とある伯爵の憂鬱

如月圭

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 そんな事になっているとは知らないジルは、

 「やっと王女の護衛の任務が終わった」

 と近衛騎士団の団長室に任務が終了した報告をしに行くと、団長室ではサンガー団長が、書類と格闘していた。

 「団長、手伝います。やっと王女の警護が終わりましたので」

 そう報告すると、サンガー公爵は、

 「あぁ、助かる、お前もアイリーン王女に絡まれて大変だろう?あの我儘王女には陛下も甘いからな、王太子殿下もあの王女には手を焼いていると、愚痴ってたぞ」

 とジルに笑いかけた。ジルは苦笑して、

 「マリアには、我慢させてしまい、心苦しいですが、アイリーン王女殿下を蔑ろには出来ませんので、……団長、この書類は私がやっておきますので、団長は、近衛騎士の訓練に行って下さい。騎士達も団長の訓練が待ち遠しいようですから」

 とにこやかに笑うと、団長の持っていた書類を受け取り、自分の席の椅子に座って、書類をさばいた。団長は、

 「済まない、ジル、では、訓練に行って来る。後は頼んだ!」

 と剣を持ち、団長室から出て行った。残ったジルは、マリアから貰ったサンドイッチの入った袋を開いて、マリアお手製のそれを食べると、

 「美味いな、やはり、マリアを諦めなくて良かった」

 と独り言を言い、サンドイッチをたいらげると、書類を速読してサインをしていった。
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