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緋い記憶
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「じゃあ、段々と戻ってきてるんじゃねぇ? その心ってヤツが。よく解んねぇけど」
「うー…ん。戻ってきてるというよりは」
組んだ足に肘を乗せた隆哉は、その手で顎を支えながら彬に目を向けた。
「――あんた。変だよねぇ」
しみじみといった様子で告げる隆哉に、「お前には負けるよ」と心の中では突っ込みを入れつつ、彬はにへらと笑ってみせた。
「心当りが多過ぎて判んねぇなぁ。そいつは、治しようもねぇけど性格の事か? もしかして頭とか? しゃべり方? 雰囲気? それとも昨日言ってた顔の事かよ?」
「顔? 俺、あんたの顔が変だなんて言った憶えはないけど」
首を捻る隆哉の言葉に、天を仰ぐ。
「……またかよ。お前心だけじゃなく、記憶力にも問題ありなんじゃねぇのか? あのねぇ。お前は昨日俺の顔見て言ったの。『それ、酷い顔だね。いつ頃から?』って。あれは、どー聞いても褒めてる口調じゃなかった。親が聞いたら泣くぜ? 俺も含めて、俺の家族は全員人並み程度の顔は持ち合わせてると思ってんだから。――ったく。こける寸前に言った言葉も忘れてるし、どーいうこった」
「うー…ん。戻ってきてるというよりは」
組んだ足に肘を乗せた隆哉は、その手で顎を支えながら彬に目を向けた。
「――あんた。変だよねぇ」
しみじみといった様子で告げる隆哉に、「お前には負けるよ」と心の中では突っ込みを入れつつ、彬はにへらと笑ってみせた。
「心当りが多過ぎて判んねぇなぁ。そいつは、治しようもねぇけど性格の事か? もしかして頭とか? しゃべり方? 雰囲気? それとも昨日言ってた顔の事かよ?」
「顔? 俺、あんたの顔が変だなんて言った憶えはないけど」
首を捻る隆哉の言葉に、天を仰ぐ。
「……またかよ。お前心だけじゃなく、記憶力にも問題ありなんじゃねぇのか? あのねぇ。お前は昨日俺の顔見て言ったの。『それ、酷い顔だね。いつ頃から?』って。あれは、どー聞いても褒めてる口調じゃなかった。親が聞いたら泣くぜ? 俺も含めて、俺の家族は全員人並み程度の顔は持ち合わせてると思ってんだから。――ったく。こける寸前に言った言葉も忘れてるし、どーいうこった」
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