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蒼い約束
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あからさまな動揺を見せた隆哉に、彬は「まさか」と引き気味に声をかけた。
「新たな『依憑』を、受けたんじゃ?」
それにチロリと目を向けた隆哉が、ゆっくりと否定を示して首を振った。
「いや、もっと酷い。――彼、置いていったんだ。自分の『心』の一部を。俺の空いた部分に」
「げっ……」
さすがに驚いた彬が、呆然と隆哉と見つめ合う。
「どーすんだよッ! それって、あいつはお前ん中にいるって事か? 成仏したんじゃねぇのかよッ。――ってか、体に負担はねぇのか!」
捲くし立てる彬に、隆哉が「まぁ、落ち着いて」と手を上げる。
「言ったように、置いていったのは『心の一部』だよ。『想い』と『夢』――つまり」
――『大丈夫、遺してくから』
彬の耳に、俊介の微かな囁き声が蘇る。それは苦しげだったけれど、確かに笑っていたのだ。
あれは『悪戯』を思いついた時に出す、あいつの笑いを含んだ声、そのものだった……。
「託したのか、お前に! 俺との『約束』をッ」
ウソだろ、と言いながらも可笑しくてアハハッと笑ってしまう。
「笑い事じゃないでしょ」
「新たな『依憑』を、受けたんじゃ?」
それにチロリと目を向けた隆哉が、ゆっくりと否定を示して首を振った。
「いや、もっと酷い。――彼、置いていったんだ。自分の『心』の一部を。俺の空いた部分に」
「げっ……」
さすがに驚いた彬が、呆然と隆哉と見つめ合う。
「どーすんだよッ! それって、あいつはお前ん中にいるって事か? 成仏したんじゃねぇのかよッ。――ってか、体に負担はねぇのか!」
捲くし立てる彬に、隆哉が「まぁ、落ち着いて」と手を上げる。
「言ったように、置いていったのは『心の一部』だよ。『想い』と『夢』――つまり」
――『大丈夫、遺してくから』
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あれは『悪戯』を思いついた時に出す、あいつの笑いを含んだ声、そのものだった……。
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