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第5章 ◇怒涛の 1st WEEK
◆9 ミーティングにて①
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「――蓮夜、遅刻ギリギリだぞ」
「すみません!」
店に飛び込むと、今まさに、ミーティングが始まる所だった。
ソファ席側と店の中央エリアとで、ここに居るメンバーの立ち位置が二分されている。座席側にはプレイヤーと黒服、その他スタッフの面々がズラリと勢揃いしていた。
その座席に囲まれた中心の場所には、大人の両手が何とか届くくらいの大きな花瓶が置かれていて、艶やかな花のアレンジメントが飾られている。そこは少し高さがあり雛壇のようになっていて、生けられたその華麗な花を背にして立っているのが、管理職のメンバーだ。
一人は、いま俺を注意したマネージャーの葵さん。いつも月初めのミーティングを取り仕切っている。その横にもう一人マネージャーがいるのはいつもの事だったが、更にその隣りに目を向けると――なんと高城さんが立っていた。
いつも通りの迫力のある美貌から放たれる、咎めるような視線にヒヤリとする。
「同伴でもなくこんなにギリギリにご出勤とは余裕だな?」
「申し訳ありません……」
直接お小言を食らってしまった。ツイてない。
俺は慌てて、スタッフの並ぶ列に滑り込もうとした――その時。
「連夜さんも、こちら側にいてくださる?」
白大島と呼ばれる紬の着物に、レースと蝶を浮かび上がらせた藍染めの帯を合わせて涼やかに着こなし、裾捌きも軽やかに。事務室の奥から出て来た人がいた。
柔らかな物腰で濃紺の絨毯の上を優雅に歩いてくる。
一筋の乱れもなく結い上げられた白髪は、薄く色の残ったグレーの髪がメッシュの様に混ざり合い、少し銀色味を帯びて見えて、着物のコーディネートとよく似合っている。
今日も涼しげで完璧な装いのその人が登場すると、居並ぶホスト全員が緊張感と共に席を立ち、一斉に頭を下げた。
この構図は何というか――極道映画のワンシーンみたいな、迫力の雰囲気がある。
「……今晩は、皆様」
にこやかに挨拶をしたのは、この店のオーナー、京極叶恵さんだ。
60を過ぎていると囁かれているが、艶のある肌と、ピシリとした姿勢、しなやかな動きからはとてもそんな年齢は感じられない。実年齢は店のトップシークレットだ。
ホストクラブのオーナーで、女性というのは多分珍しいだろう。
彼女はこの店を父親から受け継いでいるとのことだが、店に対するこだわりや愛情はとても深いと、ここで働く者なら誰もが知っている。
『オブリビオン』が、派手なマイクパフォーマンスなどをあまりせず落ち着いた雰囲気なのは、先代の時からの方針を引き継いでいるそうだ。
古き良き、銀座の「高級クラブ」の男性版。それを目指して作られたこの店は、主に大人の女性の社交場、あくまでも女性を癒し会話を楽しむ為の場所として、永く愛され続けていた。
「すみません!」
店に飛び込むと、今まさに、ミーティングが始まる所だった。
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その座席に囲まれた中心の場所には、大人の両手が何とか届くくらいの大きな花瓶が置かれていて、艶やかな花のアレンジメントが飾られている。そこは少し高さがあり雛壇のようになっていて、生けられたその華麗な花を背にして立っているのが、管理職のメンバーだ。
一人は、いま俺を注意したマネージャーの葵さん。いつも月初めのミーティングを取り仕切っている。その横にもう一人マネージャーがいるのはいつもの事だったが、更にその隣りに目を向けると――なんと高城さんが立っていた。
いつも通りの迫力のある美貌から放たれる、咎めるような視線にヒヤリとする。
「同伴でもなくこんなにギリギリにご出勤とは余裕だな?」
「申し訳ありません……」
直接お小言を食らってしまった。ツイてない。
俺は慌てて、スタッフの並ぶ列に滑り込もうとした――その時。
「連夜さんも、こちら側にいてくださる?」
白大島と呼ばれる紬の着物に、レースと蝶を浮かび上がらせた藍染めの帯を合わせて涼やかに着こなし、裾捌きも軽やかに。事務室の奥から出て来た人がいた。
柔らかな物腰で濃紺の絨毯の上を優雅に歩いてくる。
一筋の乱れもなく結い上げられた白髪は、薄く色の残ったグレーの髪がメッシュの様に混ざり合い、少し銀色味を帯びて見えて、着物のコーディネートとよく似合っている。
今日も涼しげで完璧な装いのその人が登場すると、居並ぶホスト全員が緊張感と共に席を立ち、一斉に頭を下げた。
この構図は何というか――極道映画のワンシーンみたいな、迫力の雰囲気がある。
「……今晩は、皆様」
にこやかに挨拶をしたのは、この店のオーナー、京極叶恵さんだ。
60を過ぎていると囁かれているが、艶のある肌と、ピシリとした姿勢、しなやかな動きからはとてもそんな年齢は感じられない。実年齢は店のトップシークレットだ。
ホストクラブのオーナーで、女性というのは多分珍しいだろう。
彼女はこの店を父親から受け継いでいるとのことだが、店に対するこだわりや愛情はとても深いと、ここで働く者なら誰もが知っている。
『オブリビオン』が、派手なマイクパフォーマンスなどをあまりせず落ち着いた雰囲気なのは、先代の時からの方針を引き継いでいるそうだ。
古き良き、銀座の「高級クラブ」の男性版。それを目指して作られたこの店は、主に大人の女性の社交場、あくまでも女性を癒し会話を楽しむ為の場所として、永く愛され続けていた。
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