君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

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緋い記憶

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 もう既に闇と化してしまった道路にしゃがみ込んで、隆哉はぼんやりと月を見上げていた。

「月が笑ってるようだね」

 膝に肘をついて顎を支え、小首を傾げるように呟く。

「それ……を言うなら、夜空、が笑ってる……ようだって、言うんだよ」

 地面から絶え絶えに聞こえる姿無きか細い声を無視して、隆哉は言葉を続けた。

「怪人なんちゃらの仮面みたいだ」

「仮面、の……口みたい、だろ?」

 咽喉の奥から絞り出すような、苦しげな声のくせに細かい処にこだわる。

 ――細く、欠けた月。

 それをネタに、二人の意味のない会話は続いていた。

「明日は新月かな」

「満月でないのだけは、確かだろ……な」

 地面の闇に影ができ、それが人の容姿かたちを成していく。

「あの、たまに出る夕日のように赤い月。あれはどーいう時に出るんだろうね」

「さあてね。天文博士にでも訊きゃ判るんじゃねぇ?」

「興味ない」

「なら、言うなっての」

 苦笑の混じった声に、隆哉はようやく視線をゆっくりと地面へと落とした。

「あんた。気が長いっていうか、寛容だよね」
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