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【転移78日目】 所持金92兆0139億0620万ウェン 「非対称性に対する不満を述べているんだが?」
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「ねえ、リン君っていつまで居るの?」
まだ深夜だと言うのにポールがわざわざ起こしてまで話しかけて来る。
『…あ、あのポールさん。
世間一般では就寝の時間なので、用件があるのでしたら朝にお願い出来ませんか?』
「朝は俺が起きられないんだよぉ。」
『ポールさんが朝起きれない様に、俺もこんな深夜に起きてられないんです。』
「あー、そういうものなのかぁ。
世の中って難しいよね。」
このダメ人間の所為ですっかり目が覚めてしまう。
あの女もそうだったが、夜型の人間は総じて人格的に問題があるよな。
『で?
御用件は?』
「あれ?
話し相手になってくれるの?」
『目が覚めてしまいましたから。』
「いや、リン君って
いつまでこのBARに居るのかな?、って。」
『ポールさんが迷惑そうだから、もうすぐ帰りますよ。』
「迷惑とか言ってないだろぉ。
いや、リン君が居るとセックス出来なくて辛いって話なんだけどさ。」
『すればいいんじゃないですか?』
「隣の部屋に友達が泊ってたら、恥ずかしくて出来ないよぉ。」
『ああ、それは気が付かずに恐縮です。』
「いや! このBARは元々リン君が用意してくれたものだから!
出て行けなんて言えた筋合いは無いんだけどさぁ。」
そんな事言われたら、俺は元々この世界の人間じゃないし。
もっと筋合いは無いんだけどな。
『ポールさんの店なんだから、そちらが優先されるべきですよ。』
「ううう… 心の友よぉ…」
『あ、抱き着かないで下さいね。
アナタ脚を踏んでますから…』
「ああ、ゴメンゴメン。」
『まったく…』
ん?
脚を… 踏まれた?
!?
え?
今、僅かに感覚があった?
『ポールさん。
俺の脚、ちょっと動かして貰えませんか?』
「?
俺、男の脚に興味ないよ?
こう?」
…あ!!
やっぱり、感触を感じた!!!
確かに、触られているという感触があった!?
動かす事はまだ出来ない…
だが、自分で握ったり抓ったりすると、僅かに…
痛覚!!!
あ、行けるかも。
「リン君、どうした?
まだ眠い?」
『ああ、いえ。
眠気が完全に消えました。』
「うははははw
リン君もいよいよ悪い大人の仲間入りだねえ。
女遊びする? する?
俺と一緒に女遊び行っちゃう?」
『あ、いえ。
この周辺は特にヒルダの監視が厳しいので。』
「そ、そうなの!?」
『ヒルダは連邦から引き抜いて来た取り巻きを港湾区や工業区で養っております。
それらが俺を見張っているフシがあって。
結構、言動が筒抜けなんですよね。』
「ひええ。
怖いねぇ。
でも、そこがそそる。
あ! 今の発言はヒルダさんには内緒ね!!」
『言いませんよ。
俺もこういう話題をしているって知られたくないので…』
「ねえ、リン君。」
『はい?』
「本命はどっちなの?」
『??』
「いや、リン君って年齢的にヒルダさんとコレットちゃんの真ん中になる訳じゃない?
性的、恋愛的、肉体的に、どっちがメインなのかなって思ってさ。」
…俺、地球でもこの異世界でも。
こんな下世話な話題を振られたのは初めての経験である。
『結論から言うと、あの2人は完全に結託しています。
母娘というチームで常に俺に対して接して来てます。
なので俺の認識も《ヒルダ・コレット組に婿入りした》という感覚ですね。
あの母娘は2人だけの秘密や情報を完全に共有していますが、俺がどちらかに伝えた事は即座に共有されてます。
そういうコミュニケーションの非対称性があるので…
どちらか、という意識を持つのが非常に難しいのです。』
「養子ってクソだね。」
『おススメはしませんね。
世間で言われている通り、立場が滅茶苦茶弱いです。』
「そっかぁ。
俺はハーレム頑張るからリン君は養子頑張ってね。」
…今、非対称性に対する不満を述べているんだが?
まあいいか。
愚痴を聞いてくれる相手もたまには必要だ。
その後、ポールが恋愛遍歴を語り始める。
オッサンの武勇伝かと思いきや、失恋譚を面白おかしく並べられるので、ついつい聞き入ってしまう。
ああ、この人モテるタイプでは無いが、一緒にいて楽しい気分にさせてくれる男なんだろうな。
何だかんだ言ってハーレムを築けるのも理解出来る。
「俺、昔からモテないんだよねー。
年下のリン君の前でこういう事言うの恥ずかしいけど。」
『いや、俺も全然ですよ。
周りの女の子から無視されてるし。』
そうなんだよな。
幾らカネを持っててもモテないんじゃ意味ないよな。
邸宅に出入りしている女子からも口を利いて貰えないし、俺ってモテない。
「あ、それモテとは関係ない。
女子達もヒルダさんに目を付けられたくないだけ。」
…ああ、なるほど。
それで誰も目すら合わせてくれなかったのか。
まあ、そりゃあそうだよな。
俺が女でもヒルダの男になんか怖くてちょっかい出せないもの。
誰だって死にたくないよな。
そういう話題で盛り上がってると、いつしか日が昇り。
噂をすれば何とやらという奴で、母娘がやって来る。
薄情者のポールは素早く寝床に隠れてしまった。
==========================
『いらっしゃいませ。
胡桃亭へようこそ。
ご注文は如何いたしましょう。』
「私、朝ごはん食べたーい。」
「何か飲み物を、アルコール以外で。」
意外にも俺の冗談に乗ってくれたので、2人の為にフルーツ系のドリンクを作り。
レーションを即興でバラシて、サラダ的に盛り付ける。
「あらぁ。
本当に作って頂けるなんて。」
『ヒルダの見様見真似だよ。
胡桃亭に泊まっていた頃が、一番食生活が充実していたから。』
「あのような物で良ければ幾らでも作りますのに。」
口ではそう言っているが、ヒルダに昔の様な家庭料理を作る意思はない。
この局面でリソースの注ぎ先を間違えるほど甘い女ではないのだ。
「リン、食べさせてー。」
冗談めかしてコレットが口を開く。
勿論、冗談である筈がない。
最近、この子の事がようやくわかってきた。
これは怒りのシグナルなのだ。
俺の母娘への配慮が足りない時、この子はこうやって冗談めかして牽制して来る。
こっちなりに配慮してるんだけどなあ。
『はい、あーん。』
「あーん。」
今日このタイミングで牽制して来ると言うのは…
教団壊滅の件を労え/許容しろという意思表示だろうなあ。
『昨日はお疲れ様。』
一瞬だけ2人が真顔になり、すぐに何事も無かったように微笑む。
「ねえ、リン。
怒ってる?」
コレットが上目遣いで様子を伺って来る。
『不思議と怒りは沸かない。』
母娘が腹を抱えて笑い始める。
流石にそのリアクションには少し腹が立つがな。
その後帰宅の為にバーから外に出ると、娼婦師団が表で整列していた。
母娘は敬礼に対して「うむ。」とだけ応えていた。
1人の隊員が「報告します!」と駆け寄って来て跪いた。
何か新情報を教えてくれるのか?
と思って期待してそちらの方向を見るが、隊員は母娘にだけ聞こえるトーンで5分程細々と報告し、終えると隊列に戻った。
ヒルダが顎に手をやったまま「ふむ。」と言って勝手に馬車に乗り込んでしまった。
御者が俺の車椅子も乗せてくれる。
==========================
車内で母娘が先程の隊員の報告を1分程に纏めて俺に伝える。
《教団抹殺計画の事後処理は順調》、との事である。
俺が知りたいのは割愛された4分の方なのだがな。
『これから教団はどうなる?』
「志ある指導者によって正しく導かれるでしょう。」
『そうか。
俺には関係ない事だが、上手く行くように応援しているよ。』
「関係ありませんか?」
『無いな。』
「リンは地球に帰りたいのでしょう?」
『…まあ、ね。』
「教団の指導者になれば、召還技術に関する情報が手に入るかも知れませんよ?」
いや、どうかな?
そういう貴重な資料は誰かさんが接収済みだとは思うが。
『ヒルダ。
俺に同胞が居る事を知っているな?』
「はい、王国での宿泊事業を買って頂きました。」
『彼らが望むなら故郷に帰してやりたい。
それで手を打ってくれるか?』
「…。」
ヒルダは腕を組んで空を睨んだまま黙り込んでしまった。
「さっきのアレ。
お母さんの機嫌がかなりいい証拠だよ。」
うん、知ってる。
コレットがそういう言い方をしている時の本音も知ってる。
俺の目標は言うまでもなくスキルを保持した状態での地球帰還である。
地球で【複利】を発動すれば、天下すら取ってしまう可能性もある。
(無論、即座に察知されて処分されるケースも十二分に想定出来るが…)
だが、コリンズ一派にとってそれは困る。
打ち出の小槌を突然取り上げられるようなものだからだ。
マネーの力で権力を得た集団である。
その源泉である俺が消えれば、すぐに報復粛清されるだろう。
故に仲間であればあるほど、俺の帰還を阻止する側に回る。
…義理も縁も出来てしまったしな。
せめて、俺が消えても彼らが困らない態勢を作るしか無いか。
《ンディッド・スペシャルアンバサダー信徒》当が支払われました。》
…。
この称号さえなければ、入手金額の想像が付くのだがな。
今日は20兆くらい配当がつく予定だったか?
うーん、数字をよく覚えてないな。
『なあ、2人とも。
20兆ウェンあったら、一生食っていける?』
「リン。
ストックなどは奪われるだけです。
潤沢なフローこそがパワーの源泉となるものなのですよ。」
直訳すれば《逃さん》という事である。
それは兎も角、フローが発言力に直結するという意見には賛成。
現に、ちょっと配当金額が読めなくなったくらいで俺はこうしてパニックに陥っているからな。
邸宅に帰ると、各省庁の役人が詰めていたので、皆に挨拶をして不在を詫びた。
彼らは俺に何かを報告したそうだったが、『昨夜、あまり寝れなかったのです。』とだけ言うと慌てて寝室への道を空けてくれた。
自分の態度があまり良い物で無い事は重々承知だが、それでも眠らせて欲しかった。
寝床に入った俺は、もう一度だけこっそりと脚を押さえ付けてみる。
…間違いない。
やや回復の兆しを感じる。
俺も《自分の脚で立たないと》、な。
まだ深夜だと言うのにポールがわざわざ起こしてまで話しかけて来る。
『…あ、あのポールさん。
世間一般では就寝の時間なので、用件があるのでしたら朝にお願い出来ませんか?』
「朝は俺が起きられないんだよぉ。」
『ポールさんが朝起きれない様に、俺もこんな深夜に起きてられないんです。』
「あー、そういうものなのかぁ。
世の中って難しいよね。」
このダメ人間の所為ですっかり目が覚めてしまう。
あの女もそうだったが、夜型の人間は総じて人格的に問題があるよな。
『で?
御用件は?』
「あれ?
話し相手になってくれるの?」
『目が覚めてしまいましたから。』
「いや、リン君って
いつまでこのBARに居るのかな?、って。」
『ポールさんが迷惑そうだから、もうすぐ帰りますよ。』
「迷惑とか言ってないだろぉ。
いや、リン君が居るとセックス出来なくて辛いって話なんだけどさ。」
『すればいいんじゃないですか?』
「隣の部屋に友達が泊ってたら、恥ずかしくて出来ないよぉ。」
『ああ、それは気が付かずに恐縮です。』
「いや! このBARは元々リン君が用意してくれたものだから!
出て行けなんて言えた筋合いは無いんだけどさぁ。」
そんな事言われたら、俺は元々この世界の人間じゃないし。
もっと筋合いは無いんだけどな。
『ポールさんの店なんだから、そちらが優先されるべきですよ。』
「ううう… 心の友よぉ…」
『あ、抱き着かないで下さいね。
アナタ脚を踏んでますから…』
「ああ、ゴメンゴメン。」
『まったく…』
ん?
脚を… 踏まれた?
!?
え?
今、僅かに感覚があった?
『ポールさん。
俺の脚、ちょっと動かして貰えませんか?』
「?
俺、男の脚に興味ないよ?
こう?」
…あ!!
やっぱり、感触を感じた!!!
確かに、触られているという感触があった!?
動かす事はまだ出来ない…
だが、自分で握ったり抓ったりすると、僅かに…
痛覚!!!
あ、行けるかも。
「リン君、どうした?
まだ眠い?」
『ああ、いえ。
眠気が完全に消えました。』
「うははははw
リン君もいよいよ悪い大人の仲間入りだねえ。
女遊びする? する?
俺と一緒に女遊び行っちゃう?」
『あ、いえ。
この周辺は特にヒルダの監視が厳しいので。』
「そ、そうなの!?」
『ヒルダは連邦から引き抜いて来た取り巻きを港湾区や工業区で養っております。
それらが俺を見張っているフシがあって。
結構、言動が筒抜けなんですよね。』
「ひええ。
怖いねぇ。
でも、そこがそそる。
あ! 今の発言はヒルダさんには内緒ね!!」
『言いませんよ。
俺もこういう話題をしているって知られたくないので…』
「ねえ、リン君。」
『はい?』
「本命はどっちなの?」
『??』
「いや、リン君って年齢的にヒルダさんとコレットちゃんの真ん中になる訳じゃない?
性的、恋愛的、肉体的に、どっちがメインなのかなって思ってさ。」
…俺、地球でもこの異世界でも。
こんな下世話な話題を振られたのは初めての経験である。
『結論から言うと、あの2人は完全に結託しています。
母娘というチームで常に俺に対して接して来てます。
なので俺の認識も《ヒルダ・コレット組に婿入りした》という感覚ですね。
あの母娘は2人だけの秘密や情報を完全に共有していますが、俺がどちらかに伝えた事は即座に共有されてます。
そういうコミュニケーションの非対称性があるので…
どちらか、という意識を持つのが非常に難しいのです。』
「養子ってクソだね。」
『おススメはしませんね。
世間で言われている通り、立場が滅茶苦茶弱いです。』
「そっかぁ。
俺はハーレム頑張るからリン君は養子頑張ってね。」
…今、非対称性に対する不満を述べているんだが?
まあいいか。
愚痴を聞いてくれる相手もたまには必要だ。
その後、ポールが恋愛遍歴を語り始める。
オッサンの武勇伝かと思いきや、失恋譚を面白おかしく並べられるので、ついつい聞き入ってしまう。
ああ、この人モテるタイプでは無いが、一緒にいて楽しい気分にさせてくれる男なんだろうな。
何だかんだ言ってハーレムを築けるのも理解出来る。
「俺、昔からモテないんだよねー。
年下のリン君の前でこういう事言うの恥ずかしいけど。」
『いや、俺も全然ですよ。
周りの女の子から無視されてるし。』
そうなんだよな。
幾らカネを持っててもモテないんじゃ意味ないよな。
邸宅に出入りしている女子からも口を利いて貰えないし、俺ってモテない。
「あ、それモテとは関係ない。
女子達もヒルダさんに目を付けられたくないだけ。」
…ああ、なるほど。
それで誰も目すら合わせてくれなかったのか。
まあ、そりゃあそうだよな。
俺が女でもヒルダの男になんか怖くてちょっかい出せないもの。
誰だって死にたくないよな。
そういう話題で盛り上がってると、いつしか日が昇り。
噂をすれば何とやらという奴で、母娘がやって来る。
薄情者のポールは素早く寝床に隠れてしまった。
==========================
『いらっしゃいませ。
胡桃亭へようこそ。
ご注文は如何いたしましょう。』
「私、朝ごはん食べたーい。」
「何か飲み物を、アルコール以外で。」
意外にも俺の冗談に乗ってくれたので、2人の為にフルーツ系のドリンクを作り。
レーションを即興でバラシて、サラダ的に盛り付ける。
「あらぁ。
本当に作って頂けるなんて。」
『ヒルダの見様見真似だよ。
胡桃亭に泊まっていた頃が、一番食生活が充実していたから。』
「あのような物で良ければ幾らでも作りますのに。」
口ではそう言っているが、ヒルダに昔の様な家庭料理を作る意思はない。
この局面でリソースの注ぎ先を間違えるほど甘い女ではないのだ。
「リン、食べさせてー。」
冗談めかしてコレットが口を開く。
勿論、冗談である筈がない。
最近、この子の事がようやくわかってきた。
これは怒りのシグナルなのだ。
俺の母娘への配慮が足りない時、この子はこうやって冗談めかして牽制して来る。
こっちなりに配慮してるんだけどなあ。
『はい、あーん。』
「あーん。」
今日このタイミングで牽制して来ると言うのは…
教団壊滅の件を労え/許容しろという意思表示だろうなあ。
『昨日はお疲れ様。』
一瞬だけ2人が真顔になり、すぐに何事も無かったように微笑む。
「ねえ、リン。
怒ってる?」
コレットが上目遣いで様子を伺って来る。
『不思議と怒りは沸かない。』
母娘が腹を抱えて笑い始める。
流石にそのリアクションには少し腹が立つがな。
その後帰宅の為にバーから外に出ると、娼婦師団が表で整列していた。
母娘は敬礼に対して「うむ。」とだけ応えていた。
1人の隊員が「報告します!」と駆け寄って来て跪いた。
何か新情報を教えてくれるのか?
と思って期待してそちらの方向を見るが、隊員は母娘にだけ聞こえるトーンで5分程細々と報告し、終えると隊列に戻った。
ヒルダが顎に手をやったまま「ふむ。」と言って勝手に馬車に乗り込んでしまった。
御者が俺の車椅子も乗せてくれる。
==========================
車内で母娘が先程の隊員の報告を1分程に纏めて俺に伝える。
《教団抹殺計画の事後処理は順調》、との事である。
俺が知りたいのは割愛された4分の方なのだがな。
『これから教団はどうなる?』
「志ある指導者によって正しく導かれるでしょう。」
『そうか。
俺には関係ない事だが、上手く行くように応援しているよ。』
「関係ありませんか?」
『無いな。』
「リンは地球に帰りたいのでしょう?」
『…まあ、ね。』
「教団の指導者になれば、召還技術に関する情報が手に入るかも知れませんよ?」
いや、どうかな?
そういう貴重な資料は誰かさんが接収済みだとは思うが。
『ヒルダ。
俺に同胞が居る事を知っているな?』
「はい、王国での宿泊事業を買って頂きました。」
『彼らが望むなら故郷に帰してやりたい。
それで手を打ってくれるか?』
「…。」
ヒルダは腕を組んで空を睨んだまま黙り込んでしまった。
「さっきのアレ。
お母さんの機嫌がかなりいい証拠だよ。」
うん、知ってる。
コレットがそういう言い方をしている時の本音も知ってる。
俺の目標は言うまでもなくスキルを保持した状態での地球帰還である。
地球で【複利】を発動すれば、天下すら取ってしまう可能性もある。
(無論、即座に察知されて処分されるケースも十二分に想定出来るが…)
だが、コリンズ一派にとってそれは困る。
打ち出の小槌を突然取り上げられるようなものだからだ。
マネーの力で権力を得た集団である。
その源泉である俺が消えれば、すぐに報復粛清されるだろう。
故に仲間であればあるほど、俺の帰還を阻止する側に回る。
…義理も縁も出来てしまったしな。
せめて、俺が消えても彼らが困らない態勢を作るしか無いか。
《ンディッド・スペシャルアンバサダー信徒》当が支払われました。》
…。
この称号さえなければ、入手金額の想像が付くのだがな。
今日は20兆くらい配当がつく予定だったか?
うーん、数字をよく覚えてないな。
『なあ、2人とも。
20兆ウェンあったら、一生食っていける?』
「リン。
ストックなどは奪われるだけです。
潤沢なフローこそがパワーの源泉となるものなのですよ。」
直訳すれば《逃さん》という事である。
それは兎も角、フローが発言力に直結するという意見には賛成。
現に、ちょっと配当金額が読めなくなったくらいで俺はこうしてパニックに陥っているからな。
邸宅に帰ると、各省庁の役人が詰めていたので、皆に挨拶をして不在を詫びた。
彼らは俺に何かを報告したそうだったが、『昨夜、あまり寝れなかったのです。』とだけ言うと慌てて寝室への道を空けてくれた。
自分の態度があまり良い物で無い事は重々承知だが、それでも眠らせて欲しかった。
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