グールムーンワールド

神坂 セイ

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CHAPTER Ⅰ

第36話 決闘

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「おお!辞退はなしか!いい心掛けだ!」

 千城がオレたちに楽しげに言った。

「はい、オレたちはあなたとの決闘を受けてたちます。地方隊員だからと言って、バカにはさせない」

 セイヤは剣を構えて千城を睨み付けた。

「ははは! いいぞ! だが、オレは地方隊員をバカにしている訳ではない! 弱いヤツが嫌いなだけだ!」

「そうですか」

 まわりの観客達もヒートアップして来ている。

「おお? やっぱりやるつもりらしいぞ!」
「いいぞ! その調子だ!」
「身の程知らずが! 支部長! また派手にやってください!」

 オレたちは観客たちを意識から外し、静かに闘志を高めていった。

「おお! 強い意思を感じるぞ! いつでもかかってきなさい!」

「いいんですか?」

 セイヤが問う。

「ああ! 来い!」

「では、始めます」

 セイヤがそう言った瞬間、ユウナが杖を掲げた。

「行きます! 強化結界ディバインドーム!」

 ユウナはオレたちを保護、強化する結界を広範囲に広げた。
 これでオレたちの身体活性能力がやや強化された。そして、アオイもいきなり技を繰り出す。

王級飛斬散弾ギガストラッシュショット!!」

ドドドドドン!!

(直撃だ!)

 オレもアオイと同時に威力重視の弾丸を連発している。手応えはあり、間違いなく当たっていると確信した。

弱化付与サブバードアディション!」

(これは、弱体化の魔術か? ユウナはこんなものも使えるようになっていたのか!)

 オレと、ユウナ、アオイは連続攻撃を続け、打ち合わせ通りにセイヤが千城に攻撃を仕掛けた。

帝級衝撃剣テラインパクト!!!」

ズッドォーン!!!

 激しい衝撃音がこだました。

「どうだ!?」

 オレが叫ぶと、ユウナがさらに魔術を仕掛けた。

「煙を払います!王級風嵐球ギガストームボール!」

「!!」

 風の魔術であたりに舞い上がったホコリを払うと、千城がそのままの位置に立っていた。
 多少ダメージは与えたようだが、不敵に笑みを浮かべている。

「なかなかやるではないか! けっこう痛かったぞ!」

(肉体活性にも程があるだろう! B級グールだってバラバラにする攻撃なのに!)

「今度はこちらから行くぞ! 帝級飛拳散弾テラソニックショット!!」

 オレたちから離れた場所にいる千城が拳を振るうと、光る拳がいくつもオレたちに向かって飛んで来た。数と速さがとんでもない。

「避けろ!」

 セイヤが叫ぶとオレたちは思い思いの方向に回避をした。ギリギリだ。

「どんどんいくぞ! 帝級土岩飛拳散弾テラストーンソニックショット!!」

(とんでもない攻撃だ!!)

 さっきの大量の飛ぶ拳の攻撃がなんと岩を纏って再度飛んで来た。まだ初擊の拳から発生した大量の光弾は終わりきっていない。

「うおおお!!」

 オレは全力で銃を撃ち、千城の攻撃の威力を殺しながら、なんとか回避に成功しつつあった。

二重帝級飛拳散弾ダイテラソニックショット!!」

 千城は、オレたちが攻撃を避けきる前にさらに次の技を繰り出した。

(もう次の攻撃が……!! か、数が凄すぎる……!)

帝級テラ級の合成技を3連発なんて……!」

「何とか避けろ!」

 ユウナは驚愕しているが、セイヤが必死の言葉を皆に叫んだ。

ドドドドドドドド!!!

 千城の飛ぶ拳が一帯に注いだ。

 その時、アオイが何かを叫んでいた。
 
 そして気がつくと、オレたちの前、千城の近くにアオイが倒れていた。
 血だらけだ。いや、血みどろと言った方がいい。
 そしてアオイの剣が折れて転がっていし、一目見て間違いなく重傷だ。

「アオイ!!」

 オレは見えたし、聞こえた。
 アオイがあとは頼むと言ったことを。彼女が千城の攻撃を身を盾にして、オレたちへの弾幕を薄くしたの事を。

「なにやってんだ!!」

 アオイは大技を出して、ある程度の攻撃を相殺したようだが、それでも深刻なダメージを受けてしまった。
 一刻も早く、治療を施さなければいけない。

「おおお!!」

 オレは銃撃を可能な限り速く連発して、千城の動きを牽制した。

「おお! いい気迫だ!」

上級治癒メガヒール!」

 そのスキに、ユウナがアオイに治療をかける。
 セイヤもケガは負っているが、オレの牽制射撃の数瞬ですばやく相手に近づいていた。

「うおお!帝級飛斬剣テラストラッシュ!!」

ズバァン!!

 ストラッシュとは本来斬擊を打ち出す技で、距離を取って使うものだ。
 セイヤは今回、ゼロ距離でその技を使い、威力の底上げをしていた。
 だが。

「ぐう、やるなあ!!」

 千城は直撃を受けて少々の出血をしているが、まだまだこちらへ笑みを浮かべていた。
 なんと、千城は片腕でセイヤの剣の攻撃を受け止めていた。その間もオレは銃撃を続け、何発も直撃を与えている。
 だが、千城の体は青白く光っており、たいして気にも止めていない。

(なんなんだ!あれ!肉体に込めた魔素が見えてるのか!?)

 千城が腕を振り上げた。

帝級爆発拳テラエクスプロージョン!!」

ズドオオオン!!

「セイヤ!!!」

(あ、あれは、A級グールでも吹き飛ばしそうな攻撃だ!ヤバい!セイヤは!?)

 見ると何とユウナがセイヤの横にいた。直撃の直前に障壁を張って、威力を殺したのだろう。
 ただ、二人の剣と杖は砕けており、どさっとふたりとも倒れてしまった。

「ユウナ! セイヤ!」

「うおおお! さすがだ! 支部長!」
「あと一人だ! 決めてくれ!」
「そんなに大技決めながら、肉体にも魔素を込めるなんて、あんたは異常だ!」

 観客が盛り上がっている。

(ふざけんな……! このまま終わってたまるか!)

 しかし、どうすれば良いのかまるで検討もつかない。
 素早く射撃を続けても、千城にダメージらしいものは与えていない。

「もう終わりにするぞ!」

(ヤバい! また来る!)

三重帝級飛拳散弾トライテラソニックショット!!!」

 千城の拳から、バカみたいな数の拳型の光弾が放たれた。

(ここまでか……! オレなんてただ魔素が多いだけ……! ユウナも異常って誉めてくれてたけど、それだけだ……!)

 オレは何かに閃いた気がした。

(待てよ、さっきも異常って……?)

 オレはその瞬間、千城が体内の魔素を肉体に込めていることに気がついた。当たり前だ。そうやって、異常な魔素量を使って異常な身体能力を得ているのだ。

(だけど……、異常な魔素ならオレも持ってる!!)

「うおおおおお!!!」

 オレは千城の攻撃の比較的密度の低い場所を銃で撃ちながら前に踏み出した。

「お前の覚悟は認めてやろう! だが、それでは体がバラバラになるだけだ!」

ドドドドドドドド……!!!

 雨の様に降り注ぐ光弾の中から、オレは飛び出した。

「なに!?」

 千城が初めて驚愕の表情を浮かべる。
 それはそうだろう。A級グールでもバラバラにできる攻撃を受けて、ただの人間のオレが生きていたのだから。

 オレは自分の魔素を肉体に込めた。一瞬のことで、賭けだったが、成功した。
 今、オレの体はとてつもない力と強度を秘めていた。

「うおおお!!」

ガン!

 オレは千城の顔を殴り、吹き飛ばした。
 だが、倒れた千城は一瞬で起き上がり、オレに弾丸の様なスピードで向かってきた。

「ふははははは! 素晴らしいぞ! お前たちは! まさかここで肉体強化に目覚めるとはな!!」

 千城の口からは血が一筋流れている。

帝級爆発拳テラエクスプロージョン!!」

「おおお!」

 オレも銃を撃ちながら、千城に向かっていった。

ズゥドゥーン!!

 銃が砕け散ったのを視界の端に見ながら、オレは気を失った。
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