181 / 264
CHAPTER Ⅳ
第178話 新トウキョウ都市防衛戦⑩
しおりを挟む
5月31日 23:40
伊達は新たに手に入れたS級魔導石、そして新たな魔剣、新たな隊服を装備しており以前よりもかなり実力をアップさせていた。
しかしそれでもディリップというSSS級グールが相手では伊達の劣勢はどうしても否めなかった。
「くそが!!」
攻めあぐねているまま段々と傷を負わされている状況に焦燥を感じ、伊達は悪態をついた。
「しつこい虫だ。そろそろ死ね」
ギャオオオ!!
ディリップが大きく両手を振るうと激しく光の波が巻き起こり、凄まじいスピードと規模で伊達へと迫った。
「おおお!!! 帝級転流!!、立方第五励起!!!」
伊達は力を振り絞って敵の攻撃に魔素の奔流をぶつけたが、明らかに力負けしている。
「アベル!!」
「伊達マスター!」
「リュウさん!! 二宮!!」
ここで阿倍野と二宮が伊達に並び立ち、3人でディリップの攻撃をなんとか打ち破った。
「はあ、はあ、はあ!」
伊達はまだ戦うことは可能だが、すでにかなりの消耗だ。阿倍野と二宮もそうとうな傷を負っている。
「粘るな。だが貴様たちの命も残りは少ないな」
「言ってろ。グールが!」
「阿倍野、貴様はまだ活きがいい。確かにここのお前を殺しても別に存在するお前をも殺さねば完全には死なないだろうからな」
「そんなことは関係ない」
「なに?」
「オレたちはお前をここで倒すからだ!!」
「くっくっく、儂にどう勝つというのだ? お前の部下たちもすでに瀕死だ」
「勝つ気でやらなきゃ勝てないんだよ!!」
ドウウ!!
阿倍野は体内に貯めた膨大な魔素を爆発させて地を蹴り、一瞬にも満たない時間でディリップの懐に飛び込んだ。
「おおお!! 究極破砕拳!!」
ドオオンン!!!
「阿倍野さん!!」
阿倍野は魔素を体外に放出する魔技の類いは使えない。しかし体内のみに魔素を集中させた格闘技ならばギリギリ使える。
二宮は阿倍野がディリップと格闘戦を始めたのを見ると、すぐに魔素の集中を始めた。
「喰らえ……!! 閃光牢獄鎖!!!」
ギュオオオオオ!!!
二宮の繰り出した技は二振りの光の剣を伸長して敵を捕らえ、閉め潰す技だった。
片腕が粉砕骨折をしていることにも構わずに、二宮は闘衣纏身、闘脈潮身を使い無理やり剣を振るった。
「むう!?」
直接攻撃ではないことに少しだけ怯んだディリップだったが、阿倍野の追撃が来る前に体から魔素を放出させてその光の鎖をちぎり飛ばした。
「な、なんだと!?」
二宮は究極級をも大きく上回る魔素を込めた自分の光の鎖が一瞬で破られたことに驚愕していた。
しかし阿倍野は構わずに拳を振りかぶった。
「充分だ!! 究極破砕拳!! 五連!!!」
ドドドドドオオオオ!!!!
阿倍野の連続攻撃は確かにディリップへ直撃した。
「ぐ……う! さすがと、言ってやろう……」
ディリップはかなりのダメージを受けながらも阿倍野の攻撃を受けきり、立っていた。
「……くそ」
ドオオオンンン!!!
阿倍野は至近距離で爆撃を受けて大きく吹き飛ばされた。
しかし、この隙に二宮が再度攻撃を仕掛けていた。
「閃光烈迫斬!!!」
ズドドオオオ!!!
重い衝撃音と閃光が迸った。
そして光が収まった後には、黒焦げの手のひらを二宮に向けたディリップが立っていた。
「惜しかったな。儂の左手が使い物にならなくなったわ……。死ね」
「ぐっ……!!」
ドオオオオオンンン!!
阿倍野に続き、二宮も吹き飛ばされてしまった。
「さて、後はお前だけだ」
ディリップは伊達を見るが、伊達はすでに膝をついてディリップを睨み付けるのみだった。
「……」
ディリップが無言で手を掲げた時、足元に光の弾がいくつも現れディリップを包んだ。
「間に合ったな……! 帝級伏昇転流!!、立方第五励起!!!」
ギャオオオ!!!
伊達が魔技を発動させた瞬間、ディリップの足元に配置された100を越える術式点が相互に反応し、大型の魔方陣を作り出した。そして一気に陣の中に魔術の嵐が吹き荒れた。
「こ、これでやったか……?」
伊達は魔素を使い果たし剣を杖がわりに何とか片膝をついて爆心地を睨むが、そこに蠢く存在を見つけてしまった。
「う、嘘だろ……!」
ドオオオオオンンン!!!
伊達も阿倍野たちと同様にディリップの強力な攻撃を受け、大きく宙を舞った。
「ぐ……。忌々しい……!」
ディリップは片足を引きずりながら土煙の中から歩み出てきた。
「だが、これで一気に邪魔な害虫どもを駆除できそうだな……」
誰が聞くでもないがディリップはそう呟くと、阿倍野たちが倒れている方へと脚を向けた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ま、まさか……、伊達さんまで……!?」
オレは強化聴覚と新しく発現した遠くを認知できる能力で戦況は把握出来ていた。
つまり阿倍野、二宮、伊達がやられてしまったことは分かっていた。
「セイさん! みんなは……? この反応は!?」
「み、みんなやられちまったのか!!?」
ユウナとアオイは魔素の霧で視界は効かないが、魔素感知でおおよその状況はわかるようだ。
「……だ、だけど! 阿倍野さんたちはまだ死んだわけじゃない! 助けなきゃ……!!」
「は、はい!」
「やるしか、ねーな……!」
オレたちは覚悟を決めたが、セイヤは相変わらずうなだれたままだ。
「行こう! ……セイヤ! 待ってるぞ! 仲間を、都市を守るぞ!」
「佐々木くん……みんな……」
鈴子は両手から血を流しながらも、セイヤの治療を続けてくれている。
「鈴子さん! セイヤを頼みます!」
ドウゥ!
オレは高速機動で阿倍野たちの前にいるディリップに近付いた。
「うおお!! 四重織女星戦衣!!」
オレは肉体を強化して敵の攻撃に備えた上、銃を構えた。
「全兵能装甲最適! 四重天輪弾!!」
ドギャギャギャウウ!!!
オレは今の自分にできる最大の攻撃を放った。ユウナとアオイもすぐにオレに続いて攻撃した。
「神級火炎継続発出!!」
「神級飛斬剣連撃!!」
ドドオオオウウウ!!
激しい攻撃がディリップに叩き込まれた。
オレたちはこれで何とかディリップを倒しきろうと、必死で攻撃を仕掛けていた。
その時、爆炎の中からいくつかの光の弾が飛んできた。
ドドドンン!!!
「あああ!」
爆音と共にユウナとアオイの悲鳴が聞こえた。
この光の弾はディリップの放った爆弾のようなものだった。
「ユウナ!! アオイ!!」
オレが2人に目を向けた瞬間、オレの目の前にも光の弾がいくつか飛んできていた。
(ヤバい!! 回避しないと……!!)
オレは何とか身をよじり弾をかわしたが、その光の弾はぐるんとUターンしてまたオレへと向かってきた。
「だ、ダメだ……!!」
オレは初撃をかわすので態勢を崩してしまっていて、すぐには動けない。
オレは直撃を覚悟したのだが、そこへ突如阿倍野が現れて爆撃を叩き落とした。
「何とか間に合ったな!」
「あ、阿倍野さん!!」
ディリップは阿倍野の存在に気付くと嫌悪感をあらわに顔をしかめていた。
「全く、しぶとい……! やはり貴様だけは特別のようだ。だがもう一押しだな。傷だらけだ」
「見た目ならお前も変わらないだろう。その左手なんかこんがり焼けちゃって。脚もバキバキだろう。なんで歩けるんだ?」
「減らず口を……」
ドウゥ!!
ディリップが宙に浮かび、阿倍野へと突進した。
阿倍野も直ぐにディリップに向かい、2人は激しい肉弾戦を始めた。
(こ、これは……!? 2人とも、もう魔素が残り少ない……! い、今なら!)
「せ、セイヤ!! 頼む! 来てくれ!!」
オレは少し後方でうなだれているセイヤに大声を上げた。
魔素の消耗が激しい今のディリップなら、セイヤが援護をすれば勝てる可能性は高い。
「セイヤさん!」
「セイヤ!!」
その時、オレに呼応するようにユウナとアオイの叫びが聞こえた。
(ユウナ、アオイ! 良かった!! 無事だった!)
ドオオオオオ!!!
オレたちがセイヤの呼び掛けを続けていると、阿倍野がセイヤのそばへと吹き飛んで行った。
「なあっ……!!」
(そ、そんな……!! 阿部野さんが……!!?)
「があっ……! ぐうう! さすがだ……! 儂も余力は少ない……だが、ここで貴様たちを駆除出来るのであればな……!」
ディリップも苦しみながら身体中の至るところが黒焦げになったり血を吹き出していたりはするが、宙を浮かんでこちらへと近付いていた。
(ヤバい!! セイヤがダメなら、オレが……)
「うおお!!」
オレは力を振り絞って立ち上がった。
「せ、セイさん! 無茶だよ!」
「死んじまうぞ! 佐々木!!」
「ぐ……、だけど! もうオレしかいない!」
「ほう……、貴様は佐々木セイと言うのか。なるほど……」
ディリップは何かに納得している。
たぶん人型グールに対抗できる人間の佐々木という名前に反応していたのだろう。
だけど、オレはおそらく警戒されているであろうユキやラクではない。
「どうすると言うのだ? 佐々木セイ。その体で」
ディリップがオレを嘲り笑っている。
確かに魔素はほとんど残ってない。身体中ぼろぼろだし、片腕も肘から失っている。だけど。
「放っといたらお前はオレの大切な仲間を殺す! だから、オレはお前を倒さなきゃいけないんだよ!! オレは仲間を守りたいんだ!! その為にお前と戦う!!」
ディリップは変わらずに虫けらを見る目で笑みを浮かべている。
パン!
突然、オレの肩が叩かれた。
「セイ。迷惑をかけたな。もう大丈夫だ」
オレの横にはセイヤが立っていた。
その眼差しは真っ直ぐで、敵に立ち向かう強い意志が籠っていた。
伊達は新たに手に入れたS級魔導石、そして新たな魔剣、新たな隊服を装備しており以前よりもかなり実力をアップさせていた。
しかしそれでもディリップというSSS級グールが相手では伊達の劣勢はどうしても否めなかった。
「くそが!!」
攻めあぐねているまま段々と傷を負わされている状況に焦燥を感じ、伊達は悪態をついた。
「しつこい虫だ。そろそろ死ね」
ギャオオオ!!
ディリップが大きく両手を振るうと激しく光の波が巻き起こり、凄まじいスピードと規模で伊達へと迫った。
「おおお!!! 帝級転流!!、立方第五励起!!!」
伊達は力を振り絞って敵の攻撃に魔素の奔流をぶつけたが、明らかに力負けしている。
「アベル!!」
「伊達マスター!」
「リュウさん!! 二宮!!」
ここで阿倍野と二宮が伊達に並び立ち、3人でディリップの攻撃をなんとか打ち破った。
「はあ、はあ、はあ!」
伊達はまだ戦うことは可能だが、すでにかなりの消耗だ。阿倍野と二宮もそうとうな傷を負っている。
「粘るな。だが貴様たちの命も残りは少ないな」
「言ってろ。グールが!」
「阿倍野、貴様はまだ活きがいい。確かにここのお前を殺しても別に存在するお前をも殺さねば完全には死なないだろうからな」
「そんなことは関係ない」
「なに?」
「オレたちはお前をここで倒すからだ!!」
「くっくっく、儂にどう勝つというのだ? お前の部下たちもすでに瀕死だ」
「勝つ気でやらなきゃ勝てないんだよ!!」
ドウウ!!
阿倍野は体内に貯めた膨大な魔素を爆発させて地を蹴り、一瞬にも満たない時間でディリップの懐に飛び込んだ。
「おおお!! 究極破砕拳!!」
ドオオンン!!!
「阿倍野さん!!」
阿倍野は魔素を体外に放出する魔技の類いは使えない。しかし体内のみに魔素を集中させた格闘技ならばギリギリ使える。
二宮は阿倍野がディリップと格闘戦を始めたのを見ると、すぐに魔素の集中を始めた。
「喰らえ……!! 閃光牢獄鎖!!!」
ギュオオオオオ!!!
二宮の繰り出した技は二振りの光の剣を伸長して敵を捕らえ、閉め潰す技だった。
片腕が粉砕骨折をしていることにも構わずに、二宮は闘衣纏身、闘脈潮身を使い無理やり剣を振るった。
「むう!?」
直接攻撃ではないことに少しだけ怯んだディリップだったが、阿倍野の追撃が来る前に体から魔素を放出させてその光の鎖をちぎり飛ばした。
「な、なんだと!?」
二宮は究極級をも大きく上回る魔素を込めた自分の光の鎖が一瞬で破られたことに驚愕していた。
しかし阿倍野は構わずに拳を振りかぶった。
「充分だ!! 究極破砕拳!! 五連!!!」
ドドドドドオオオオ!!!!
阿倍野の連続攻撃は確かにディリップへ直撃した。
「ぐ……う! さすがと、言ってやろう……」
ディリップはかなりのダメージを受けながらも阿倍野の攻撃を受けきり、立っていた。
「……くそ」
ドオオオンンン!!!
阿倍野は至近距離で爆撃を受けて大きく吹き飛ばされた。
しかし、この隙に二宮が再度攻撃を仕掛けていた。
「閃光烈迫斬!!!」
ズドドオオオ!!!
重い衝撃音と閃光が迸った。
そして光が収まった後には、黒焦げの手のひらを二宮に向けたディリップが立っていた。
「惜しかったな。儂の左手が使い物にならなくなったわ……。死ね」
「ぐっ……!!」
ドオオオオオンンン!!
阿倍野に続き、二宮も吹き飛ばされてしまった。
「さて、後はお前だけだ」
ディリップは伊達を見るが、伊達はすでに膝をついてディリップを睨み付けるのみだった。
「……」
ディリップが無言で手を掲げた時、足元に光の弾がいくつも現れディリップを包んだ。
「間に合ったな……! 帝級伏昇転流!!、立方第五励起!!!」
ギャオオオ!!!
伊達が魔技を発動させた瞬間、ディリップの足元に配置された100を越える術式点が相互に反応し、大型の魔方陣を作り出した。そして一気に陣の中に魔術の嵐が吹き荒れた。
「こ、これでやったか……?」
伊達は魔素を使い果たし剣を杖がわりに何とか片膝をついて爆心地を睨むが、そこに蠢く存在を見つけてしまった。
「う、嘘だろ……!」
ドオオオオオンンン!!!
伊達も阿倍野たちと同様にディリップの強力な攻撃を受け、大きく宙を舞った。
「ぐ……。忌々しい……!」
ディリップは片足を引きずりながら土煙の中から歩み出てきた。
「だが、これで一気に邪魔な害虫どもを駆除できそうだな……」
誰が聞くでもないがディリップはそう呟くと、阿倍野たちが倒れている方へと脚を向けた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ま、まさか……、伊達さんまで……!?」
オレは強化聴覚と新しく発現した遠くを認知できる能力で戦況は把握出来ていた。
つまり阿倍野、二宮、伊達がやられてしまったことは分かっていた。
「セイさん! みんなは……? この反応は!?」
「み、みんなやられちまったのか!!?」
ユウナとアオイは魔素の霧で視界は効かないが、魔素感知でおおよその状況はわかるようだ。
「……だ、だけど! 阿倍野さんたちはまだ死んだわけじゃない! 助けなきゃ……!!」
「は、はい!」
「やるしか、ねーな……!」
オレたちは覚悟を決めたが、セイヤは相変わらずうなだれたままだ。
「行こう! ……セイヤ! 待ってるぞ! 仲間を、都市を守るぞ!」
「佐々木くん……みんな……」
鈴子は両手から血を流しながらも、セイヤの治療を続けてくれている。
「鈴子さん! セイヤを頼みます!」
ドウゥ!
オレは高速機動で阿倍野たちの前にいるディリップに近付いた。
「うおお!! 四重織女星戦衣!!」
オレは肉体を強化して敵の攻撃に備えた上、銃を構えた。
「全兵能装甲最適! 四重天輪弾!!」
ドギャギャギャウウ!!!
オレは今の自分にできる最大の攻撃を放った。ユウナとアオイもすぐにオレに続いて攻撃した。
「神級火炎継続発出!!」
「神級飛斬剣連撃!!」
ドドオオオウウウ!!
激しい攻撃がディリップに叩き込まれた。
オレたちはこれで何とかディリップを倒しきろうと、必死で攻撃を仕掛けていた。
その時、爆炎の中からいくつかの光の弾が飛んできた。
ドドドンン!!!
「あああ!」
爆音と共にユウナとアオイの悲鳴が聞こえた。
この光の弾はディリップの放った爆弾のようなものだった。
「ユウナ!! アオイ!!」
オレが2人に目を向けた瞬間、オレの目の前にも光の弾がいくつか飛んできていた。
(ヤバい!! 回避しないと……!!)
オレは何とか身をよじり弾をかわしたが、その光の弾はぐるんとUターンしてまたオレへと向かってきた。
「だ、ダメだ……!!」
オレは初撃をかわすので態勢を崩してしまっていて、すぐには動けない。
オレは直撃を覚悟したのだが、そこへ突如阿倍野が現れて爆撃を叩き落とした。
「何とか間に合ったな!」
「あ、阿倍野さん!!」
ディリップは阿倍野の存在に気付くと嫌悪感をあらわに顔をしかめていた。
「全く、しぶとい……! やはり貴様だけは特別のようだ。だがもう一押しだな。傷だらけだ」
「見た目ならお前も変わらないだろう。その左手なんかこんがり焼けちゃって。脚もバキバキだろう。なんで歩けるんだ?」
「減らず口を……」
ドウゥ!!
ディリップが宙に浮かび、阿倍野へと突進した。
阿倍野も直ぐにディリップに向かい、2人は激しい肉弾戦を始めた。
(こ、これは……!? 2人とも、もう魔素が残り少ない……! い、今なら!)
「せ、セイヤ!! 頼む! 来てくれ!!」
オレは少し後方でうなだれているセイヤに大声を上げた。
魔素の消耗が激しい今のディリップなら、セイヤが援護をすれば勝てる可能性は高い。
「セイヤさん!」
「セイヤ!!」
その時、オレに呼応するようにユウナとアオイの叫びが聞こえた。
(ユウナ、アオイ! 良かった!! 無事だった!)
ドオオオオオ!!!
オレたちがセイヤの呼び掛けを続けていると、阿倍野がセイヤのそばへと吹き飛んで行った。
「なあっ……!!」
(そ、そんな……!! 阿部野さんが……!!?)
「があっ……! ぐうう! さすがだ……! 儂も余力は少ない……だが、ここで貴様たちを駆除出来るのであればな……!」
ディリップも苦しみながら身体中の至るところが黒焦げになったり血を吹き出していたりはするが、宙を浮かんでこちらへと近付いていた。
(ヤバい!! セイヤがダメなら、オレが……)
「うおお!!」
オレは力を振り絞って立ち上がった。
「せ、セイさん! 無茶だよ!」
「死んじまうぞ! 佐々木!!」
「ぐ……、だけど! もうオレしかいない!」
「ほう……、貴様は佐々木セイと言うのか。なるほど……」
ディリップは何かに納得している。
たぶん人型グールに対抗できる人間の佐々木という名前に反応していたのだろう。
だけど、オレはおそらく警戒されているであろうユキやラクではない。
「どうすると言うのだ? 佐々木セイ。その体で」
ディリップがオレを嘲り笑っている。
確かに魔素はほとんど残ってない。身体中ぼろぼろだし、片腕も肘から失っている。だけど。
「放っといたらお前はオレの大切な仲間を殺す! だから、オレはお前を倒さなきゃいけないんだよ!! オレは仲間を守りたいんだ!! その為にお前と戦う!!」
ディリップは変わらずに虫けらを見る目で笑みを浮かべている。
パン!
突然、オレの肩が叩かれた。
「セイ。迷惑をかけたな。もう大丈夫だ」
オレの横にはセイヤが立っていた。
その眼差しは真っ直ぐで、敵に立ち向かう強い意志が籠っていた。
0
あなたにおすすめの小説
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は“料理人”。
だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。
地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。
勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。
熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。
絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す!
そこから始まる、料理人の大逆転。
ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。
リアルでは無職、ゲームでは負け組。
そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
蒼穹の裏方
Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し
未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる