【完結】限界離婚

仲 奈華 (nakanaka)

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限界離婚

消えた幼馴染

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徹には大好きな女の子がいた。

隣の家に住む麗奈はとても可愛くて、徹は麗奈の事がずっと好きだった。


高校生の時、麗奈に告白しようと決めた。

だが、祖父母を亡くしたばかりの麗奈は落ち込んでいて、そんな雰囲気ではない。

だけど、もう少し時間がある。麗奈は大学にもここから通うらしい。麗奈が祖父母を亡くした悲しみが癒えてから告白しよう。

そう思っていた。

ある日、ふと隣の家の様子が可笑しい事に気が付いた。

派手なスポーツカーが止まっていると思っていたら、中から麗奈の父親が出てきた。

麗奈の父親は黒髪の女と寄り添うように歩いている。

あれは?だれなのだろう。それに麗奈は?


まるで自分達の家のように堂々と中に入って行った。

徹には信じられなかった。


麗奈は?


徹は、近くに置かれていた観覧版を持って、隣の家へ走って行った。

チャイムを鳴らし出てきたのは、麗奈の父親だった。

麗奈の父親は徹を見て眉をしかめる。

徹は言った。
「隣の家の徹です。観覧版を持ってきました。すみません麗奈さんにも用事があるのですが、呼んでいただけないでしょうか?」

麗奈の父親は言った。
「麗奈は出て行ったよ。あの子はしっかりしている。どこにいっても一人で大丈夫だろう。悪いが帰ってくれ。婚約者が来ているからね。」

徹は、驚き自宅へ帰っていった。

麗奈は携帯電話を持っていない。周囲の学友がほとんど持っている中で、高校生になった麗奈に携帯電話を買ってくれる大人はいなかった。

だから、麗奈に連絡を取る方法は、、、、



なにも、、、ない。




麗奈が出て行った。

麗奈がいない。

麗奈が、、、、


どうして、言わなかったのだろう。告白して、いつでも頼って来てくれと伝えていたなら、麗奈は徹の所に来ていたかもしれない。


徹は、悔しさでこぶしを握り締めた。


麗奈がいなくなって、徹は憔悴していた。

近所の介護福祉専門学校に通っていたが、正直自分には合っていない気がする。

介護福祉士の仕事は、オムツ変え、配膳、入浴介助と多岐に渡る。

資格を取り、専門学校を卒業した徹は、介護福祉士として病院に就職したが、拘束時間が長いわりに給料が少ない。月十数万しか手取りで残らず、生活費でほとんどが消えてしまう。

今はお祖母さんの家に住んでいるが、、、

そんな時、祖母が尻もちをついた。ただの尻もちだが、腰の痛みが酷く受診したら、胸腰椎圧迫骨折があり、既に何度も繰り返していると言われた。
骨粗しょう症で、骨がかなり脆くなっていたみたいだった。

入院の翌日からコルセットを巻き起き上がるリハビリが始まる。だが、祖母は起き上がる事が出来なかった。

脚に力が入らないのだ。感覚もない。担当していたリハビリスタッフが報告するとすぐに胸腰椎のMRI検査を受ける事になった。

祖母の脊髄は損傷していた。度重なる骨折で変形した骨が神経を圧迫している。

医師から、これからは車いす生活になると告げられた。

徹の両親は、二人で世界一周旅行へ行っている。帰ってくるのは来年の予定だった。町にある両親のマンションは、賃貸に出しており現在は入居者がいる。

徹の給料だけで、祖母を施設にいれる。

とてもではないが無理だった。

だから徹は決断した。仕事を辞める事を。









ホストになり、愛の言葉や優しい言葉を相手に言い続ける。

今でも、麗奈の事が忘れられない。だけど、麗奈はいなくなってしまった。

目の前の客を麗奈だと思い込み、あの時どうしても伝えらえなくて後悔していた言葉を言う。

両親は、海外旅行中に伝染病にかかり、あっけなく亡くなってしまった。賃貸に出していた徹の両親のマンションについては、入居者が出て行ったタイミングで徹が住む事になった。

祖母は、ショートステイや老人保健施設を転々としている。なかなか長期で入居できる施設が見つからない。

ホストの給料は介護福祉士をしていた時の5倍以上ある。祖母が施設に入居できる金銭的余裕があるはずだった。

祖母は車いすだが、頭ははっきりしており、自分の事がほとんどできるはずだからと、介護度が低いと判定され、長期の施設から断られる。

そうやって何年も過ごしていた時に、政府が公募している未来都市の情報を得た。ここならずっと祖母が暮らせるかもしれないと徹は、高齢者専用住宅への入居を祖母と決め申し込んだ。


そこで、徹は忘れられない相手と出会う。

「徹君」

久しぶりに会った麗奈は変わっていなかった。むしろあの頃より綺麗になっていた。











再会して2年が経った。その間、丸田家関係でいろいろあったが、徹と麗奈は、今でも一緒に暮らしている。

家事は共同で行い、休日は二人でデートする。

夕焼けが見える海岸沿いの公園で、徹が麗奈に言った。
「麗奈。愛しているよ。」

麗奈は笑って言う。
「ふふふ。さすが元ホストは口が上手いわね。」

徹は言う。
「こんな気持ちになるのは麗奈だけだよ。一生側にいて欲しい。結婚してくれないか。」

麗奈は悲しそうに言った。
「ありがとう。徹君。でも、私ね。実は子供が産めないの。だから、貴方とは結婚できないわ。」

徹は、笑いながら言った。
「子供がいなくてもいいじゃないか。その方が、麗奈を独り占めする時間が増える。
それに、子供ならこの町にたくさんいる。町全体で育てている沢山の子供達を俺たちも一緒に育てたらいい。だから麗奈一緒になろう。」

麗奈は、徹に寄り添いながら、涙目で頷いた。



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