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次の日の朝早く、私達は祖父母の別荘を後にした。王弟殿下との馬車での移動中、王弟殿下とは終始和やかな雰囲気で色々な話しをした。王弟殿下は、お茶目な所があり、話しているととても好感を持てた。昼になり、野原で敷物を敷き、昼食を食べていると、王弟殿下が、トマトが苦手ということががわかり、私は楽しくなって
「王弟殿下、結婚しましたらトマトがお好きになられる、献立をシェフと考案しなくてわいけませんわね、頑張りますわ」
「アルカ嬢、トマトが美味しくなるのでしょうか?私にはわかりません……、トマトですよ?」
「大丈夫ですわ、王弟殿下、みんなで知恵を出せば、食べられるようになりますわ」
王弟殿下は苦笑しつつ、私に
「アルカ嬢、私のことは、アンリと呼んでください。王弟殿下では、少し淋しいので」
「わかりました。アンリ様とお呼びいたしますわ」
と可愛いことを言うので、アンリ様が大型犬に見えてしまった。道中何事もなく、夕方頃、王都につくと、アンリ様は、私を伯爵家まで送り届けて、
「今日は疲れていると思うので、伯爵には、また日を改めて、ご挨拶に伺います。アルカ嬢、ではまた」
「はい、アンリ様もお気おつけて」
そう会話して、伯爵家の門の前で、アンリ様が馬車を降りると、自分の馬に跨り、護衛の騎士達と帰って行った。
私が屋敷内に入ると玄関先で、父が嬉しそうな顔をして立っていた。
「お帰り、アルカ、王弟殿下との婚約が決まったのだって?おめでとう。」
「お父様、ただいま戻りましたわ。有難うございます。あら?お父様だけですの?」
屋敷内の静けさに気づくと、父は、
「あぁ、エマリエルとは、離婚したんだ。アメリアとステファン君は平民になって、屋敷から追い出した、ここはアルカの家だ。お前に大事な話しがある。」
「大事な話しですか?何でしょうか?」
「あぁ、エマリエルはアルカの本当の母ではない。アメリアも私ともアルカとも血はつながっていない。つまり、赤の他人だ。アルカだけがこの家の正統な後継者だ。わかるな?」
「はい、なんとなく……、その方が納得出来ました。お父様の書斎に、飾ってある肖像画、あれが私の本当のお母様……、ですわよね?お父様」
「そうだよ、メイサというのが、お前の本当の母親の名前だ。黙っていて済まなかった。」
「お父様、お母様のお墓参りに行きたいですわ。私の婚約のご報告に、今まで行けなかった分まで祈りたいのです」
「わかった。明日にでも伯爵家の代々の墓がある墓地へ行こう」
「はい、お父様」
翌日、私は本当の母に祈りを捧げて、婚約のことを報告した。父は隣で涙を流しながら私の婚約が上手くいくことを祈っていた。
「王弟殿下、結婚しましたらトマトがお好きになられる、献立をシェフと考案しなくてわいけませんわね、頑張りますわ」
「アルカ嬢、トマトが美味しくなるのでしょうか?私にはわかりません……、トマトですよ?」
「大丈夫ですわ、王弟殿下、みんなで知恵を出せば、食べられるようになりますわ」
王弟殿下は苦笑しつつ、私に
「アルカ嬢、私のことは、アンリと呼んでください。王弟殿下では、少し淋しいので」
「わかりました。アンリ様とお呼びいたしますわ」
と可愛いことを言うので、アンリ様が大型犬に見えてしまった。道中何事もなく、夕方頃、王都につくと、アンリ様は、私を伯爵家まで送り届けて、
「今日は疲れていると思うので、伯爵には、また日を改めて、ご挨拶に伺います。アルカ嬢、ではまた」
「はい、アンリ様もお気おつけて」
そう会話して、伯爵家の門の前で、アンリ様が馬車を降りると、自分の馬に跨り、護衛の騎士達と帰って行った。
私が屋敷内に入ると玄関先で、父が嬉しそうな顔をして立っていた。
「お帰り、アルカ、王弟殿下との婚約が決まったのだって?おめでとう。」
「お父様、ただいま戻りましたわ。有難うございます。あら?お父様だけですの?」
屋敷内の静けさに気づくと、父は、
「あぁ、エマリエルとは、離婚したんだ。アメリアとステファン君は平民になって、屋敷から追い出した、ここはアルカの家だ。お前に大事な話しがある。」
「大事な話しですか?何でしょうか?」
「あぁ、エマリエルはアルカの本当の母ではない。アメリアも私ともアルカとも血はつながっていない。つまり、赤の他人だ。アルカだけがこの家の正統な後継者だ。わかるな?」
「はい、なんとなく……、その方が納得出来ました。お父様の書斎に、飾ってある肖像画、あれが私の本当のお母様……、ですわよね?お父様」
「そうだよ、メイサというのが、お前の本当の母親の名前だ。黙っていて済まなかった。」
「お父様、お母様のお墓参りに行きたいですわ。私の婚約のご報告に、今まで行けなかった分まで祈りたいのです」
「わかった。明日にでも伯爵家の代々の墓がある墓地へ行こう」
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翌日、私は本当の母に祈りを捧げて、婚約のことを報告した。父は隣で涙を流しながら私の婚約が上手くいくことを祈っていた。
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