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嘘と捨て駒
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『…あれ?』
目を覚ますと、そこは見慣れた自分の部屋。パジャマに着替えていてしっかりと布団を被っているし、一瞬何があったかわからなくなる。
だけど、枕元にあったスマホに今日がクリスマスであることが記されていてワクワクしながら着替えて部屋を出た。
『おはようっ! ねぇ、昨日誰か、…着替え…』
リビングに入るとそこには兄弟全員が揃っていて、とてもクリスマスを楽しんでいるような雰囲気ではない。クリスマスツリーも、…毎年くれるプレゼントもないしテレビすら点いていない。
『…おはよう。
宋平。ちょっと、座ってくれないか』
兄ちゃんにそう言われて空いていた蒼二の隣に座る。何故かビクビクと肩を揺らす兄は、小さく俺に謝罪の言葉を述べた。
『ところで宋平。最近バイトはどうだ』
『へ? え、バイト…うん。普通に上手くやってるけど…それがどうかした?』
『そうか。
案内してくれないか。その、バイト先とやらに。カラオケ店だったな』
な、なに…?!
兄ちゃんが腕を組みながらそう言うと、俺は冷や汗を流しながら必死に脳を回す。
なんだ? なんで突然そんなことに?! …怪我か、怪我のせいでバイト先に怒ってる?!
『くっ、クリスマスだから忙しいって! 予約も確か沢山入ってたし!』
『それもそうだな。
なら、電話をするから店名を教えてくれ。すぐに調べて電話番号を確認しよう』
…なんで、そんな…。
思わず言葉を失う俺に、兄ちゃんは最初からずっと険しい顔のまま。まるでこうなることを予想していたかのような冷静な態度。
…もしかして、全部バレてる?
『どうした。お前は働いているバイト先の名前もわからないのか。
知っているはずだ。言えないなら俺が教えてやる。
お前が働いているのは、弐条会だ』
兄ちゃんの口から出た単語が、聞き間違いではないかと下を向いていた顔を上げた。だけど兄の顔を見てすぐに確信となる。
これは、もう無理だ、と。
『…昨日のことだ。会社の事務所にな、ある男が来たんだよ。半年くらい前の兄ちゃんの会社のゴタゴタはな、その男のせいで始まったんだ。
その男は社長の息子で、会社の金を使った挙句に闇金に手を出した。…こう言った方が良いな。
ヤクザに大金を借りて、返せなくなって逃げ出したんだ。それからは取り立てが会社に来るようになった』
…ドラ息子!!
そうだ、刃斬の兄貴が言ってた社長のドラ息子! 逃げ出したまま消息不明だって話だった奴!
『それがある日、突然終わった』
兄ちゃんの話が止まると家が…静まり返る。そこから兄弟全員の視線が集まり、再び俯いた。
『…裏で警察が動いただの、息子を追う方に切り替えただの憶測はあったが…諦めてくれたんだと誰もが安堵した。だけど俺は腑に落ちなかった…奴等が大金を諦めて途中で投げ出すなんて。
その理由が、昨日やっとわかった』
テーブルに置かれたスマホ。そこには…俺の写真が映し出されていた。
『社長の息子が事務所に飛び込んで来て、この写真を指差して言うんだよ。
…お前の弟が弐条会に入った。弟を寄越せ、そうすれば金をくれるって人がいる…そう言ったんだ』
俺を寄越せ?
ひ、人質? いやいや、俺を捕まえて弐条会相手に金を出すなんて、そんな組織いるわけ…
『…ぁ、』
いる。
…いるじゃないか、現在進行形で敵対している組織。過激派の弐条会が。
『宋平がヤクザに入ってるなんて信じなかった。だがな、奴のスマホにはお前が妙にガタイの良い男や…事務所を襲撃した連中と同じ人間と親しそうに話す写真があったんだ。
…宋平。どういうことだ。まさかお前は、本当に俺の為に…ヤクザに入ったのか?』
ああ。最悪だ。
昨日…、そうか昨日。兄ちゃんの所にドラ息子が来たのに監視が気付かなかったのも無理はない。だって昨日は襲撃の真っ最中だ。召集が掛かってアジトに戻ったり忙しかったに違いない。
きっとドラ息子は、過激派に言いくるめられた駒の一つだ。
『答えなさい』
『…そう、だよ。あの時、兄ちゃんを追って現場に行ったんだ。それで兄ちゃんが殴られたところを見たんだ』
俺の言葉に、兄ちゃんが息を呑む。
『そしたら、ヤクザの一人に尾行されてて。家に来た人と取引をして兄ちゃんの会社から手を引いてってお願いしたんだ。
…少しの間、仕事をすること。殆ど雑用みたいなもんだよ。普通のバイトと変わんない』
『っ普通なわけないだろ!! 何を考えてるんだ、お前は?! 子どもがそんな危険なことをしてっ何かあったらどうする…!
蒼二!! お前知ってたな?! なんで止めなかったんだ!!』
初めて聞いた兄ちゃんの怒鳴り声に、俺は肩を縮こませた。あまりの衝撃に震えた身体を手で押さえる。
…こんなに、怒られたの…初めてだ。
『…いや、知ったのは最近。俺もゴタついた時あったっしょ? …アレでその…宋ちゃんの口添えで弐条会に助けてもらってんだよね』
『…はぁ?!』
『え。…助けるって、なんで?』
蒼二の誘拐事件や家の護衛など話すと二人はすっかり混乱していた。悪と決め付けていた連中が何故か大したメリットもないのに俺たちの為に動いていたからだ。
『だけどヤクザはヤクザだ』
『そうなんだよねぇ。でも、ただのヤクザじゃないから困るわけ。…アレは本物のヤクザの頂点だよ。どう見たって下手な一家じゃない。
だけど、少なくとも宋ちゃんを大切にはしてるみたいだよ。ちゃんと見たからね』
隣に座る蒼二を見ると、ニカっといつもみたいに笑ってくれる。そんな兄が頼もしくて仕方ない。だけど兄ちゃんと蒼士は、受け入れてはくれなかった。
『…じゃあ、その身体の傷はなんだ』
『これは…ちょっとした不注意で』
やべー…、着替えさせてくれたの兄ちゃんか。
『そんなに傷を抱えて、何が大切だ。騙されているに決まってる。良いか? そういう連中は俺たちを騙して金を奪って人生を滅茶苦茶にする。
それがヤクザだ。それを生業にしているんだよ』
それは、否定出来ない。
俺はあの人たちが裏で何をしているか、なんて全部はわからない。彼らだって積極的に見せようともしていないのだから当然だ。
『お前は騙されてる。…お前の体質が惜しいから優しくするだけで、全て偽りに決まってる。目を覚ませ』
『違う!!
ボスはっ、皆はそんなんじゃない! 仲間だって…大事な弟分だって言ってくれた! …だって、だってボスはっ…ぁれ?』
ない…。
ない!! ゆ、指輪がない?!
『指輪ッ?! あれっ、俺たしか』
『…お前がしていた指輪なら俺が預かっている』
ハッと声をした方に目を向ければ、目に怒りを宿した兄ちゃんが未だ座ったまま俺を睨む。
『…弟分?
血の繋がった実の兄を騙して、ヤクザなんかと兄弟ごっこか? あんな物を贈るなんてどうかしてる。お前、どうしたんだ一体』
『返して…、っ兄ちゃんお願いだよ! 返してよ、アレは大事なものなんだ! 俺の宝物なのに!!』
『俺にとってはお前が宝物なんだ! …、頼む宋平…これ以上は止めろ。
政府に救援を頼む。あんな連中と付き合うのはもう止めなさい』
目の前が、真っ暗になる。
力無くその場に座り込み、目が…どんどん熱くなる。ボタボタと流れる涙に気付いた蒼二が慌てて兄ちゃんに掛け合う。
『ねぇイッチー!! お願いだから、ちゃんと話を聞いてやんなって! いきなりそんな…取り上げる様なことマズイって』
『…兄さん。宋平が泣いてるよ、ちょっと冷静になりなよ』
双子がなんとかしようと声を掛けるが、兄ちゃんはそれを聞き流して電話をする為に連絡先を探している。
…指輪…、俺の…ボスに貰った大事な指輪。
政府?
もし、政府に救援願いなんか出たらボスたちはどうなるんだ? 良くて俺たちの保護…悪くて、多分…弐条会の解体…?
そんな…、もしもそんなことになったら跡目争いはどうなる? そんなことになって何かの均衡が崩れて弐条会が…ボスが、不利になったら?
まさか。
もう、二度と…会えなくなるの?
『…や』
ビリ。と何かが視界を横切る。
『ぃ、だ、…ぁ、あ』
目が熱くて仕方ない。溶けてしまう。
『嫌、嫌だ』
脳裏に浮かんだのはいつだって美しいままの、俺のコントローラー。
『…もう、やだ』
約束を、したんだ。一緒に出掛ける約束を。まだお弁当だって作ってないのに。プレゼントも渡せてない。どんな顔をするか、凄く楽しみだった。
嫌だ、ヤダよ。
あの人の負担になって終わるなんて嫌だ。せめて俺といた思い出を懐かしんでくれるような…そんな別れならまだしも、あの人の道に障害となって置かれる人間になるのは御免だ。
『兄ちゃんのバカっ、ボスたちのことを政府にバラしたら、俺はもう兄ちゃんの弟なんか辞める! 二度と帰って来ないっ、絶対に!
兄ちゃんなんか嫌い、…大っ嫌いだ!』
立ち上がってテーブルに置かれたスマホを持ち、家を出て行く。すぐに自分を呼ぶ兄たちの声が聞こえたが構わず俺は外へ駆け出した。
早く…、皆に会いたい! ボス…!!
『早く行かなきゃ!』
兄ちゃんのわからず屋め。…暫くお互い頭を冷やすべきなんだ、それが良い。
だから今は、皆のところに行かなくちゃ。
『…っ会いたいよ、ボス…!』
.
目を覚ますと、そこは見慣れた自分の部屋。パジャマに着替えていてしっかりと布団を被っているし、一瞬何があったかわからなくなる。
だけど、枕元にあったスマホに今日がクリスマスであることが記されていてワクワクしながら着替えて部屋を出た。
『おはようっ! ねぇ、昨日誰か、…着替え…』
リビングに入るとそこには兄弟全員が揃っていて、とてもクリスマスを楽しんでいるような雰囲気ではない。クリスマスツリーも、…毎年くれるプレゼントもないしテレビすら点いていない。
『…おはよう。
宋平。ちょっと、座ってくれないか』
兄ちゃんにそう言われて空いていた蒼二の隣に座る。何故かビクビクと肩を揺らす兄は、小さく俺に謝罪の言葉を述べた。
『ところで宋平。最近バイトはどうだ』
『へ? え、バイト…うん。普通に上手くやってるけど…それがどうかした?』
『そうか。
案内してくれないか。その、バイト先とやらに。カラオケ店だったな』
な、なに…?!
兄ちゃんが腕を組みながらそう言うと、俺は冷や汗を流しながら必死に脳を回す。
なんだ? なんで突然そんなことに?! …怪我か、怪我のせいでバイト先に怒ってる?!
『くっ、クリスマスだから忙しいって! 予約も確か沢山入ってたし!』
『それもそうだな。
なら、電話をするから店名を教えてくれ。すぐに調べて電話番号を確認しよう』
…なんで、そんな…。
思わず言葉を失う俺に、兄ちゃんは最初からずっと険しい顔のまま。まるでこうなることを予想していたかのような冷静な態度。
…もしかして、全部バレてる?
『どうした。お前は働いているバイト先の名前もわからないのか。
知っているはずだ。言えないなら俺が教えてやる。
お前が働いているのは、弐条会だ』
兄ちゃんの口から出た単語が、聞き間違いではないかと下を向いていた顔を上げた。だけど兄の顔を見てすぐに確信となる。
これは、もう無理だ、と。
『…昨日のことだ。会社の事務所にな、ある男が来たんだよ。半年くらい前の兄ちゃんの会社のゴタゴタはな、その男のせいで始まったんだ。
その男は社長の息子で、会社の金を使った挙句に闇金に手を出した。…こう言った方が良いな。
ヤクザに大金を借りて、返せなくなって逃げ出したんだ。それからは取り立てが会社に来るようになった』
…ドラ息子!!
そうだ、刃斬の兄貴が言ってた社長のドラ息子! 逃げ出したまま消息不明だって話だった奴!
『それがある日、突然終わった』
兄ちゃんの話が止まると家が…静まり返る。そこから兄弟全員の視線が集まり、再び俯いた。
『…裏で警察が動いただの、息子を追う方に切り替えただの憶測はあったが…諦めてくれたんだと誰もが安堵した。だけど俺は腑に落ちなかった…奴等が大金を諦めて途中で投げ出すなんて。
その理由が、昨日やっとわかった』
テーブルに置かれたスマホ。そこには…俺の写真が映し出されていた。
『社長の息子が事務所に飛び込んで来て、この写真を指差して言うんだよ。
…お前の弟が弐条会に入った。弟を寄越せ、そうすれば金をくれるって人がいる…そう言ったんだ』
俺を寄越せ?
ひ、人質? いやいや、俺を捕まえて弐条会相手に金を出すなんて、そんな組織いるわけ…
『…ぁ、』
いる。
…いるじゃないか、現在進行形で敵対している組織。過激派の弐条会が。
『宋平がヤクザに入ってるなんて信じなかった。だがな、奴のスマホにはお前が妙にガタイの良い男や…事務所を襲撃した連中と同じ人間と親しそうに話す写真があったんだ。
…宋平。どういうことだ。まさかお前は、本当に俺の為に…ヤクザに入ったのか?』
ああ。最悪だ。
昨日…、そうか昨日。兄ちゃんの所にドラ息子が来たのに監視が気付かなかったのも無理はない。だって昨日は襲撃の真っ最中だ。召集が掛かってアジトに戻ったり忙しかったに違いない。
きっとドラ息子は、過激派に言いくるめられた駒の一つだ。
『答えなさい』
『…そう、だよ。あの時、兄ちゃんを追って現場に行ったんだ。それで兄ちゃんが殴られたところを見たんだ』
俺の言葉に、兄ちゃんが息を呑む。
『そしたら、ヤクザの一人に尾行されてて。家に来た人と取引をして兄ちゃんの会社から手を引いてってお願いしたんだ。
…少しの間、仕事をすること。殆ど雑用みたいなもんだよ。普通のバイトと変わんない』
『っ普通なわけないだろ!! 何を考えてるんだ、お前は?! 子どもがそんな危険なことをしてっ何かあったらどうする…!
蒼二!! お前知ってたな?! なんで止めなかったんだ!!』
初めて聞いた兄ちゃんの怒鳴り声に、俺は肩を縮こませた。あまりの衝撃に震えた身体を手で押さえる。
…こんなに、怒られたの…初めてだ。
『…いや、知ったのは最近。俺もゴタついた時あったっしょ? …アレでその…宋ちゃんの口添えで弐条会に助けてもらってんだよね』
『…はぁ?!』
『え。…助けるって、なんで?』
蒼二の誘拐事件や家の護衛など話すと二人はすっかり混乱していた。悪と決め付けていた連中が何故か大したメリットもないのに俺たちの為に動いていたからだ。
『だけどヤクザはヤクザだ』
『そうなんだよねぇ。でも、ただのヤクザじゃないから困るわけ。…アレは本物のヤクザの頂点だよ。どう見たって下手な一家じゃない。
だけど、少なくとも宋ちゃんを大切にはしてるみたいだよ。ちゃんと見たからね』
隣に座る蒼二を見ると、ニカっといつもみたいに笑ってくれる。そんな兄が頼もしくて仕方ない。だけど兄ちゃんと蒼士は、受け入れてはくれなかった。
『…じゃあ、その身体の傷はなんだ』
『これは…ちょっとした不注意で』
やべー…、着替えさせてくれたの兄ちゃんか。
『そんなに傷を抱えて、何が大切だ。騙されているに決まってる。良いか? そういう連中は俺たちを騙して金を奪って人生を滅茶苦茶にする。
それがヤクザだ。それを生業にしているんだよ』
それは、否定出来ない。
俺はあの人たちが裏で何をしているか、なんて全部はわからない。彼らだって積極的に見せようともしていないのだから当然だ。
『お前は騙されてる。…お前の体質が惜しいから優しくするだけで、全て偽りに決まってる。目を覚ませ』
『違う!!
ボスはっ、皆はそんなんじゃない! 仲間だって…大事な弟分だって言ってくれた! …だって、だってボスはっ…ぁれ?』
ない…。
ない!! ゆ、指輪がない?!
『指輪ッ?! あれっ、俺たしか』
『…お前がしていた指輪なら俺が預かっている』
ハッと声をした方に目を向ければ、目に怒りを宿した兄ちゃんが未だ座ったまま俺を睨む。
『…弟分?
血の繋がった実の兄を騙して、ヤクザなんかと兄弟ごっこか? あんな物を贈るなんてどうかしてる。お前、どうしたんだ一体』
『返して…、っ兄ちゃんお願いだよ! 返してよ、アレは大事なものなんだ! 俺の宝物なのに!!』
『俺にとってはお前が宝物なんだ! …、頼む宋平…これ以上は止めろ。
政府に救援を頼む。あんな連中と付き合うのはもう止めなさい』
目の前が、真っ暗になる。
力無くその場に座り込み、目が…どんどん熱くなる。ボタボタと流れる涙に気付いた蒼二が慌てて兄ちゃんに掛け合う。
『ねぇイッチー!! お願いだから、ちゃんと話を聞いてやんなって! いきなりそんな…取り上げる様なことマズイって』
『…兄さん。宋平が泣いてるよ、ちょっと冷静になりなよ』
双子がなんとかしようと声を掛けるが、兄ちゃんはそれを聞き流して電話をする為に連絡先を探している。
…指輪…、俺の…ボスに貰った大事な指輪。
政府?
もし、政府に救援願いなんか出たらボスたちはどうなるんだ? 良くて俺たちの保護…悪くて、多分…弐条会の解体…?
そんな…、もしもそんなことになったら跡目争いはどうなる? そんなことになって何かの均衡が崩れて弐条会が…ボスが、不利になったら?
まさか。
もう、二度と…会えなくなるの?
『…や』
ビリ。と何かが視界を横切る。
『ぃ、だ、…ぁ、あ』
目が熱くて仕方ない。溶けてしまう。
『嫌、嫌だ』
脳裏に浮かんだのはいつだって美しいままの、俺のコントローラー。
『…もう、やだ』
約束を、したんだ。一緒に出掛ける約束を。まだお弁当だって作ってないのに。プレゼントも渡せてない。どんな顔をするか、凄く楽しみだった。
嫌だ、ヤダよ。
あの人の負担になって終わるなんて嫌だ。せめて俺といた思い出を懐かしんでくれるような…そんな別れならまだしも、あの人の道に障害となって置かれる人間になるのは御免だ。
『兄ちゃんのバカっ、ボスたちのことを政府にバラしたら、俺はもう兄ちゃんの弟なんか辞める! 二度と帰って来ないっ、絶対に!
兄ちゃんなんか嫌い、…大っ嫌いだ!』
立ち上がってテーブルに置かれたスマホを持ち、家を出て行く。すぐに自分を呼ぶ兄たちの声が聞こえたが構わず俺は外へ駆け出した。
早く…、皆に会いたい! ボス…!!
『早く行かなきゃ!』
兄ちゃんのわからず屋め。…暫くお互い頭を冷やすべきなんだ、それが良い。
だから今は、皆のところに行かなくちゃ。
『…っ会いたいよ、ボス…!』
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