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蒼い約束
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楽しそうに呟いて、そっと目を開ける。視界に広がる蒼い空は、やさしく自分を包み込んでくれているような気がした。
――『知ってる? あの世へ逝く路っていうのは、この世の道とかわらないんだ』
いつかの、隆哉の台詞を思い出す。あの時は「へぇ」ぐらいにしか思わなかった。だが今なら、少しは現実味を帯びた言葉として耳にも残るだろう。
「でも俺は、出来りゃこんな蒼の中を逝きてぇなぁ。風が吹いて、きっと気持ちいいんだろうな……」
ぼんやりと誰にともなく告げて、彬はクスリと笑った。
「俺が頼んでも、あいつは聞いてくれねぇよなぁ。死んだ奴の依憑しか聞かねぇんだもん。いや、脅されてしてるっつってたから、脅しつけりゃなんとかなるか」
ガードレールから腰を持ち上げ、再度腕時計を確認して歩き出す。
「その為には、死ぬまでにもう一度、あいつに会わねーと」
――楽しかったな、なんて思う。
短い間だったけど、あいつとはたくさんの時間を一緒に過ごした気がする。
――『知ってる? あの世へ逝く路っていうのは、この世の道とかわらないんだ』
いつかの、隆哉の台詞を思い出す。あの時は「へぇ」ぐらいにしか思わなかった。だが今なら、少しは現実味を帯びた言葉として耳にも残るだろう。
「でも俺は、出来りゃこんな蒼の中を逝きてぇなぁ。風が吹いて、きっと気持ちいいんだろうな……」
ぼんやりと誰にともなく告げて、彬はクスリと笑った。
「俺が頼んでも、あいつは聞いてくれねぇよなぁ。死んだ奴の依憑しか聞かねぇんだもん。いや、脅されてしてるっつってたから、脅しつけりゃなんとかなるか」
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