待ってください

仲 奈華 (nakanaka)

文字の大きさ
25 / 25
第4×

作ってください

しおりを挟む
寝室の遮光カーテンの隙間から強く燃えるような黄金色の夕焼けが差し込んでくる。

彼の頬を赤く染め、なにかを耐えるように眉間に皺を寄せた彼は、今にも泣きそうな表情をしていた。

「離婚?急に何を言っているの?貴方は私の事を好きだって言っていたでしょ。結婚して同居すれば生活が楽になるって」

「君が、子供を産むつもりが無いなんて知らなかった。ピルを飲んでいる様子もないし、避妊しなくても僕を受け入れてくれたじゃないか。だから君は、僕の事が好きだと、、、僕の子供を産んでくれると思ったのに」

「確かに、避妊具を入れている事を伝えていなかったわ。でも、それだけで離婚だなんて」

「結婚したら子供を産むのは当然だろう。家だって、生活費だって俺が多く負担している。ルチアは自分の給料で遊んでばかり、一晩中出かけて帰って来ない事も多いじゃないか。君の事は好きだった。でも、触れ合う時間を君は作ってくれようとしない。確かに、一方的だったかもしれない。でも僕が君と触れ合おうとするなら、休日にああするしかなかった。でも、それも全部無駄だった。俺の一方的なただの…」

夫は、項垂れて黙り込んだ。

「ねえ、謝るわ。ちょっと遊び過ぎたかもしれない。外出はもう少し控えるようにする。貴方との時間も作るから、離婚なんて言わないで」

「じゃあ、僕の子供を産んでくれるのか?」

「それは…」

「もういい。ルチア。離婚しよう。俺と君は考え方が違い過ぎる。出て行ってくれ。この家から」

顔を上げた夫は、ルチアを睨みつけてきた。
強い怒りを感じる鋭い眼差しで。

ルチアは、思わず彼から離れる。

さっきまで黄金色だった夕焼けは、赤黒く変わり彼の表情に暗い陰影をつける。






ルチアは、薄暗くなった部屋で一筋の涙を流した。


しおりを挟む
感想 5

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(5件)

operahouse
2025.09.07 operahouse

 人物名が物語の舞台とあっていないかと思います。日本人名でないと、微妙におかしい。
 それぞれの結婚のベースの話はネットの掲示板で見たことがあります。浪費する義妹。何気ない食材が実は高額。農家。障碍者の子どもを隠しての結婚。最後は年食った独身男性
 しかし、主人公。よっぽど美人さんで、ちょっと頭がアレな感じの人なんですね。これだけ離婚歴ついても結婚できるなんてある意味すごい。

解除
964856
2025.07.11 964856

面白かったです!
 何よりもこんなに、何度も結婚できて、離婚してくださいと言われる才能が凄いです💦😅
 でも、自分も、本当はこれ位自分本意な生き方をしてきてるのかもしれないと、色んな境遇の夫との話を読んで、反省しました(苦笑)

2025.07.12 仲 奈華 (nakanaka)

価値観のすり合わせって大変。ちょっとづつ譲歩し合えれば幸せになれるはず?
ルチアさんは、強靭のメンタルの持ち主だと思います。※メンタルの強さだけは見習いたい。

解除
ぷりん
2025.06.18 ぷりん
ネタバレ含む
2025.06.19 仲 奈華 (nakanaka)

感想ありがとうございます。

離婚原因の「価値観の不一致」をテーマに、よくある恋愛シーンと現実のギャップを作者なりに表現しているお話です。

第1×不倫夫へのザマア、、、じゃなかった。
第2×電撃結婚から玉の輿、、、じゃなかった。
第3×理想の主婦生活、、、じゃなかった。
第4×???

ご了承くださいませ。

解除

あなたにおすすめの小説

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

嘘の誓いは、あなたの隣で

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢ミッシェルは、公爵カルバンと穏やかに愛を育んでいた。 けれど聖女アリアの来訪をきっかけに、彼の心が揺らぎ始める。 噂、沈黙、そして冷たい背中。 そんな折、父の命で見合いをさせられた皇太子ルシアンは、 一目で彼女に惹かれ、静かに手を差し伸べる。 ――愛を信じたのは、誰だったのか。 カルバンが本当の想いに気づいた時には、 もうミッシェルは別の光のもとにいた。

いくつもの、最期の願い

しゃーりん
恋愛
エステルは出産後からずっと体調を崩したままベッドで過ごしていた。 夫アイザックとは政略結婚で、仲は良くも悪くもない。 そんなアイザックが屋敷で働き始めた侍女メイディアの名を口にして微笑んだ時、エステルは閃いた。 メイディアをアイザックの後妻にしよう、と。 死期の迫ったエステルの願いにアイザックたちは応えるのか、なぜエステルが生前からそれを願ったかという理由はエステルの実妹デボラに関係があるというお話です。

夫は私を愛してくれない

はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」 「…ああ。ご苦労様」 彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。 二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。

行ってらっしゃい旦那様、たくさんの幸せをもらった私は今度はあなたの幸せを願います

木蓮
恋愛
サティアは夫ルースと家族として穏やかに愛を育んでいたが彼は事故にあい行方不明になる。半年後帰って来たルースはすべての記憶を失っていた。 サティアは新しい記憶を得て変わったルースに愛する家族がいることを知り、愛しい夫との大切な思い出を抱えて彼を送り出す。 記憶を失くしたことで生きる道が変わった夫婦の別れと旅立ちのお話。

私のことを愛していなかった貴方へ

矢野りと
恋愛
婚約者の心には愛する女性がいた。 でも貴族の婚姻とは家と家を繋ぐのが目的だからそれも仕方がないことだと承知して婚姻を結んだ。私だって彼を愛して婚姻を結んだ訳ではないのだから。 でも穏やかな結婚生活が私と彼の間に愛を芽生えさせ、いつしか永遠の愛を誓うようになる。 だがそんな幸せな生活は突然終わりを告げてしまう。 夫のかつての想い人が現れてから私は彼の本心を知ってしまい…。 *設定はゆるいです。

身代わりの恋だと思っていました〜記憶を失った私に、元婚約者が泣いて縋る理由〜

恋せよ恋
恋愛
「君を愛している。一目惚れだったんだ」 18歳の伯爵令嬢エリカは、9歳年上のリヒャルト伯爵から 情熱的な求婚を受け、幸せの絶頂にいた。 しかし、親族顔合わせの席で運命が狂い出す。 彼の視線の先にいたのは、エリカの伯母であり、 彼の学生時代の恋人で「初めての女性」だった……ミレイユ。 「あの子は私の身代わりでしょう」「私はあなただけなの」 伯母ミレイユの甘い誘惑と、裏切りの密会。 衝撃の事実を目撃したエリカは、階段から転落し、 彼と過ごした愛しくも残酷な二年間の記憶だけを失ってしまう。 「……あの、どちら様でしょうか?」 無垢な瞳で問いかけるエリカに、絶望し泣き崩れるリヒャルト。 裏切った男と、略奪を企てた伯母。 二人に待ち受けるのは、甘い報復と取り返しのつかない後悔だった。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

6年前の私へ~その6年は無駄になる~

夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。 テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。