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緋い記憶
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ほんと疲れる、と片手で頭を抱え込んだ彬の耳に、隆哉の微かな呟きが届く。
「そーいや、そんな言い方したかも」
「だー、今頃かよ!」
ガックリと大げさにうなだれてみせる彬に、隆哉が顔を逸らす。掌に顎は乗せたまま、隆哉は「んー」と小さく唸って宙を見据えた。
「誤解のないように言っておくけど。少なくとも、あんたの解釈には二つの大きな『間違い』があるんだ。一つはさっきも言ったように、『どうしてあの時、傍に来てくれなかったんだ』という言葉は、俺が言ったんじゃないという事。そして二つ目は、昨日俺が言った『その顔酷いね』の言葉の意味を、あんたが穿き違えてるという事だ」
「ああ?」
「俺があんたの手首を掴んだ時、時任の声が聴こえたって言ってたろう? あれと一緒さ。足が絡んだ時、俺の中にあった時任の声が聴こえたんだと思う。普通はあり得ない事だけど、あんた変わってるから。たぶんそーいう能力があるんじゃないかな」
「そーいう能力?」
「んー。霊感? とかそーいうの。あの時はまだ、時任からの依憑の内容がそれだったから」
「ハッハ。霊感? ねぇよ、そんな――」
「そーいや、そんな言い方したかも」
「だー、今頃かよ!」
ガックリと大げさにうなだれてみせる彬に、隆哉が顔を逸らす。掌に顎は乗せたまま、隆哉は「んー」と小さく唸って宙を見据えた。
「誤解のないように言っておくけど。少なくとも、あんたの解釈には二つの大きな『間違い』があるんだ。一つはさっきも言ったように、『どうしてあの時、傍に来てくれなかったんだ』という言葉は、俺が言ったんじゃないという事。そして二つ目は、昨日俺が言った『その顔酷いね』の言葉の意味を、あんたが穿き違えてるという事だ」
「ああ?」
「俺があんたの手首を掴んだ時、時任の声が聴こえたって言ってたろう? あれと一緒さ。足が絡んだ時、俺の中にあった時任の声が聴こえたんだと思う。普通はあり得ない事だけど、あんた変わってるから。たぶんそーいう能力があるんじゃないかな」
「そーいう能力?」
「んー。霊感? とかそーいうの。あの時はまだ、時任からの依憑の内容がそれだったから」
「ハッハ。霊感? ねぇよ、そんな――」
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