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【転移7日目】 所持金61万2000ウェン 「俺の生活は完全に軌道に乗った!」
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早朝10時に起床。
就寝前に何も読まないのは、かなり健康に寄与しているな。
明らかに視力が向上している。
「おはようございます。」
ああ、ここの娘か。
突然話し掛けられたから驚いた。
『あ、うん
おはようございます。
何か用?』
「朝食…
たべますか?」
『あ、うん。
じゃあ、もう降りるよ。』
本当はもうちょっとゴロゴロしたいのだけどな。
「あ、あの!」
『はい。』
「あんまり危ないことしちゃイヤです。」
『ああ、心配してくれてるんだね。
ゴメンゴメン。
俺、余所者だからさ。
早めに纏まったカネを稼いで生活を軌道に乗せたいんだ。
ある程度蓄えたら、安全第一で行くつもりだから。』
これは本当。
俺は元々荒事に向いてない。
何より血が苦手だ。
今、少しだけ頑張っているのも、その方が安全を確保出来ると確信しているからに過ぎない。
「後、お魚ありがとうございました。」
『イワシ気に入った?』
「美味しかったです♪」
『あんなので良ければ幾らでも喰わせてあげるよww』
そう。
もう少しだけ頑張れば、嗜好品にも困らないレベルの生活が可能だ。
その為にも、レベル3にさっさと到達したい。
==========================
朝食を済ませた俺は昨日の武器屋で炸裂弾を4発購入する。
昨日はショーケース越しだったのでよくわからなかったが、触ってみると意外に小さい、
サイズは野球ボール程であろうか?
本当にこれが爆発するのだろうか?
いや、店主を疑う訳ではないのだが…
「オマエ、コノヤロウ!
まだ信じてないだろ!」
『いや、まあ、はい、いえ。
…信じてますよ。』
そんな不毛な遣り取りをしながらも、マニュアルの読み合わせは精緻に行ってくれる店主。
仕事は出来るタイプなのだろう。
==========================
【所持金】
476960ウェン
↓
456960ウェン
※炸裂弾4発を2万ウェンで購入
==========================
オマケに背負い袋をくれたので、素直に受け取っておく。
「背中から転ぶなよ?
マジで爆死するぞ?」
その時の店主の表情が深刻だったので、少しだけ炸裂弾への信頼性が増す。
その後、農協に顔を出した。
いつもの福相のオジサンが非番だったので、その部下の若い職員に諸々の御礼を述べておく。
「トイチ君、ひょっとしてまた討伐クエストするつもりなのかい?
まだ傷も塞がり切ってないだろう?」
『いえ、今回は炸裂弾を使おうと思って。』
「いやいや、棍棒以上の武器は支給出来ないよ!?
ましてや炸裂弾なんて、あんな高価な物は。」
『あ、いえ。
自腹で買ったので、それでホーンラビットにリベンジします。』
「自腹で!?
最近火薬が値上がりしているから高かったでしょ?」
『そうですね。
5000ウェンしたので、結構驚きました。』
「あの、分かってると思うけど
ホーンラビットは1匹2000ウェンだからね?
一投で3匹以上倒さない限り元は取れないよ?
ちゃんと君自身の人件費も計算に入れてる?」
若い癖に懇切な男だ。
見た所、俺とそんなに歳は変わらなさそうだが…
内心嬉しかったので、素直に感謝しておく。
「午後には先日のホーンラビットが特別個体だったか否かの判定が下されるから。
時間があったら顔を出してね。」
まるで母親のような男だが…
俺のような余所者にとっては、こういう説教臭い心配屋は非常にありがたい。
==========================
農業地区に到着したのは13時頃。
アランの息子さんが受付をしていたので、討伐依頼に応えに来たことを申告する。
「父は所用で出掛けております。
本日中には帰って来る予定なのですが。
申し訳ありません。」
見た感じ、小学校の低学年くらいだが。
躾が行き届いているのか、しっかりしている。
俺が『今日は炸裂弾を持参したのですが…』と切り出すと
爆発物取り扱いの注意事項を懇切に教えてくれた。
自分が礼儀挨拶の苦手な性分なので、内心気恥ずかしい。
近くで駆除作業をしているグループに挨拶回りをして、炸裂弾を使いたい旨をお願いしていく。
難色を示されるかと思っていたが、それはあまりなく、殆どの者が原価割れを心配してくれた。
俺だってこのスキルが無かったら、2000ウェンの獲物を狩る為に5000ウェンを費やすような馬鹿な真似はしない。
「おーい、みんなー!
この子が炸裂弾持って来たぞ!」
農夫のリーダーっぽい初老のオジサンが叫んだので、周辺から作業員が集まって来る。
野良仕事をしていた連中も手を止めてやってくる。
「うそ!?
ホーンラビットなんかの為に炸裂弾使うの?
え? なんで?
割に合わないでしょ?」
まさか日利の話をする訳にも行かないので
『先日ホーンラビットに顔を傷つけられて
腹が立ったので炸裂弾を買って来た。』
と説明したら、みんなは笑って納得してくれた。
《兎にやられたから火薬に頼ってでも報復する》という趣旨がウケたのか、失笑混じりに見物人が集まって来た。
炸裂弾は元々、ウルフ系やボア系などの狂暴なモンスター対策に販売されているものなので、兎狩りに使われる場面は珍しいし、見た事の無い者も多いとのこと。
アラン父子までも興味深そうな顔で見物に来ていた。
『えー、みなさん。
肉は寄付するので、トドメだけ刺させて下さい。』
一同が爆笑する。
形振り構わず報復に向かう姿勢が愛おしくも滑稽に映ったようだ。
俺は炸裂弾の扱いに慣れている農夫に教えを乞い、兎の群れまで案内して貰った。
「安全紐を抜いてからじゃないと爆発しないからな!
大きな衝撃を与えてから2秒後の爆発をイメージするんだ。
至近距離には投げるなよ!
投げたら耳を塞げ!
それで失明する奴とか普通に居るから!
投げる前に必ず周囲に知らせろ!」
結構、物騒だな。
まあ、それ位でなくてはカネを出した甲斐が無いのだが…
『炸裂弾投げまーす!!』
俺は紐を抜くと、疾走するホーンラビットの群れの先頭辺りに力一杯投げ込む。
…不発か?
と思った瞬間、轟音と共に土煙が上がる。
煙が収まると、十数匹がヒクヒクと身体を痙攣させていた。
酷い絵面だw
俺は例によって借りたスコップでぐったりしているホーンラビットの首元をザクザク刺していく。
動物虐待しているみたいで後味が悪いが、農夫たちが喜んでくれているので、少し気が紛れる。
「結構、ごっそり倒せるものだな!」
皆が驚き交じりに、ホーンラビットの死体を検分する。
『いえ、奇跡的に上手く投げ込めました。
これ、かなり難しいです。』
1投目はビギナーズラックである。
12匹を殺害出来たが、同じことをやる自信がない。
俺は『目に泥が跳ねたので、顔を洗わせてくれ』と頼んで、水浴び所を借りた。
顔を洗うフリをして、ステータス画面をこっそり開く。
『ステータスオープン。』
==========================
【名前】
遠市厘
【職業】
自称コンサルタント
【ステータス】
《LV》 4
《HP》 (3/3)
《MP》 (1/1)
《腕力》 1
《速度》 1
《器用》 1
《魔力》 1
《知性》 2
《精神》 1
《幸運》 1
《経験》 85
※次のレベルまで残り65ポイント。
【スキル】
「複利」
※日利4%
【所持金】
47万6960ウェン
==========================
おお!
あんなもんで経験値入るんだ!?
そしてレベリングに必要な経験値は、10・20・40・80と2倍ずつ増えていくのか。
レベル10位までくらいなら、やり方次第でスムーズに伸ばせるかも。
俺はあわよくば今日中にレベル5も夢ではないと思い、残りの3投に挑むことにする。
2投目。
群れの中心で爆発したように見えたのだが、くぼみのような場所に炸裂弾が入ったようで直上を通り過ぎた一匹を負傷させただけだった。
ステータスを開くもやはり経験値は入ってない。
トドメを刺さないと経験値判定されないのだろうか?
爆風でパニックになり手足をバタバタさせて逃げ遅れている個体が1匹だけ居たので、とりあえずスコップで殺害。
《次のレベルまで残り60ポイント。》
『うーん、一匹だけだと流石に割が合わないですねえ。』
「普通はそんなもんだよ?
一投目が上手く行きすぎたんだよ。」
『そうですね。
欲をかかないようにします。』
3投目。
「大きな群れが小休止しているぞ!」
と教えてくれた人が居たので、息を潜めて接近。
奇襲で爆殺しようと試みるも、気配で悟られたのか、一斉に離脱される。
まさしく脱兎とはよく言ったものだ。
それでも兎にとって大きな音は苦痛なのか、2匹が群れからはぐれてキョロキョロとパニックになって震えていた。
戦意を喪失しているようだったので、2匹をスコップで無事殺害。
《次のレベルまで残り50ポイント。》
『残り1発で10頭仕留めるとか、出来ると思います?』
「はははw
見た目に寄らず欲が深いなww
まだ若いんだ、今は怪我なく確実に仕事をこなすことだけを考えなさいw」
それもそうだな。
欲張って負傷したら元も子もない。
4投目。
あまり深く考えずに無心で投げる。
走行中の群れの真ん中辺りに着弾するも、爆発した時には大半に駆け抜けられてしまっていた。
結局、仕留められたのは2匹だけに留まる。
《次のレベルまで残り40ポイント。》
うーん。
1投目のビギナーズラックで欲が出たのかも知れない。
12匹・1匹・2匹・2匹で、計17匹を仕留めた。
平均4匹強の戦果。
次は10発くらい持って来てやろうか。
「トイチ君、お疲れー!
久しぶりに盛り上がったよww」
『尻すぼみな結果でお恥ずかしいです。』
「何言ってるの!
君みたいな若手が積極的に取り組んでくれて
地区の士気も上がったよ!
本当に肉を貰っていいの?」
『ええ、我儘に付き合って下さった御礼です。』
「これ、討伐チップ。
忘れないうちに渡しておくよ。」
『ん?
27枚?
そんなに仕留めてないですよ?』
「逃げた兎の中でふらついた連中が居たから
仕留めさせたんだ。」
『いえ!
それじゃあ、仕留めた方に!』
「連中もトイチ君の手柄にしてくれってさ。
肉は貰っていいんだよね?」
『はい!
是非皆さんの物にして下さい。』
「OK!
取引成立だ。
まさかこんなに盛り上がるとは思ってなかったww
また時間があったら遊びに来てくれ。」
『はい!』
俺も楽しかった。
正直、途中からは金利や討伐報酬を忘れて、純粋に殺生を楽しんでいた。
また時間を作って来よう。
==========================
王都に帰ると17時前だった。
農協に顔を出す。
「おお! トイチ君!
この前の申請通ったよ!
特別個体として報酬を支払える!」
『あ、ありがとうございます!』
「通常2000ウェンだが、特別個体は10倍換算で2万ウェンだ!」
『おお!
そういうシステムなんですね!』
「今日も農業地区に行ってくれたんだろ?
聞いたよ~。
自腹で炸裂弾準備したってww
気合入ってるなぁww」
『お恥ずかしい限りです。
俺の腕前じゃ、とても敵わないと分かったので。』
「いやいや!
恥じる事じゃないよ!
駆除は安全第一!
まずは無事に帰るまでが討伐クエストだからね。」
『ありがとうございます。
肝に銘じます。』
「じゃあ、今日の分の討伐チップも一緒に換金しようか?
何匹仕留めたの?」
俺が27枚のチップを出すと職員達が騒然となった。
普通はこんなアベレージは出ないらしい。
変に疑われたくないので、詳細を包み隠さず報告する。
「いやあ、国王陛下もお喜びになるだろう。」
『え? 王様がですか?』
「駆除の炸裂弾活用は陛下がプッシュしているアイデアだからね。
ほら、陛下のご実家は西部だから。
ただ近年は火薬の値上がりが酷くて、中々みんな使ってくれなかった。
陛下も補助金出したり、色々工夫されておられるんだけど…
こればかりは経済効率を無視できないからね。」
俺は最初、1発5000ウェンを暴利だと感じたが、相場を知るものから言えば、実質的な原価提供らしい。
王様が各店舗に補助金を支給して、何とか店頭に並んでいる状態とのこと。
ちなみに王様の出身地の西部地方というのは、所謂未開地帯で大量のモンスターが出現し、火薬無しではとてもではないが生存を維持できない環境らしい。
そういう環境で青年期までを過ごした所為で、使える物はなりふり構わず使う政治姿勢の持ち主らしい。
王太子時代は、禁忌とされているゴブリンやドワーフとの密貿易にも手を染めているという噂があったとのこと。
そんな王なら火薬くらいは躊躇わず使わせるだろう。
異世界召喚もそんな政治哲学の賜物なのかも知れない。
俺にとっては迷惑極まりないが。
話を戻す。
討伐チップ27枚×2000ウェン=54000ウェンに、特別個体褒賞20000ウェンが加算され…
7万4000ウェンを受け取る事が出来た。
嬉しい。
異世界に来て、初めてまともに稼げた気がする。
==========================
【所持金】
47万6960ウェン
↓
55万0960ウェン
※7万4000ウェン討伐報酬受取
==========================
よし、まだ時間はある。
ニコニコ金融、行っておくか。
「トイチリンか。
100万?」
『ええ、お願い致します。』
「そんなに畏まらなくていいんだぞ?
お互いそういう商売だ。」
==========================
【所持金】
55万0960ウェン
↓
155万0960ウェン
※ニコニコ金融から100万ウェン借り入れ。
==========================
配当までやや時間が余っていたので、宿で休む事に決める。
扉を閉めて、荷物を降ろす。
軽いストレッチ運動をして時間を潰す。
レベルアップしたにも関わらず、一向にステータスが伸びないが体調は悪くない。
少なくとも、地球に居た頃よりも手足の動きにキレが出てきている。
後、視力。
テキストと縁遠い生活が、ここまで目を回復させるとは…
等と思っていると、お楽しみタイムが訪れる。
《6万2039ウェンの配当が支払われました。》
==========================
【所持金】
155万0960ウェン
↓
161万2999ウェン
※6万2039ウェンの配当受取
==========================
感慨深いな。
日利4%は破格過ぎる…
完全に軌道に乗った!
もう一度、言う。
俺の生活は完全に軌道に乗った!
俺は小銭を女将さんに端数を寄付するとニコニコ金融で無利子返済を行った。
==========================
【所持金】
155万0960ウェン
↓
161万2999ウェン
↓
161万2000ウェン
↓
61万2000ウェン
※胡桃亭に999ウェンを寄付
※ニコニコ金融に100万ウェンを返済
==========================
さて。
金銭面だけで言えば、もうここをエンディングにしても良いくらいだ。
後1レベルを上げて日利5%で今の持ち金を運用していけば、寝ていても貯金は増える。
ここからは出口戦略を考える。
もしもこのスキルを地球に持ち帰れるなら、何としても帰還したい。
日利5%なら、地球でも軽々天下を獲れるからな。
もしも帰還方法が無いなら、経済力で安全や快楽を最も効率良く購入出来る国に移住する。
どうもこの国は斜陽らしいからな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
遠市厘
【職業】
自称コンサルタント
【ステータス】
《LV》 4
《HP》 (3/3)
《MP》 (1/1)
《腕力》 1
《速度》 1
《器用》 1
《魔力》 1
《知性》 2
《精神》 1
《幸運》 1
《経験》 85
※次のレベルまで残り65ポイント。
【スキル】
「複利」
※日利4%
【所持金】
61万2000ウェン
【応援よろしくお願いします!】
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「カネが欲しい!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
就寝前に何も読まないのは、かなり健康に寄与しているな。
明らかに視力が向上している。
「おはようございます。」
ああ、ここの娘か。
突然話し掛けられたから驚いた。
『あ、うん
おはようございます。
何か用?』
「朝食…
たべますか?」
『あ、うん。
じゃあ、もう降りるよ。』
本当はもうちょっとゴロゴロしたいのだけどな。
「あ、あの!」
『はい。』
「あんまり危ないことしちゃイヤです。」
『ああ、心配してくれてるんだね。
ゴメンゴメン。
俺、余所者だからさ。
早めに纏まったカネを稼いで生活を軌道に乗せたいんだ。
ある程度蓄えたら、安全第一で行くつもりだから。』
これは本当。
俺は元々荒事に向いてない。
何より血が苦手だ。
今、少しだけ頑張っているのも、その方が安全を確保出来ると確信しているからに過ぎない。
「後、お魚ありがとうございました。」
『イワシ気に入った?』
「美味しかったです♪」
『あんなので良ければ幾らでも喰わせてあげるよww』
そう。
もう少しだけ頑張れば、嗜好品にも困らないレベルの生活が可能だ。
その為にも、レベル3にさっさと到達したい。
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朝食を済ませた俺は昨日の武器屋で炸裂弾を4発購入する。
昨日はショーケース越しだったのでよくわからなかったが、触ってみると意外に小さい、
サイズは野球ボール程であろうか?
本当にこれが爆発するのだろうか?
いや、店主を疑う訳ではないのだが…
「オマエ、コノヤロウ!
まだ信じてないだろ!」
『いや、まあ、はい、いえ。
…信じてますよ。』
そんな不毛な遣り取りをしながらも、マニュアルの読み合わせは精緻に行ってくれる店主。
仕事は出来るタイプなのだろう。
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【所持金】
476960ウェン
↓
456960ウェン
※炸裂弾4発を2万ウェンで購入
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オマケに背負い袋をくれたので、素直に受け取っておく。
「背中から転ぶなよ?
マジで爆死するぞ?」
その時の店主の表情が深刻だったので、少しだけ炸裂弾への信頼性が増す。
その後、農協に顔を出した。
いつもの福相のオジサンが非番だったので、その部下の若い職員に諸々の御礼を述べておく。
「トイチ君、ひょっとしてまた討伐クエストするつもりなのかい?
まだ傷も塞がり切ってないだろう?」
『いえ、今回は炸裂弾を使おうと思って。』
「いやいや、棍棒以上の武器は支給出来ないよ!?
ましてや炸裂弾なんて、あんな高価な物は。」
『あ、いえ。
自腹で買ったので、それでホーンラビットにリベンジします。』
「自腹で!?
最近火薬が値上がりしているから高かったでしょ?」
『そうですね。
5000ウェンしたので、結構驚きました。』
「あの、分かってると思うけど
ホーンラビットは1匹2000ウェンだからね?
一投で3匹以上倒さない限り元は取れないよ?
ちゃんと君自身の人件費も計算に入れてる?」
若い癖に懇切な男だ。
見た所、俺とそんなに歳は変わらなさそうだが…
内心嬉しかったので、素直に感謝しておく。
「午後には先日のホーンラビットが特別個体だったか否かの判定が下されるから。
時間があったら顔を出してね。」
まるで母親のような男だが…
俺のような余所者にとっては、こういう説教臭い心配屋は非常にありがたい。
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農業地区に到着したのは13時頃。
アランの息子さんが受付をしていたので、討伐依頼に応えに来たことを申告する。
「父は所用で出掛けております。
本日中には帰って来る予定なのですが。
申し訳ありません。」
見た感じ、小学校の低学年くらいだが。
躾が行き届いているのか、しっかりしている。
俺が『今日は炸裂弾を持参したのですが…』と切り出すと
爆発物取り扱いの注意事項を懇切に教えてくれた。
自分が礼儀挨拶の苦手な性分なので、内心気恥ずかしい。
近くで駆除作業をしているグループに挨拶回りをして、炸裂弾を使いたい旨をお願いしていく。
難色を示されるかと思っていたが、それはあまりなく、殆どの者が原価割れを心配してくれた。
俺だってこのスキルが無かったら、2000ウェンの獲物を狩る為に5000ウェンを費やすような馬鹿な真似はしない。
「おーい、みんなー!
この子が炸裂弾持って来たぞ!」
農夫のリーダーっぽい初老のオジサンが叫んだので、周辺から作業員が集まって来る。
野良仕事をしていた連中も手を止めてやってくる。
「うそ!?
ホーンラビットなんかの為に炸裂弾使うの?
え? なんで?
割に合わないでしょ?」
まさか日利の話をする訳にも行かないので
『先日ホーンラビットに顔を傷つけられて
腹が立ったので炸裂弾を買って来た。』
と説明したら、みんなは笑って納得してくれた。
《兎にやられたから火薬に頼ってでも報復する》という趣旨がウケたのか、失笑混じりに見物人が集まって来た。
炸裂弾は元々、ウルフ系やボア系などの狂暴なモンスター対策に販売されているものなので、兎狩りに使われる場面は珍しいし、見た事の無い者も多いとのこと。
アラン父子までも興味深そうな顔で見物に来ていた。
『えー、みなさん。
肉は寄付するので、トドメだけ刺させて下さい。』
一同が爆笑する。
形振り構わず報復に向かう姿勢が愛おしくも滑稽に映ったようだ。
俺は炸裂弾の扱いに慣れている農夫に教えを乞い、兎の群れまで案内して貰った。
「安全紐を抜いてからじゃないと爆発しないからな!
大きな衝撃を与えてから2秒後の爆発をイメージするんだ。
至近距離には投げるなよ!
投げたら耳を塞げ!
それで失明する奴とか普通に居るから!
投げる前に必ず周囲に知らせろ!」
結構、物騒だな。
まあ、それ位でなくてはカネを出した甲斐が無いのだが…
『炸裂弾投げまーす!!』
俺は紐を抜くと、疾走するホーンラビットの群れの先頭辺りに力一杯投げ込む。
…不発か?
と思った瞬間、轟音と共に土煙が上がる。
煙が収まると、十数匹がヒクヒクと身体を痙攣させていた。
酷い絵面だw
俺は例によって借りたスコップでぐったりしているホーンラビットの首元をザクザク刺していく。
動物虐待しているみたいで後味が悪いが、農夫たちが喜んでくれているので、少し気が紛れる。
「結構、ごっそり倒せるものだな!」
皆が驚き交じりに、ホーンラビットの死体を検分する。
『いえ、奇跡的に上手く投げ込めました。
これ、かなり難しいです。』
1投目はビギナーズラックである。
12匹を殺害出来たが、同じことをやる自信がない。
俺は『目に泥が跳ねたので、顔を洗わせてくれ』と頼んで、水浴び所を借りた。
顔を洗うフリをして、ステータス画面をこっそり開く。
『ステータスオープン。』
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【名前】
遠市厘
【職業】
自称コンサルタント
【ステータス】
《LV》 4
《HP》 (3/3)
《MP》 (1/1)
《腕力》 1
《速度》 1
《器用》 1
《魔力》 1
《知性》 2
《精神》 1
《幸運》 1
《経験》 85
※次のレベルまで残り65ポイント。
【スキル】
「複利」
※日利4%
【所持金】
47万6960ウェン
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おお!
あんなもんで経験値入るんだ!?
そしてレベリングに必要な経験値は、10・20・40・80と2倍ずつ増えていくのか。
レベル10位までくらいなら、やり方次第でスムーズに伸ばせるかも。
俺はあわよくば今日中にレベル5も夢ではないと思い、残りの3投に挑むことにする。
2投目。
群れの中心で爆発したように見えたのだが、くぼみのような場所に炸裂弾が入ったようで直上を通り過ぎた一匹を負傷させただけだった。
ステータスを開くもやはり経験値は入ってない。
トドメを刺さないと経験値判定されないのだろうか?
爆風でパニックになり手足をバタバタさせて逃げ遅れている個体が1匹だけ居たので、とりあえずスコップで殺害。
《次のレベルまで残り60ポイント。》
『うーん、一匹だけだと流石に割が合わないですねえ。』
「普通はそんなもんだよ?
一投目が上手く行きすぎたんだよ。」
『そうですね。
欲をかかないようにします。』
3投目。
「大きな群れが小休止しているぞ!」
と教えてくれた人が居たので、息を潜めて接近。
奇襲で爆殺しようと試みるも、気配で悟られたのか、一斉に離脱される。
まさしく脱兎とはよく言ったものだ。
それでも兎にとって大きな音は苦痛なのか、2匹が群れからはぐれてキョロキョロとパニックになって震えていた。
戦意を喪失しているようだったので、2匹をスコップで無事殺害。
《次のレベルまで残り50ポイント。》
『残り1発で10頭仕留めるとか、出来ると思います?』
「はははw
見た目に寄らず欲が深いなww
まだ若いんだ、今は怪我なく確実に仕事をこなすことだけを考えなさいw」
それもそうだな。
欲張って負傷したら元も子もない。
4投目。
あまり深く考えずに無心で投げる。
走行中の群れの真ん中辺りに着弾するも、爆発した時には大半に駆け抜けられてしまっていた。
結局、仕留められたのは2匹だけに留まる。
《次のレベルまで残り40ポイント。》
うーん。
1投目のビギナーズラックで欲が出たのかも知れない。
12匹・1匹・2匹・2匹で、計17匹を仕留めた。
平均4匹強の戦果。
次は10発くらい持って来てやろうか。
「トイチ君、お疲れー!
久しぶりに盛り上がったよww」
『尻すぼみな結果でお恥ずかしいです。』
「何言ってるの!
君みたいな若手が積極的に取り組んでくれて
地区の士気も上がったよ!
本当に肉を貰っていいの?」
『ええ、我儘に付き合って下さった御礼です。』
「これ、討伐チップ。
忘れないうちに渡しておくよ。」
『ん?
27枚?
そんなに仕留めてないですよ?』
「逃げた兎の中でふらついた連中が居たから
仕留めさせたんだ。」
『いえ!
それじゃあ、仕留めた方に!』
「連中もトイチ君の手柄にしてくれってさ。
肉は貰っていいんだよね?」
『はい!
是非皆さんの物にして下さい。』
「OK!
取引成立だ。
まさかこんなに盛り上がるとは思ってなかったww
また時間があったら遊びに来てくれ。」
『はい!』
俺も楽しかった。
正直、途中からは金利や討伐報酬を忘れて、純粋に殺生を楽しんでいた。
また時間を作って来よう。
==========================
王都に帰ると17時前だった。
農協に顔を出す。
「おお! トイチ君!
この前の申請通ったよ!
特別個体として報酬を支払える!」
『あ、ありがとうございます!』
「通常2000ウェンだが、特別個体は10倍換算で2万ウェンだ!」
『おお!
そういうシステムなんですね!』
「今日も農業地区に行ってくれたんだろ?
聞いたよ~。
自腹で炸裂弾準備したってww
気合入ってるなぁww」
『お恥ずかしい限りです。
俺の腕前じゃ、とても敵わないと分かったので。』
「いやいや!
恥じる事じゃないよ!
駆除は安全第一!
まずは無事に帰るまでが討伐クエストだからね。」
『ありがとうございます。
肝に銘じます。』
「じゃあ、今日の分の討伐チップも一緒に換金しようか?
何匹仕留めたの?」
俺が27枚のチップを出すと職員達が騒然となった。
普通はこんなアベレージは出ないらしい。
変に疑われたくないので、詳細を包み隠さず報告する。
「いやあ、国王陛下もお喜びになるだろう。」
『え? 王様がですか?』
「駆除の炸裂弾活用は陛下がプッシュしているアイデアだからね。
ほら、陛下のご実家は西部だから。
ただ近年は火薬の値上がりが酷くて、中々みんな使ってくれなかった。
陛下も補助金出したり、色々工夫されておられるんだけど…
こればかりは経済効率を無視できないからね。」
俺は最初、1発5000ウェンを暴利だと感じたが、相場を知るものから言えば、実質的な原価提供らしい。
王様が各店舗に補助金を支給して、何とか店頭に並んでいる状態とのこと。
ちなみに王様の出身地の西部地方というのは、所謂未開地帯で大量のモンスターが出現し、火薬無しではとてもではないが生存を維持できない環境らしい。
そういう環境で青年期までを過ごした所為で、使える物はなりふり構わず使う政治姿勢の持ち主らしい。
王太子時代は、禁忌とされているゴブリンやドワーフとの密貿易にも手を染めているという噂があったとのこと。
そんな王なら火薬くらいは躊躇わず使わせるだろう。
異世界召喚もそんな政治哲学の賜物なのかも知れない。
俺にとっては迷惑極まりないが。
話を戻す。
討伐チップ27枚×2000ウェン=54000ウェンに、特別個体褒賞20000ウェンが加算され…
7万4000ウェンを受け取る事が出来た。
嬉しい。
異世界に来て、初めてまともに稼げた気がする。
==========================
【所持金】
47万6960ウェン
↓
55万0960ウェン
※7万4000ウェン討伐報酬受取
==========================
よし、まだ時間はある。
ニコニコ金融、行っておくか。
「トイチリンか。
100万?」
『ええ、お願い致します。』
「そんなに畏まらなくていいんだぞ?
お互いそういう商売だ。」
==========================
【所持金】
55万0960ウェン
↓
155万0960ウェン
※ニコニコ金融から100万ウェン借り入れ。
==========================
配当までやや時間が余っていたので、宿で休む事に決める。
扉を閉めて、荷物を降ろす。
軽いストレッチ運動をして時間を潰す。
レベルアップしたにも関わらず、一向にステータスが伸びないが体調は悪くない。
少なくとも、地球に居た頃よりも手足の動きにキレが出てきている。
後、視力。
テキストと縁遠い生活が、ここまで目を回復させるとは…
等と思っていると、お楽しみタイムが訪れる。
《6万2039ウェンの配当が支払われました。》
==========================
【所持金】
155万0960ウェン
↓
161万2999ウェン
※6万2039ウェンの配当受取
==========================
感慨深いな。
日利4%は破格過ぎる…
完全に軌道に乗った!
もう一度、言う。
俺の生活は完全に軌道に乗った!
俺は小銭を女将さんに端数を寄付するとニコニコ金融で無利子返済を行った。
==========================
【所持金】
155万0960ウェン
↓
161万2999ウェン
↓
161万2000ウェン
↓
61万2000ウェン
※胡桃亭に999ウェンを寄付
※ニコニコ金融に100万ウェンを返済
==========================
さて。
金銭面だけで言えば、もうここをエンディングにしても良いくらいだ。
後1レベルを上げて日利5%で今の持ち金を運用していけば、寝ていても貯金は増える。
ここからは出口戦略を考える。
もしもこのスキルを地球に持ち帰れるなら、何としても帰還したい。
日利5%なら、地球でも軽々天下を獲れるからな。
もしも帰還方法が無いなら、経済力で安全や快楽を最も効率良く購入出来る国に移住する。
どうもこの国は斜陽らしいからな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
遠市厘
【職業】
自称コンサルタント
【ステータス】
《LV》 4
《HP》 (3/3)
《MP》 (1/1)
《腕力》 1
《速度》 1
《器用》 1
《魔力》 1
《知性》 2
《精神》 1
《幸運》 1
《経験》 85
※次のレベルまで残り65ポイント。
【スキル】
「複利」
※日利4%
【所持金】
61万2000ウェン
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