異世界複利! 【単行本1巻発売中】 ~日利1%で始める追放生活~

蒼き流星ボトムズ

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【転移5日目】 所持金45万5696ウェン 「 心身共に疲れてると、カネを数える事すら忘れるよね。」

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興奮で一睡も出来なかった。
そりゃあそうだろう。
日利1%と2%では意味が違い過ぎる。

いや、何より利率が上昇するとは思っていなかった。
まさかレベルと共に上昇するとはな。
もしも正比例的に1ポイントずつ連動するのならば、レベル10まで上げると日利10%を稼げる計算になる。
そうなったら、もはや無敵だな。

まあ、欲をかくのは止めておこう。
まずはレベル3を目指す。

次のレベルまで、後20の経験値が必要。
ホーンラビットの経験値は5。
つまり4匹倒せばレベル3に到達するのだが…

俺一人じゃ1匹すら無理だろう。
しかも俺のHPは3ポイントしかなく、昨日は軽く斬られただけで1ポイント減った。
つまりあれを3発喰らったら死ぬ寸法だ。

うーん、儲けは増やしたいが死んでしまっては元も子もないしな。
慎重に立ち回ろう。



==============================


『昨日はありがとうございました。』


俺は地主の四男であるアランに治癒の礼を述べた。
彼は俺の包帯を手ずから巻き直しながら、傷の経過をチェックしてくれる。


「この感じじゃ後遺症の心配はなさそうだ。
ただ、傷痕は残ってしまうかも知れない。」


『初陣の勲章くらいに思っておきます。』


「はははw
その意気だ!
男子は気概あってこそだ!」


俺が女なら『水着が着れなくなっちゃう、ショックー。』とでも思ったのだろうか?
勿論そんな事は思わない。
たかが兎とは言え、一応は戦闘をして殺した、勝った。
この小さな傷は、俺の初勝利の証だ。
正直、誇らしい。
一人前の男に近づけたような気がする。


『準備不足でした。』


「ん?」


『いえ、ホーンラビットの事何も知らなかったし。
道具も支給品の棍棒と小盾をそのまま持ってきただけでした。』


「ああ、盾棍棒セットなぁ。
あれ、猿の群れを追っ払う時は結構有効なんだが。
ホーンラビットとは相性が悪いよな。
裕福な貴族の領地に行けば兎対策に炸裂弾を支給して貰えるんだが…
天領は王様のポケットマネーでの運営だから、そこまで手が回らんよなあ。」


『さ、炸裂弾ですか?』


「デカい音と衝撃風が出せる使い捨ての手投げ武器だよ。
冒険者ギルドとか武器屋に売ってるだろ?
農協でも注文すれば取り寄せして貰えるぞ。」


『へえ、それじゃあ炸裂弾を使えば…
ホーンラビットを駆除出来るんじゃ?』


「出来なくはないけど…
アレ地味に高いんだよね。
1個5000ウェンするんだ。
1匹1000ウェンしか賞金が出ないモンスターを狩るのには…
うーん、正直二の足を踏むよなぁ。
達人なら10匹くらいまとめて始末するらしいが…
あれも使ってみるとかなり難しいからな。
投げ損なって自傷してしまうケースも少なくないし…
カネを出して買うのは…
うーん、最後の手段かな。」


『なるほど。
5000ウェンは…
うーん、確かに!』


口ではそう言いつつ、内心で俺は炸裂弾を買う事を決めていた。
普通であれば、そんな割の悪い物には興味が沸かないのだが、俺に限ってはレベルと利率が比例している可能性が髙い。
投資価値はあると見た。


アランと話していると昨日の3人組がやって来た。
朝の野良仕事が終わったので、これから狩りに行くそうだ。
俺が『連れて行ってくれ』と頼むも、微笑で「養生しろ」と拒絶される。
少しだけ喰い下がってみたが、アランからも止められる。
まあ、仕方ない。
ぶっちゃけ俺なんて足手まといだしな。


そのまま帰るのは癪だったので、作業所で農作物の箱詰を少しだけ手伝ってから帰ることにした。
ほんの20箱程度リアカーに積み下ろしをしただけなのに、背中が筋肉痛になる。
大した事をしたつもりはなかったが、男手が俺だけだった事もあり感謝された。
薬草や香草をお土産に貰えたので、機嫌良く帰路につく。



==============================


一旦、王都に帰って炸裂弾を買う事を決意する。
炸裂弾の大きさは聞きそびれたが、5個くらい買えばレベル3を狙えるかも知れない。
(あれって直接トドメを刺さないと経験値貰えないのかな?)
数万ウェンで利率が1%を上げれるなら逆に安いだろ。


そんな事を思いながら帰路を歩んでいると、道端にホーンラビットが佇んでいる事に気付いた。
少し怖かったが、仲間はおらず1匹だけだったので、炸裂弾の練習も兼ねて石を投げつけてみる。
逃げる背中にもう一発投石する腹つもりだったのだが、予想に関して飛び掛かって来た。

ムシのいい話だが、自分からちょっかいを出しておいて、反撃されたらパニックになる情けない俺。
『ひぃーーーーーー!』
というこの上ない格好の悪い悲鳴が聞こえた。

周囲に誰もおらす助太刀を期待できないのは辛かったが、反面この醜態を誰にも見られなかった事に心から安堵する。

よく見ると昨日殺したホーンラビットよりかなり大きく狂暴だ。
しまった、喧嘩を売る相手を間違えた。

俺は必死で小盾を構えて防御に徹するが、もの凄い勢いで大きな角ごと突っ込んで来る。
バッティングセンターの速球くらいの速度はあり、こちらの戦意は完全に打ち砕かれる。
跳躍力もかなりあって、顔の横スレスレをひゅんひゅん往復されて、死を意識する。


『痛いッ!!!!』


風圧か何かで頬を斬られる感触がする。
痛みは無いが顔の左側を強く引っ張られるような痺れを感じる。


ホーンラビットはかなり戦い慣れているのか、俺の死角へと回り込んでから突撃を仕掛けてくる。
俺の反射神経では、とてもではないが反応し切れない。



ドガッッ!!!


『うおッ!』


大きな音がしたので、一瞬首を刺されたのかと思った。
冷や汗を垂らしながら目を開けると、俺の投げ捨てた小盾に角が刺さった状態でホーンラビットはバタバタともがいている。

コイツは知能が高いのか、こちらの盾ガードを巧妙に避けながら襲ってきた。
だが、鈍臭い俺が全く見当外れのタイミングと方向で盾を突き出した所為で、角がめり込んでしまったようだ。

ホーンラビットが前足を器用に動かして小盾から角を抜こうとしていたので、慌てて棍棒で滅多打ちにする。
激しく身をよじって抵抗されたが、30発くらい頭部を叩き続けたら…
いつの間にか死んでいた。

コイツも凄まじい断末魔を挙げたが、半狂乱の俺も甲高い悲鳴を挙げていたと思う。
…怖かった。

さっさと小盾を回収して帰りたかったのだが、何をどうやっても角が抜けなかったので、ホーンラビットの首を滅茶苦茶に突いて強引に首だけを切り離した。
アランに貰った狩猟用ナイフは根元から曲がってしまった。

不本意ながら、ホーンラビットの首が刺さった小盾を抱えて王都を目指す。
もう疲れ果てて、何も考えられなかった。


==============================


「何をやってるの、君ぃ!!」


農協に入った瞬間、昨日の福相のオジサンに怒鳴られる。


『す、スミマセン!』


あまりの剣幕だったので、反射的に謝る。


「早く医療室に行きなさい!!」


『え? 医療?』


そこで初めて、俺は顔から大量の出血をしている事に気付いた。
ああ、角攻撃が顔を掠めた時か…




結局、頬が大きく裂けていたらしい。
傷は耳まで届いており、専門的な治療でもしない限り一生傷痕が残るとのこと。

血止めを怠っていたせいか、かなりの失血をしてしまっていたそうだ。
俺はポーションや栄養剤を無理矢理飲まされると、農協の医務室でそのまま寝かされた。

ベッドに寝転んだまま、何気なく脱がされた衣服を見ると左側を中心に真っ赤に染まっており、想像以上の惨状に今更ながらショックを受けた。

衛生的・法律的観点からもロバート質店で貰ったあの服は廃棄しなければならないようだ。
(血まみれの着衣のまま歩くのは、治安法違反となる。)



《8936ウェンの配当が支払われました。》



アナウンスが聞こえる。
いつもならステータス画面を精査する場面なのだが、気が付くと眠ってしまっていた。


心身共に疲れてると、カネを数える事すら忘れるよね。
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