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CHAPTER Ⅰ
第55話 新魔銃
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微睡む意識の中で、妹達の声が聞こえた。
オレを励ます声。
オレを気づかう声。
ナナ、ラク、ユキの声だ。
(もうすぐ帰るよ……心配するなって……)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
オレは目を開いた。真っ暗な空しか見えなかったが、周りが割りと騒がしいことに気付いた。
「ううっ……体中痛いし、いつも通り動けない……」
オレもグールとの戦闘の後に気を失って目覚めるのも慣れてきた。
今回はS級グールと戦って気を失ったんだと思いだし、顔を動かした。オレは何かの荷台のような場所に寝かされており、近くではセイヤや御美苗も同じように横になって寝ているのが分かった。
「佐々木さん!? もう目が覚めたんですか!?」
「ゆ……ユウナ?」
オレが顔を捻るとユウナの驚いた顔が見えた。
「佐々木くんは強化肉体の保持者だからね。まあ、こういうこともあるわよ」
刎野もユウナの横にいるようだ。
声が聞こえる。
だが、これ以上体を捻って視界を動かすことができそうにない。
体もほとんど動かない。
「佐々木くん、あなたグールに激しく殴られたりして地面を抉る取るくらいめり込まされたのよ。両足もいっちゃってるし、もっとゆっくり寝てていいわよ」
(い、いっちゃってる……??)
どういうことか激しく気になったが、全身至る所が痛いのと、体を起こすこともできないので自分の足元に目も向けられない。
「佐々木さん、今は都市から来てくれた救護部隊と一緒に都市へ帰還中ですよ。体もちゃんと元通りになりますから! ゆっくり休んでください」
「ゆ、ユウナ……みんなは無事なのか……?」
オレは自分の体よりも、皆の安否が気になった。
「ええ。全員生きてます。私達結城班、御美苗班の皆さん、千城さんも、東班の皆さんもです」
ユウナは優しくオレに微笑みかけた。
「そ、そうか……よかった……本当に……」
オレはまた、微睡みに身を任せた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その後。
オレたちは都市に帰還して北部支部の治療室で回復に努めた。
オレは脚がぐちゃぐちゃ(直接見た刎野談)になってしまい、回復に10日掛かった。
オレはかなり重傷だったらしく、次に目が覚めたのは都市に帰還して2日後のことだった。
オレが起きたときにはオレの脚は治癒帯でぐるぐる巻きになっていたので、直接は自分の怪我は見ていない。
東班も皆重傷で、東は右足の膝下を失い、一ノ瀬は右手、中井は片眼を潰されていた。
だが、魔術文明の医療技術では再生も可能とのことで1ヶ月もすれば戦線に復帰できると聞いて安堵していた。
そうして暦も6月を過ぎ、オレたちは訓練も再開することが出来ていた。
セイヤ、ユウナ、アオイも勿論一緒だ。オレは皆で話をしながら、訓練をしていた。
「それで、佐々木の銃の手配はどーなってんだっけ?」
「ああ、千城支部長が今日もって来てくれるそうだ」
アオイの疑問は色々と通達を受け取る班長のセイヤが答えた。
「佐々木さんなら前のヤツより強力な銃の方がいいですよね」
ユウナはオレの装備の向上を希望している。
「え? なんで?」
「それは、前の戦いでS級にした攻撃ですよ。佐々木さんの最大威力の銃撃は、前の銃では耐えられなかった訳ですから」
「ああ……でも、あれは……」
(火事場の馬鹿力ってのもあるけど、またあれだけの攻撃をすることがあるかな……)
オレの魔銃が壊れたのはただオレの使い方が無茶だったからだと思っている。特にオレの能力が秀でていてそうなったとは考えていなかった。
ドン!
(!?)
突然オレたちの前に何かが降ってきた。
「うむ! 頑張っているな! 感心だ!」
千城だ。
この人だけはS級グールとの戦いの翌日も討伐に出たらしい。
やっぱり化け物だ。
そしてなぜか毎回空から現れる。
「支部長、ちょうどあなたの話をしていた所です。セイの銃の件ですよね?」
セイヤが空から降ってきたことなどまるで気にせず、冷静に千城に話し掛けた。
「うむ! いや、違うが! 同じ話だ!」
(え? なんだよ?)
「結城班! 全員オレについてこい!いいな!!」
「え?」
ドン!
(飛んでくなよ!!)
オレとセイヤは強化肉体を活用して空を駆ける千城の後を追い、何とか見失わずに目的地に着いた。
今は通信装置を介して遅れているユウナとアオイに居場所を教え、合流したところだ。
「遅いぞ!」
この人はオレたちを案内する気はないとだけ確実にわかった。
「ここは?」
置き去りにされたことなどまるで気にせずセイヤが静かに問いかけた。
(さすがクールなやつだ!)
「ここは、支部長室だ! 何回か来ただろう!」
(いや、そうだけど。中に入ったことはないな。いつも結局支部長は練兵場にいるし)
「入れ!」
(ここに呼び出してくれたら良かったのにな……)
そんなことを思いながらオレたちが扉をくぐると、中には刎野と東班の3人がいた。
東は車椅子に乗っている。だが、失った足はもう再生できているようだ。
「あれ、皆さん……?」
今日はオレの銃を貰うだけだったはずだと、この状況を不思議に思う。
「ケガは直ったようね。みんな」
刎野がオレたちに声を掛けた。
「モモ? これは何の集まりなんだ?」
セイヤもさすがにこれは何だと刎野に問う。
「セイヤ、まずは前回の任務ご苦労様」
「あ、ああ。ありがとう」
「あなたたち、結城班並びに御美苗班が居なければS級グールは討伐できてなかったわ」
「これは、論功の会なのか?」
(ああ、なるほど)
論功とは、功績を論じる、つまり活躍の対価を与える集まりとなる。この前の任務でそれなりに頑張ったオレたちに恩賞として銃などを渡すために労いに集まってくれたのだろう。
「ええ、そうね」
「ますば前回任務で銃を失った佐々木くん、あなたに新たな魔銃を授与するわ、受け取って」
そう言って、重厚な箱から大きめの銃を取り出した。
オレが前に使っていたものよりかなり大きい。
もう鉄の塊のように重いが、細部まで装飾を施されておりかなり貴重な品だというのことは分かった。
「あ、ありがとうございます」
ずしっとした重みを感じながらオレは新しい武器を受け取った。
「これは本来中央部所属のAAランクの銃術士、それも魔素保有量が一般よりも多い人に与えられるものよ。AA級隊員専用魔銃の一点ものよ」
「そ、そんなものをオレに……?」
「あなたの魔素保有量、CNV値は今回の検査の結果、37000を越えていることが分かったわ。これはA+級の平均よりも上よ」
「そ、そうなんだ」
(また良く分からない単語が出てきた……どこかで聞いたような……)
「そしてあなたは前回、魔銃にあり得ないほどの魔素を入力しているわね? あんなことが出来る人はめったにいないわ。あの銃自体がA級用だけど、それを故障させるような量の魔素入力なんて能力者は本当に稀よ」
「能力者って……」
「まあいいわ。あなたにはその銃を使ってもらう。魔素の入力上限は前回の5倍、出力上限も5倍よ。経絡開放者にも対応できる。弾丸のストレージデバイスはなしで、銃身に直接入力式よ。逆にそれだけの魔素を常にストレージし続ければならないけど、あなたなら大丈夫ね」
(5倍……、良く分からないけどまあ何とかなるのかな……?)
「それじゃあ、本題に入るわ」
(あ、この銃は本題じゃないんだ……)
「前回の任務でS級グールと交戦して気付いたのだけど」
「何に気付いたんだ、モモ?」
「敵の攻撃の目標よ。敵の軍は一貫して狙いを定めて行動していたわ。つまり」
そこで吻野は一度息を吸い、オレを見た。
「敵の狙いは佐々木くんね」
「……は?」
オレを励ます声。
オレを気づかう声。
ナナ、ラク、ユキの声だ。
(もうすぐ帰るよ……心配するなって……)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
オレは目を開いた。真っ暗な空しか見えなかったが、周りが割りと騒がしいことに気付いた。
「ううっ……体中痛いし、いつも通り動けない……」
オレもグールとの戦闘の後に気を失って目覚めるのも慣れてきた。
今回はS級グールと戦って気を失ったんだと思いだし、顔を動かした。オレは何かの荷台のような場所に寝かされており、近くではセイヤや御美苗も同じように横になって寝ているのが分かった。
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「ゆ……ユウナ?」
オレが顔を捻るとユウナの驚いた顔が見えた。
「佐々木くんは強化肉体の保持者だからね。まあ、こういうこともあるわよ」
刎野もユウナの横にいるようだ。
声が聞こえる。
だが、これ以上体を捻って視界を動かすことができそうにない。
体もほとんど動かない。
「佐々木くん、あなたグールに激しく殴られたりして地面を抉る取るくらいめり込まされたのよ。両足もいっちゃってるし、もっとゆっくり寝てていいわよ」
(い、いっちゃってる……??)
どういうことか激しく気になったが、全身至る所が痛いのと、体を起こすこともできないので自分の足元に目も向けられない。
「佐々木さん、今は都市から来てくれた救護部隊と一緒に都市へ帰還中ですよ。体もちゃんと元通りになりますから! ゆっくり休んでください」
「ゆ、ユウナ……みんなは無事なのか……?」
オレは自分の体よりも、皆の安否が気になった。
「ええ。全員生きてます。私達結城班、御美苗班の皆さん、千城さんも、東班の皆さんもです」
ユウナは優しくオレに微笑みかけた。
「そ、そうか……よかった……本当に……」
オレはまた、微睡みに身を任せた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その後。
オレたちは都市に帰還して北部支部の治療室で回復に努めた。
オレは脚がぐちゃぐちゃ(直接見た刎野談)になってしまい、回復に10日掛かった。
オレはかなり重傷だったらしく、次に目が覚めたのは都市に帰還して2日後のことだった。
オレが起きたときにはオレの脚は治癒帯でぐるぐる巻きになっていたので、直接は自分の怪我は見ていない。
東班も皆重傷で、東は右足の膝下を失い、一ノ瀬は右手、中井は片眼を潰されていた。
だが、魔術文明の医療技術では再生も可能とのことで1ヶ月もすれば戦線に復帰できると聞いて安堵していた。
そうして暦も6月を過ぎ、オレたちは訓練も再開することが出来ていた。
セイヤ、ユウナ、アオイも勿論一緒だ。オレは皆で話をしながら、訓練をしていた。
「それで、佐々木の銃の手配はどーなってんだっけ?」
「ああ、千城支部長が今日もって来てくれるそうだ」
アオイの疑問は色々と通達を受け取る班長のセイヤが答えた。
「佐々木さんなら前のヤツより強力な銃の方がいいですよね」
ユウナはオレの装備の向上を希望している。
「え? なんで?」
「それは、前の戦いでS級にした攻撃ですよ。佐々木さんの最大威力の銃撃は、前の銃では耐えられなかった訳ですから」
「ああ……でも、あれは……」
(火事場の馬鹿力ってのもあるけど、またあれだけの攻撃をすることがあるかな……)
オレの魔銃が壊れたのはただオレの使い方が無茶だったからだと思っている。特にオレの能力が秀でていてそうなったとは考えていなかった。
ドン!
(!?)
突然オレたちの前に何かが降ってきた。
「うむ! 頑張っているな! 感心だ!」
千城だ。
この人だけはS級グールとの戦いの翌日も討伐に出たらしい。
やっぱり化け物だ。
そしてなぜか毎回空から現れる。
「支部長、ちょうどあなたの話をしていた所です。セイの銃の件ですよね?」
セイヤが空から降ってきたことなどまるで気にせず、冷静に千城に話し掛けた。
「うむ! いや、違うが! 同じ話だ!」
(え? なんだよ?)
「結城班! 全員オレについてこい!いいな!!」
「え?」
ドン!
(飛んでくなよ!!)
オレとセイヤは強化肉体を活用して空を駆ける千城の後を追い、何とか見失わずに目的地に着いた。
今は通信装置を介して遅れているユウナとアオイに居場所を教え、合流したところだ。
「遅いぞ!」
この人はオレたちを案内する気はないとだけ確実にわかった。
「ここは?」
置き去りにされたことなどまるで気にせずセイヤが静かに問いかけた。
(さすがクールなやつだ!)
「ここは、支部長室だ! 何回か来ただろう!」
(いや、そうだけど。中に入ったことはないな。いつも結局支部長は練兵場にいるし)
「入れ!」
(ここに呼び出してくれたら良かったのにな……)
そんなことを思いながらオレたちが扉をくぐると、中には刎野と東班の3人がいた。
東は車椅子に乗っている。だが、失った足はもう再生できているようだ。
「あれ、皆さん……?」
今日はオレの銃を貰うだけだったはずだと、この状況を不思議に思う。
「ケガは直ったようね。みんな」
刎野がオレたちに声を掛けた。
「モモ? これは何の集まりなんだ?」
セイヤもさすがにこれは何だと刎野に問う。
「セイヤ、まずは前回の任務ご苦労様」
「あ、ああ。ありがとう」
「あなたたち、結城班並びに御美苗班が居なければS級グールは討伐できてなかったわ」
「これは、論功の会なのか?」
(ああ、なるほど)
論功とは、功績を論じる、つまり活躍の対価を与える集まりとなる。この前の任務でそれなりに頑張ったオレたちに恩賞として銃などを渡すために労いに集まってくれたのだろう。
「ええ、そうね」
「ますば前回任務で銃を失った佐々木くん、あなたに新たな魔銃を授与するわ、受け取って」
そう言って、重厚な箱から大きめの銃を取り出した。
オレが前に使っていたものよりかなり大きい。
もう鉄の塊のように重いが、細部まで装飾を施されておりかなり貴重な品だというのことは分かった。
「あ、ありがとうございます」
ずしっとした重みを感じながらオレは新しい武器を受け取った。
「これは本来中央部所属のAAランクの銃術士、それも魔素保有量が一般よりも多い人に与えられるものよ。AA級隊員専用魔銃の一点ものよ」
「そ、そんなものをオレに……?」
「あなたの魔素保有量、CNV値は今回の検査の結果、37000を越えていることが分かったわ。これはA+級の平均よりも上よ」
「そ、そうなんだ」
(また良く分からない単語が出てきた……どこかで聞いたような……)
「そしてあなたは前回、魔銃にあり得ないほどの魔素を入力しているわね? あんなことが出来る人はめったにいないわ。あの銃自体がA級用だけど、それを故障させるような量の魔素入力なんて能力者は本当に稀よ」
「能力者って……」
「まあいいわ。あなたにはその銃を使ってもらう。魔素の入力上限は前回の5倍、出力上限も5倍よ。経絡開放者にも対応できる。弾丸のストレージデバイスはなしで、銃身に直接入力式よ。逆にそれだけの魔素を常にストレージし続ければならないけど、あなたなら大丈夫ね」
(5倍……、良く分からないけどまあ何とかなるのかな……?)
「それじゃあ、本題に入るわ」
(あ、この銃は本題じゃないんだ……)
「前回の任務でS級グールと交戦して気付いたのだけど」
「何に気付いたんだ、モモ?」
「敵の攻撃の目標よ。敵の軍は一貫して狙いを定めて行動していたわ。つまり」
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「……は?」
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