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反転
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ライガック第一王子は、私に向かって走って来て短剣を大きく振りかぶった。
(本当に兄様なのね。変わらない。)
ライガック第一王子は、剣を持つと右上から左下方へ振り下ろす癖があった。知っていれば、躱すのは難しくない。私は、異母兄が振り下ろす短剣を、身を捻り躱して、彼の足を払い転倒させた。
ライガック第一王子は後方へ転倒し、後頭部を強打したみたいだったが、すぐに立ち上がり言った。
「お前!まさかルルージュアか!」
私は、頷く。
「兄様。お久しぶりです。いつの間にか、兄様は、、、女装が趣味になられたのですね。」
そう、ライガック第一王子はドレスを着ていた。公爵邸にロニア第一王女として滞在する為に女装していると信じたい。整った顔立ちの兄に、フリルのついた白いドレスはとても似合っている。だが、元々の姿を知っている私にとっては違和感でしかない。
さっきは笑いを堪えるのが大変だった。
ライガック第一王子は激高する。
「お前は死んだはずだ。どうして、まだ生きている。だいたい、お前だって女装を!」
私は、言う。
「兄様が送り込んだ使用人のお陰で助かりました。彼は私の部屋の財宝と皇子の証であるペンダントを盗んで地下通路から逃げようとしたのです。あそこは、慣れない者が気軽に入っていい場所ではない。そうですよね。兄様。それに、私は産まれた時から女です。でも、剣技も冴えない兄様の方が、私より余程ドレスが似合うようですね。」
ライガック第一王子は後ずさる。
彼が恐怖している相手は私ではない。
私の後方から近づいて来ている皇帝と帝国兵達だ。
私は異母兄へ言った。
「さあ、罪を償いましょう。私には兄様の犯した罪がどれほど重いのか想像できません。自らの行いを反省し、祖国に恥じる事がない振る舞いをなさってください。」
異母兄は、イアンナ・マイラー公爵令嬢へ向かって走って行った。
イアンナは、私を睨みつけ叫び声を上げる。
「罪を償うべきはお前です。偽物の王女よ。」
私は、驚き咄嗟に被りを振る。
イアンナと異母兄は手を取り合って、公爵邸の壁に近づき、反転した壁に吸い込まれて消えてしまった。
(隠し扉!)
私は、驚き壁へ近づこうとする。
「クロエ!待て。」
近くまで来ていたジークが私に声をかけられ、私は動きを止める。
「お願いだ。側にいてくれ。君が、またいなくなるなんて考えたくない。」
私は、驚きジークを見る。
「そんな。ただ第一王子をやっと見つけたから捕まえないと、貴方やザックに危険が及ぶかもしれないわ。」
ジークは、不思議そうな顔で言う。
「第一王子?さっきまでいたのはロニア第一王女とマイラー公爵令嬢ではないのか?手帳にはマイラー公爵邸で指示を受けると書かれていたから、兵達を連れてきたのだが、、、」
私たちの話の内容はジークまで届いていなかったらしい。
私は、ジークを安心させようと、彼の大きくて暖かい手を取り、両手で握りしめて言った。
「ううん。私の勘違いだったかもしれないわ。そうね。マイラー公爵令嬢とロニア姫が貴方を篭絡させようと企んでいたらしいの。貴方みたいに素敵な夫を持つと大変ね。」
ジークは言う。
「クロエが無事で良かったよ。次からは俺に相談して欲しい。親族を探したいのなら、力になるから。もう一人で行動しないでくれ。愛している。」
私は微笑み、頷いた。
(本当に兄様なのね。変わらない。)
ライガック第一王子は、剣を持つと右上から左下方へ振り下ろす癖があった。知っていれば、躱すのは難しくない。私は、異母兄が振り下ろす短剣を、身を捻り躱して、彼の足を払い転倒させた。
ライガック第一王子は後方へ転倒し、後頭部を強打したみたいだったが、すぐに立ち上がり言った。
「お前!まさかルルージュアか!」
私は、頷く。
「兄様。お久しぶりです。いつの間にか、兄様は、、、女装が趣味になられたのですね。」
そう、ライガック第一王子はドレスを着ていた。公爵邸にロニア第一王女として滞在する為に女装していると信じたい。整った顔立ちの兄に、フリルのついた白いドレスはとても似合っている。だが、元々の姿を知っている私にとっては違和感でしかない。
さっきは笑いを堪えるのが大変だった。
ライガック第一王子は激高する。
「お前は死んだはずだ。どうして、まだ生きている。だいたい、お前だって女装を!」
私は、言う。
「兄様が送り込んだ使用人のお陰で助かりました。彼は私の部屋の財宝と皇子の証であるペンダントを盗んで地下通路から逃げようとしたのです。あそこは、慣れない者が気軽に入っていい場所ではない。そうですよね。兄様。それに、私は産まれた時から女です。でも、剣技も冴えない兄様の方が、私より余程ドレスが似合うようですね。」
ライガック第一王子は後ずさる。
彼が恐怖している相手は私ではない。
私の後方から近づいて来ている皇帝と帝国兵達だ。
私は異母兄へ言った。
「さあ、罪を償いましょう。私には兄様の犯した罪がどれほど重いのか想像できません。自らの行いを反省し、祖国に恥じる事がない振る舞いをなさってください。」
異母兄は、イアンナ・マイラー公爵令嬢へ向かって走って行った。
イアンナは、私を睨みつけ叫び声を上げる。
「罪を償うべきはお前です。偽物の王女よ。」
私は、驚き咄嗟に被りを振る。
イアンナと異母兄は手を取り合って、公爵邸の壁に近づき、反転した壁に吸い込まれて消えてしまった。
(隠し扉!)
私は、驚き壁へ近づこうとする。
「クロエ!待て。」
近くまで来ていたジークが私に声をかけられ、私は動きを止める。
「お願いだ。側にいてくれ。君が、またいなくなるなんて考えたくない。」
私は、驚きジークを見る。
「そんな。ただ第一王子をやっと見つけたから捕まえないと、貴方やザックに危険が及ぶかもしれないわ。」
ジークは、不思議そうな顔で言う。
「第一王子?さっきまでいたのはロニア第一王女とマイラー公爵令嬢ではないのか?手帳にはマイラー公爵邸で指示を受けると書かれていたから、兵達を連れてきたのだが、、、」
私たちの話の内容はジークまで届いていなかったらしい。
私は、ジークを安心させようと、彼の大きくて暖かい手を取り、両手で握りしめて言った。
「ううん。私の勘違いだったかもしれないわ。そうね。マイラー公爵令嬢とロニア姫が貴方を篭絡させようと企んでいたらしいの。貴方みたいに素敵な夫を持つと大変ね。」
ジークは言う。
「クロエが無事で良かったよ。次からは俺に相談して欲しい。親族を探したいのなら、力になるから。もう一人で行動しないでくれ。愛している。」
私は微笑み、頷いた。
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