君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

文字の大きさ
84 / 215
白い影

27

しおりを挟む
「それはどうも」

 靴を履き替える隆哉は、顔すら上げない。その口から、感情の籠らない声が彬へとかけられた。

「それで? なんなの?」

「ああ、あのさ。いきなり弱音を吐くつもりはねぇんだけど、やっぱり俺には視えねぇみてぇなんだ」

 両脇にポツリポツリといる生徒達に聞こえぬ程度に声を顰め、彬は隆哉の顔を窺い見た。

「なんかコツとかさ。そーいうのってねぇの?」

「コツ……」

 吐息のような声を出した隆哉は、玄関から外へ出ると、視線を空へと向けながらぼんやりと呟いた。

「視る気がないんじゃないの」

「ある! そりゃもうこれ以上ねぇってくらい、視る気満々!」

 そこは即答。思いっきり両腕を広げてから、グッと拳を握りアピールする。

「じゃ、視えるでしょう」

 それをあっさりとスカされて、気のない答えが返ってくる。

「マジ! 視えねぇんだって! 俊介の時はあんなにはっきり視えたのに、なんか変な靄みたいにしか視えねぇよ。なんでだ?」

「さぁ」

 逆に問われた隆哉は小首を傾げ、おもむろに空を指差した。

「あの星、見える?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後宮薬師は名を持たない

由香
キャラ文芸
後宮で怪異を診る薬師・玉玲は、母が禁薬により処刑された過去を持つ。 帝と皇子に迫る“鬼”の気配、母の遺した禁薬、鬼神の青年・玄曜との出会い。 救いと犠牲の狭間で、玉玲は母が選ばなかった選択を重ねていく。 後宮が燃え、名を失ってもなお―― 彼女は薬師として、人として、生きる道を選ぶ。

悪役令嬢は処刑されました

菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。

孤児が皇后陛下と呼ばれるまで

香月みまり
ファンタジー
母を亡くして天涯孤独となり、王都へ向かう苓。 目的のために王都へ向かう孤児の青年、周と陸 3人の出会いは世界を巻き込む波乱の序章だった。 「後宮の棘」のスピンオフですが、読んだことのない方でも楽しんでいただけるように書かせていただいております。

大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-

半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。

君の左目

便葉
ライト文芸
それは、きっと、運命の歯車が狂っただけ。 純粋な子供の頃から惹かれ合っていた二人は、残酷な運命の波にのまれて、離れ離れになってしまう。 それもまた運命の悪戯… 二十五歳の春、 平凡な日々を一生懸命過ごしている私の目の前に、彼は現れた。 私の勤める区役所の大きな古時計の前で、彼は私を見つけた…

(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活

まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳 様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。 子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開? 第二巻は、ホラー風味です。 【ご注意ください】 ※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます ※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります ※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます 第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。 この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。 表紙イラストはAI作成です。 (セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ) 題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております

愛のかたち

凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。 ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は…… 情けない男の不器用な愛。

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

処理中です...