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27. 春からのスケジュール
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東京ドームファイナルがいよいよ明日となった。
事務所のレッスン室で最終確認をする。2時間半で35曲を通しで行い、終わったときには全員が大量の汗をかき、息が上がっていた。
でも、気分は良かった。
今日この場で答えを出す。――そう、決めていたから。
「おつかれさまです。今夜はここまでにしましょう。明日は昼過ぎにはリハーサルを始めます。東京ドームの入り時間は……」
湊さんが明日の流れを説明し終わると、オレは静かに声を発した。
「伊勢、蒼真、湊さん。それに泊さん」
オレは一歩前に出て、深く息を吸い込む。
「オレから、みんなに話がある」
静寂が落ちた。目の前にある鏡の中、自分の瞳が真っすぐこちらを見返す。
「オレは――、明日のファイナルが終わっても、TOMARIGIに残りたい。これからも、みんなと一緒にトップを目指したい」
一言ずつ噛みしめるように。
数秒の沈黙ののち、蒼真が手を叩いた。
「俺は、誰が欠けても嫌だと行ったからな」
蒼真の笑顔はまるで春風みたいに場の空気をやわらげる。大人びていてもまだ19歳。あどけなさが残っていた。
湊さんが、ほっとしたように頷いた。
「ありがとう、片倉くん。その言葉を聞けて本当によかった」
その隣でチーフマネージャーの泊さんが、そっと湊さんの肩を叩いた。
オレの不甲斐ない言動は、湊さんや泊さんをどれだけ困らせていたのだろうか。それなのに、責めることも急かすこともなく、ただ待っていてくれた。
ただ一人、無言でいる人物がいる。
「伊勢、なんか言ってやれよ」
蒼真が伊勢に視線を向ける。
「だって、俺は最初から片倉が辞めるなんて、思ってなかったからな。何も心配なんてしてなかったさ」
飄々と答える。
「もう、嘘ばっかり……」
ポツリと湊さんが苦笑しながらつぶやいた。
「それじゃあ、片倉くんの春以降のスケジュールをお伝えしますね」
「え、春以降は空白だって言ってましたよね」
湊さんはにやりと笑うと、スケジュール表を広げた。
「実はーー、夏の連続ドラマの主演、オファーが来たので受けちゃいました!共演は、あの成瀬玲奈さんです!」
「ええ!」
「すごいじゃん!」
伊勢と蒼真の声が同時にあがる。
「さらに、スポーツ用品の公式アンバサダーに決まりました!ニューヨークのイベントにも出席しますから、パスポートの期間を確認しておいてくださいね」
「え、ええ!」
「さらにさらに、4月からTOMARIGIの冠番組が、ゴールデン進出します!」
『えええええ!』
最後は全員で声をあげた。
「片倉くん、キミの再出発は事務所全体で支えます。次のステージに行きましょう」
胸の奥が熱くなる。これが、オレの戦う場所。
「ありがとうございます。みんなに迷惑かけたけど、必ず結果で応えます」
伊勢がが軽く頷く。
「さぁ、ますます忙しくなりますよ!」
「これで、TOMARIGIは再び強固になったな。東京ドームファイナルのため、今夜はここまでにしよう」
泊さんの一言で空気が締められた。
「僕と泊さんは、片倉くんの残留決定を社長に報告してきますね!皆さん、とにかく明日のファイナル、がんばりましょう!」
マネージャーの2人は嬉しそうにレッスン室を出て行った。
「ふっきれたな」
「蒼真が支えてくれたからな」
そう言うと、蒼真は照れくさそうに笑った。安心したような目をしていた。
「……じゃあ、お先に」
誰よりも身支度が早い蒼真が退出し、レッスン室のドアが再び閉まる。
伊勢とふたりきり。
「片倉、まだ少し時間あるか?」
「え、ああ。うん」
「屋上で少し話さないか?」
伊勢の声は穏やかだった。
オレは頷き、レッスン室の照明を消した。
鏡の中に、出会った頃の自分たちの姿が映り、すぐに闇に溶けて消えた。
事務所のレッスン室で最終確認をする。2時間半で35曲を通しで行い、終わったときには全員が大量の汗をかき、息が上がっていた。
でも、気分は良かった。
今日この場で答えを出す。――そう、決めていたから。
「おつかれさまです。今夜はここまでにしましょう。明日は昼過ぎにはリハーサルを始めます。東京ドームの入り時間は……」
湊さんが明日の流れを説明し終わると、オレは静かに声を発した。
「伊勢、蒼真、湊さん。それに泊さん」
オレは一歩前に出て、深く息を吸い込む。
「オレから、みんなに話がある」
静寂が落ちた。目の前にある鏡の中、自分の瞳が真っすぐこちらを見返す。
「オレは――、明日のファイナルが終わっても、TOMARIGIに残りたい。これからも、みんなと一緒にトップを目指したい」
一言ずつ噛みしめるように。
数秒の沈黙ののち、蒼真が手を叩いた。
「俺は、誰が欠けても嫌だと行ったからな」
蒼真の笑顔はまるで春風みたいに場の空気をやわらげる。大人びていてもまだ19歳。あどけなさが残っていた。
湊さんが、ほっとしたように頷いた。
「ありがとう、片倉くん。その言葉を聞けて本当によかった」
その隣でチーフマネージャーの泊さんが、そっと湊さんの肩を叩いた。
オレの不甲斐ない言動は、湊さんや泊さんをどれだけ困らせていたのだろうか。それなのに、責めることも急かすこともなく、ただ待っていてくれた。
ただ一人、無言でいる人物がいる。
「伊勢、なんか言ってやれよ」
蒼真が伊勢に視線を向ける。
「だって、俺は最初から片倉が辞めるなんて、思ってなかったからな。何も心配なんてしてなかったさ」
飄々と答える。
「もう、嘘ばっかり……」
ポツリと湊さんが苦笑しながらつぶやいた。
「それじゃあ、片倉くんの春以降のスケジュールをお伝えしますね」
「え、春以降は空白だって言ってましたよね」
湊さんはにやりと笑うと、スケジュール表を広げた。
「実はーー、夏の連続ドラマの主演、オファーが来たので受けちゃいました!共演は、あの成瀬玲奈さんです!」
「ええ!」
「すごいじゃん!」
伊勢と蒼真の声が同時にあがる。
「さらに、スポーツ用品の公式アンバサダーに決まりました!ニューヨークのイベントにも出席しますから、パスポートの期間を確認しておいてくださいね」
「え、ええ!」
「さらにさらに、4月からTOMARIGIの冠番組が、ゴールデン進出します!」
『えええええ!』
最後は全員で声をあげた。
「片倉くん、キミの再出発は事務所全体で支えます。次のステージに行きましょう」
胸の奥が熱くなる。これが、オレの戦う場所。
「ありがとうございます。みんなに迷惑かけたけど、必ず結果で応えます」
伊勢がが軽く頷く。
「さぁ、ますます忙しくなりますよ!」
「これで、TOMARIGIは再び強固になったな。東京ドームファイナルのため、今夜はここまでにしよう」
泊さんの一言で空気が締められた。
「僕と泊さんは、片倉くんの残留決定を社長に報告してきますね!皆さん、とにかく明日のファイナル、がんばりましょう!」
マネージャーの2人は嬉しそうにレッスン室を出て行った。
「ふっきれたな」
「蒼真が支えてくれたからな」
そう言うと、蒼真は照れくさそうに笑った。安心したような目をしていた。
「……じゃあ、お先に」
誰よりも身支度が早い蒼真が退出し、レッスン室のドアが再び閉まる。
伊勢とふたりきり。
「片倉、まだ少し時間あるか?」
「え、ああ。うん」
「屋上で少し話さないか?」
伊勢の声は穏やかだった。
オレは頷き、レッスン室の照明を消した。
鏡の中に、出会った頃の自分たちの姿が映り、すぐに闇に溶けて消えた。
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