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魔法学院生徒受入編
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しおりを挟む職人ハクメイの目利きによれば、洞窟から採れた鉱物は「オルガナイト」と呼ばれる物めあることがわかった。
この世界では鉄よりも珍しい物ではあるが、希少という程の物ではない。
現にエレオノアールの全土で見ればこのオルガナイトを特産とする地域はいくつかある。
好物を特産とする以上、希少であればあるほど良いのは当然だがレオンはこの結果に落胆はしていなかった。
というのも、このオルガナイトにはある特性があるのだ。
それは魔力の伝導率の高さである。
オルガナイトは魔力を込めると淡く光り、一定時間蓄積しておくという性質があった。
さらに、加工のしやすさでいえば鉄とほぼ同等。
したがって魔道具の素材として一般的に用いられているのだ。
魔法使いの多いクルザナシュにとっては使い勝手の良い鉱物であるのは確かだった。
「オルガナイトの採れる鉱山は、分布が広いと聞いたことがあります。西の山の全域で取れるかもしれません。他にも洞窟がないか探しましょう」
「すぐに手の空いている住人から炭鉱夫を集いましょう。クエンティン様にも連絡して魔道具技師を呼ぶ必要もあります」
ハクメイとライルはオルガナイトが採れたことにすっかりと有頂天になっている。
これから始まるであろうオルガナイトを使った商売に心を躍らせているのだ。
クルザナシュに移住して来た平民達のうち、ほとんどは元農夫である。
家系の次男以下に生まれ、故郷の土地を相続できなかった者が多い。
レオンは周囲の山をどうにか切り開いて彼らに十分な農地を与えるつもりではいたが、現状その作業は全然間に合っていない。
農地は順調に増えてはいるのだが、そこを耕す農夫はまだあまり気味なのだ。
その彼らから志願者を募り、炭鉱で鉱石を掘ってもらうのはちょうど良い考えだった。
「西の山全体が鉱山の可能性か。これはいいかもね」
はしゃぐライルとハクメイ同様に、レオンも少しワクワクしていた。
「とりあえず、志願者を募るのはライルに任せるよ。クエンティン先輩には僕から連絡しておく。それと、西の山の洞窟探しは僕に考えがあるから、住人達だけで勝手に行かないように注意を呼びかけておいてほしい。危ないかもしれないからね」
レオンがライルにそう伝えると、ライルは頷いて早速店を出ていった。
洞窟探しとは、ちょうどいい時期にちょうどいい作業が見つかったものだ、とレオンは内心思っていた。
というのも、つい先日王都のヒースクリフから連絡があったのだ。
正確にはヒースクリフの名前を使った、王都にある魔法学院からの伝達であった。
その内容というのが「魔法学院の一年生を特別課外授業として、各街に向かわせたい」というものであった。
今年から六年制になった魔法学院。
一年生というと、年齢的にはまだ幼い子供達である。
そんな彼らに魔法使いとはどういう仕事なのか、何をするのかというのを見学させたいという趣旨の内容であった。
クルザナシュは出来てまだ間もない街ではあるが、レオンを目当てに集まって来た魔法使いの数は多い。
学院の趣旨と照らし合わせた結果、是非クルザナシュでも受け入れをしてほしいという内容の手紙が魔法学院とヒースクリフの名前でレオンにも届いている。
魔法学院にはレオン自身お世話になったし、ヒースクリフは国王である前に友人である。
そして、魔法学院の一年生には弟のマルクスがいるのだ。
レオンにとって断る理由はなかった。
そして、西の山の全域が鉱山である可能性があり、他にも洞窟があるかもしれないとあう話を聞いた時、レオンはその洞窟を見つける過程を一年生達に手伝ってもらおうと思いついたのである。
レオンにとって正しくちょうど良いタイミングであった。
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