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心霊探偵はエレガントに〜karma〜
ダーツの軌跡/11
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キスができそうな距離まで迫って、ようやく執事から聞き返された『約束?』に、優雅で芯のある声で酔わせるように今応えた。
「えぇ、約束です」
主人はとうとう執事を追い詰めた。
こちらで、あなたは私の望むままになるという可能性が98.79%――
うなずかない時には、別の方法を取りましょうか。
崇剛の束ねた紺の長い髪が肩から下へ落ち、絶妙な距離――触れるか触れないかで執事の頬にかかった。悪寒が背中にゾクゾクと走った涼介はうっかりうなずいてしまった。
「わ、わかった……!」
順調に策が進んでいる崇剛は優雅に微笑んだ。そうして、神父らしいアイテムを使って、涼介に言うことを聞かせる条件を一気に増やした。
「それでは、旧約聖書、出エジプト記、モーセの十戒と称して、私の言うことは十個先まで必ず聞いてください。よろしいですか?」
「わ、わかった」
主人の息がかかるほどの至近距離で、涼介の返事は投げやりになっていた。それでも、崇剛は動くこともせず、十個で涼介を懺悔させる罠を組み立てた。
要求を飲んでしまった涼介の斜め後ろにある、部屋の片隅――バースペースへ、崇剛の冷静な視線は送られ、ひとつ目の命令が下される。
「それではまず、あちらの丸椅子をひとつこちらへ持ってきてください」
「椅子……?」
キスされそうな位置で、未だ拘束されている涼介は拍子抜けした。それでも、ちょっとでも動けば唇が触れ合ってしまうのは、目に見えている。
主人の髪の間から見えるものを不思議そうに眺めていたが、崇剛がやっと涼介から身を引いた。
「っ……」
優雅に元の位置へ座り直し、乱れた髪を神経質な手で背中へ落とし、策略家は次の命令を下す。
「廊下側の壁へ椅子を置いてください」
「わかった」
崇剛によって崩されてしまった体を起こし、涼介はソファーからさっと立ち上がった。
執事が背を向けて歩き出した、その隙に、主人はサングリアの入ったワイングラスと、チーズスティックパイをさしてあるロングカクテルグラスを、ダガーをつかむように中指と人差し指で隣り合うようにくっつけた。
罠という迷路を歩かされている涼介にはさっぱりで、何に使うのかわからないながらも、背の高い丸椅子に手をかけた。
「こうか?」
男らしい大きな手で椅子を軽々と持ち上げ、廊下側の壁へアーミーブーツのかかとを鳴らしながら歩いてゆく。そこでさらに細かい命令が、崇剛から出された。
「椅子の背もたれを壁につけて、そちらへ座ってください」
「んっ!」
涼介は椅子を床に下ろし、壁と向き合うようにそれを間にして立った。男らしく両足の内側を使って、椅子を壁際へぴったりと寄せた。
執事の背後――死角で、崇剛はソファーからそっと立ち上がり、壁の近くにあったローチェストの上へ、サングリアのグラスとチーズスティックパイの入ったロングカクテルグラスを密かに移動する。
「はぁ……」
懺悔させられるのは目に見ている。涼介はため息を吐きながら椅子へ座った。これで、策略的な主人よりも、正直な執事の背丈が意図的に低くなった。
ロングブーツのかかとをエレガントに鳴らして、崇剛は涼介に近づき、半径五十センチ以内に入った。そうして、優雅に微笑みながらこんな言葉を口にする。
「私をあなたの中へ入れてもよろしいですか――?」
わざと単語ふたつを抜かした。突然の言葉で、涼介は椅子に座ったまま、不思議そうな顔をしていたが、
「何をだ? お前を俺に……入れる? それって、お前、まさか……!」
主人の体が、執事の中へ入る――。涼介の中で、この方程式ができ上がり、BL罠にまっしぐらだった。主人はさらに執事に追い討ちをかける。
「私自身――です」
「えぇ、約束です」
主人はとうとう執事を追い詰めた。
こちらで、あなたは私の望むままになるという可能性が98.79%――
うなずかない時には、別の方法を取りましょうか。
崇剛の束ねた紺の長い髪が肩から下へ落ち、絶妙な距離――触れるか触れないかで執事の頬にかかった。悪寒が背中にゾクゾクと走った涼介はうっかりうなずいてしまった。
「わ、わかった……!」
順調に策が進んでいる崇剛は優雅に微笑んだ。そうして、神父らしいアイテムを使って、涼介に言うことを聞かせる条件を一気に増やした。
「それでは、旧約聖書、出エジプト記、モーセの十戒と称して、私の言うことは十個先まで必ず聞いてください。よろしいですか?」
「わ、わかった」
主人の息がかかるほどの至近距離で、涼介の返事は投げやりになっていた。それでも、崇剛は動くこともせず、十個で涼介を懺悔させる罠を組み立てた。
要求を飲んでしまった涼介の斜め後ろにある、部屋の片隅――バースペースへ、崇剛の冷静な視線は送られ、ひとつ目の命令が下される。
「それではまず、あちらの丸椅子をひとつこちらへ持ってきてください」
「椅子……?」
キスされそうな位置で、未だ拘束されている涼介は拍子抜けした。それでも、ちょっとでも動けば唇が触れ合ってしまうのは、目に見えている。
主人の髪の間から見えるものを不思議そうに眺めていたが、崇剛がやっと涼介から身を引いた。
「っ……」
優雅に元の位置へ座り直し、乱れた髪を神経質な手で背中へ落とし、策略家は次の命令を下す。
「廊下側の壁へ椅子を置いてください」
「わかった」
崇剛によって崩されてしまった体を起こし、涼介はソファーからさっと立ち上がった。
執事が背を向けて歩き出した、その隙に、主人はサングリアの入ったワイングラスと、チーズスティックパイをさしてあるロングカクテルグラスを、ダガーをつかむように中指と人差し指で隣り合うようにくっつけた。
罠という迷路を歩かされている涼介にはさっぱりで、何に使うのかわからないながらも、背の高い丸椅子に手をかけた。
「こうか?」
男らしい大きな手で椅子を軽々と持ち上げ、廊下側の壁へアーミーブーツのかかとを鳴らしながら歩いてゆく。そこでさらに細かい命令が、崇剛から出された。
「椅子の背もたれを壁につけて、そちらへ座ってください」
「んっ!」
涼介は椅子を床に下ろし、壁と向き合うようにそれを間にして立った。男らしく両足の内側を使って、椅子を壁際へぴったりと寄せた。
執事の背後――死角で、崇剛はソファーからそっと立ち上がり、壁の近くにあったローチェストの上へ、サングリアのグラスとチーズスティックパイの入ったロングカクテルグラスを密かに移動する。
「はぁ……」
懺悔させられるのは目に見ている。涼介はため息を吐きながら椅子へ座った。これで、策略的な主人よりも、正直な執事の背丈が意図的に低くなった。
ロングブーツのかかとをエレガントに鳴らして、崇剛は涼介に近づき、半径五十センチ以内に入った。そうして、優雅に微笑みながらこんな言葉を口にする。
「私をあなたの中へ入れてもよろしいですか――?」
わざと単語ふたつを抜かした。突然の言葉で、涼介は椅子に座ったまま、不思議そうな顔をしていたが、
「何をだ? お前を俺に……入れる? それって、お前、まさか……!」
主人の体が、執事の中へ入る――。涼介の中で、この方程式ができ上がり、BL罠にまっしぐらだった。主人はさらに執事に追い討ちをかける。
「私自身――です」
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