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【転移69日目】 所持金10兆8420億1160万ウェン 「…ご霊前ですよ?」
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本来であれば、自由都市が帝国皇帝と連邦大使の会談を仲介する場合、ソドムタウンの迎賓館を提供するのが妥当な線であろう。
ただバリアフリーの観点から見た場合、迎賓館はあまりに階段が多い。
車椅子の俺を招いてしまうと担当者も大変だろう。
ウェーバー局長にも他の候補を尋ねてみたが、格式の高い施設ほど段差が多い。
これは文化の問題なので俺に不満はない。
消去法的に俺が皇帝を招く形になる。
気は進まないが、こちらが動けない以上仕方ない。
仕方がないのでウェーバーの提案にそのまま乗る。
==========================
【ウェーバー案】
01、コリンズ管轄の神殿にて、一連の帝国侵攻騒動の犠牲者を慰霊する集会を開催。
02、そこに皇帝が出席し首長国側の犠牲者に哀悼の意を表明。
03、セレモニー終了後に会談
==========================
神殿は連邦政府の名義で賃貸しているので、政治利用は控えるべきなのであろうが…
まあ、現場の裁量ということで。
『あの、俺は昨日教団の人から《神敵》認定されちゃったんですけど。
神殿使って大丈夫ですかね?』
政治局員達は一瞬こちらを見るが、すぐに視線を落として作業を続行する。
聞かなかった事にするらしい。
大人はズルいね。
昼過ぎから臨時慰霊祭。
緊急の開催にも関わらずアンリ殿下を筆頭に首長国オールスターが勢揃い。
慰霊、と言うより反帝国集会色が強くなってしまう。
(攻められている側としては当然の反応だろう。)
帝国側が同席を希望するも、首長国側から強く拒絶された。
結局、政治局の提案で、首長国側が退出してから入れ違いで帝国側が慰霊に訪れるという線で落ち着く。
「…婚姻の件、話が二転三転しているようで。」
『殿下、私も驚いております。
結局、今の皇帝家であるチェルネンコ家を残した方が殿下にとっては好ましいのですか?」
「まあ…
率直に申し上げれば、彼らが帝位に残ってくれた方が…
ややマシですね。」
『他の諸侯が取って変わるのは困りますか?』
「…非常に困ります。
現在、我が国に軍事侵攻中の四諸侯は王国+教団の紐付きなので。
彼ら中心の政権が誕生した場合、我が首長国が帝国王国を同時に相手にしなければならなくなります。」
『…殿下。
私はどうするべきでしょうか。』
「コリンズ社長の行動にアレコレ口を出せないのですが。
もしも現皇帝家が四諸侯を鎮圧し、その後無条件で占領地を返還するというのであれば
その目的限定で、支援をして頂ければ…
それで虫の良い話ですが…
その後、我々が発行するであろう復興債を幾らか…
いや、現段階でご相談する事ではありませんね。」
『自由都市当局とも正式に調整したいのですが…
皇帝の鎮圧軍の勝利は首長国の国益に適いますか?
いや、鎮圧軍への支援はどこからも問題視されない?
あまり目立ちたくないのですが、』
「どのみち皇帝はコリンズ社長からの支援である事を派手にPRすると思います。
婚姻もそういうことでしょう?
社長が正式に皇帝家の味方に付いたとなれば、帝国の各諸侯は安心して帝室旗に集います。」
『首長国的には、それで良いのですか?
連邦籍の私が帝室と結んだ場合、結果として首長国の東西を挟んでしまう形になりますが?』
「消去法的に、そちら側に入れて貰うしかないですな。
自由都市政府も既にそのつもりでしょうし。
王国さんにとっては悪夢だと思いますよ。
実質的に、連邦・自由都市・帝国・首長国の緩やかな四か国同盟が成立してしまうのだから。」
『殿下。
一体、これからどうなるのでしょうか?』
「…それを決めるのがコリンズ社長です。」
『私ですか?』
「コリンズ社長が皇帝の娘を娶れば四か国同盟ルート確定。
逆に拒めばバランスオブパワーの継続です。
どちらにしても我が国にとっては苦難が続きますが…」
『私以外では無理なのですか?
大体、私は帝国の皇帝などとは面識もありません。
その娘もです。』
「お気持ちお察しします。
癖の強い父娘なので、やや気分を害されるかも知れませんが…
天下国家の為に悔いの無いご判断をお願いします。」
『それはもう、《娶れ。》 ということですか?』
「いや、私の口からは何とも。
あくまでコリンズ社長がお決めになることですので。」
…なんか、この先俺が何をどうしても、周囲の恨みを買う様な気がしてきた。
殿下曰く。
コリンズ家の富強は既に周辺諸国に知れ渡っている。
故に、コリンズ家と皇帝家の間に婚姻が成立してしまった場合、資金援助の事実が無かったとしても、周辺勢力は莫大な援助の存在を前提に戦略を組むようになるので、皇帝家には手を出せなくなる。
四諸侯も自然に立ち枯れるであろう、と。
コレット曰く。
まだ新婚2か月なのに妾が増えるなんて許せない。
私もお母さんもその子のことを絶対にイジメてしまうと思う。
(↑ この表現はオブラートに包んだものであり、表情には漆黒の殺意が浮かんでいた。)
百歩譲って婚姻は認めるとしても、セックスは許さない。
でもコリンズ家が帝室チェルネンコ家の風上に立てるのは最高に気持ちいい。
…なあ。
誰か俺の意見も聞けよ。
==========================
首長国側が退出。
慰霊式典の建前だったのだが、誰も犠牲者を悼んでいなかった。
国事の前では戦死者なんて数字に過ぎないんだろうね。
そのスタンスは正しいよ、祈っている暇があれば勝率を1%でも上げる方策を練るべきなのだから。
30分のインターバルを置いて、帝国側が入場。
ちなみに俺に休憩時間は与えられていない。
首長国側の随員が民族衣装や軍服を脱ぎ捨てて、しれっと俺の護衛団に混じっている。
あまりいい気分ではないが、そういう約束だ。
向こうも事態の推移を監視しないと気が気でないだろうしな。
「どうもーーーーwww」
突然の陽気な大声に皆が驚いて振り返る。
おいおい霊前だぞ?
「いやーー、どもどもどもーーーwww」
こちらの入室許可すら得ずに入って来たのは…
って、野崎(大)!?
あ、コイツ。
前に総合債券市場で会った帝国の無礼なオッサンだ。
俺、コイツの所為で帝国が嫌いになったんだよな。
あー、こんな奴を側近にしている時点で皇帝とやらの器が知れるな。
そりゃあ諸侯が言う事を聞かない訳だ。
「あーーーーーーーーー!!
コリンズ様ーーー!!!
どもどもどもーーーーーー!!!
その節は!!!
その節は!!!
まっことに御無礼を致しました!!!」
俺を目ざとく見つけた野崎(大)は例によって馴れ馴れしい笑顔で俺に抱き着こうとするが、流石にこれは周囲がブロックしてくれる。
『…御無沙汰しております。』
「いやいやいやーーーー!!!
あの後っ!!
皆様からお叱りを受けました!!!
猛省っ!!!
小生っ猛省っ!!!
心の底からあの日の非礼を悔いております!!!!」
いや、今この時点での無礼を反省してくれよ。
あの、ここ慰霊祭会場だよ?
笑顔でデカい声出すなよ、どういう教育を受けたらそうなるんだ。
皇帝はもっとマシな側近を用意しろよ。
『あの、御霊前ですから。
大声はお控え下さい。
亡くなった方々に失礼でしょう?』
「あーーーーーーーーーー!!
いやいやいや!!!!
失敬失敬!!!
わっはっは。
いやー、コリンズ様は若いのに修養が成っておられる!!!」
オメーが成ってないんだよ。
皇帝が来たらその態度にクレーム入れるからな。
後で処分を受けるかも知れんが、それはオマエの自業自得だ。
俺、本当にこういう無神経なオッサンって嫌いなんだよな。
絶対に相容れない存在だわ。
あまりに無礼な態度に眉を顰めたウェーバー局長が強い足取りでオッサンに詰め寄る。
「コリンズ社長の仰る通りです。
ここは慰霊会場ですよ。」
「えへへー。
反省してますよーーーww
昔からよく声がデカいって言われるんですww」
「少しはTPOを弁えて下さい。
ご遺族の方々は哀しんでおられるんですよ?」
うんうん、言ってやって言ってやって。
局長からそのオッサンに厳しく言ってやって。
「おわかりですか?
皇帝陛下!!!」
ん?
「いやあ、たははははw
ウェーバー局長は手厳しい、諌死してしまった爺やを思い出しますなあ。
どういう訳か皇太子時代から皆さんからお叱りを受け続けて参りましてw
即位してからも日々煩わしいお説教の嵐ですよww
わっはっはっはww」
…なん、だと?
「あ、コリンズ様ー。
この間は我が国発行の債券!
まさか全て引き受けてくれるなんて!
もう感動しました!
神様精霊様コリンズ様ですよーー!!
わっはっはっはww
あ、それでついでにウチの娘も引き取って貰えませんか?」
『…ご霊前ですよ?』
「おーと(少しだけトーン落ちる)」
そうでしたそうでした
はははははは。」
ウェーバー局長に促されたので、一応改めての自己紹介をする。
『リン・コリンズで御座います。
飲料業を営んでおります。』
「おお!
噂になっておりまずぞ!!!
何でも万病を治す魔法の秘薬だとか!!
私も体調がすぐれないので、後で一本、いや何ダースか下さい!!」
『港湾区でのみ無償配布中です。』
「おお!
後で行ってみよう!!!
ああ、そうだそうだ。
自己紹介自己紹介ww
小生は!!
アレクセイ・チェルネンコ!!
皇帝としては31代目となります!!」
『御丁寧にありがとうございます。
陛下。』
「では早速!
早速、我が娘を紹介しましょう!!
妙な噂がお耳に入っているかも知れませんが
それは全てデマなので信じないで下さい!
ん?
まだゴチャゴチャ言っとるのか?
ったく、誰に似たんだか…」
皇帝氏がパーテーションの裏に早歩きで向かっていく。
ああ、娘も連れて来てたのね。
「コラ!!
もう話はついただろう!!
どうせ行き遅れなんだからどこに嫁いでも一緒だろうが!!」
「はあ!?
ヤダって言ってるでしょう!!
パパが勝手に決めただけじゃない!!
ワタシは進歩的女性なの!!
親の決めた相手と結婚なんて絶対にイヤ!!!
ワタシはワタシが自分の目で見極めた男じゃなきゃ駄目なの!!
帝室なんて関係なしに、ただの1人になったワタシが
《何が何でもこの人に付いていく》って思った人じゃなきゃイヤよ!!」
「馬鹿!!
大声を出すんじゃない!!!
コリンズ様に聞こえたらどうするんだ!!!
一体オマエは誰に似たんだ!!!」
「幾らパパでもお母様の悪口は許さない!!!」
あ、陛下。
ご霊前なので、もう少しトーンを。
それにしても…
娘の方は聞き覚えのある声だな。
「どうもー。
コリンズ様、お待たせしました。
娘はねー。
前からコリンズ様に早く逢いたいとしつこくて。
可愛がってやって下さい。
帰省とかはさせなくて構わないので。」
「もー、ヤダって言ってるでしょ!
引っ張らないで!!
ワタシ、カネだけ持ってるオッサンの妾とか死んでもイヤだからね!!
大体、ワタシの純潔を狙ってるその金持ちとやらはどいつよ!
…あ。」
『あ。』
え?
何で?
何でオマエがここに居る?
パーテーション裏から現れたのは、俺達がやっとの思いで捨てて来た例のアレだった。
流石にそれは反則だろう。
「どうぞ!
コリンズ様!
小生からの誠意です!
どうぞどうぞどうぞ。
差し上げます!
…それで、その代わりと言う訳ではないのですが
御購入頂きたい債券があるんですよ。
500億! いや、400億ウェンでも御購入頂けると助かるのですが…
年利は18%!
いや、20%をお約束します!!
どうか! どうか!」
《2兆6000億ウェンの配当が支払われました。》
『いやあ、申し訳ありませんが
最近懐具合が宜しくありませんので。
じゃあ、私はこれで。』
ただバリアフリーの観点から見た場合、迎賓館はあまりに階段が多い。
車椅子の俺を招いてしまうと担当者も大変だろう。
ウェーバー局長にも他の候補を尋ねてみたが、格式の高い施設ほど段差が多い。
これは文化の問題なので俺に不満はない。
消去法的に俺が皇帝を招く形になる。
気は進まないが、こちらが動けない以上仕方ない。
仕方がないのでウェーバーの提案にそのまま乗る。
==========================
【ウェーバー案】
01、コリンズ管轄の神殿にて、一連の帝国侵攻騒動の犠牲者を慰霊する集会を開催。
02、そこに皇帝が出席し首長国側の犠牲者に哀悼の意を表明。
03、セレモニー終了後に会談
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神殿は連邦政府の名義で賃貸しているので、政治利用は控えるべきなのであろうが…
まあ、現場の裁量ということで。
『あの、俺は昨日教団の人から《神敵》認定されちゃったんですけど。
神殿使って大丈夫ですかね?』
政治局員達は一瞬こちらを見るが、すぐに視線を落として作業を続行する。
聞かなかった事にするらしい。
大人はズルいね。
昼過ぎから臨時慰霊祭。
緊急の開催にも関わらずアンリ殿下を筆頭に首長国オールスターが勢揃い。
慰霊、と言うより反帝国集会色が強くなってしまう。
(攻められている側としては当然の反応だろう。)
帝国側が同席を希望するも、首長国側から強く拒絶された。
結局、政治局の提案で、首長国側が退出してから入れ違いで帝国側が慰霊に訪れるという線で落ち着く。
「…婚姻の件、話が二転三転しているようで。」
『殿下、私も驚いております。
結局、今の皇帝家であるチェルネンコ家を残した方が殿下にとっては好ましいのですか?」
「まあ…
率直に申し上げれば、彼らが帝位に残ってくれた方が…
ややマシですね。」
『他の諸侯が取って変わるのは困りますか?』
「…非常に困ります。
現在、我が国に軍事侵攻中の四諸侯は王国+教団の紐付きなので。
彼ら中心の政権が誕生した場合、我が首長国が帝国王国を同時に相手にしなければならなくなります。」
『…殿下。
私はどうするべきでしょうか。』
「コリンズ社長の行動にアレコレ口を出せないのですが。
もしも現皇帝家が四諸侯を鎮圧し、その後無条件で占領地を返還するというのであれば
その目的限定で、支援をして頂ければ…
それで虫の良い話ですが…
その後、我々が発行するであろう復興債を幾らか…
いや、現段階でご相談する事ではありませんね。」
『自由都市当局とも正式に調整したいのですが…
皇帝の鎮圧軍の勝利は首長国の国益に適いますか?
いや、鎮圧軍への支援はどこからも問題視されない?
あまり目立ちたくないのですが、』
「どのみち皇帝はコリンズ社長からの支援である事を派手にPRすると思います。
婚姻もそういうことでしょう?
社長が正式に皇帝家の味方に付いたとなれば、帝国の各諸侯は安心して帝室旗に集います。」
『首長国的には、それで良いのですか?
連邦籍の私が帝室と結んだ場合、結果として首長国の東西を挟んでしまう形になりますが?』
「消去法的に、そちら側に入れて貰うしかないですな。
自由都市政府も既にそのつもりでしょうし。
王国さんにとっては悪夢だと思いますよ。
実質的に、連邦・自由都市・帝国・首長国の緩やかな四か国同盟が成立してしまうのだから。」
『殿下。
一体、これからどうなるのでしょうか?』
「…それを決めるのがコリンズ社長です。」
『私ですか?』
「コリンズ社長が皇帝の娘を娶れば四か国同盟ルート確定。
逆に拒めばバランスオブパワーの継続です。
どちらにしても我が国にとっては苦難が続きますが…」
『私以外では無理なのですか?
大体、私は帝国の皇帝などとは面識もありません。
その娘もです。』
「お気持ちお察しします。
癖の強い父娘なので、やや気分を害されるかも知れませんが…
天下国家の為に悔いの無いご判断をお願いします。」
『それはもう、《娶れ。》 ということですか?』
「いや、私の口からは何とも。
あくまでコリンズ社長がお決めになることですので。」
…なんか、この先俺が何をどうしても、周囲の恨みを買う様な気がしてきた。
殿下曰く。
コリンズ家の富強は既に周辺諸国に知れ渡っている。
故に、コリンズ家と皇帝家の間に婚姻が成立してしまった場合、資金援助の事実が無かったとしても、周辺勢力は莫大な援助の存在を前提に戦略を組むようになるので、皇帝家には手を出せなくなる。
四諸侯も自然に立ち枯れるであろう、と。
コレット曰く。
まだ新婚2か月なのに妾が増えるなんて許せない。
私もお母さんもその子のことを絶対にイジメてしまうと思う。
(↑ この表現はオブラートに包んだものであり、表情には漆黒の殺意が浮かんでいた。)
百歩譲って婚姻は認めるとしても、セックスは許さない。
でもコリンズ家が帝室チェルネンコ家の風上に立てるのは最高に気持ちいい。
…なあ。
誰か俺の意見も聞けよ。
==========================
首長国側が退出。
慰霊式典の建前だったのだが、誰も犠牲者を悼んでいなかった。
国事の前では戦死者なんて数字に過ぎないんだろうね。
そのスタンスは正しいよ、祈っている暇があれば勝率を1%でも上げる方策を練るべきなのだから。
30分のインターバルを置いて、帝国側が入場。
ちなみに俺に休憩時間は与えられていない。
首長国側の随員が民族衣装や軍服を脱ぎ捨てて、しれっと俺の護衛団に混じっている。
あまりいい気分ではないが、そういう約束だ。
向こうも事態の推移を監視しないと気が気でないだろうしな。
「どうもーーーーwww」
突然の陽気な大声に皆が驚いて振り返る。
おいおい霊前だぞ?
「いやーー、どもどもどもーーーwww」
こちらの入室許可すら得ずに入って来たのは…
って、野崎(大)!?
あ、コイツ。
前に総合債券市場で会った帝国の無礼なオッサンだ。
俺、コイツの所為で帝国が嫌いになったんだよな。
あー、こんな奴を側近にしている時点で皇帝とやらの器が知れるな。
そりゃあ諸侯が言う事を聞かない訳だ。
「あーーーーーーーーー!!
コリンズ様ーーー!!!
どもどもどもーーーーーー!!!
その節は!!!
その節は!!!
まっことに御無礼を致しました!!!」
俺を目ざとく見つけた野崎(大)は例によって馴れ馴れしい笑顔で俺に抱き着こうとするが、流石にこれは周囲がブロックしてくれる。
『…御無沙汰しております。』
「いやいやいやーーーー!!!
あの後っ!!
皆様からお叱りを受けました!!!
猛省っ!!!
小生っ猛省っ!!!
心の底からあの日の非礼を悔いております!!!!」
いや、今この時点での無礼を反省してくれよ。
あの、ここ慰霊祭会場だよ?
笑顔でデカい声出すなよ、どういう教育を受けたらそうなるんだ。
皇帝はもっとマシな側近を用意しろよ。
『あの、御霊前ですから。
大声はお控え下さい。
亡くなった方々に失礼でしょう?』
「あーーーーーーーーーー!!
いやいやいや!!!!
失敬失敬!!!
わっはっは。
いやー、コリンズ様は若いのに修養が成っておられる!!!」
オメーが成ってないんだよ。
皇帝が来たらその態度にクレーム入れるからな。
後で処分を受けるかも知れんが、それはオマエの自業自得だ。
俺、本当にこういう無神経なオッサンって嫌いなんだよな。
絶対に相容れない存在だわ。
あまりに無礼な態度に眉を顰めたウェーバー局長が強い足取りでオッサンに詰め寄る。
「コリンズ社長の仰る通りです。
ここは慰霊会場ですよ。」
「えへへー。
反省してますよーーーww
昔からよく声がデカいって言われるんですww」
「少しはTPOを弁えて下さい。
ご遺族の方々は哀しんでおられるんですよ?」
うんうん、言ってやって言ってやって。
局長からそのオッサンに厳しく言ってやって。
「おわかりですか?
皇帝陛下!!!」
ん?
「いやあ、たははははw
ウェーバー局長は手厳しい、諌死してしまった爺やを思い出しますなあ。
どういう訳か皇太子時代から皆さんからお叱りを受け続けて参りましてw
即位してからも日々煩わしいお説教の嵐ですよww
わっはっはっはww」
…なん、だと?
「あ、コリンズ様ー。
この間は我が国発行の債券!
まさか全て引き受けてくれるなんて!
もう感動しました!
神様精霊様コリンズ様ですよーー!!
わっはっはっはww
あ、それでついでにウチの娘も引き取って貰えませんか?」
『…ご霊前ですよ?』
「おーと(少しだけトーン落ちる)」
そうでしたそうでした
はははははは。」
ウェーバー局長に促されたので、一応改めての自己紹介をする。
『リン・コリンズで御座います。
飲料業を営んでおります。』
「おお!
噂になっておりまずぞ!!!
何でも万病を治す魔法の秘薬だとか!!
私も体調がすぐれないので、後で一本、いや何ダースか下さい!!」
『港湾区でのみ無償配布中です。』
「おお!
後で行ってみよう!!!
ああ、そうだそうだ。
自己紹介自己紹介ww
小生は!!
アレクセイ・チェルネンコ!!
皇帝としては31代目となります!!」
『御丁寧にありがとうございます。
陛下。』
「では早速!
早速、我が娘を紹介しましょう!!
妙な噂がお耳に入っているかも知れませんが
それは全てデマなので信じないで下さい!
ん?
まだゴチャゴチャ言っとるのか?
ったく、誰に似たんだか…」
皇帝氏がパーテーションの裏に早歩きで向かっていく。
ああ、娘も連れて来てたのね。
「コラ!!
もう話はついただろう!!
どうせ行き遅れなんだからどこに嫁いでも一緒だろうが!!」
「はあ!?
ヤダって言ってるでしょう!!
パパが勝手に決めただけじゃない!!
ワタシは進歩的女性なの!!
親の決めた相手と結婚なんて絶対にイヤ!!!
ワタシはワタシが自分の目で見極めた男じゃなきゃ駄目なの!!
帝室なんて関係なしに、ただの1人になったワタシが
《何が何でもこの人に付いていく》って思った人じゃなきゃイヤよ!!」
「馬鹿!!
大声を出すんじゃない!!!
コリンズ様に聞こえたらどうするんだ!!!
一体オマエは誰に似たんだ!!!」
「幾らパパでもお母様の悪口は許さない!!!」
あ、陛下。
ご霊前なので、もう少しトーンを。
それにしても…
娘の方は聞き覚えのある声だな。
「どうもー。
コリンズ様、お待たせしました。
娘はねー。
前からコリンズ様に早く逢いたいとしつこくて。
可愛がってやって下さい。
帰省とかはさせなくて構わないので。」
「もー、ヤダって言ってるでしょ!
引っ張らないで!!
ワタシ、カネだけ持ってるオッサンの妾とか死んでもイヤだからね!!
大体、ワタシの純潔を狙ってるその金持ちとやらはどいつよ!
…あ。」
『あ。』
え?
何で?
何でオマエがここに居る?
パーテーション裏から現れたのは、俺達がやっとの思いで捨てて来た例のアレだった。
流石にそれは反則だろう。
「どうぞ!
コリンズ様!
小生からの誠意です!
どうぞどうぞどうぞ。
差し上げます!
…それで、その代わりと言う訳ではないのですが
御購入頂きたい債券があるんですよ。
500億! いや、400億ウェンでも御購入頂けると助かるのですが…
年利は18%!
いや、20%をお約束します!!
どうか! どうか!」
《2兆6000億ウェンの配当が支払われました。》
『いやあ、申し訳ありませんが
最近懐具合が宜しくありませんので。
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身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
書道が『神級』に昇格!?女神の失敗で異世界転移して竜皇女と商売してたら勇者!聖女!魔王!「次々と現れるので対応してたら世界を救ってました」
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一般高校生真田蒼字、しかし実際は家の
関係で、幽霊や妖怪を倒す陰陽師的な仕事
を裏でしていた。ある日のこと学校を
出たら目の前は薄暗い檻の中なんじゃ
こりゃーと思っていると、女神(駄)が
現れ異世界に転移されていた。魔王を
倒してほしんですか?いえ違います。
失敗しちゃった。テヘ!ふざけんな!
さっさと元の世界に帰せ‼
これは運悪く異世界に飛ばされた青年が
仲間のリル、レイチェルと楽しくほのぼの
と商売をして暮らしているところで、
様々な事件に巻き込まれながらも、この
世界に来て手に入れたスキル『書道神級』
の力で無双し敵をバッタバッタと倒し
解決していく中で、魔王と勇者達の戦いに
巻き込まれ時にはカッコよく(モテる)、
時には面白く敵を倒して(笑える)いつの
間にか世界を救う話です。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
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食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
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料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
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