とある伯爵の憂鬱

如月圭

文字の大きさ
14 / 16

14

しおりを挟む
 玉座の間では、アイリーン王女の姿がを探していた陛下に、サンガー公爵が、

 「誰かをお探しですか?陛下?」

 皮肉めいた笑みで言うと、陛下は、

 「おぉ、公爵!アイリーンの姿が見えないのだが、知らぬか?」

 心配そうに言った。公爵は、

 「陛下、アイリーン王女殿下なら、貴族牢に居ますよ。マリア嬢を折檻して、ナーガに拘束されて不敬罪だと叫んだようです!どうしようもないので、そのまま牢屋に入れてあります」

 と笑った。陛下は、それを聞き、

 「アイリーンが牢屋の中にいるのは本当か?なぜ、助けない?」

 そう公爵に問う。すると、話を聞いていた王太子が、

 「待って下さい、父上!今、マリア嬢がアイリーンに折檻をされたというのは、本当か?公爵?」

 陛下の代わりに言った。公爵は、

 「本当です。ここに居るナーガがアイリーン王女殿下に言われて、マリア嬢を拐かしたのです。その理由が、コーナー伯爵との婚姻がしたいアイリーン王女殿下が、マリア嬢に婚約破棄の書類にサインをさせようとして、マリア嬢が拒むと、鞭を打ち、婚約破棄を迫ったとか。そうだな?ナーガ!?」

 とナーガに言った。ナーガは、アイリーン王女が自分に言ったことを、全て王太子に言った。それを聞いた王太子は、怒り、

 「マリア嬢には、本当に申し訳ないことをした。アイリーンのことは、私に任せてくれ、父上、よろしいですね!」

 と陛下を見た。王太子は続けて、

 「これ以上アイリーンを野放しにはしておけん!直ちに奴を修道院へ入れる!文句がある者は、私が聞こう!父上!よろしいですね?」

 王太子は言った。それを聞いていたへいかは 、王太子の迫力に負けて、

 「うむ、そのようにしなさい!」

 そう言って、アイリーン王女の処遇を受け入れた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】アラマーのざまぁ

ジュレヌク
恋愛
幼い頃から愛を誓う人がいた。 周りも、家族も、2人が結ばれるのだと信じていた。 しかし、王命で運命は引き離され、彼女は第二王子の婚約者となる。 アラマーの死を覚悟した抗議に、王は、言った。 『一つだけ、何でも叶えよう』 彼女は、ある事を願った。 彼女は、一矢報いるために、大きな杭を打ち込んだのだ。 そして、月日が経ち、運命が再び動き出す。

攻略対象の王子様は放置されました

蛇娥リコ
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

公爵令嬢ローズは悪役か?

瑞多美音
恋愛
「婚約を解消してくれ。貴方もわかっているだろう?」 公爵令嬢のローズは皇太子であるテオドール殿下に婚約解消を申し込まれた。 隣に令嬢をくっつけていなければそれなりの対応をしただろう。しかし、馬鹿にされて黙っているローズではない。目には目を歯には歯を。  「うちの影、優秀でしてよ?」 転ばぬ先の杖……ならぬ影。 婚約解消と貴族と平民と……どこでどう繋がっているかなんて誰にもわからないという話。 独自設定を含みます。

【完結】堅物な婚約者には子どもがいました……人は見かけによらないらしいです。

大森 樹
恋愛
【短編】 公爵家の一人娘、アメリアはある日誘拐された。 「アメリア様、ご無事ですか!」 真面目で堅物な騎士フィンに助けられ、アメリアは彼に恋をした。 助けたお礼として『結婚』することになった二人。フィンにとっては公爵家の爵位目当ての愛のない結婚だったはずだが……真面目で誠実な彼は、アメリアと不器用ながらも徐々に距離を縮めていく。 穏やかで幸せな結婚ができると思っていたのに、フィンの前の彼女が現れて『あの人の子どもがいます』と言ってきた。嘘だと思いきや、その子は本当に彼そっくりで…… あの堅物婚約者に、まさか子どもがいるなんて。人は見かけによらないらしい。 ★アメリアとフィンは結婚するのか、しないのか……二人の恋の行方をお楽しみください。

氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。

吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を

柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。 みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。 虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?

3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。 相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。 あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。 それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。 だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。 その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。 その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。 だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。

婚約者とその幼なじみがいい雰囲気すぎることに不安を覚えていましたが、誤解が解けたあとで、その立ち位置にいたのは私でした

珠宮さくら
恋愛
クレメンティアは、婚約者とその幼なじみの雰囲気が良すぎることに不安を覚えていた。 そんな時に幼なじみから、婚約破棄したがっていると聞かされてしまい……。 ※全4話。

処理中です...