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心霊探偵はエレガントに〜karma〜
Karma-因果応報-/9
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「物事がうまくいかなかった時、誰かや物のせいにするために、あなたは自身で選ばず、責任を取らないで生きてきたのではありませんか? 自身で選択をすれば、己が責任を負わなくてはいけませんからね。ですが、どのような状況であろうとも、最後に決断を下したのはあなたです。断りたいのであれば、死ぬ気で断ればいいのです。従いたくないのであれば、死ぬ気で従わなければいいのです。ですから、今の状況へ陥ったのは、全てはあなたの責任なのです。違いますか?」
茶色のロングブーツは優雅に組み替えられるが、氷柱のような視線は元からはずさないままだった。
「え、あ、あの……」
人が死ぬかもしれない危険性がある限り、一秒でも引き延ばせない。相手が言い淀もうと、さらに新しいゲームは始まり、崇剛は元を早々とチェックメイトした。
「年齢は四十二歳――四十二年間、学ぶ機会はたくさんあったはずです。ですが、あなたは全て見ないふりをして、今まで生きてきたみたいです。何を今までしてきたのですか?」
「…………」
「年齢を重ねるほど、魂のレベルの差が大きく出てきます。何もしなかった人、努力し続けてきた人……。小さな積み重ねが大きなものに変わるのです。何か知恵をつけていかないと、ただ年老いてゆくだけです」
「…………」
自分自身の人生の内容を問われているのに、四十年も生きてきた元は何も答えられなかった。
(言っている意味がわからない)
ラジュは崇剛と元を見比べて思う。
ふたりには霊層という大きな壁があります。
崇剛は準天使に迫る五段。
恩田 元は四百九十五段です。
値が小さくなるほど、高くなります。
つまり、魂が澄んでいます。
人は同じレベル同士でしか出会うことはできません。
崇剛の話している内容は、恩田 元には理解できません。
できるとすれば、彼の魂の透明度はすでに上がっています。
低い者に、高い者が合わせる必要はないんです。
合わせるのは、低い者のほうです。
それが神の御心です――
邪悪なサファイアブルーの瞳の中で、崇剛は後れ毛を耳にかけた。
「百五十六人も殺したあなたは当然、死後、地獄行きとなりました」
「で、でも、生まれ変わってるから、罪は償ったんですよね?」
理論のりの字も知ろうともしない犯人の悪あがきは続く。崇剛の中性的な整った顔は横へゆっくりと揺れた。
「いいえ、償ってはいませんよ。ですから、あなたに恨みを持つ者があなたを狙っているのではないのですか?」
さっきから、ちっとも自分の思う通りに話が通じないのを我慢していたが、元はイラついて、とうとう大声で喚き散らした。
「それは、おかしいじゃないですか!」
崇剛はどこまでも冷静で、心の水面に波紋など一切描かれない。犯人の激怒という熱の感情を、一瞬にして凍結させてしまうほどの威力のある声で言った。
「償わなくても、地獄を出る方法があるのです」
「ど、どんな方法ですか? (償わなくてもいい方法があるのか)」
淡い期待をして、身を乗り出したは殺人犯へ、崇剛のひどく冷たい声が、舌鋒鋭く現実を告げた。
「方法はただひとつです。そちらは邪神界――悪に魂を売り飛ばすことなのです。地獄には柵などがありません。ですから、邪神界の者が悪へ引きずり込もうと、地獄にいる者に声をかけ、連れ出すのです」
「えっ!? あ、悪……じ、自分が!?」
元の顔は驚愕に染まった。
心霊刑事の心遣いで、事実はひた隠しにされてきたが、容疑者自ら足をつ込んでしまった。
聖霊師の冷酷な神託はまだまだ続く。
「あなたは地獄の辛さに耐えられず、悪に魂を売り飛ばし逃げ出した邪神界の者なのです」
元が現実を受けいられる階段を、崇剛は示したが、心の内では非常に厳しい者だった。
あなたが悪だと受け入られるという可能性は12.57%――
元は顔を真っ赤にして、椅子からガバッと立ち上がった。
「う、嘘だっ!」
国立が心配していた通りになってしまった。
茶色のロングブーツは優雅に組み替えられるが、氷柱のような視線は元からはずさないままだった。
「え、あ、あの……」
人が死ぬかもしれない危険性がある限り、一秒でも引き延ばせない。相手が言い淀もうと、さらに新しいゲームは始まり、崇剛は元を早々とチェックメイトした。
「年齢は四十二歳――四十二年間、学ぶ機会はたくさんあったはずです。ですが、あなたは全て見ないふりをして、今まで生きてきたみたいです。何を今までしてきたのですか?」
「…………」
「年齢を重ねるほど、魂のレベルの差が大きく出てきます。何もしなかった人、努力し続けてきた人……。小さな積み重ねが大きなものに変わるのです。何か知恵をつけていかないと、ただ年老いてゆくだけです」
「…………」
自分自身の人生の内容を問われているのに、四十年も生きてきた元は何も答えられなかった。
(言っている意味がわからない)
ラジュは崇剛と元を見比べて思う。
ふたりには霊層という大きな壁があります。
崇剛は準天使に迫る五段。
恩田 元は四百九十五段です。
値が小さくなるほど、高くなります。
つまり、魂が澄んでいます。
人は同じレベル同士でしか出会うことはできません。
崇剛の話している内容は、恩田 元には理解できません。
できるとすれば、彼の魂の透明度はすでに上がっています。
低い者に、高い者が合わせる必要はないんです。
合わせるのは、低い者のほうです。
それが神の御心です――
邪悪なサファイアブルーの瞳の中で、崇剛は後れ毛を耳にかけた。
「百五十六人も殺したあなたは当然、死後、地獄行きとなりました」
「で、でも、生まれ変わってるから、罪は償ったんですよね?」
理論のりの字も知ろうともしない犯人の悪あがきは続く。崇剛の中性的な整った顔は横へゆっくりと揺れた。
「いいえ、償ってはいませんよ。ですから、あなたに恨みを持つ者があなたを狙っているのではないのですか?」
さっきから、ちっとも自分の思う通りに話が通じないのを我慢していたが、元はイラついて、とうとう大声で喚き散らした。
「それは、おかしいじゃないですか!」
崇剛はどこまでも冷静で、心の水面に波紋など一切描かれない。犯人の激怒という熱の感情を、一瞬にして凍結させてしまうほどの威力のある声で言った。
「償わなくても、地獄を出る方法があるのです」
「ど、どんな方法ですか? (償わなくてもいい方法があるのか)」
淡い期待をして、身を乗り出したは殺人犯へ、崇剛のひどく冷たい声が、舌鋒鋭く現実を告げた。
「方法はただひとつです。そちらは邪神界――悪に魂を売り飛ばすことなのです。地獄には柵などがありません。ですから、邪神界の者が悪へ引きずり込もうと、地獄にいる者に声をかけ、連れ出すのです」
「えっ!? あ、悪……じ、自分が!?」
元の顔は驚愕に染まった。
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元が現実を受けいられる階段を、崇剛は示したが、心の内では非常に厳しい者だった。
あなたが悪だと受け入られるという可能性は12.57%――
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「う、嘘だっ!」
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