君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

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緋い記憶

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 彬の瞳を覗き込んだ隆哉が、責めるように低く告げた。ペロリと、手から出る血を舐め取る。

「何故、ちゃんと訊かなかった?」

「え?」

「訊きたい事があったんじゃないのか? それとも言いたい事か? 俺はてっきり、お前がそれを引き摺ってるんだと思ったんだがな」

 キツい口調で言って目を伏せた隆哉は、深い溜め息を吐いた。そして再び感情の出ない、暗い瞳へと戻ってしまう。

 波がひくように、顔の表情も急速に消えていく。

「まあ、いいか。俺は、彼からの『依憑』を叶えればいいだけだから……」

「いひょう?」

「聴こえなかった? 彼の望み。あんなに近くにいたのに。――まあ、仕方ないけど」

 虚ろな瞳で彬を見てから、隆哉は立ち上がった。立ち去ろうとする背中に、必死になって声をかける。

「どういう事だ? あいつは、なんて」

 ゆっくりと、隆哉が振り返る。無表情に首を傾げると、のんびりとした声が答えた。

「何を今更、聞きたいの? だってあんたは、拒絶したじゃないか。彼を」

「ち、がう。違うんだ! なあ、あいつはどこに行ったんだ?」

「………」
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