすわけにもいかず、苦渋の選択をしたところだった。
「いいんじゃない?」
旦那たちから賛同を得たところで、颯茄はほっと胸をなで下ろした。
「じゃあ、同じ時期に出たというか、同い年の従兄弟である夕霧さんはどうでしたか?」
「躾隊の制服を着たのが懐かしかった」
芸術的な美しさでワイングラスを持ち上げた夕霧命は、珍しく目を細めて微笑んでいた。颯茄はテーブルに身を乗り出す。
「確かにそうだ! 昔着てたのが嘘みたいに、今は袴姿が板についてしまっているので、忘れてた」
姿勢がいいのではなく、人としての魅力と色気が臭い出る立ち姿で、何を着ても似合ってしまうのだ。颯茄はステーキのことも忘れ、夕霧命の出立を思い出して堪能する。
「キスの修業とかどうしたの?」
孔明の声に我に返り、颯茄はいつの間にか閉じていたまぶたを開いた。
「それは別のところで使ったので、今回のに入れてません。そういう話入れたら、もっと長くなってます」
結婚するのが目的で、結婚後のことはほとんど入れていなかった。駆け足で追ってきた、みんなの馴れ初め。
「それでは、孔明さん」
「ボク~?」
「そうです。どうでしたか?」
「あってるところもあれば、そうじゃないところもあったかも?」
静かに食べていた旦那たちが驚きの声を上げた。
「マジか!?」
「孔明のところだけ、撮り直しじゃない?」
夫たちから意見が上がるが、颯茄は慣れた感じで聞き流す。
「いやいや、もう終わってますよ。放送までしちゃったし」
「嘘かも?」
孔明はそう言って、春風が吹いたみたいに柔らかにふふっと笑った。罠だった。颯茄は憤慨したふりをする。
「もう、悪戯ばっかりして」
「孔明の話は少々切なかったです~」
ステーキをのんびり食べている月命から意見が飛んできた。
「そういえば、明と月さんの趣味って何ですか?」
明引呼は肉の切れ端を口へ押し込んだ。
「オレは仕事仕事でよ、趣味っつうのがあんまりねえんだよな」
「月さんは?」
「僕は盆栽です」
颯茄はパッと笑顔になって話を拾った。
「素敵な盆栽なんですよね。家族で大きな木を眺めているモチーフで作ってあったりとかするんです」
精巧にできたミニチュア――箱庭で、颯茄は盆栽など興味がなかったのに、一気に楽しみに変わったのだった。メインのステーキよりも、野菜やスープを口に運んでいる月命に、妻は問いかける。
「あと最近、始めたことありますよね?」
「お茶です」
「縁側と日本庭園を自宅に作ったんです。月さん用に」
「えぇ、作っていただきました」
ニコニコの笑顔というよりは、今はにっこり微笑んでいる月命だった。
「最初は遠慮してたんです。洋風のガーデニングを、子供たちが楽しんでやっているので、景観を壊してはいけないと言って」
颯茄は庭園ができるまでの経緯を考えると、なぜだかほっとするのだった。
「でも、家族じゃないですか。やってほしいわけですよ。庭の隅の方が空いていたので、そこに日本庭園作って、茶室に縁側もあるんです。離れなので、そこへ行くまでは金色の渡り廊下を歩いてゆくんです」
「明引呼をはじめとする、みんなが遊びにきてくれますよ」
「今では、夫婦の憩いの場と化してます」
天井と壁も金色に塗られている、廊下を歩いてゆくと、自然と心が落ち着いていき、縁側へ立つ頃には和の心で望めるのだ。
颯茄はステーキを小さく切って、口の中へ入れて肉汁と肉の弾力をかみしめるように味わう。何度食べてもあきのこないどころか、いくらでも食べられてしまう美味しさが麻薬のように、彼女に襲いかかる。
まだ話は途中で、彼女は何とか誘惑に打ち勝ち、順番の人の名を呼んだ。
「それでは、次の人は光さんです。どうでしたか?」
「よくまとまっていたのではありませんか」
「ありがとうとざいます。バイセクシャルの複数婚の突破口となる人物の一人が光さんなので、どうしても、話が多くなってしまいました」
何度もバランスを見た結果だったが、訂正するにしても、どうしても抜かすわけにもいかず、苦渋の選択をしたところだった。
「いいんじゃない?」
旦那たちから賛同を得たところで、颯茄はほっと胸をなで下ろした。
「じゃあ、同じ時期に出たというか、同い年の従兄弟である夕霧さんはどうでしたか?」
「躾隊の制服を着たのが懐かしかった」
芸術的な美しさでワイングラスを持ち上げた夕霧命は、珍しく目を細めて微笑んでいた。颯茄はテーブルに身を乗り出す。
「確かにそうだ! 昔着てたのが嘘みたいに、今は袴姿が板についてしまっているので、忘れてた」
姿勢がいいのではなく、人としての魅力と色気が臭い出る立ち姿で、何を着ても似合ってしまうのだ。颯茄はステーキのことも忘れ、夕霧命の出立を思い出して堪能する。
「キスの修業とかどうしたの?」
孔明の声に我に返り、颯茄はいつの間にか閉じていたまぶたを開いた。
「それは別のところで使ったので、今回のに入れてません。そういう話入れたら、もっと長くなってます」
結婚するのが目的で、結婚後のことはほとんど入れていなかった。駆け足で追ってきた、みんなの馴れ初め。
「それでは、孔明さん」
「ボク~?」
「そうです。どうでしたか?」
「あってるところもあれば、そうじゃないところもあったかも?」
静かに食べていた旦那たちが驚きの声を上げた。
「マジか!?」
「孔明のところだけ、撮り直しじゃない?」
夫たちから意見が上がるが、颯茄は慣れた感じで聞き流す。
「いやいや、もう終わってますよ。放送までしちゃったし」
「嘘かも?」
孔明はそう言って、春風が吹いたみたいに柔らかにふふっと笑った。罠だった。颯茄は憤慨したふりをする。
「もう、悪戯ばっかりして」
「孔明の話は少々切なかったです~」
ステーキをのんびり食べている月命から意見が飛んできた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる