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【転移84日目】 所持金542兆7512億1951万ウェン 「確かに複利は最強である、文明という名の保護膜に庇護されてさえいれば。」
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首長国との国境沿いの街道を通っていた所、突然流民の群れが小川を越えて殺到してきた。
恐怖した俺達は慌てて進路を内陸側に転身させる。
連邦側が付けてくれた護衛小隊も相当驚いていたので、全くの不慮の事態だったらしい。
歴戦の猛者であるグリーブですら冷や汗をダラダラ流していたので、ヤバい事態だったらしい。
「申し訳ありません。
私の索敵ミスです。
もっと慎重なルートを選ぶべきでした。」
『やはりグリーブさんから見ても今の状況は危なかったですか?』
「敵意の無い民間人の群れというのが一番対処困難なのです。
まさか撃つ訳にも行きませんし。
かと言って囲まれてしまったら、ドミノ転倒事故が非常に起こり易いので。
距離を取るしか対応方法がありません。」
だろうな。
俺も馬車の窓越しに見ただけだが、流民たちはかなりの興奮状態にあった。
百歩譲ってアレが俺の支持者だったとしても、あの熱量に取り囲まれるのは恐怖でしかない。
その後も駆け付けたケルヒャーにグリーブが詫びを入れていたので、傭兵業界の常識ではかなり危険な状況だったらしい。
==========================
今、俺が目指しているのがオルデンブルクという街らしい。
どこかで聞いたような聞かなかったような響きだな…
と思って記憶を掘り返してたら…
ああ!
思い出した!
寝たきりで皆の会話を聞き取れなかったので《〇△ブルグ》と便宜的に呼んでいた領地だ。
ああ、申し訳ない。
オルデンブルク。
きっとかつてはオルデンブルクという名の家が統治していたのだな。
贖罪も兼ねて左右を見渡してみるが、あちらこちらにミュラー支持の横断幕が掲げられている。
そうかここも三公七民の恩恵を蒙ったのか。
一面焼け野原だが、道行く民衆の表情は明るい。
そりゃあ、税金が下がるんだから嬉しいだろう。
建物は民衆が自力で再建可能だ。
現に新しいバラックがチラホラ見える。
だが税金は民衆の自力では引き下げる事が出来ない。
統治者の妥協か絶滅かのどちらかが必要とされるからである。
小休止で馬と兵士を休ませていると、付近の村人が集まって来て礼を述べられる。
「憎き暴君のオルデンブルクめを討ち取って下さった事
改めて御礼申し上げます!
何卒、財務顧問閣下には今後共宜しくお願い致します。」
少なくとも俺が今、資料に目を通している限りはオルデンブルク卿の治世には何の問題もない。
六公四民の税率も軽くは無いが、暴君呼ばわりされる程の高税率ではない。
元々、連邦の平均年貢率は七公三民であったのだ。
まあ、軍事能力抜きにしてもミュラーが勝つよな。
俺だって税金半分にしてくれるのなら、喜んで横断幕を張るよ。
ああ、後。
ミュラーは服装がみすぼらしいのがいいよな。
女遊びに行く時以外は、ボロボロの皮鎧を着ている。
あれは質素PRにいい。
ドナルド曰く、俺の見た目も素晴らしいそうだ。
顔にある3つの大傷、車椅子に必死にしがみ付かないと用すら足せない。
この満身創痍っぷりを見ていると、金持ちに対する反発心が相当和らぐらしい。
もしも俺が五体満足なら、《どうせ親の遺産を継いだボンボンだろう?》と敵愾心を煽ってしまい兼ねないのだが、何せこの身体である。
《まだ若いのに財産を築くだけの修羅場を潜って来たのだろう!》
という畏敬を勝ち取ってしまうらしいのだ。
額の傷は便所で転んだだけのだが…
個人的にはコンプレックス以外の何物でもないのだが…
軍人や傭兵からのシンパシー獲得に絶大な威力を発揮してくれている。
俺の傷を見た瞬間。
明らかに軍人達が俺を仲間枠に入れてくれるのである。
財力の所為もあるのだろうが、この傷を負って以来、軍人達から意地悪をされたり冷淡に扱われたりしたことが本当に一度もない。
寧ろ、自分達のコミュニティから誕生したヒーローとして礼遇して貰えている。
無論、身体は治したいが、副産物に対しての感謝を怠るつもりはない。
==========================
ケルヒャー・グリーブ両部隊の綿密な索敵によって、トラブルなくオルデンブルク城に到着していた。
ミュラー翁もほぼ同時に到着。
いや違うな。
今やこの城はミュラーの居城の一つなのである。
そうか…
もうここはミュラー領なのか。
「おーう、金持ち少年!
体調はどうだ!?」
『落としたコインを拾える位には回復しました。』
「順調じゃなーい!
若いっていいねえ。
この分だと来週には全力疾走してるよ!」
『ありがとうございます。』
全力疾走は無理でも、自分の意志で脚を痙攣させるくらいの芸当は出来るかも知れないな。
「色々ありがとうな!
カネとか! カネとか! カネとか!
後、おススメの店も良かった!
自由都市は美人が多くて驚いたぞ!!」
そりゃあ、経済法則を鑑みればそうなるだろう。
美人は金持ちが囲ってしまうのだから。
長年経済発展を続けて、かつ国外から亡命貴人(エルデフリダ様とかね)を受け入れている自由都市のルックスレベルが向上するのは当然なのである。
コレットが俺に対して疑心暗鬼になる気持ちは分からないでもない。
彼女も日本の基準ならかなりの美人ではあるのだ。
成長すれば更に美しくなるだろう。
その旨を何度も伝えるのだが、額面通りに受け取ってくれなかった。
『…男は女にそこまで興味が無い。
仕事の邪魔さえしなければ、正直誰でもいい。
誰でもいいから不倫をするし、誰でもいいから不倫をしないのだ。
どれも一緒だからハーレムを作るし、どれも一緒だから一夫一妻を保持する。』
一度だけ、こんな趣旨の発言をしたことがある。
無論、出逢ったばかりの時の雑談でだ。
恐らく、この発言で俺は母娘に見込まれ、そして不安視されている。
男は忙しいんだよ。
仕事したり戦争したり友達と遊んだり深く思索したりラノベ読んだり。
何より女に夢中になるのに精一杯だから女如きに構っている暇がない。
(女の口と書いて「如き」である。)
「で、早速だが!
今から首長国領内に行ってくれんか?」
ほらね?
厄介事が多いでしょ?
『あのねえ。
ミュラー卿。
そういうのは然るべき役職に就いている人の仕事でしょう?
そもそも俺には首長国との接点がない!』
「え?
あるけど?」
『…ありませんよ。
入国したことすらないのに。』
「だって向こうがキミを指名しとるもの。」
『指名されたのはミュラー卿でしょう!』
「いやいや。
ワシの親分はキミだって言い続けてたら
《じゃあコリンズを出せ》
って話の流れでさあ。」
『いやいやいや!!
俺はアンタなんかの親分になった記憶はないですよ!!』
「だって、連邦全体がキミに喰わせて貰ってる状態だしなあ。
ぶっちゃけ、この国はキミによって購入済なんじゃよ?」
『こんな国、買った覚えなんてないですよ!!』
「だぁかぁらぁ。
そういう金額を受け取っちゃったんだって。
ハウザーの息子とも話し合ったんだけどさ。
キミの要求を呑み続ける以外にワシらに選択肢が無いのね?
これってもうキミの国じゃん?」
『じゃあ、要求しますよ!
首長国の民衆とは貴方達が話を付けて下さい!
領主は貴方でしょう!!』
「だからさあ。
その民衆たちが、キミに対して持って来たのよ。」
『持ってくる?
何を?』
「首。
見る?」
ミュラーが無造作に見せて来た首級は首長国の王族でベルトラン卿と言う。
アンリ王太子殿下とは従兄弟関係にあり、臨時総督としてこの地域へ赴任中に地元民に襲撃され惨殺された。
家族を伴っていなかったのは不幸中の幸いかも知れない。
「大切な事はさあ。
ベルトラン君の首級がワシじゃなくて、コリンズ君宛で届けられたことなのね?
この場合、ワシはキミの判断を仰がざるを得ないのよ。
どうする?
首長国へ行ってくれる?」
『もしも嫌だと言えばどうなるんですか?』
「君が根負けするまで首級が届き続けるんじゃない?
だってアイツらには他に選択肢が無いもの
王族殺しの暴徒として地域ごと粛清されるか
勝利して三公七民を勝ち取るか
他の選択肢があるのなら、ワシが知りたいくらい。」
『丸く収める方法はありますか?
俺は一応和平の使者を各勢力に送ってるんですけどね?
支援金と一緒に。』
「収まりはしないよ。
収まる訳ないだろう?
王族も殺された、大量の民衆も鎮圧戦で死んでいる。
矛先を収めた瞬間にソイツは死ぬよ?」
『…。』
「ただ、コリンズ君の話くらいはみんな聞いてくれるんじゃないかな?
もうカネを配ってるんじゃろ?」
『ええ、幾らかの資金投下を行なっております。』
「ハハハww
コリンズの君の事だから100億くらいバラ撒いたんじゃないの?
怖いなーーーwww」
悪いな、一兆ずつだ。
「人間、金持ちの話には耳を傾けるよ?
だって次のカネをくれるかも知れないじゃん。
ワシですらキミの言う事を忠実に聞いとるんじゃから!」
このジジーが言うと妙に説得力があるな。
そりゃあ、俺だってカネをくれそうな人には頭も下げるし、向こうが何か言ってたら聞き入るよ。
だってカネをくれる話かも知れないじゃない?
「ワシがガードするわ。
城下に一個大隊を集結させてある。
進軍しよう?」
『軍事侵攻は控えて下さるようお願いしたじゃないですか?』
「なあ、ワシは戦争のプロじゃ。
キミやキミの御両親が生まれる前から、ありとあらゆる戦場で戦い抜いて来た。
その経験から言わせて貰うけど。
キミが行かなきゃ、皆が死ぬよ?」
『皆とは?』
「皆と言ったら皆さ。
本当は理解出来ているんじゃろ、この状況を?」
『国境沿いまでは向かいます。
あくまで視察!
絶対越えませんからね!?』
「ふーん。
キミは自分の意志で越えると思うけど。」
『越えないって言ってるでしょう!
犠牲者が増えるだけです!』
「ふふふ。
2万ウェン賭けてもいいね。
国境の光景を見ればキミは真逆の事を言う。」
==========================
【所持金】 (リン・コリンズからは視認不能状態)
396兆1687億7337万ウェン
↓
396兆1687億7335万ウェン
※ミヒャエル・フォン・ミュラーに2万ウェンを授業料として支払
==========================
「なるほど?
で、部隊を進めていいんだね?
この河、一応国境なんだけど。
理解した上で言ってるんだね?」
『…ミュラー卿。
俺の護衛を依頼します。』
「──。
大隊前進ッ!!!」
最悪な事に、暴徒には指導者が存在しなかった。
目的も理念も規律も何もなく…
ただ狂ったように「サンコーナナミンッ!! サンコーナナミンッ!!」と絶叫し続けている。
ミュラーは行かなければ皆死ぬと言っていた。
あれは嘘だった。
少しでも話が通じそうな連中は《皆》殺され終わっていたからだ。
俺は馬車から乗り越えた軍輿の上で左右をゆっくり睥睨する。
群衆の顔、顔、顔、かお、顔、貌、かお、顔。
知性の欠片すら宿していそうな者は誰一人居なかった。
1人だけ利発そうな顔立ちをした者を遠目に見掛けたが、それは惨殺され終わった王族の晒し首だった。
粗野で、醜悪で、単純で、低俗で、卑劣で、強欲で、残忍な…
ごくごく平均的な無辜の民の素顔に俺は囲まれていた。
《ンディッド・スペシャルアンバサダー信徒》当が支払われました。》
越えねば人間世界の悲惨、越えたが故の我が破滅。
異世界転移84日目、俺は初めてカネの通じない相手に囲まれた。
確かに複利は最強である、文明という名の保護膜に庇護されてさえいれば。
醜い咆哮が各所で上がっている。
四方で卑劣な婦女暴行が発生している。
河を流れる赤ん坊の死体に投石して笑っているグループすら存在した。
それは紛れも無く、全てを費やして俺が救おうと試行錯誤してきた人々だった。
恐怖した俺達は慌てて進路を内陸側に転身させる。
連邦側が付けてくれた護衛小隊も相当驚いていたので、全くの不慮の事態だったらしい。
歴戦の猛者であるグリーブですら冷や汗をダラダラ流していたので、ヤバい事態だったらしい。
「申し訳ありません。
私の索敵ミスです。
もっと慎重なルートを選ぶべきでした。」
『やはりグリーブさんから見ても今の状況は危なかったですか?』
「敵意の無い民間人の群れというのが一番対処困難なのです。
まさか撃つ訳にも行きませんし。
かと言って囲まれてしまったら、ドミノ転倒事故が非常に起こり易いので。
距離を取るしか対応方法がありません。」
だろうな。
俺も馬車の窓越しに見ただけだが、流民たちはかなりの興奮状態にあった。
百歩譲ってアレが俺の支持者だったとしても、あの熱量に取り囲まれるのは恐怖でしかない。
その後も駆け付けたケルヒャーにグリーブが詫びを入れていたので、傭兵業界の常識ではかなり危険な状況だったらしい。
==========================
今、俺が目指しているのがオルデンブルクという街らしい。
どこかで聞いたような聞かなかったような響きだな…
と思って記憶を掘り返してたら…
ああ!
思い出した!
寝たきりで皆の会話を聞き取れなかったので《〇△ブルグ》と便宜的に呼んでいた領地だ。
ああ、申し訳ない。
オルデンブルク。
きっとかつてはオルデンブルクという名の家が統治していたのだな。
贖罪も兼ねて左右を見渡してみるが、あちらこちらにミュラー支持の横断幕が掲げられている。
そうかここも三公七民の恩恵を蒙ったのか。
一面焼け野原だが、道行く民衆の表情は明るい。
そりゃあ、税金が下がるんだから嬉しいだろう。
建物は民衆が自力で再建可能だ。
現に新しいバラックがチラホラ見える。
だが税金は民衆の自力では引き下げる事が出来ない。
統治者の妥協か絶滅かのどちらかが必要とされるからである。
小休止で馬と兵士を休ませていると、付近の村人が集まって来て礼を述べられる。
「憎き暴君のオルデンブルクめを討ち取って下さった事
改めて御礼申し上げます!
何卒、財務顧問閣下には今後共宜しくお願い致します。」
少なくとも俺が今、資料に目を通している限りはオルデンブルク卿の治世には何の問題もない。
六公四民の税率も軽くは無いが、暴君呼ばわりされる程の高税率ではない。
元々、連邦の平均年貢率は七公三民であったのだ。
まあ、軍事能力抜きにしてもミュラーが勝つよな。
俺だって税金半分にしてくれるのなら、喜んで横断幕を張るよ。
ああ、後。
ミュラーは服装がみすぼらしいのがいいよな。
女遊びに行く時以外は、ボロボロの皮鎧を着ている。
あれは質素PRにいい。
ドナルド曰く、俺の見た目も素晴らしいそうだ。
顔にある3つの大傷、車椅子に必死にしがみ付かないと用すら足せない。
この満身創痍っぷりを見ていると、金持ちに対する反発心が相当和らぐらしい。
もしも俺が五体満足なら、《どうせ親の遺産を継いだボンボンだろう?》と敵愾心を煽ってしまい兼ねないのだが、何せこの身体である。
《まだ若いのに財産を築くだけの修羅場を潜って来たのだろう!》
という畏敬を勝ち取ってしまうらしいのだ。
額の傷は便所で転んだだけのだが…
個人的にはコンプレックス以外の何物でもないのだが…
軍人や傭兵からのシンパシー獲得に絶大な威力を発揮してくれている。
俺の傷を見た瞬間。
明らかに軍人達が俺を仲間枠に入れてくれるのである。
財力の所為もあるのだろうが、この傷を負って以来、軍人達から意地悪をされたり冷淡に扱われたりしたことが本当に一度もない。
寧ろ、自分達のコミュニティから誕生したヒーローとして礼遇して貰えている。
無論、身体は治したいが、副産物に対しての感謝を怠るつもりはない。
==========================
ケルヒャー・グリーブ両部隊の綿密な索敵によって、トラブルなくオルデンブルク城に到着していた。
ミュラー翁もほぼ同時に到着。
いや違うな。
今やこの城はミュラーの居城の一つなのである。
そうか…
もうここはミュラー領なのか。
「おーう、金持ち少年!
体調はどうだ!?」
『落としたコインを拾える位には回復しました。』
「順調じゃなーい!
若いっていいねえ。
この分だと来週には全力疾走してるよ!」
『ありがとうございます。』
全力疾走は無理でも、自分の意志で脚を痙攣させるくらいの芸当は出来るかも知れないな。
「色々ありがとうな!
カネとか! カネとか! カネとか!
後、おススメの店も良かった!
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そりゃあ、経済法則を鑑みればそうなるだろう。
美人は金持ちが囲ってしまうのだから。
長年経済発展を続けて、かつ国外から亡命貴人(エルデフリダ様とかね)を受け入れている自由都市のルックスレベルが向上するのは当然なのである。
コレットが俺に対して疑心暗鬼になる気持ちは分からないでもない。
彼女も日本の基準ならかなりの美人ではあるのだ。
成長すれば更に美しくなるだろう。
その旨を何度も伝えるのだが、額面通りに受け取ってくれなかった。
『…男は女にそこまで興味が無い。
仕事の邪魔さえしなければ、正直誰でもいい。
誰でもいいから不倫をするし、誰でもいいから不倫をしないのだ。
どれも一緒だからハーレムを作るし、どれも一緒だから一夫一妻を保持する。』
一度だけ、こんな趣旨の発言をしたことがある。
無論、出逢ったばかりの時の雑談でだ。
恐らく、この発言で俺は母娘に見込まれ、そして不安視されている。
男は忙しいんだよ。
仕事したり戦争したり友達と遊んだり深く思索したりラノベ読んだり。
何より女に夢中になるのに精一杯だから女如きに構っている暇がない。
(女の口と書いて「如き」である。)
「で、早速だが!
今から首長国領内に行ってくれんか?」
ほらね?
厄介事が多いでしょ?
『あのねえ。
ミュラー卿。
そういうのは然るべき役職に就いている人の仕事でしょう?
そもそも俺には首長国との接点がない!』
「え?
あるけど?」
『…ありませんよ。
入国したことすらないのに。』
「だって向こうがキミを指名しとるもの。」
『指名されたのはミュラー卿でしょう!』
「いやいや。
ワシの親分はキミだって言い続けてたら
《じゃあコリンズを出せ》
って話の流れでさあ。」
『いやいやいや!!
俺はアンタなんかの親分になった記憶はないですよ!!』
「だって、連邦全体がキミに喰わせて貰ってる状態だしなあ。
ぶっちゃけ、この国はキミによって購入済なんじゃよ?」
『こんな国、買った覚えなんてないですよ!!』
「だぁかぁらぁ。
そういう金額を受け取っちゃったんだって。
ハウザーの息子とも話し合ったんだけどさ。
キミの要求を呑み続ける以外にワシらに選択肢が無いのね?
これってもうキミの国じゃん?」
『じゃあ、要求しますよ!
首長国の民衆とは貴方達が話を付けて下さい!
領主は貴方でしょう!!』
「だからさあ。
その民衆たちが、キミに対して持って来たのよ。」
『持ってくる?
何を?』
「首。
見る?」
ミュラーが無造作に見せて来た首級は首長国の王族でベルトラン卿と言う。
アンリ王太子殿下とは従兄弟関係にあり、臨時総督としてこの地域へ赴任中に地元民に襲撃され惨殺された。
家族を伴っていなかったのは不幸中の幸いかも知れない。
「大切な事はさあ。
ベルトラン君の首級がワシじゃなくて、コリンズ君宛で届けられたことなのね?
この場合、ワシはキミの判断を仰がざるを得ないのよ。
どうする?
首長国へ行ってくれる?」
『もしも嫌だと言えばどうなるんですか?』
「君が根負けするまで首級が届き続けるんじゃない?
だってアイツらには他に選択肢が無いもの
王族殺しの暴徒として地域ごと粛清されるか
勝利して三公七民を勝ち取るか
他の選択肢があるのなら、ワシが知りたいくらい。」
『丸く収める方法はありますか?
俺は一応和平の使者を各勢力に送ってるんですけどね?
支援金と一緒に。』
「収まりはしないよ。
収まる訳ないだろう?
王族も殺された、大量の民衆も鎮圧戦で死んでいる。
矛先を収めた瞬間にソイツは死ぬよ?」
『…。』
「ただ、コリンズ君の話くらいはみんな聞いてくれるんじゃないかな?
もうカネを配ってるんじゃろ?」
『ええ、幾らかの資金投下を行なっております。』
「ハハハww
コリンズの君の事だから100億くらいバラ撒いたんじゃないの?
怖いなーーーwww」
悪いな、一兆ずつだ。
「人間、金持ちの話には耳を傾けるよ?
だって次のカネをくれるかも知れないじゃん。
ワシですらキミの言う事を忠実に聞いとるんじゃから!」
このジジーが言うと妙に説得力があるな。
そりゃあ、俺だってカネをくれそうな人には頭も下げるし、向こうが何か言ってたら聞き入るよ。
だってカネをくれる話かも知れないじゃない?
「ワシがガードするわ。
城下に一個大隊を集結させてある。
進軍しよう?」
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「なあ、ワシは戦争のプロじゃ。
キミやキミの御両親が生まれる前から、ありとあらゆる戦場で戦い抜いて来た。
その経験から言わせて貰うけど。
キミが行かなきゃ、皆が死ぬよ?」
『皆とは?』
「皆と言ったら皆さ。
本当は理解出来ているんじゃろ、この状況を?」
『国境沿いまでは向かいます。
あくまで視察!
絶対越えませんからね!?』
「ふーん。
キミは自分の意志で越えると思うけど。」
『越えないって言ってるでしょう!
犠牲者が増えるだけです!』
「ふふふ。
2万ウェン賭けてもいいね。
国境の光景を見ればキミは真逆の事を言う。」
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【所持金】 (リン・コリンズからは視認不能状態)
396兆1687億7337万ウェン
↓
396兆1687億7335万ウェン
※ミヒャエル・フォン・ミュラーに2万ウェンを授業料として支払
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「なるほど?
で、部隊を進めていいんだね?
この河、一応国境なんだけど。
理解した上で言ってるんだね?」
『…ミュラー卿。
俺の護衛を依頼します。』
「──。
大隊前進ッ!!!」
最悪な事に、暴徒には指導者が存在しなかった。
目的も理念も規律も何もなく…
ただ狂ったように「サンコーナナミンッ!! サンコーナナミンッ!!」と絶叫し続けている。
ミュラーは行かなければ皆死ぬと言っていた。
あれは嘘だった。
少しでも話が通じそうな連中は《皆》殺され終わっていたからだ。
俺は馬車から乗り越えた軍輿の上で左右をゆっくり睥睨する。
群衆の顔、顔、顔、かお、顔、貌、かお、顔。
知性の欠片すら宿していそうな者は誰一人居なかった。
1人だけ利発そうな顔立ちをした者を遠目に見掛けたが、それは惨殺され終わった王族の晒し首だった。
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クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
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小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
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神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
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そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
書道が『神級』に昇格!?女神の失敗で異世界転移して竜皇女と商売してたら勇者!聖女!魔王!「次々と現れるので対応してたら世界を救ってました」
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書道が大好き(強制)なごくごく普通の
一般高校生真田蒼字、しかし実際は家の
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こりゃーと思っていると、女神(駄)が
現れ異世界に転移されていた。魔王を
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失敗しちゃった。テヘ!ふざけんな!
さっさと元の世界に帰せ‼
これは運悪く異世界に飛ばされた青年が
仲間のリル、レイチェルと楽しくほのぼの
と商売をして暮らしているところで、
様々な事件に巻き込まれながらも、この
世界に来て手に入れたスキル『書道神級』
の力で無双し敵をバッタバッタと倒し
解決していく中で、魔王と勇者達の戦いに
巻き込まれ時にはカッコよく(モテる)、
時には面白く敵を倒して(笑える)いつの
間にか世界を救う話です。
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