賢者様は世界平和の為、今日も生きてます

サヤ

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★人生相談

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「……ぷう」
 私と賢者様、コルスタン家四人と傍らに控えるメイド二人の合計八人で食堂の長テーブルを囲む。
 セザールはまだ公務中だと言って一緒に食事はせずに、アデリーとティー姉さんの世話を甲斐甲斐しく焼いている。
 私の前に並ぶ食事は、賢者様との野営時とは比べ物にならないくらい豪華な物がいくつもあるが、なかなか減らない。
 いつもならペロリと平らげ、賢者様のおこぼれを貰うくらいだが、今回ばかりはそれも出来そうに無い。
「……痛い」
 私は、パンパンに腫れて痛む頬を擦りつつ不平を漏らす。
 それもこれもジェルマンのせいだ。
 さっきまで私とジェルマンは道場で打ち合いをしていた。
 けれどそれは、打ち合いとは呼べないほどに一方的なものだった。
 ジェルマンは刀の切れ味が見たいと言っておきながら、私に刀を振り下ろす隙を一切与えず、ひたすらに打込んできたのだ。
 おかげで私は防戦一方、熾烈な攻撃に耐え切れなくなった木刀が砕け散るまで、身体中に傷を作り続ける羽目になった。
「カメリア、大丈夫かい?全く食事が進んでいないけど、やっぱり治療しようか?」
「ぷう。いいよ、これくらい」
 賢者様が心配してくれるが、私は彼の優しさを突っぱねる。
 ここで手を借りては完敗な気がする。いや、負けたんだけど。
「いや~、すまんすまん。目の前に真剣を突きつけられたせいか、ついなっちまった」
「買ったばかりなんだから止めてよ!?おじさんがカメリアの刀の切れ味を見たいって言ったから使ったのに……ってて」
 あんまり悪いと思ってなさそうに笑うジェルマンに怒鳴ってみるも、口の中が切れていて上手く怒れない。
「……ぷう。もういらない」
 せっかくのごちそうだが、痛い思いをしてまで食べたくはない。
 痛いのは嫌いだ。
 私はそのまま席を立ち、自分の部屋へと向かう。


「カメリア。ちょっといいか?」
 部屋で仏頂面のまま刀の手入れをしていると、ノック音の後にティー姉さんが入ってきた。
「父がすまなかったな。どうも加減を知らない人で。食事を持ってきたんだが、食べられるか?」
 ティー姉さんの手には、夕食に出た物とはまた違う、夜食用のような軽い物とスープだった。
 ぐぅ~……。
「……うん、食べる」
 私よりも先に腹の虫が返事をする。
 遅れて頷き、私は夜食へと手を伸ばした。
「まだ痛むか?」
 ティー姉さんは私の横に腰掛けながら聞いてくるが、私は首を左右に振った。
「ううん、もうほとんど痛くないよ。ほら、腫れてないでしょ?」
 もごもごと口を動かしながらティー姉さんに顔が見えるよう、私は髪の毛を手で掻き上げる。
 ほんの数時間前までパンパンだった頬は、ほぼ元通りのすっきりとした形に戻っていて、口いっぱいに物を含んでも痛みは気にならない。
 この辺りの回復の速さは、魔族としての特権だろう。
 それを見たティー姉さんも、安心したように微笑む。
「羨ましいな。私が父から教えを乞うていた時は、まる一日物が食べられない時なんてザラだったからな」
「うわぁ。カメリアには耐えられないよ。先生がティー姉さんで良かった」
「ふふふ。私もその内、父のようになるかもしれんぞ?」
「ええ?そうなったら、もう刀使うの止めるよ」
「どうだろうな?カメリアは筋が良いから、つい色々と試してみたくなるからな」
「ぷう。ティー姉さんのイジワル」
 私がふくれっ面をするとティー姉さんはようやく「冗談だ」と許してくれた。
「その刀、もう一度よく見せてくれるか?あの時はゆっくりと見れなかったからな」
「いいけど、アデリーはいいの?」
 手入れを終えたばかりの刀を鞘ごと手渡しながら聞くと、ティー姉さんは「ああ」とほんの少し呆れ顔で答える。
「もう寝ているよ。セザールの奴が甲斐甲斐しく世話をしてくれているから、私の出番は殆ど無いんだ」
「ふふ。アデリーの相手をしている時のセザール、すごく生き生きしているもんね」
「本当に。よく出来た夫で、優秀な執事だよ。……ふむ。レイピア程では無いが、細身で片刃か。確かによく斬れそうだ。父が興奮するのも頷ける」
 ティー姉さんは刀身を半分程鞘から抜き払い、照明の光を当てながら観察する。
「しかし、聞いていた物より随分と短いんだな」
「あー、それは脇差しだからね。太刀はこっちの木刀と同じ長さだよ」
「そのタチは持たなかったのか?」
 寝台横に立て掛けてある木刀を指差すと、ティー姉さんは不思議そうに首を傾げるが、私は苦笑いを浮かべるしかなかった。
 長すぎて上手く扱えないなんて、恥ずかしくて言えない。
「いやあ、その……」
「……ああ、そういうことか」
 ティー姉さんは何回か私と木刀を見比べニヤリと笑い、何がとは言わずに納得する。
「せっかくだから、そのうちタチも持てるといいな」
「ぷう。絶対持つもん!……ねえ、ティー姉さん。お腹の子はどう?もう姉さんをイジメてない?」
 私はティー姉さんの膨らんだお腹を心配しながら見つめる。
 そこに前はアデリーが入っていたが、あの時よりも膨らみが大きい気がして、このままハチ切れるんじゃないかと嫌な想像さえしてしまう。
「別にイジメられてはいないよ。この子も早く、外に出て来たいだけさ」
「もう出てくる?」
「その予定だ。無事に産まれたら、抱いてやってくれ」
「うん!早く出てきてね。カメリア、待ってるからね」
 ティー姉さんのお腹を優しく撫でていると、
 ……とん。
「わっ!?動いた!姉さん、今動いたよ?」
「だな。この子も、カメリアに早く会いたいらしい。もっと聞いてみるか?」
「え?」
「耳を当ててみるといい。音が良く聞こえるから」
「……」
 言われるがままに、私はティー姉さんのお腹に耳を当てる。
 すると、
 グググ~ッ。
「おおお?」
 耳を当てている箇所の内側から、何かが押し返してくる。
「え、何今の?赤ちゃん?」
「そうだな……。どうやら、出て来たいらしい」
「え?」
 顔を上げれば、少しだけ眉間に皺を寄せたティー姉さんが、苦しそうながらも嬉しそうに笑う。
「すまない、カメリア。私の部屋までメイド長を寄こしてくれるか?それからセザールと、父にも知らせてほしい。……産まれそうだと」
 上手れる……?うまれる……産まれる!
「わ、分かった!」
 言葉の意味を理解した瞬間、大慌てで外へと飛び出し、ティー姉さんに言われた人物、メイド長を探す。
 私にとって人探しはそれほど難しい事では無い。
 その人物の匂いを辿ればすぐに見つかる。
「た、大変!ティー姉さんがっ」
 食堂で数人のメイド達と後片付けをしていたメイド長を見つけ、大声で話し掛ける。
 急に話しかけられてメイド長含む皆がギョッとした。
「まあまあ、どうされたんです?カメリアさん」
「急いで行って!ティー姉さんが、産まれそうだって」
「まあ、それは大変!急いでお産の準備を。お湯と、タオルを沢山用意して!」
「は、はい!」
 私のたった一言でメイド長は迅速に指示を飛ばし、自身はティー姉さんの元へと急ぐ。
「カメリアはセザール達に知らせてくる!」
 私もまだ休むわけにはいかない。
 残りの頼まれ事を終わらせる為、私はセザールがいる部屋に向かう。
「セザール!」
「カメリア?どうかしたの」
 アデリーを寝かし終えていたセザールは何処かへ向かう途中だったようで、廊下で見つけた。
 今日の公務は全て終わったのか口調が柔らかくなっているが、今はそれどころでは無い。
「早く、ティー姉さんのところに!赤ちゃん、産まれるって」
「ええ?わ、分かった!ありがとう」
 報せを受けたセザールはお礼を言いつつティー姉さんの元へ向かう。
「あと一人……」
 私は残るもう一人がいる方向を見つめる。
 近くに賢者様と、お酒の嫌な匂いがぷんぷんしているが、行くしかない。


「あ、おじさん!」
「おお嬢ちゃん、悪いが後でな」
「あっ」
 部屋に向かう途中の廊下で、探していた最後の人物、ジェルマンが猛スピードで私の脇をすり抜けて行く。
 あの様子だと、誰かから話を聞いたようだ。
「……うっ」
 彼が通り過ぎた後、お酒の強烈な残り香が私に降りかかり、急いで手で押さえて、そのまま目的地だった部屋へと向かう。
「やあ、お疲れ様。ティーナ、産まれそうなんだって?」
 部屋の中には魔王の姿となった賢者様が窓を開けて換気をしているところだった。
「うん。ティー姉さん、苦しそうだった」
 私は窓際に寄りかかり、外の空気を名一杯吸い込む。
 ヒンヤリとした空気にお酒が混じるが、部屋の中のよりはだいぶマシだ。
「新しい命を生み出すんだ。そりゃ命掛けだよ」
「……うん」
 静まり返って虫の鳴き声だけがする庭に、時折悲鳴に似た呻き声が入り込む。
「……」
 だんだん聞いているのが怖くなって、顔を引っ込めその場にうずくまる。
「近くに行かなくて平気かい?」
 賢者様は窓を閉めながら聞いてくる。
「……賢者様は?」
「私はほら、こんな姿だからね。みんなを怖がらせてしまう」
 両手を広げて陽気に笑う賢者様の姿は、かつて世界を震撼させた魔王の物。
 最早その姿を覚えている者は少ないが、人間にとって気味の良い姿では無いだろう。
「なら、カメリアもここにいる。……行っても、メイワクなだけだもん」
 お山座りになって、その頂きに顎を乗せて答えると、賢者様も私の隣に座り込む。
なら、受けるよ?」
「……」
 どうやら、お見通しのようだ。
 私は目だけを一度彼に向け、再び正面を見つめて昼間の事を話す。
「昼間にね、ある花を美味しいんだよって、メイドさんに言ったの。そしたらその花の蜜には毒があるって教わって。……それはいいんだけど」
「けど?」
「……さっきメイド長を探してる時、聞こえちゃったの。カメリアとアデリーを二人っきりにするのはキケンだって」
 私が食堂に到着する前に会話は中断されていたが、それまでの内容はしっかりと私の耳に届いていた。


「やっぱり私達とは違うんですね」
「ええ。アデリー様にもしもの事があったらと思うとゾッとするわ。本当に恐ろしい」
「二人きりにするのは危険ですね。誰かが一緒にいないと」

 カメリアは恐ろしくて危険。……そうだよね。だってカメリアは、魔族なんだもん。
「なんだ、か」
 塞ぎ込んでいると、賢者様から信じられない言葉が飛び出す。
「そんな、こと?」
「ああ。だってそれは、当たり前の事だからね。何も君が魔族だから言っているわけじゃないよ?君がまだまだ子供だからさ」
「こども……」
 そう諭してくる賢者様の瞳は、とても穏やかだ。
「そう。子供は知らない事が多い。そのくせ向こう見ずというか、怖い物知らずで危険なんだ。だから私達大人が近くで見守っていなくちゃいけない。とても自然で、普通の事だよ。カメリアはそこで、ちゃんと学べば良いんだ」
 普通……。
「カメリアは、怖くない?」
「もちろん」
「……良かったぁ」
 心の底から安堵し、額を膝の頂きに埋める。
 良かった。失敗したかもしれないけど、終わりじゃない。私はまだ、人間でいられる。
 ぽん、と私の頭を賢者様の手が優しく撫でる。
「カメリア。私がここを気に入っているのはね、気を休められるだけじゃない。ここが君にとって、とても学びの多い場所だからだよ」
「カメリアにとって?」
「そう。ここには色んな人がいる。私達を受け入れてくれる人、そうでない人。どちらも人を知るのに、大切な存在だ。良い事も悪い事も取り込んで、どうするべきか、自分で判断出来るようになるにはとても良い所なのさ。だから、沢山悩むといい。一人で悩むのが辛かったら、今みたいに相談してくれればアドバイスもするよ。君が君らしく生きられるように、ね」
 賢者様の言葉は少しフワッとしていて、はっきりとは分からない。
 でも私は、ここにいても良いんだと、そう背中を押されたのはとても嬉しかった。
「ありがとう、賢者様」
「どういたしまして、お姫様」
 ホッとしたら、急に眠気が襲ってきた。
「寝てても良いよ。子が産まれたら、教えてあげるから」
「ん……」
 言葉に甘えて、私は意識を微睡みへと沈めていく。


 新しい生命が産声をあげたのは、朝日が昇る明朝だった。
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