【完結】限界離婚

仲 奈華 (nakanaka)

文字の大きさ
9 / 40
限界離婚

傾き始める達磨

しおりを挟む
義母の京香は相変わらず外出が多かった。毎晩外出し、時には明け方に帰宅する事もある様子だった。

鈴奈は、義母とのやり取りや、家事の負担が増えた事を夫の良とも相談をしたが、来週からは義父が退職するから我慢してくれと宥められる。

確かに、今は大変だが、義父が退職して家にいるようになれば変わるだろうと鈴奈は思った。

その週末、義父の広一が退職した。

京香がいない食卓で、退職祝いにと豪華な食事を並べた。

良が広一へ話しかける。
「父さん。お疲れ様。」

広一は良へ言った。
「ああ、ありがとう。良。鈴奈さんもこれからよろしく。」

鈴奈は良と広一が話している間、家事をしていた。
良は同居をすれば、家事や育児が楽になるし、家賃が浮くと言っていた。

だが、鈴奈の負担は確実に増えていた。

家事をしない夫と義父。

家事ができなくなった義祖母の文。

退職してから外出ばかりの義母の京香。

食費を義母が持っている筈だが、渡されることがない。京香は少ない金額で食費のやりくりしていた。

夫も義父も自宅にいる時は、勇太とよく遊んでくれる。


だけど、、、、、、



良が言う。
「来週から出張になりそうだ。ちょっとトラブルがあったらしくて今回は長くなりそうだ。父さん。前にも相談しただろう。鈴奈と勇太の事をよろしく頼むよ。」

鈴奈は今がタイミングかと思い言った。
「お義父さん。買い物に行く間、勇太を見ていただきたいです。大丈夫でしょうか?」

広一は言った。
「ああ、任せてくれ。そうだ。京香と話をしたんだが、食費を返そうとしない。とりあえずこれを鈴奈さんに渡しておくよ。足りなければまた言ってくれ。やっと退職したからな。しばらくは勇太と遊ぼうと思う。鈴奈さんも何か手伝える事があれば教えてくれ。」
広一は鈴奈に現金が入った封筒を渡してきた。

良が言った。
「母さんはどうしたのだろう。退職してからおかしいよな。」

広一は言った。
「なかなか話もできないし、金遣いが荒くなったようだ。今まで働いていたから家事もほとんど母に任せていたからな。もしかしたら、、、、」

良は言った。
「俺もほとんど、お祖母さんに育てられてから。父さんが決めたことに異論はないよ。母さんの鈴奈への対応もキツイと感じるし。」

広一は言った。
「京香も退職金や年金があるはずだ。貯金も別でしていたからな。離婚しても困る事はないだろう。」


同居したタイミングで義両親の別れ話が出るとは鈴奈は驚いた。義父の様子を見ると、以前から考えていたみたいだった。

リビングの引き出しを開けて義父は離婚届を出してきた。

引き出しには予備なのか数枚の離婚届が入っているようだ。

広一は言った。
「良はいつ出張から帰ってくる?」

良は返事をする。
「週末には帰るよ。たぶん金曜日になるかな。」

広一は言った。
「そうか。それまでに結論がでるだろう。悪いな、良。」

良は笑った。
「いいさ。父さんもお疲れ様。」

鈴奈は二人を見る。二人の奥に置かれている達磨がわずかに傾いているように見えた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

25年目の真実

yuzu
ミステリー
結婚して25年。娘1人、夫婦2人の3人家族で幸せ……の筈だった。 明かされた真実に戸惑いながらも、愛を取り戻す夫婦の話。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。

設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇 ☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。 ―― 備忘録 ――    第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。  最高 57,392 pt      〃     24h/pt-1位ではじまり2位で終了。  最高 89,034 pt                    ◇ ◇ ◇ ◇ 紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる 素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。 隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が 始まる。 苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・ 消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように 大きな声で泣いた。 泣きながらも、よろけながらも、気がつけば 大地をしっかりと踏みしめていた。 そう、立ち止まってなんていられない。 ☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★ 2025.4.19☑~

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

初恋にケリをつけたい

志熊みゅう
恋愛
「初恋にケリをつけたかっただけなんだ」  そう言って、夫・クライブは、初恋だという未亡人と不倫した。そして彼女はクライブの子を身ごもったという。私グレースとクライブの結婚は確かに政略結婚だった。そこに燃えるような恋や愛はなくとも、20年の信頼と情はあると信じていた。だがそれは一瞬で崩れ去った。 「分かりました。私たち離婚しましょう、クライブ」  初恋とケリをつけたい男女の話。 ☆小説家になろうの日間異世界(恋愛)ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18) ☆小説家になろうの日間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18) ☆小説家になろうの週間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/22)

処理中です...