異世界複利! 【単行本1巻発売中】 ~日利1%で始める追放生活~

蒼き流星ボトムズ

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【転移39日目】 所持金28億3145万6410円 「天下は天下の天下なのだから。」

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名古屋城 二之丸 大手二之門前。
深夜の寒風の中で俺はその男と対峙していた。

帰還翌日に警察病院で出会った男。
所属も氏名も名乗らなかった。
恐らくは防諜畑の人間。
階級は課長クラス以下と見当を付けている。

精悍で底知れない男…
という印象だったのだが。


『あの…
この前会った時より痩せられました?』


「誰の所為だと思っているんだッ!!」


『ひえっ。』


「ハアハア。
すまない、つい感情的になってしまった。」


『…いえ、はい、いえ。』


「君には随分泣かされた。
先日総理から叱責されたよ。」


『あ、なんかスミマセン。』


「…おかげで我が国の防諜予算枠が大幅に削減された。」


『いや、戦争中に減らしちゃ駄目でしょ。』


「お歴々が怒り心頭でね。
《浮浪児1人見失うような組織はあってもなくても同じ》
とのことだ。」


『浮ろ…  
あ、私ですね。』


「御存知の通り、今の内閣の財政方針は緊縮一辺倒でね。
大阪万博で出ている赤字をどこかで埋めようと必死なんだ。」


『だからって防諜予算は削っちゃ駄目でしょ。
歴史上多くの国が諜報を軽んじて滅びて行きました。』


「…我々も常々そう主張していたのだがね。
君をロストした件が、絶好の口実になってしまったのだ。
来年度は200億円以上予算を削られてしまう事が決定してしまった。
万博に回すらしい。

…もう我が国は終わりだよ。」


『それはもう誠にごめんなさい。』


「これで我が国の防諜体制は終戦直後に逆戻りだ。
防諜要員はかつての中野学校のように地下に潜る羽目になるだろう。
この70年の努力が水の泡だ。」


『大変っすね。』


「他人事みたいに言うのはやめてくれないか?
もっと当事者意識を持ってくれたまえ。」


『…御言葉ですけど。
貴方、公安だの内調だのそういう人ですよね?
普通、素人の私を見失いますか?
こんな事言いたくないんですけど。
私、普通に警視庁さんや静岡県警さんに出入りしてたんですけど?
ってか鷹見がずっと私のプライバシーを暴き続けてますし。』


「総理からも、同じセリフで叱責されたよ…
内調共々、部署が消滅するかも。」


『いや! 内閣が内調を消す訳ないでしょ!』


「部署なんて割とノリで消滅するよ?
何気なく予算をサクっと削られて…
いつの間にか消えたセクションなんて腐る程あるからね。」


『はええ。
霞が関の中の人も大変ですねぇ。』


「大変だよ。
君の所為で予算を削られて…
私の上司もパニックになっている。
朝礼で緑色の胃液吐いてたからね。」


『そんなにヤバいんですか?』


「我が国の諜報要員でネイティブなロシア語を解する者が居なくなった。」


『は!?
駄目でしょ、そんなの!
ウクライナ戦争の真っ最中なんですよ!?
もっとちゃんと人員をキープしてくれなきゃ!』


「だから!
それも総理に申し上げたよ!!

…でも!
そういう専門技能を持った人間を確保しておく予算が!
丸々消えてしまったんだ!」


『いや、予算は消えないでしょう!
どこかに付け替えはされるでしょうけど。』


「…ぱく」


『はい?』


「大阪万博に回されちゃったんだよ!!」


『消えてるじゃないっすか!!』


「だからそう言ってるだろうが!!」


『え? どうするんですか?
あれ? ひょっとしてヤバくないですか?
これからどうするんですか?』


「万博の話? ロシア対策の話?」


『あ、じゃあまずは万博の話から。』


「次の万国博覧会において!
我が国は《空飛ぶ車》を発表する!!」


『おお!
遂にクルマが空を飛ぶ時代が来たんですね。
すげー。』


「見たまえ。
これが試作品の写真だ。」


『…ん?
いや、これヘリコプターですよね?』


「クルマだ。」


『ヘリでしょ?』


「クルマだ!
少なくとも政府は国際社会にそう宣言してしまった!」


『すみません。
私と貴方ではクルマに対する定義が異なるようです。

えっと、じゃあ次はロシア対策。
どうするんですか?』


「…。」


『どうするんですか?』


「今、急遽人を集めている。
省庁横断的に… 人材の融通を何とか…」


『外務省から出向して貰ったり?』


「駄目だよ、あそこは売国奴の巣窟だよ。
まずは親日的な官庁や政治家を探すのが我々の仕事なのに…
いや全然見つからないんだけど。
君も親日派の議員を発見したらちゃんと教えてね。」


『大変っすねえ。』


「ちなみに、外務省は今年度500億近い増額を勝ち獲っている。」


『省庁間にも勝ち負けがあるんですね。』


「あるよ。
媚び売り合戦の勝敗が…

自主財源持ってないと、どうしても財務省や官邸の奴隷だからね。
せめて1000億円は防諜予算に回して貰えないと…
国が守れないというのに。」


『ああ、すみません。
じゃあ、お詫びって訳じゃないんですけど。
その1000億は私が出しますよ。』


「…オイオイ。
それって異世界スキル?」


『ええ、そんな所です。』


「駄目駄目!
防諜現場に異世界資金なんて流入させる訳にはいかないよ!」


『でも既に、チャイナマネーやらUSマネーやらに毒されてる訳じゃないですか?』


「いやいや。
私の立場上、その問題には一切コメント出来ないから。」


『ですよねー。
じゃあ、私が1000億円をうっかり落とすので、貴方が拾って勝手に使って下さい。
…こういう突飛な手は駄目ですか?』


「…終戦直後の中野学校はその手で組織を保ったから。
我が国の伝統であって突飛だとは思わない。」


『じゃあ決まりですね。
貴方の指定の場所に予算を現金で落としますので、確実に拾って活用して下さい。』


「…また地下組織に戻るのか。
一度潜っちゃうと、リカバリーに半世紀以上掛かるんだけどねえ。」


『無いよりマシでしょ。
防諜なんて本来そういうものじゃないですか?』


「理屈の上ではそうだけど…

1000億って、君が新宿署に接収されたあのピン札で?」


『見ます?
今、1億しか持ってませんけど。』


「…持ち歩いてるのか!?」


『口座持ってないので仕方なくですよ。』


「君、口座だけじゃなくて住所もスマホも持ってないでしょ。
やめてね、そういうの。
今はもう令和だから、アップデートして行こう。」


『いや、違うんですよ。
口座や土地を持っちゃうと、一瞬で天下平定しちゃうから。
私なりに手心を加えてあげてるんですよ。
地球人の皆さんには、もう少し感謝して貰わなきゃやってられないなぁ。』


「もう一声手心が欲しい所なのだけどね。
じゃあ、もうウチの部署のパトロンになってくれない?」


『数千億規模の零細部署でしたら…
資産が膨れていく過程でいつの間にか私が吸収してると思いますよ。』


「…あの、ウチにも。」


『ええ、ちゃんと予算は配分しますから。
希望予算や要望があれば紙に書いて事前に提出しておいて下さい。』


「やったぜ!」


『あの、配分は外務省や万博にもしますからね?』


「え!?」


『なーんで不思議そうな顔するかな。
この辺の感覚が縦割り行政を象徴してるんですよね。』


「あの、今度上司に紹介したいので東京まで…」


『いや、そっちが来なさいよ!』


「失礼、仰る通りだ。

でも君、住所ないじゃない!
スマホも持ってないし!」


『それは…
尾行とか発信機とか、貴方もプロなんだから
居場所を確認する方法とかあるでしょ!』


「スポンサーにそんなことできる訳ないだろう!!
それに、君はそういう事されたら滅茶苦茶怒るタイプだろう!」


『…いや、どうだろう。
私はそこまで怒りませんけど。
周囲が勝手に怒るかも。』


「それ公的機関が一番恐れるリアクション!」


『ねえ、今発信機か何か持って無いですか?』


「去年までは…
そういう機材を現場全員が所持出来るだけの予算が確保されていた。」


『何かあるでしょう。』


「…私の携帯なら。」


『あ、じゃあそれ預かります。
GPSでしたっけ?
それさえ持っていれば、私の居場所特定出来るでしょ?』


「いやいや、防諜要員が…
ちょ! 本当に駄目!
流石にそれは…」


『じゃあ、私の秘書と連絡先交換します?』


「…まあ、そのくらいなら。
いや、本来絶対駄目なのだけど。
もうここまで組織にキャッシュが無い状態だと仕方ない。」


『あの、取り敢えず用立てますので。
当面はこれで凌ぐように。』



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【所持金】

27億3123万3710円
  ↓
26億3123万3710円

※防諜予算として公安っぽい部署(詳細は不明)に1億円を配分


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「どうして1億円持ち歩いているの?」


『いや、2億だと20キロの重量を背負う羽目になるじゃないですか?
だから私の体力だと1億以上のキャッシュを持ち歩けないんですよ。』


「うーん。
《どうして1億円もの大金?》
という文脈の質問だったのだけどね。
まあいい。
近く上司と挨拶に伺わせてくれ。」


『ちょっと待って下さいね。
今、秘書を呼びますので。

スウウウー。

清磨さーーーーーーん!!!
まだ居られますかーーーー!?』


  「はーい♪」


『ちょっと来て貰えます?』


  「おっけー♪
  でも深夜には大声出しちゃ駄目だよー♪」


『あ、すみません。』


闇から湧いた飯田と防諜の人の連絡先を交換させる。
お役所勤めも大変だな。


『えっと、これなる飯田清磨は…
政界と財界と中京圏を担当しております。』


  「財界は寺之庄君の担当になったじゃない。」


『あ、そうか。
じゃあ清磨さんは政界と中京圏と防諜担当ということで。』


  「酷使ぃー。」


『森さんがヒルダ経由でプレッシャー掛けて来るんですよ。
清磨さんに肩書を寄越せって五月蠅くて。』


  「女性はねえ、そういうところ拘るからねぇ。」


『じゃあ、後は飯田さんと…
えっと防諜の人は何とお呼びしましょうか?』


「…小牧です。」


『それ本名ですか?』


「スポンサーに偽名を名乗る度胸が私にない。」


…だな。
俺が貴方の立場でも流石にそんな馬鹿な真似は出来ないわ。


『じゃあ小牧さん。
多分、身元特定しちゃうと思いますけど
まあそこは恨みっこなしで。』


「え? 私を特定するの?」


『貴方、30代か40代ですよね?
じゃあ簡単です。
その世代の模試記録を漁ればいい。
小牧姓で知能が高い順に情報を絞って行けば良いだけの話ですから。』


「…あの、パワハラやめてね。」


『私は別に貴方の上司でもなんでないので
パワハラではありませんよ。』


「でも、そのうち上司になるよね?」


『まあ来月か再来月には…
組織図の一番上に私の名前が勝手に書き足されてるんじゃないですか?』


「パワハラやめてね?」


『いや、私は皆さんに真面目に仕事をして欲しいだけですよ?
税金払ってるんだから当然ですよね?』


「…いや、君は納税してないじゃない。」


『どうせそのうち納税記録を更新しますよ。
皇紀元年から数えたとしても、私がダントツの最高額納税者になるに決まってるので。
道長も秀吉も一瞬で追い越します。
しかも、私は彼らと違って国家に特に何も要求しない。』


「こんな上司嫌だなあ。」


『まあ、仲良くしましょうよ小牧さん。
結局貴方が私との連絡要員に任命されるに決まってるんですから小牧さん。
末永く二人三脚しましょうよ小牧さん。』


「この仕事辞めたいなあ。」


『退職は士道不覚悟罪でチェストしますので、あしからず。』


「ああ、年内に粛清されるなー、私。」


そんな下らない遣り取りがあって、帰還39日目にしてようやく中央の役人と接点を作れた。
異世界では40日目前後って何をしてたかな?
ミュラーの爺さんとかと出逢った辺りかな?
いずれにせよ自由都市に辿り着く直前だな。
じゃあ、帰還してからはそこそこペースは悪くないのか。
まあ、ホームだから当たり前なんだけどな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【ベッド配信】 腕枕反省会  [雑談]

※この配信では「たぬきの葉っぱ」で匿名コメントができます



「お疲れーッス。」


「おつかれニャ。」


「やっぱり1日仕事になっちゃったね。」


「イベントは終わってからも忙しいニャ。」


「奈々は明日どうするー?」


「寝とくニャー。」


「じゃあ、ウ↑チ↓も夕方まで寝ようかな。
プレゼント開封の儀はどうする?」


「急ぐ必要もないニャ。
まずは関係者への連絡、感謝ニャ。」


「了解。
じゃあ、総括行っとく?」


「同接伸びてたら今日の総括。
過疎なら後回しニャ。」


「5600。
いや、ゴメン5700.」


「オマエらいい加減に寝ろニャ!
じゃあ、総括ニャー、どんどんぱふぱふー♪」


「うえーい。」


「お姉様、まずは今日のイベントについての感想を一言。」


「ダーリン様にブッチされた。」


「はいリテイクニャー。
ファンの前で男の愚痴はしない。
売り上げに響くニャー。」


「へーい。

まあ、イベントは楽しかったよ。
ウ↑チ↓暴力大好きだし。」


「ルナお姉様は開幕から閉幕までひたすら陰キャ共をボコり続けてたニャ。
にも関わらず何故か上がる好感度。」


「だって、こういうプレイ受け付けてる風俗って殆どないもん。
いつも奈々が言ってるでしょ?
ブルーオーシャンだよ。」


「えー。
その解釈合ってるかニャぁ?」


「いーの。
ウ↑チ↓はファンとの触れ合いを楽しめたから♪」


「触れすぎニャー。」


「奈々は今日のイベントどうだった?」


「ゲスト陣が協力的で司会回しやすかったニャ。」


「ああ、それはあるね。
舞桜さんとも結構上手くやれてたじゃん。」


「話してみると気配り出来る人だったニャ。」


「ちなみに先方も同じこと言ってたw」


「マジニャ?」


「さっき監督からメールあったけど。
3人共会うまでは奈々のこと、かなり警戒してたみたいなのね?」


「えー、奈々ちゃんいい子ちゃんニャ。
身構えられるのは心外ニャ。」


「いい歳してニャーニャー言ってる女。
ウ↑チ↓でも警戒するわw」


「キャラ作りしてたら引っ込み付かなくなっただけニャ。」


「昭和の芸人みたいww」


「この後、どうするニャ?」


「んー?
一旦関東に戻るけど。」


「いや、そうじゃニャくて。
人生設計的な…」


「ああ…
ダーリン様次第かな。」


「あの男はやめときな!
アンタ若いんだから
もっとちゃんとした男を見つけなさいよ。」


「あの人を越える男って居るんスかね?」


「…強弱とか貧富じゃなくて
自分を大切にしてくれる男の人にしな。」


「…そもそも論として男って女を大切にする生き物なんスかね?」


「するわけないでしょ。
アイツら全員屑よ。」


「そこなんスよねー。
どのみち粗末に扱われるなら…
ダーリン様みたいなガチの強キャラを選んだ方が賢くないッスか?」


「そうやって打算で男を選んでると大変なことになるよ。
一緒に居て傷付かない男にしな。」


「うーーん。
そうっスねー。
でも気が付くと、あの人の事ばかり考えてるんスよ。」


「アンタの年頃はねえ…
みんなそうよ?
それで落ち着いて来たら…
《何であんなツマラナイ男に夢中になってたんだろ》
って。
女は全員通る道だから。」


「ですよねー。」


「ただ、トイチはカネだけは持ってるから。
今のうちに唾を付けておくのは正解ではあるのよ。
だから私も、完全に縁を切る事までは推奨してない。
言っとくけどあんな屑野郎、カネでも持ってなきゃ絶対NGだからね。」


「じゃあ保険として1人産んどきますわ。」


「ああ、それは賛成。
アイツはどんぶり勘定で養育費払うタイプ。」


「あのBBAに頭下げるの癪だなー。」


「嫁いだ子は多かれ少なかれみんなそうだよ?
姑さんとの折り合いを付けるのも女の仕事。」


「マジっスかー。
女の人生ハードモード過ぎ。」


「今更でしょ。」


「だよねー。
先生はどうするの?」


「何が?」


「人生設計。」


「設計したからこれなのよ。」


「えー、マジ?」


「マジマジ。
一緒に居て楽しいからアンタと居るの。」


「…アリガト。
ウ↑チ↓も先生が居てくれて救われてるわ。」


「ふふっ、この口か? この口か?」


「あはは、やだぁ♡」


「うりうり♪」


「あん♪ そこ駄目ぇ♥」


「「あははは♥」」


「…先生。」


「ん?」


「1つだけ報告いい?」


「何よー♪」


「ゴメン、まだカメラ回ってた。」


「え゛!!」


「同接25000…」


「オマエラもう寝ろニャっーーー!!!!!」



【この配信は終了しました】


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



目覚めると昼を過ぎていた。
少し頭が痛い。
そりゃあね。
イベントで疲れ果てた後に、公安(?)と折衝するなんて流石に想定してなかったからね。
(しまった、小牧の部署名を聞くの忘れた。)

でもまあ、地位を得るってこういう事なんだよな。
異世界でも栄達に比例して各省庁・諸外国との緊急会談が増えたからな。

望んでこうなったのだ。
愚痴は止めよう。


隣を見ると平原のベッドは空だ。
枕元に置かれたペットボトルのウーロン茶。
飲め、という意味なのかな。


「リン兄ちゃん。」


『ああ、光戦士君か。
昨日はお疲れ様。』


「兄ちゃんこそお疲れ様なのだ。
かなりうなされてたけど大丈夫なのだ?」


『大丈夫大丈夫。
日頃の運動不足が祟っただけだよ。』


「毛受さんが差し入れを持って来てくれたのだ。
みんなリビングで食べてるのだ。」


『お、そうか。
わかった、身支度を終えたらすぐに顔を出すと伝えてくれ!』


ヤバいヤバい。
年長者が来てくれたのに、こちらが昼まで寝ているなんてあってはならない事だ。
すぐにシャワーを浴びて向かわなくては。

浴槽には綺麗な湯が張ってあった。
入れ、という意味なのだろう。
一瞬迷うが、シャワーのみにしておく。


『大変申し訳御座いません。
お待たせ致しました。』


「あ、いやいや!
こっちが勝手に押し掛けただけだから。
遠市さんは昨日大活躍されたのだから、今日くらい休養を取って欲しい。」


『いえいえ。
動いたのは全員ですから。
毛受さんもありがとうございました。
焼ききしめん、どうでした?』


「ふふふ、名古屋人に酷評されてしまいました。」


『ああ、すみません。
私が軽率な提案をしてしまったから。』


「でも、県外の方には非常に好評。
私は満足している。
家内とも相談して、店でも定番メニューにするつもり。」


『おお、良かった。』


どうやら毛受翁はイベントに参加した有力者の詳細情報を教えに来てくれたらしい。
昨日は多くの事業家・議員からの挨拶を受けたのだが、それぞれの地元での評判と所属派閥を補足してくれた。
正直、助かる。

謝礼は固辞されたのだが、頼み込んで100万だけ受け取って貰った。
俺と居る時点でリスクだからな。
前もって埋め合わせをしておきたい。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【所持金】

26億3123万3710円
  ↓
26億3023万3710円

※尾張食堂店主・毛受秀允にイベント協力への謝礼として100万円を支払い


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


その後、毛受翁が焼ききしめんを振舞ってくれる。
味噌風味が苦手な光戦士を気遣ったのか、オイスター風味に仕上げてくれた。
いい味だ。
メンバーは昨日殆ど何も食べてないからな、こういう気遣いは嬉しい。
しばし皆で食レポを楽しむ。
別れ際、後藤が関西土産である灘の地酒を毛受翁に贈り、再度こちらの感謝を伝える。


『皆さん。
改めて、昨日はありがとうございました。
私の我儘に付き合って下さり深く感謝しております。』


一同に頭を下げて感謝を述べる。


飯田。
後藤。
江本。
寺之庄。
安宅。
平原。
鳩野。
金本光戦士。


行きずりの俺に、よく付き合ってくれたものだ。
何より丁寧に意を汲み取ってくれた。
その点が感謝してもし切れない。
俺からの誠意として、今日はこのメンバーに個別に時間を取ることにした。
思い上がる訳ではないが、俺とサシで話せる事のメリットは大きい。
故に、これを以て皆への報恩とする。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【飯田清磨】


『申し訳御座いません!』


「今更改まる間柄でもないでしょ。
ほら、頭を上げて。」


『タイミングもあるのですが、清磨さんには全てを押し付けてしまいました。』


「俺はいいんだけどさ。
相手をさせられる連中の面子を潰しちゃうから、ちゃんとした後任を見つけてね。
やっぱりさ、看護師風情に頭を下げるのは苦痛みたいだから。」


『…でも、清磨さんは地球での最初の出資者ですからねえ。
どう考えても地球で一番価値のある人材でしょう。』


「ははは。
そりゃあ光栄だ。
異世界では誰が最初に出資してくれたの?」


『向こうにもヤクザが経営しているサラ金屋があって…
そこで原資を借りました。』


「ええ?
異世界にもヤクザやカネ貸しがあるんだ!?」


『所詮、人間のやる事ですからね。
似たような社会構造でした。』


「じゃあ、看護師とかも居るの?」


『ええ、医療制度も発展してましたので。
向こうでは下半身不随だったんですけど、コボルトの医者がリハビリしてくれたんです。』


「コボルト!?」


『はい、漫画とかに出て来るアレです。
流石に最初見た時は驚きました。
喋ってみると気のいい連中なんですけど、犬の顔した連中が2足歩していると圧迫感凄いですよ?』


「…おお、確かに。
4足歩行でもイヌ科は風格あるからねえ…
いや風格ならリン君も負けてないか。

君、向こうじゃかなりの権力者…
いや、王様か何かになったんだろ?」


『…はい。
魔王職を奉職しておりました。』


「…だろうね。
役所組織の捌き方が、完全に政治家のそれだったから。」


『昨夜はお見苦しい所をお見せしました。』


「いや、小牧さんとの遣り取りを見て…
《この子には誰も勝てないんだろうな》
って思ったよ。」


『清磨さんもご存知の通り、私はカネを持ってるだけの小僧ですよ。』


「でもねえ。
所詮世の中カネだからねえ。
それが際限なく増える以上、君に敵う者なんて存在しないよ。
だってそうでしょ?
ロシアやアメリカみたいな超大国ですら金欠で苦しみ抜いているんだから。」


『どんな大国でも、戦争を始めたら洒落にならない金額をドブに捨てる羽目になりますからね。』


「見て来たように言うねw」


『我々のクラスが戦争要員として拉致されたんですよ。
拉致した国は向こうでは一番の超大国でしたが…
連年の戦争で最後は国家破綻しておりました。』


「改めて思うよ。
戦争だけは防がなきゃいけないね。」


『はい、仰る通りです。
超大国と言えど滅ぶ時は一瞬ですので。』


「じゃあ、リン君は基本的に戦争反対のスタンスなんだね?」


『勿論ですよ。
戦争なんて百害あって一利ありませんから。』


「それを聞いて安心した。
より一層、君に尽くす事が出来る。」


『…ヒルダ・コリンズ。
アレは私と価値観を一にしている訳ではありませんので、そのつもりで居て下さい。
特に私が先に死んだ場合、遺勅を捏造する可能性があります。
重荷ばかり押し付けて申し訳ないのですが。』


「わかった。
何とかしておく。」


『ありがとうございます。』


「まあ、その場合…
まずは、あの人が立ちはだかるんだろうけどさ。」


『森さんとは連絡は取っておられるんですよね?』


「取ってるけど…
途中から一切情報を出さなくなったね。
向こうは露骨にこちらの動向を探ってくるけど。」


『すみません。
私の所為で、お2人の仲が変な事になってしまって。』


「仕方ないよ。
血を分けた親子兄弟でもおカネや地位が絡むと争いになるんだから。
俺と芙美香さんなんて、1年付き合っただけの関係だし。」


『ヒルダから、お2人を結婚させるように圧力を掛けられております。』


「ゴメンね、あの人が無茶振りばっかりして。」


『いえ、ヒルダも味方作りに必死なのでしょう。
森さんの事はかなり気に入ってるようなので。』


「あの人、ヒルダさんと居る時は異常に楽しそうだからね。
あそこまで活き活きされると離れろとは言えないんだよね。」


『標的が自分で無ければ微笑ましいのですが。』


「まったくw

で?
女子勢は結局何がしたいの?」


『ヒルダ曰く、結婚して子供が産みたいそうです。』


「…それは、わざわざ派閥作ってまでする事ではないでしょ?」


『いや違うんですよ。
男の側が富と権力を持っている場合…
《産んだ子に王朝を引き継がせろ》
というニュアンスになります。
要は総取りがしたいんですよ、アイツらは。』


「遠市王朝作るの?」


『勘弁して下さいw
まあ、異世界同様に自然とそうなるんでしょうけど。』


「お、凄いw
両世界制覇ww」


『茶化さないで下さいよーww』


「あはははw
で?
これからどうしたい?」


『セックスはしたいのですが、世襲政権を誕生させたくないです。』


「それ女子が一番怒るやつーーーww」


『ですよねーーーwww
じゃあ清磨さんには極秘ミッションとして
遠市王朝の誕生阻止をお願い出来ますか?』


「俺だけ負担激しいからーーーwwww」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【後藤響】


「いや、トイチさん。
ぶっちゃけカネいらなくなってるでしょ?」


『…怒らないで聞いて下さいね?
おカネが余って困ってます。』


「トイチさん!
それ絶対外で言っちゃ駄目ですよ!?
ホンマに駄目ですからね!!」


『わかってますよぉ。』


「いや! トイチさんは御自身の保身には危機感乏しいから。
ええですか?
今、全世界で景気が低迷してるんです。
それは御存知ですよね?
物価の高騰! サプライチェーンの途絶! 食糧不足!
世界中の皆が経済状態の悪化に苦しんでるんですよ?
そんな状態でね?
《カネが余ってる》
なんて発言した日には、トイチさん袋叩きになってまいますよ!」


『ああ、スミマセンスミマセン。
後藤さんの仰る通りです。』


「さて、ここまでがタテマエの話。
よく覚えとって下さいね。

カネを持て余しておられるのは、見ててよくわかります。
特にトイチさんは口座を持ってはれへんから…」


『後藤さん。
カネを差し上げるので後藤さんの口座に入れといて下さいよ。』


「怖い怖い。
この無頓着さがホンマに怖い。」


『駄目ですか?』


「いや、俺はまだ二十歳ですよ?
それも先月までウーバーの配達員でした。
そんな人間の口座に何億も突然入ったらね?
真っ先に取り調べの対象になって、そしてすぐにトイチさんに矛先が向かいますよ。」


『参りましたねー。』


「そうですねー。」


『何か活用法あります?』


「拡大ですね。」


『拡大?』


「いや、つまり今回のBBQを全国規模に広げたいんですよね?
じゃあ、もう組織化しかないでしょう。
極端な話、1億渡したら毎月大規模なチャリティイベントが開けると思うんです。
それを47都道府県でやらせれば年間50億未満の出費でトイチさんの志が全国レベルで可視化されます。」


『なるほど。』


「で。
それが政治派閥になりますよ。
しかも日本で最も強大な。」


『…なりますかね?』


「いやいや、昨日のイベントなんか1000万も予算掛けてないでしょ?
それだけやのに、あれだけの数の議員が挨拶に来たんですよ?
じゃあ、それを1億規模で全国同時展開的にやったら?

もうその時点で、全部の話題をトイチさんがかっさらうの目に見えてますやん。
賭けてもいいですけど、遠市党が自然発生してますよ。」


『…そうなるでしょうね。
問題は、私がそういう汚い選挙の手口が嫌いという点なんですけど。』


「わかります。
この1ヶ月だけですが…
一緒に行動させて頂いて、トイチさんが如何に腐敗や汚職を嫌ってるかはよくわかりました。

それでもね?
水は低きに流れますよ。
誰がトイチさんを止められるんですか。」


『まあ、いずれはそうなって行くでしょうね。』


「来月トイチさんが天下獲ってる可能性すらあります。
そうなっても俺は驚きませんけど。」


『…カネって怖いですね。』


「いや、怖いのはトイチさんなんですけどね。」


『私は凡人ですよ。
カネ以外に何の取り得もないつまらない男です。』


「安心して下さい。
トイチさんはオモロイ部類の人ですからw」


『えー?
私、面白味ないですよー。』


「いやいや、俺を含めてトイチさんと会った関西人は全員トイチさんの面白さに脳を焼かれてますから。」


『えー?
何か面白いこと言いましたー?』


「全部オモロイww」


『参ったなー。』


「関西人はね。
面白い奴が大好きですから。
もしも選挙に本腰入れるんやったら、関西に軸足を置かれる事を推奨します。」


『えーー?
私、面白いかなーー?』


「その自覚の無さw
ポイント高いですよーw」


『からかわないで下さいよぉww』


「…もうセミナーはしないんですか?」


『関西人向けのギャグとしてなら。』


「あはははw
大阪万博の目玉にトイチ講演会やって下さいよww」


『わかりました!
じゃあ空飛ぶ車とやらが配備されたら、それに乗って大阪中にカネをバラ撒きます!』


「リアルヘリコプターマネーww
関西経済の命運は空飛ぶ車に懸かっとる―ww」


『ああ、瓢箪から駒が出るーーww』


「で、この先どうされるんですか?
いや、どうしたいとかあります?」


『うーーん。
金集めは休止すると思います。
もう少しだけレベリングに専念したいんですよね。
具体的には鯨20匹を殺したいです。』


「なるほど、休止ですか。

実は大阪勢がね?
《利息は後回しでいから預けさせてくれ》
ってうるさいんですよ。」


『利息を後回しにしたら預ける意味ないでしょ?』


「いや、あります。
勿論、日利はみんな欲しがってますよ?
でもそれ以上に、トイチさんとお近づきになりたがってますもの。」


『…それが分からないんです。
確かに私はカネを増やす能力はありますよ?
でも、現時点でそこまでの支持を受ける程ではない。』


「いやいやいや!
トイチさんは鷹見さんの恋人やないですか。
日本一有名な女子を恋人にしてるんですよ?
その知名度だけでもお釣りが来ますよ。」


『鷹見は単なる犯罪者でしょう。
そりゃあ逮捕されたから名は広まってるでしょうけど。』


「トイチさん、このTwitterランキングを見て下さい。
人名部門。」


『ふむ。
おお、やはり大谷選手が1位ですね!
流石です!
彼は日本の誇りですよ!!』


「いや見て欲しいのは2位です。
ルナルナとあるでしょ?
これ鷹見さんですよ。」


『…そ、そりゃあ捕まった直後だから。
悪い意味で話題になってるんですよ。
ヒーローの大谷選手とは大違いです。』


「3位にサンドイッチマン。
この1・2・3はかなりの接戦です。」


『ああ、知ってます。
金髪で眼鏡掛けてる人ですよね?』


「問題は4位。」


『…鷹見夜色?』


「そうなんです。
鷹見さんは本名と芸名に分散してるんですよ。
そして2位と4位の票を足すと大谷翔平を抜きます。」


『…え、何で?』


「そりゃあ、あれだけ毎日事件を起こしてたら…
嫌でも目立ちますよ。」


『…え?  え? 
すみません、理解出来ない。』


「現実を直視して下さい。
大谷翔平がホームランを打たなかった日は、ルナルナが1位なんですよ。」


『いやいや、それはあり得ない。
今朝も大谷選手は記録を更新したんですよね?
それもベーブ・ルースを抜いたって!』


「…ところが今朝の人名ハッシュタグ1位は鷹見さんなんです。」


『あり得ないですよ!
世界記録ですよ! 世界記録!
もっと日本国民が一丸となって応援すべきじゃないですか!』


「俺も先程知ったんですけど。
昨日、鷹見さんが松村先生と…
そのベッドの中で配信していたみたいなんです。

…やや同性愛的な内容だったみたいですね。
世界的にバズってます。
特に漢語圏で夜猫@の人気は高いんです!」


『ええ!?』


「いや、知らんのトイチさんだけやと思いますよ?
FANZAの動画ランキングでも1位獲ってますし。」


『ふぁ、ふぁん…  何?』


「いやいや!
鷹見さんが御自身で監修したAVを出すって言ってはったじゃないですか!」


『えーーー!!!
アイツ、AVなんか出てるんですか!?』


「いやいやいや!
今更何を仰ってるんですか!
知らんのトイチさんだけですよ!
ほら、鷹見さんのWikipedia。
日本のAV女優・暴力団準構成員って書いてるでしょ?」


『えーーーーーー!!!
アイツ、ヤクザだったんですか!?』


「いやいやいやいや!
この期に及んで何を!
滅茶苦茶有名な話ですやん!
鷹見検定の初級問題ですよ?
そもそも誰がどう見てもあの人カタギではないですやん。
見た目も言動も全てが反社ですやん!」


『…私、あの女のこと何も知りませんでした。』


「何やと思ってたんですか?」


『いや、結構可愛いなぁって。
私、背の高い子が好みですし。』


「それ本人に言ってやって下さい!」


『…先にヒルダを褒めてから、ヒルダの許可を取って鷹見を褒めます。』


「うーーーん、この。
あの、流石にヒルダさんがどんな方かは把握しておられるんですよね?」


『私ねー、異世界でもヒルダの事はうっかり目を離してたんですよ。』


「やめて下さいよ!
ちゃんと男としての義務を果たして下さいよ!!
それで!
目を離してた隙に何があったんですか!」


『アイツ、勝手に天下獲って勝手に内戦始めやがったんですよ。
酷いと思いません?』


「他人事みたいに言ってるトイチさんが一番酷いです。
あの、俺は貴方にだけは厳しいこと言いたくないんですけど。
それ全面的にトイチさんが悪いですよ?」


『マジすかー。』


「マジすよー。」


『多分、地球ではおとなしくしてくれると思うんですけどねー。』


「多分じゃ困りますー。」


『ですよねー。』


「…では、総括します!」


『は、はい!』


「こんなにオモロイ人と一緒に居れて俺は最高に幸せです!」


『ああ、どもども、喜んで頂けて何よりです!』



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【江本昴流】


「いやあ、昨日は驚きましたわ。」


『ああそれはそれは。
どの辺に驚かれました?』


「いつの間にかメディアを押さえてるところですね。」


『メディア?
ああ、月刊名古屋でしょ?
あれはハッタリなんですよ。
一見立派なデザインですけど、喫茶店のニート息子が官報をコピペしているだけなんですよ。』


「でも、トイチさんはおカネを掛けて、ちゃんとした物を作りはるんでしょ?」


『そりゃあ、まあ。
出版するならきちんとするべきですし。』


「今朝、フリーペーパーの事を調べたんですけどね?
投資額に比例して有利になってしまうシステムなんですよ。」


『へえ。』


「簡単に纏めておきましたので、後で目を通しておいて下さい。」


『あ、どもども。』


「…もう勝ち確ですか?」


『え? いや、まあ。
最初からですけど。』


「流石ですね。
地球に還った時点で勝利を確信していたと。」


『あ、いや。
異世界行った時点で確信してました。』


「おお、この盤石感よ。
あの、記念に何か一言コメントをお願いします。」


『勝ったなガハハ。』


「うっわ、エグ。
勝利を微塵も疑ってない。」


『まあ、勝利と言っても天下を平定するだけの話ですから。』


「言い切ったー!

じゃあ、鷹見さんも何とか出来ますね?」


『負けたぜトホホw』


「嬉しそうに韻を踏まないで下さーい!!」


『対鷹見戦はエモやんさんに一任します。』


「ヒグマ、鷹見って、俺だけ強敵と戦わされる悲劇!」


『鷹見を倒したらラスボスのヒルダを倒しておいて下さい。』


「ちょ! 死ぬw
死にますから!!」


『ですよねー。
あの女を何とか出来るビジョンが見えないんですよねー。
手に負えないです。』


「普通にセックスしてあげたら話が丸く収まるのでは?」


『そういうものなんですかね。』


「あの人に限っては、愛が解決しそうです。」


『ここだけの話、あの女をあんまり好きじゃない。』


「それ絶対口に出しちゃ駄目ですよ!!!
世界滅びますよ!!!」


『ヒルダはねー。
身体は大好きなんですよ、心から愛してます。
セックスはしたいけど、あんまり関わりたくない人。
身体は好きー。』


「絶対口に出しちゃ駄目ですよ!!」


『ヒルダも松村教諭も身体は大好き。』


「いや、俺も男ですからわかりますけど。
150%アグリーですけど。
何なら佐々木の事もそういう目線でしか見て無いですけど。
でもトイチさんは、それ絶対言わんとって下さいね!」


『あの…
エモやんさんって、佐々木さんとは。』


「1回だけ。」


『え? ヤッタんですか?』


「あの身体ですからね。
我慢出来ませんでした。
気持ち良かったです。」


『…おお。
あの子スタイルいいですものね。
モデル体型って言うんですか、ああいう身体?』


「シュっとしてて最高でしたよ。
いやー、スッキリしました。
次は逆にむっちりした子とセックスがしたいですね。」


『あ、わかります。
色々試したいですよね。』


「トイチさんは、ヒルダ・鷹見・木下でローテしたらええですやん。
後、松村先生。」


『いやあ。
木下は…
流石にアウトでしょ?』


「トイチさんってそこら辺が滅茶苦茶真面目ですよね。
未成年者保護?
光戦士君にも丁寧に応対してますし、兄貴肌なんですかね?」


『うーーん。
ここだけの話。

リスクを負いたくないです。
ただでさえ忙しいのに。』


「ああ、まあ確かに。
木下さん、自分がリスク要因やって自覚が乏しいですものね。
あの年頃やから仕方ないと言えば仕方ないですけど。」


『アイツもねー。
聞いた話じゃ家庭に相当問題ありますし。
常識なくても仕方ないのかなって。
逆に佐々木さんは見た所、かなり常識人ですよね。』


「佐々木の家庭環境は一番酷いですよ。
事件も起こしてしもうて、地元には2度と帰れないそうですし。」


『私、異世界では孤児院支援してた人と縁があったんですよ。
まさしく神聖教団の聖職者なんですけど。』


「あ! それで神聖教団! それで子供食堂!」


『ええ、そうなんですよ。
流石にね。
そういう経緯で神聖教徒を名乗ってる私がね?
家庭的に恵まれない少女とセックスするのは…
あまりに筋が通らないでしょう。
泉下のバルトロ司祭に合わす顔がないですよ。』


「それ、もう木下に説明してあげたらどうですか?」


『うーーん。
異世界の話するんですか?
アイツ、信用出来ないんですよねー。』


「いや異世界関連の話は、もうヒルダさんがしてるんじゃないですか?」


『…してそう。
女同士でロクでもない密約してそう。』


「まあ、あの人らは普通にするでしょ。」


『佐々木さん、向こうでどんな話してるんですかね?』


「俺もそれとなく聞き出そうとしたんですけど。
さらっと流されますね。」


『あー、もう確定。
アイツら絶対結託して悪だくみしてる。』


「しゃーないですよ。
切り替えて行きましょう。
今後の方針とか。」


『うーーーん。
身軽になりたいです。』


「具体的には?」


『一旦皆さんに払い出しかなあ。
エモやんさんにも数億払いますよ。』


「いやいや、俺の初期投資100万もないですやん。」


『まあまあ、天空院にでも噛まれたと思って。』


「参ったなー。
数億貰えるのは嬉しいんですけど
どうせトイチさんがインフレ起こすの目に見えてますからねえ。
来月日本円に価値残ってるんですか?
世界、滅ぼさんとって下さいよ?」


『私も悪気はないのですが。
なーんか世界が勝手に滅びちゃうんですよね。』


「でたー、Z世代特有の他責思考。」


『いや、私もね?
世の為人の為に何が出来るかを毎日真剣に考えてるんですよ。
中々、良案が浮かばず困ってるんです。』


「ありますよー、俺のスーパーアイデアが。」


『え? マジっすか?
聞きたいです。』


「聖書再現路線で行きましょう!」


『えー、キリスト教ですかー。
神聖教と一部教義が相反してるんですよねえ。』


「そうなんですか?
比較的似たような教義かと…」


『一神教圏で生まれたキリスト教と多神教圏で生まれた神聖教って…
根底の部分で他コミュニティに対しての姿勢が異なるんですよねー。』


「なるほど。
でも愚民共は教義なんて気にしてないからへーきへーき。」


『まあ、向こうでもそうだったので驚きはありませんが。』


「まずはパンとワインをバラ撒きましょう!」


『えー、参ったなぁ。
私、資産しか増やせませんよ?』


「ワイン投資とか流行ってますやん。」


『うーーーん。
肝心の私自身が、あんな軽薄なブームを認めてませんからねえ。
大体、定形化してないものって資産とは呼べないでしょう。』


「もっと柔軟に考えはったらええのに。
いや、そういう真面目さがトイチさんの強みなのかもですね。」


『じゃあまあ、エモやんさんの顔を立てて…
小麦を撒きます。』


「お!?
小麦はセーフですか?」


『先物市場で取り扱いされてる物品に関しては、私の脳内で資産計上出来るでしょうから。』


「じゃあ小麦増やしましょう!
俺、調達してきますよ!
それで《救世主トイチ奇跡ショー》を公演させて下さい!」


『私はアドリブ利かないですから…
ショー形式に対応出来るかなぁ。
まあ、天空院さんが出演してくれるなら出演してあげてもいいですけど。』


「お! いいですね!
あ! 面白いこと思いついた!
《究極の奇跡VS至高の奇跡》ってタイトルどうでしょう!
絶対盛り上がりますって!
俺、天空院一派に出演オファーしときます!」


『それ、世の中の為になるんですかねえ。』


「今の世の中、目立ってナンボですから。
数字持ってない奴の言い分なんて誰も聞いてくれませんよ?
トイチさんも鷹見任せじゃなくて、ちゃんと自分のアカウントを伸ばして行かな!」


『まあ、確かにそれはありますね。
スマホ入手したらチャンネル作ろうかな。』


「うおーーー!!!
見たい見たい!!!
トイチさんの配信見たい!!!」


『参ったなー。
私、鷹見みたいにペラペラ喋れないですからねえ。
富を増やす以外に何の能も無いんですよ。』


「それ全人類の永遠の望みですからーーー!」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【寺之庄煕規】


「じゃあ、一旦関東に帰るの?」


『いえ、ほりけん@さんが岡山に来てくれって五月蠅いじゃないですか。
一度だけ顔を出しておこうかな、と。』


「ああ、彼は知名度ある人だし、あまり粗略にしない方が良いかもね。」


『一緒にセミナーして欲しいそうですよ。』


「するの?」


『まさか。
まだ面識も無いのに。』


「だよねー。」


『ただ、岡山に限らず地方は回っておくつもりです。』


「あ、そうなんだ?」


『今更遅いかも知れませんが、各都道府県に一度は顔を出しておかないと後々齟齬が出ると思うんです。
一県1日のペースで顔だけ出しておこうかと。
あー、すみません。
今のナシ。
それだと初日に回った県と47日目の県で格差が出ちゃう。』


「君もハイペースだねえ。」


『思ったよりもカネが増えちゃうんですよ。』


「ああ、そのセリフ一度でいいから言ってみたい。」


『富に自分の成長が追いつかないので、結構難しいんです。
本音を言えば所持金が1000万円を超えると、もうキャパオーバーなんです。』


「トイチ君は頑張ってるよ。」


『いやあ、全然成果が出てなくて…
常に無力感です。』


「君は理想が高いんだよ。
僕はね?
昨日のBBQだけでも十分徳を積んだと思ってるから。」


『そうだと嬉しいんですけどねえ。
もっと社会全体を益さなきゃ納得出来ないです。』


「でもさあ。
君みたいに積極的にボランティアイベントを開いている人間が居るだけでね?
社会にとって好ましい影響は出ると思うよ。」


『うーーーん。』


「納得出来ない?」


『私の資産が人並みであれば、昨日のBBQくらいが丁度だと思うんです。
でもね?
明らかに私が一番な訳じゃないですか?
一番カネを持ってる人間がですよ?
百数十人来場のイベントを開いて《はい、やりました》って言ったところでね?
それはもう金持ちサイドの姑息なアリバイ作りですよ。
流石にそれは通らないんじゃないかと思うんですよ。』


「ああ、そっかー。
いや、君の方が正しいね。
僕の認識が甘かった。」


『人間は保有している富に応じた義務を果たすべきだと思うんです。
だから、私は人一倍成果を上げなければならない訳であって…
なのに全然進まなくて、もどかしいです。』


「何か展望あるの?」


『先程、エモやんさんが提案してくれたので。
キリストみたいにパンを出してみようかなと。
ただパンは資産ではないので、小麦になっちゃいそうですけど。』


「それはいいアイデアだよ。
世界的に小麦不足だし。
まさか穀物禁輸がこんなに大規模化するとはね。」


『ああ、ロシアが黒海封鎖した件ですね。』


「いや、そこじゃなくて。
ニュース見てなかった?
エジプトとインドが穀物の輸出禁止法案を可決した。」


『え!? そうなんですか!?』


「そりゃあ、彼らだって自国の食糧保全を優先するでしょ。
だから、日本の食糧業界はますます大パニックだよ。
僕の先輩が商社に就職してるんだけど、誇張抜きで寝る間も無いみたい。」


『うわあ、すみません。
情報把握を怠っておりました。』


「いやいや!
君をサポートし切れなかった僕達の責任だよ。
ゴメンね。
これからはダイジェストでニュースを報告するようにするから。」


『助かります。』


「ちなみに原油も更に高騰してるよ。
産油国が最後の賭けに出ているんだ。
とうとう原油価格が1バレル170ドル台をつけた。
我が国のガソリン価格も…
今週中にはレギュラーで190円を越えて、すぐに200円を越えるだろうとのこと。
…日本経済、崩壊する可能性高い。」


『ええ?
そんなニュース知らないですよ。』


「大谷選手がまた世界記録作っちゃったから。
かき消されたんじゃない?」


『…ああ、なるほど。
ベーブ・ルースを越えたんだから仕方ないですね。』


「後、ス●ローが鷹見さんに6000万円の損害賠償を請求した事がトピックになってる。」


『アイツ、本当に害悪ですね。

…ヒロノリさん。
取り敢えず貴方に預けておきますので、スシ●ーさんに払っておいて下さい。
《妻の管理が行き届かず申し訳御座いませんでした。》
と伝えて頂けますと幸いです。』


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【所持金】

26億3023万3710円
  ↓
25億6023万3710円

※寿司ペロ事件の補償金として7000万円を寺之庄煕規に預託。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「現金で受け取ってくれるのかなあ?」


『突き返されたら皆で寿司でも食いに行きましょう。』


「じゃあ石川か富山に行こう。」


『そこは福井プッシュしなきゃ。』


「まあ考えておくよ。
じゃあ福井で小麦まく?」


『ええ、じゃあまあ…
ヒロノリさんの実家への挨拶も兼ねて。
福井で小麦まきます。』


「ついでに原油も頼める?」


『液体は後始末が面倒なんですよねえ。
靴が汚れるし。
それに原油って人体に有害なんでしょ?』


「わかったわかった。
じゃあ、タンカーか何かを用意するから。」


『まあ、皆さんがちゃんと環境に配慮してくれるなら…
原油もチャレンジしてみます。』


「ごめんねー、我儘ばっかり言っちゃって。」


『別に貴方なら大歓迎ですよ。
これまでずっと我慢して生きて来られたんでしょ。』


「田舎の古い家に生まれちゃうと、どうしてもね。
でもまあ、トイチ君の義務感を見ていると、僕の認識が甘かったんだろうなあ…
今はそう反省している。
渋川家との婚礼の事も、皆の判断に委ねるよ。」


『弓長さんはどうします?』


「君に任せる。」


『私はヒルダに任せてますから。』


「じゃあヒルダさん次第だね。」


『やだなー。
まーた、あの女がキャスティングボードを握るのか…
いや、誰がどう見ても私の自業自得なんですけど。』



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【安宅一冬】


「どうもー。
改めてお疲れ様でした。
先生、大活躍でしたね。」


『いえいえ。
安宅さんが頑張ってくれたからですよ。
1人食い下がってる女の子居たでしょ。
あの子とは連絡先交換したんですか?』


「…それが聞いて下さいよ。
私も最初期待したんですけど。
多分、マスコミ関係者ですよ。
フリーライターかも。」


『え!?
そうなんですか?』


「最初は普通に話し掛けて来たんですよ。
恋人の有無とか聞かれて、ちょっと浮かれ掛けたんです。
途中から徐々に名古屋市長選の話題になって来て…
どうやらトイチさんの政治姿勢を探ってるっぽかったです。
上着の下で何かの機械を操作してましたし、多分録音機ですね。」


『うおお、怖いですね。』


「これからハニートラップ的な接触は増えると思います。
トイチさんはガードが固いから、私みたいな取り巻きを狙ってくるのでしょう。
なので、ちょっと私も意識を切り替えます。
女は極力排除する方向で。」


『…少しくらいは遊ばれても良いのではないですか?』


「いや!
駄目駄目!駄目ですよ!
トイチ先生は今、一番大切な時期なのですから!
私のミスなんかでそれを台無しに出来ないです。」


『まあ、そういう意識を持って下さる事は…
正直に申し上げて非常に助かります。

ただ、やはり我々も人間ですので…
女性関連の息抜きは必要だと思うのです。
何せ三大欲求というくらいですから。』


「すみません。
トイチ先生に気を遣わせてしまって。
本来なら年長者の私が先生の為に奔走するべきなのですが。」


『いえ、安宅さんには色々と御指導して頂いておりますから。
感謝こそすれ、貴方を責めるなんてあり得ませんよ。

…どうやったら女が集まるんですかね。
ヒルダとか鷹見以外で。』


「集めようとしたら、あの人達絶対嗅ぎつけて来ますよ。
普通に死人が出来ると思います。」


『アイツらすぐに暴力に訴えますからね。
私も普通に殴られてますし…
どうしようかな。』


「それ位、彼女達はトイチ先生に夢中なんですよ。」


『まあ、そういう訳で私はアイツらを引き付けておきますので。
安宅さん達は、たまに派手に息抜きして来て下さい。』


「息抜きと言われましても。」


『旅の途中でホストやらDJと連絡先を交換したので…
そいつらに頼んで夜のイベントを打ちましょう。』


「いやあ、私は陰キャだから。」


『なので、極限までセーブさせます。
陽キャが極限までセーブしたイベントなら、万人が楽しめるかな、と。
後でDJ斬馬さんに連絡取ってみます。』


「至れり尽くせりですなあ。
先生、私からお気遣いに対して何かお礼出来ませんか?」


『えっと。
じゃあ、ヒロノリさんとかエモやんさんがタンカーを探してくれているので。
チーム組んで倉庫か何かを抑えてくれませんか?』


「タンカー、ですか?」


『いや、後で皆が揃った時に発表するつもりだったのですが。
小麦や原油を増やしたいな、と。
いや肝心の小麦をどこで買えるかは知らないのですが。』


「ああ、そういうことですか。
話の流れを理解しました。

結論から言いますと、小麦や原油。
普通に手に入ります。」


『え? 買えるんですか?』


「例えば簡単に買う方法ですと、先物取引の時に《現受け》という方法で買うと、データではなく物で届きます。」


『へえ。』


「私は金塊を現物で買ったことありますし。
ああでも、穀物会社やら倉庫会社を設立するか買収した方が早いのか。」


『実はですね。
異世界でも普通に倉庫を買収したんですよ。』


「ほう、それで運用出来たのですか?」


『ええ、スキルが遠隔対応してくれました。
国境を跨いでも普通にカネが出ましたから。』


「ああ、じゃあ何とかなりそうですね。
わかりました。
では、まずは穀物を保管する倉庫を探してみます。

ちょっと検索しますね。
ああ、別にどこでも売ってるみたいですね。
倉庫の売買サイトがあるなんて初めて知りました。

えっと、倉庫を確保するとすればやはり関東でしょうか?」


『ええ、友人も木更津に倉庫を持ってますし。』


「なるほど、木更津っと。
ああ結構物件が出てますね。

7000万出せば千坪の倉庫が買えるみたいですね。
あ、こっちは穀物サイロ付き?
5000万で買えちゃうみたいです。」


『あ、じゃあお金払いますので
代わりに買っておいて頂けませんか?』


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

【所持金】

25億6023万3710円
  ↓
22億6023万3710円

※倉庫確保費用として3億円を安宅一冬に支給。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「承知しました!
この足で関東に戻ります。」


『すみません。
無茶振りばかりしてしまいます。
お釣りは日頃の謝礼としてお納め下さい。』


「いえいえいえ!」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【平原猛人】


「オマエに急ぎ報告したい事がある。
まずは見てくれ。
メルカリという売買サイトだ。」


『へえ、これが噂のメルカリですか。
光戦士の兄がアニメグッズを派手に転売してました。』


「ネット上の泥棒市として有名だからな。
で、これが今回の泥棒だ。」


『えっと、どれどれ。
名古屋市マスコットキャラクッキー。

あ!!』


「そう、金本さんが大量に用意してくれたのにすぐになくなっただろ?
多分、参加者の誰かが転売目的で盗んだのだろうな。」


『うわあ。
そういう事する人居るんですね。
ちょっとショックです。』


「で、今から急いで金本さんに報告と謝罪をする。
それが遅れると俺達が横流ししたような印象を与えてしまうからな。

第一報はさっきメールで送った。
今から電話するが、オマエ大丈夫か?
ちゃんと対応出来る?」


『…ええ。
私が管理責任を怠っておりました。
金本さんには申し訳ない事をしました。』


「それが分かっていれば十分だ。
この場合、謝罪以外にオマエが為すべき事はわかるか?」


『え…
えっと何でしょう。』


「光戦士の近況を伝え、そして金本さんと通話させることだ。
子供を持つ親は、誰だって不安を押し殺しながら外にやっているものだからな。
無論、男子の父親でそんな事を口に出す馬鹿は論外だが。
でも周りは気を遣うべきなんだ。」


『はい!』


「じゃあ、電話するぞ。
後手に回るのは良くないからな。

…もしもし金本さん。
今、お時間宜しいでしょうか?」


  「おーう、平原クン。
  昨日は大活躍やったね。
  イベント系のサイトでも紹介されとったよ。
  男前に写して貰っとったやんw」


「いえいえ、私などは若者の足を引っ張っていただけですよ。
それよりもメールで申し上げた件ですが…
クッキーの件、誠に申し訳ありませんでした。
遠市厘は厳重に管理していたのですが、私の不注意で盗難に遭ってしまいました。
金本さんには急ぎお詫びをと思いまして。」


  「ははは、パクりのパクりやなww
  いつも気を遣ってくれてありがとうね。
  遠市クンはそこに居るの?」


「はい。
今、本人に代わります。

…リン。」


『お電話代わりました、遠市です。
この度は誠に申し訳ありませんでした。』


  「いやいや、ええねんええねんw
  ウチの商品珍しいから、よくある事や。
  
  それよりもな。
  さっきの平原さんの話の持って行き方。
  中々出来ることやないから。
  ちゃんと学んでおきなさいね。」


『はい!』


  「客観的な感想やけど。
  イベントは成功やで。
  少なくともかなり注目されとる。」


『ありがとうございます。
金本さんにそう仰って頂けますと救われます。
どうしても自分の不手際ばかりに目が行ってしまっておりましたので。』


  「よく頑張ったな、遠市クン。」


『ありがとうございます!

…あの隣室に光戦士君が居るのですが。』


  「おう、ははは。
  お気遣いありがとう。
  アイツに連絡するの忘れとったわw
  お互い家に居る時はLINEで呼び合ったりするねんけどな?

  どうでっか?
  アイツ、お役に立つ人間になれそうですか?」


『今は、まだ伸び伸びと日常を楽しむ時期だと思います。
ただ、それはそれとして
私自身が少しでも彼に良い影響を与えられるように精進致します。』


  「…そうですか。
  ズンの奴は…
  いやピカも恵まれた。」


『私も!
光宙君が転校して来てくれて良かったです。
願わくば、もっと長く付き合いたかった。』


  「…ズンの奴を引き立ててやって頂ければ幸いです。」


『はい、お子さんとは大切な友人としてこの先も付き合って行きたいと考えております。
ただ、あの年齢の子が長期間親元から離れるのは好ましくないので、一度帰宅させて下さい。
…一緒に千林の総本店に挨拶に行く時間を作っても良いかもですね。』


  「ありがとう。
  そうしてくれるとワシも嬉しい。」


『では、猛人さん。
このスマホ、そのまま光戦士君に代わって大丈夫ですか?』


「ああ、呼んである。

光戦士、ちゃんと親に挨拶せんか。
ほら、電話代われ!」


『…あんなので良かったんですか?』


「さあな。
でも報告しないよりかは絶対に良い。
金本さん、オマエの事を相当気に入っておられるしな。」


『俺、自分だけ帰って来たのに…
猛人さんや金本さんとこんな風に話す資格があるんですかね。』


「ある。」


『でも、本来なら…』


「ある!」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【金本光戦士】


「ボクの名前はずんだもん!
そろそろ配信者として突き抜けたいワナビ枝豆なのだ!

昨日は名古屋でBBQイベント。
皆が肉を勧めてくれるのは嬉しかったんだけど。
こっちは配信したいだけなんすよね。
《つべこべ言わずに耳を揃えてプライバシー差し出しやがれ》
って思いながら和牛を食べてました。

まあ色々あったけど
変なきしめん焼きとパパ上のお手製クッキー以外は全部美味しかったので無問題(もーまんたい)

虎視眈々とバズるチャンスを狙い続けるのだ!」



『うむ、昨日はお疲れ様だったね。
少し夜が遅くなったが、ちゃんと眠れたか?』


「この陰キャ野郎マジレスで草。
ちゃんと眠れたのだ!」


『そうか。
お父さんにはちゃんと近況を報告したのか?』


「ちっちっち。
あのさあ、リン兄ちゃん。
ボクは多感なお年頃だから、親との関係性を問われるのはノーサンキュー。
そこら辺を配慮して欲しいんすよ。」


『ふむ。
すまなかったな。

だが古来より
《孝行したい時に親はない》
と言われている。
また不運にして子が先立ってしまうケースも珍しくはない。
なので、親が生きているうちに元気な声を聞かせてあげなさい。
お父様は君の成長をいつも気にかけておられるからね。』


「でも生命力的にはリン兄ちゃんが一番先に死にそうなのだ。
貧弱貧弱ゥ♪」


『異世界でも、呼び出した側から私はそう評価されていた。
だが結局私が生き残ってしまった。
それくらい、人の生死は予見できないものだ。

無論、君の年齢でそこまで達観するのは難しいだろうが…
それでも頭の片隅で意識しておいて欲しい。』


「あれ?
異世界ネタはオフレコでは無かったのだ?」


『無論、身内以外にはなるべくしないよ。
ただ、既に世界が私を異世界帰還者として認識しているからね。
あまり必死に否定し過ぎるのも、逆に疑念を抱かせてしまうかも知れない。
匙加減が難しい所だな。』


「ピカ兄ちゃんが言ってたのだ。
異世界転移はキチガイが有利に出来ているって。」


『ああ、そうか。
私は不利を覆せたらしいな。』


「え?」


『さて、イベントにも区切りが付いた。
私もこれで少しは自由に振舞えるようになった。」


「既に好き放題しているように見えてるのはボクだけなのだ?」


『光戦士君は何か欲しいものや行きたい場所はあるかい?』


「はーい♪ 沖縄に行きたいのだ♪」


『うむ、そうだな。
大阪は金本家の本籍地だ。
叔父さんや叔母さんにちゃんと挨拶に行かなきゃな。』


「っ!?
オ・キ・ナ・ワ。
南の楽園、沖縄!
コイツ顔だけじゃなくて耳まで悪いんすかね?」


『よし。
それでは後で私と大阪総本店に持参するお土産を買いに行こう。
心を込めて選ぶんだよ?』


「言葉が通じるのに話が通じない人って怖いのだ。」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【jet】


「おーう、おはよー。」


『おはよー。』


「平原さんのスマホで掛けてくるなよ。
気まずいだろ。」


『仕方ないじゃん、俺スマホ持ってないもん。』


「あの人、何か言ってた?」


『頭蓋骨が凹んだ部分の寝癖が付きやすくなったんだって。』


「今度、俺の愛用コームを贈呈するって言っといて。
俺の髪見てみ?
オマエとの通話直前にそのコームで梳かしただけだぜ?」


『そりゃあ高性能だ。
今起きたの?』


「結局、夜イベになったからな。」


『昨日はゴメンな。
本当は会場同士で通話する段取りだったのに。』


「仕方ないさ。
オマエ、スケジュールに追われてたからな。
回線自体は江本君が繋いでくれたから気にしないでいい。
名古屋城実況、結構評判良かったぞ。」


『え? そうなん?』


「やっぱり日本の城郭って見栄えするからな。
外国人観光客が写メ撮りまくってた。」


『うおお、マジかー。』


「で、本題。」


『うん。』


「TV局が1社。
新聞社が2社。
左派系の機関紙が1社。
取材に来た。
オマエの予想通り左派系の活動家が列を成して名刺渡して来たわ。
全連絡先を控えて、とりあえず江本君に提出したから。」


『色々やらせちゃってゴメンな。』


「だから、謝るなって言ってるだろ。
俺も好きでやってる事なんだからさ。」


『名古屋でさあ。』


「うん。」


『フリーペーパーやってるオッサンと逢ったんだ。』


「あ! オマエいい線行ってるな。
流石だわ。」


『jetが俺を褒めるなんて珍しいなw』


「いつも褒めてるだろw
要はマスコミの取材を受けるんじゃなくて、自分でメディアを持ちたいんだな?」


『話が早くて助かる。
でさあ、そのオッサンが名古屋でやってるフリーペーパーのフォーマットをそのまま模倣して欲しいんだ。
旅費・宿泊費全部出すから一旦名古屋に来てくれない?』


「その人を東京に呼んじゃダメなのか?」


『いや、ノウハウは一旦jetだけが握って欲しいんだ。
無論、その人にも十分な謝礼は払うから安心して欲しい。』


「なるほど、了解。」


『ちょっとずるい手なんだけどな?
今回取材にしに来たマスコミ、そこの広告主をそれとなくチェックしておいて。
ウチで取っちゃおう。』


「ウチ?」


『とりあえず【月間東京】。
悪いんだけどさ?
jetが編集長やってくんない?』


「あのなあ。」


『ゴメン。』


「一々謝るなよ。
それが必要なんだろ?」


『うん、上手く言語化出来てないけど。
この先必要になって来る。
多分、俺とオールドメディアで潰し合いになると思うから。
その前にカードを増やしておきたい。』


「とりあえず創刊から3か月は手伝うわ。」


『ありがと。』


「俺とオマエの作りたい紙面が相反したらどうする?」


『それも含めてjetに任せる。』


「了解。」


『じゃあ、報酬をオマエの口座に…』


「上限1000万。」


『えー。
もっと経費ガンガン掛けさせてくれよ。』


「初動から異常な額は掛けない方がいい。
読者はそこら辺の違和感に敏感だぞ。」


『言われてみれば、そうかも知れない。』


「かける金額を増やしたいのなら…
徐々にな。
あくまで徐々に増やすのがコツ。
最初はみすぼらしい位が丁度いい。」


『どうしてさ?』


「最初ボロい方が
《皆さんのおかげでこんなに大きくなりました》
って言えるんだよ。
初期読者や初期スポンサーに感情移入させやすい。」


『なあ、経済学部ってそういう事まで教えてくれるの?』


「一時ネトゲにハマってたからな。
的外れではないと思うぞー。」


『jetはゲーム上手そう。』


「上手いぞー。
ゲーム反比例の法則って言ってな?
現実世界が上手く行ってない弱い奴ほど、ゲームや異世界で頑張るって学説があるそうだから。」


『ああ、その法則正しいわ。
俺が保証する。』




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【鳩野】


「あの、すみません。
何か私、センパイのおまけなのにメンバーに入れて貰って。
というか、実家で色々庇ってくれて助かりました。
兄貴は昔から私に風当たりがキツイんですよ。」


『ああ、いえいえ。
私のパーティーには《家業手伝わない枠》があるのでお気遣いなく。』


「おお、流石ですねえ。
他にどんな枠があるんですか?」


『イケメン枠3つ駄目人間枠1つで、合計4枠です。』


「参ったなあ、3つしかない枠を私が頂いてしまうなんて
世間様に申し訳ないですよぉ。」


『「はっはっは」』


『これからどうするんですか?』


「兄貴が《そんなに戻りたいなら畑仕事を手伝え》と申してまして。」


『手伝うんですか?』


「そんな訳ないじゃないですか!
私、この世で一番農作業が嫌いなんですよ!!

だから、私も安宅センパイ共々、トイチ先生に使って貰いたいです。」


『多分、この後に安宅さんから説明を受けると思うんですけど。
私、あの人に仕事をお願いしたいので、サポートに回って頂けませんか?』


「私が役に立ちますかねえ。」


『学校の後輩って割と気軽に使えるじゃないですか。
そういう人間がサポートとして付いていると色々円滑に進むと思うんです。』


「見て来たように言いますねぇ。」


『イケメン枠がそう言っていたんですよ。』


「なるほど、私と同枠の人の言葉なら間違いないです!」


『「はっはっは」』



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


さて、と。
カネの話だ。
5人のコアメンバーを私室に集めた俺は本音で語る。


『金銭的には軌道に載りました。』


その一言で皆が察する。
無論、直訳すると
《元手が溜まったので投資資金の重要性が下落した》
という意味である。
俺はあまり考えを整理せず、浮かんだ順に想いを吐露する。

・今の俺の手持ちが数十億、投資資金も数十億。
・大切なコアメンバーの時間を割くほどの価値はないと思う。
・自分でステージが変わった事を強く自覚している。
・金銭的には自走のみで勝てる段階に入っている。
・今の俺がやるべき事は、鯨を殺す手法を確立することである。

忌憚なくそう伝えた。


『もしもパーティーからの離脱を望む場合は気兼ねなく申し出て下さい。
子孫三代に渡って生活に困らない額の慰労金を支払います。』


「子孫どころか一緒に呑みに行ってくれる女すら居ません」
と安宅が笑いながら述べた事によって、皆が残る流れとなった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


今日は、敢えてコアメンバーは誰も外出しない流れになった。
ひたすらカネの話、これからの話、それぞれが何をしたいか、どこへ行きたいかを率直に打ち明け合う。

途中、鳩野がコンビニでスナック菓子やジュースを買って来てくれたので、敢えてだらしなく寝転びながら作戦会議。
俺は異世界時代の事例も引き合いに出し、改めて自分の能力を解説した。


「理論上、遠隔行けますね。」


プリキュアチョコを齧りながら江本が語り始める。


「トイチさんは東京に居たままでいいんですよ。
金庫・金庫番だけ各主要都市に置いて、恩寵の儀を待つんです。
そしたら、動かなくてもレバレッジが効きます。」


『それだと配当にタイムラグが出ません?』


「いえ、そもそも論として日利配当なんてどこの金融機関もやってないですからね。
週利1%でもみんな喜びますよ。
どうしても日利で払いたい場合は、東京に来させればいいですやん。」


『わざわざ来させるのも心苦しいです。』


「いやいやトイチさん。
日利1%も支払ってあげる側の貴方がね?
自分から出向く必要はないですよ。
寧ろ、預金者達は喜んで来ますよ?
だって10億円預けてる人間は毎日1000万円貰える訳ですからね。
いや、普通にトイチさんの近所に引っ越して来るでしょ。」


『私、あちこちを動きますので。
わざわざ引っ越されても、申し訳ないですよ。』


「うーん。
仮にね?
今みたいにキャンプ生活を続けたとしてもね?
普通にみんなキャンピングカーに乗って付いて来ますよ。
トイチさんの進路に金持ちのテント村が誕生するだけの話やと思うんです。
ちょっと息苦しいかもですけど。」


参ったな。
異世界と同じ展開になって来た。
もはや思想的背景を疑われるレベル。


「どうしても日利配当したいんやったら
向こうに通帳作らせて提出させるんですよ。
通帳さえあったら口座に預け入れ出来るので。」


『ああ、その手はいいですね。』


「ただね?
他の皆さんもそうやと思うんですけど。
俺はトイチ劇場を特等席で見たいんですよ。
だから支店に派遣されるのは嫌です。

最初は金儲けでした。
でも、今はカネ抜きで構わないんで同行メンバーに入れて欲しいです。
だから、各地に金庫システムを採用するとしても…
俺以外の誰かにやらせて欲しいです。」


『大阪はエモやんさんのホームなので、喜んでもらえると思い込んでました。』


「それくらいトイチさんの側は面白いんです。
至高のポンジとか、俺あの場でずっと笑いを堪えてましたもん。
堪えすぎて死ぬかと思いましたよw」


『あれは天空院氏の手柄だからw
彼を誉めてあげて下さい。』


そこで寺之庄が挙手する。


「もうおカネを預けたい人は、金庫室ごとトイチ君に寄付させたらどうだろう。
頑丈な倉庫を各々に借りさせて、それぞれ自己責任で預けさせるの。」


『それって私のカネじゃなくないですか?』


「金庫にトイチ君の名前を書いて、鍵をトイチ君に預けたら…
トイチ君の資産って判定されない?」


『いや、どうでしょう。
正直、イケそうな気はします。
皆さんが検証してくれるなら、合わせますよ。』


「坊門会長で試してみる?」


『え? 誰?』


「ほら、ポンジ合戦で審査員席に座ってた人。
《天空院はんのポンジはカスや。》
って言ってたでしょう。」


『ああ!
口の悪いお爺さんが居ましたね。』


「高知の人だから勘弁してあげて。
若い頃に比べたら相当丸くなったみたいだし。」


『へえ、まあ高知なんて薩摩みたいなものですし。
あんまり厳しいチェックするのも良くないかもですね。』


「その坊門会長がトイチ君に相当入れ込んでるんだよ。
ねえ、後藤君。」


  「ええ、坊門会長は関西ではかなりの発言力をお持ちですし
  サービスの意味も込めて、預かってあげたらどないでしょう?」


『あ、じゃあそうします。
坊門さんの件は皆さんにお任せしていいですか?』


皆が頷いた流れで、金庫ごと預金システムは何となく本採用になってしまう。
いや、自分でもわかってるんだけどな。
多分それ、俺のカネとして判定されるわ。


最後に皆から《平原に能力の説明はしたのか?》と問われる。
そりゃあそうだろう。
最大のリスク要因だもんな。


『特に自分からは開示してなかった筈です。
打ち明けた記憶も、隠した記憶もないです。
ただ彼も馬鹿ではないので、あらましは理解してると思いますよ。』


《コアメンバーとして受け入れたいのか?》
と皆に尋ねるが、笑って否定される。
そりゃあそうだろうな。


「でも、リン君にとって一番コアな存在である事は理解している。」


飯田がそう言って話を締めくくった。
俺は《機会を見て彼には深い話をしておく》とだけ宣言した。


話はそれでおしまい。
後は皆でリビングでゴロゴロして過ごした。


後藤と江本が寝転んだまま大阪の預金者・預金希望者に《金庫ごと預金》スキームを説明。
俺が拍子抜けするくらい簡単に受け入れられていた。

結局、本日の預り金は先日から引き続き30億円。
皆は額の少なさに恐縮するがとんでもない話である。
それだけで俺の手残りは3億強もプラスされるのだから。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【所持金】

22億6023万3710円
  ↓
52億6023万3710円


※出資金30億円を預かり


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



皆にとっては煩雑だろうが、俺は頑なに資金の名義移動を行っている。
預かりも何も隣にあるキャリーケースに対して『お預かりします』と宣言するだけである。
半分はパフォーマンス。
コアメンバーに俺のスタンスを徹底して理解して欲しいのだ。
残りの半分は自分自身への戒め。
資本が断じて己の私物ではないと、自分に言い聞かせる為。
俺自身も再び私が許されない存在に戻りつつあるのだ。

そう。
天下は天下の天下なのだから。


《6億3122万8100円の配当が支払われました。》


重量60キロ強。
とうとう俺の細腕では持ち上がらなくなった。
つまり、単騎で動く事が許されない立場になったのだ。
他の資本家がそうであるように。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【所持金】

52億6023万3710円
  ↓
58億9146万1810円
  ↓
58億3146万1810円
  ↓
28億3146万1810円


※配当6億3122万8100円を取得
※配当金6000万円を出資者に支払い
※出資金30億円を別に保管


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


重量300キロ弱。
障碍が残っている俺にとっては車に積み替える事すら困難な重量である。
…誰か10億円札を発行してくれないかな。


日が沈む前に光戦士を連れて大須商店街に。
大阪にある彼の実家を尋ねる為の手土産を買う。
光戦士に選ばせた物とは別に俺も自分で選ぶ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【所持金】

28億3146万1810円
  ↓
28億3145万6410円

※守口漬木箱入り(愛知県扶桑町産)を5400円で購入。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「どうして守口漬なのだ?
守口市はボクの実家の千林の隣町なのだ。
こんなのお土産にならないのだ。」


『今日ずっと、猛人さんのスマホで名古屋土産を調べていたのだがね?
この守口漬は由来が面白いんだ。
大阪発祥の守口大根なのだが、今は殆ど愛知県が生産しているらしい。
なので、今や中京圏では大人気の名物となった。』


「…何が言いたいのだ?」


『深い意味はないよ。
ただ、君の口からお父様や叔父様叔母様にこの話をしてあげて欲しいんだ。
きっと喜んで下さることだろう。』


「…まあ、話くらいならしてやるのだ。」



金本光宙の分まで君が飛躍してくれれば嬉しい。
それに優る供養などある筈も無いのだから。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【名前】

遠市・コリンズ・厘



【職業】

神聖教団 大主教
東横キッズ
詐欺師



【称号】

女の敵



【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)

《LV》 12
《HP》 慢性的満身創痍
《MP》 万全
《力》  女と小動物なら殴れる
《速度》 小走り不可
《器用》 使えない先輩
《魔力》 ?
《知性》 悪魔
《精神》 マジモンのサイコパス
《幸運》 的盧

《経験》 29360

本日取得 0
本日利息 3146 

次のレベルまでの必要経験値11590

※レベル13到達まで合計40950ポイント必要
※キョンの経験値を1と断定
※イノシシの経験値を40と断定
※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定
※クジラの経験値を13000と仮定

※経験値計算は全て仮説



【スキル】

「複利」 

※日利12%
下2桁切り上げ 



【所持金】

所持金28億3145万6410円



【所持品】

jet病みパーカー
エモやんシャツ
エモやんデニム
エモやんシューズ
エモやんリュック
エモやんアンダーシャツ 
寺之庄コインケース
奇跡箱          
コンサル看板 
荒木のカバン  
天空院翔真写真集vol.4  



【約束】

 古屋正興     「異世界に飛ばして欲しい。」
 飯田清麿     「結婚式へ出席して欲しい。」
〇         「同年代の友達を作って欲しい。」
          「100倍デーの開催!」
          「一般回線で異世界の話をするな。」
          「世襲政権の誕生阻止。」
〇後藤響      「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」
          「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」
 江本昴流     「後藤響を護って下さい。」
×弓長真姫     「二度と女性を殴らないこと!」
×         「女性を大切にして!」   
〇寺之庄煕規    「今度都内でメシでも行きましょう。」
×森芙美香     「我ら三人、生まれ(拒否)」
×中矢遼介     「ホストになったら遼介派に加入してよ。」
          「今度、焼肉でも行こうぜ!」
〇藤田勇作     「日当3万円。」
〇堀田源      「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」
〇山田典弘     「一緒にイケてる動画を撮ろう。」
〇         「お土産を郵送してくれ。」
          「月刊東京の編集長に就任する。」
 楢崎龍虎     「いつかまた、上で会おう!」
 警視庁有志一同  「オマエだけは絶対に逃さん!」
×国連人権委員会  「全ての女性が安全で健(以下略)」
〇安宅一冬     「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」
 水岡一郎     「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」
×平原猛人     「殺す。」
          「鹿児島旅行に一緒に行く。」
          「一緒にかすうどんを食べる」
 車坂聖夜Mk-II   「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」
 今井透      「原油価格の引き下げ。」
〇荒木鉄男     「伊藤教諭の墓参りに行く。」
 鈴木翔      「配信に出演して。」 
×遠藤恭平     「ハーレム製造装置を下さい。」
〇         「子ども食堂を起ち上げる。」
〇田名部淳     「全財産を預けさせて下さい!」
 三橋真也     「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」 
 DJ斬馬      「音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用する。」
 金本宇宙     「異世界に飛ばして欲しい。」
 天空院翔真    「ポンジ勝負で再戦しろ!」
 小牧某      「我が国の防諜機関への予算配分」

〇木下樹理奈    「一緒に住ませて」


×松村奈々     「二度と靴は舐めないにゃ♥」
〇         「仲間を売るから私は許して♥」


〇鷹見夜色     「ウ↑チ↓を護って。」
〇         「カノジョさんに挨拶させて。」
〇         「責任をもって養ってくれるんスよね?」


×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」
          「王国の酒…。」
          「表参道のスイーツ…。」 
×         「ポン酢で寿司を喰いに行く。」

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