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1話 ハズレスキル?【タイム連打】
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「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」
「……へ?」
いつもの酒場の席の一角で、今日はどんな依頼を受けるのだろうかと思っていたら、席に着いた瞬間、ルインからそう言われた。
俺は『リオ』、今年で18歳になる若手の冒険者だ。
俺に両親はおらず、物心ついた時には既にスラム街の片隅にいたから、おそらく捨てられたんだろう。
スラム育ちの孤児なんて、文字通り掃いて捨てるほどいる……俺はそんな奴らの一人だった。
毎日毎日、クソみたいな仕事で死ぬほど働いてもその日の食い扶持もままならない、それが日常だった。
だから俺達のような貧しい孤児は、みんな冒険者を目指した。
魔物を倒す力さえあればお金がもらえ、食うに困らないのだと信じて、スラム街で一緒に生きてきた三人と毎日をしぶとく生きてきた。
リーダー格の『ルイン』
皮肉屋の『スコット』
紅一点の『ヒルダ』
そうして冒険者になってパーティを組み、それなりにやって来た。
そんな矢先に、コレだ。
「ちょ、いきなりなんだよルイン?しかも追放って、どう言うことだ?」
わけが分からん以上は訊くしかないが、
「お前はもういらないんだとよ」
横からスコットの小馬鹿にするような声に遮られた。
「いらない?どうしてだよ、俺達四人、今日までなんとかやって来ただろ?」
理由も無しにはいそうですかと言えない、さすがにその辺りは話してくれないと納得しかねる。
すると俺の態度が気に食わなかったのか、ルインは「ハァッ」とわざとらしい溜め息をついた。
「お前のその、"ハズレスキル“だ」
スキル。
人間なら誰しも持っている、生まれもっての才能。
身体能力を上げたり、剣技や魔術が使えたり、あるいは特殊な力を持っていたりと、人によって千差万別だ。
ルインは魔法剣を放てる【魔法剣士】
スコットは隠密系の技能を持つ【シーカー】
ヒルダは多彩な魔術を使える【賢者】
と言う感じで、なかなか強力な技能や魔術を持つことが出来ている。
その一方で、俺の持つスキルと言えば……
「【タイム連打】ってなんだよ」
そう。
それが、俺の持つスキルだ。
魔法剣士とかシーカーとか賢者と言った、肩書きのような名前ではなく……【タイム連打】である。
「お前のそのスキル、何の役にも立ってないだろうが」
ルインは俺に指を差してそう言ってのけた。
何の役にも立ってないと言われてもな。
「いや、確かに使い勝手は少し悪いけど、なかなか使えるスキルだって前にも言っただろ」
俺のこの【タイム連打】がどういうスキルなのかと言えば、
『時を止める代わりに自分も動けなくなる』と言うものだ。
時を止められると言うのは凄そうに思えるが、同時に自分も動けなくなってしまうので、実質的に『時を止められるだけで事態は何も変わらない』のだ。
端から見れば、特に役に立ちそうにないように思えるが、ようは使いようだ。
それにスキルに頼るだけじゃなく、剣術を磨き、身体を鍛えることも忘れなかったし、戦いでも積極的に攻撃に参加していたと思うんだが。
「どこがだ?お前のそのハズレスキルが、俺達の役に立ったこと、一度でもあったか?無いだろ?」
心底から侮蔑するように俺を見下すルイン。
「これまでは同じスラムのよしみでパーティに入れてやっていたが、俺達【紺碧の刃剣】はこれからもっと有名になる。そこに、お前って言うハズレスキル持ちがいるってのは、マイナスにしかならないんだよ」
……これは、人の話を聞かない時のルインだ。
昔からそうだ、ルインは一度自分が正しいと思ったら、そう簡単にその考えを曲げたりしない。
「そう言うこった、とっとと抜けな」
スコットもルインに同調している辺り、最初からこうなることを予想してたな?
「待てよ、だからっていきなり過ぎだ!」
俺をパーティから追い出したいのは分かったが、だからって言い方ってものがある!
「ヒルダ、お前はどうなんだよ?」
ここまで一度も口を開いていないヒルダは、
「……」
うつむきがちに俺から顔を逸らしただけだった。
……ヒルダも同じと言うことは、この三人は最初からグルになって俺を追い出すつもりだったのか。
「パーティリーダーとして命令だ。抜けろ、リオ」
そうまでして、どうしても俺が邪魔か……
「……分かった、そんなに邪魔ならこっちから出ていってやるよ」
これ以上いても、ケツの据わりが悪くなるだけだ。
足元に置いていたロングソードを背負い、手荷物を担いで席を立つ。
「今まで世話になった、じゃぁな」
自分でも驚くほど冷たくそう吐き捨てて、俺は酒場を後にした。
「………………ごめんなさい、リオ」
去り際に、ヒルダが何か呟いたように聞こえたが、もうどうでもいい。
「そう言えば、知ってるか?先日、後宮に聖女様が召還されたらしいぞ」
「聖女様って、お伽噺とかで聞く、アレか?マジで召還されたのか?」
「おうよ、後宮に詰めてる兵士から聞いたからな。なんでも、聖女に愛された国は永きに渡って繁栄と豊穣をもたらすんだとか」
「へー。そんな話より、俺は第一王子が婚約破棄した話の方が気になるけどな」
「マジかよ、そっちは初耳だ。第一王子の婚約者って誰だっけ?」
「『アイリス』公爵令嬢だったっけな、今年で17になる。でも、容姿端麗かつ品行方正、家は清廉潔白で有名な公爵家って聞くけど、なんで婚約破棄されたんだろうな?」
「さぁ、その聖女様と結婚したかったんじゃね?ほら、こう、「私は聖女様に真実の愛を見つけた!アイリスよ、お前との婚約を破棄する!」ってな。つーか、そもそもそんな簡単に婚約破棄とか出来るもんなのか?」
「普通は無理と言うか、家の名とか外聞とかもあるからしたくても出来ないだろうよ。下手に婚約破棄なんてしたら、周囲から何言われるか分かったもんじゃないからな」
「じゃ、あれじゃね?聖女様と結婚したいから、公爵令嬢にそれっぽくでっち上げて濡れ衣を着せて、体よく婚約破棄したとか?」
「あー、なるほどな。確かにそれが一番脛に傷が入らないし、都合良さそうだもんな。濡れ衣を着せたってなると、公爵家はどうなるんだろうな?」
「罪状にもよんじゃね?爵位取り上げられてブタ箱行きか、後宮から追放か、御家ごと取り潰しか。ま、俺らみてぇな冒険者には関係ねぇか」
「だな。あー、今日の酒も不味いわぁ……」
「……へ?」
いつもの酒場の席の一角で、今日はどんな依頼を受けるのだろうかと思っていたら、席に着いた瞬間、ルインからそう言われた。
俺は『リオ』、今年で18歳になる若手の冒険者だ。
俺に両親はおらず、物心ついた時には既にスラム街の片隅にいたから、おそらく捨てられたんだろう。
スラム育ちの孤児なんて、文字通り掃いて捨てるほどいる……俺はそんな奴らの一人だった。
毎日毎日、クソみたいな仕事で死ぬほど働いてもその日の食い扶持もままならない、それが日常だった。
だから俺達のような貧しい孤児は、みんな冒険者を目指した。
魔物を倒す力さえあればお金がもらえ、食うに困らないのだと信じて、スラム街で一緒に生きてきた三人と毎日をしぶとく生きてきた。
リーダー格の『ルイン』
皮肉屋の『スコット』
紅一点の『ヒルダ』
そうして冒険者になってパーティを組み、それなりにやって来た。
そんな矢先に、コレだ。
「ちょ、いきなりなんだよルイン?しかも追放って、どう言うことだ?」
わけが分からん以上は訊くしかないが、
「お前はもういらないんだとよ」
横からスコットの小馬鹿にするような声に遮られた。
「いらない?どうしてだよ、俺達四人、今日までなんとかやって来ただろ?」
理由も無しにはいそうですかと言えない、さすがにその辺りは話してくれないと納得しかねる。
すると俺の態度が気に食わなかったのか、ルインは「ハァッ」とわざとらしい溜め息をついた。
「お前のその、"ハズレスキル“だ」
スキル。
人間なら誰しも持っている、生まれもっての才能。
身体能力を上げたり、剣技や魔術が使えたり、あるいは特殊な力を持っていたりと、人によって千差万別だ。
ルインは魔法剣を放てる【魔法剣士】
スコットは隠密系の技能を持つ【シーカー】
ヒルダは多彩な魔術を使える【賢者】
と言う感じで、なかなか強力な技能や魔術を持つことが出来ている。
その一方で、俺の持つスキルと言えば……
「【タイム連打】ってなんだよ」
そう。
それが、俺の持つスキルだ。
魔法剣士とかシーカーとか賢者と言った、肩書きのような名前ではなく……【タイム連打】である。
「お前のそのスキル、何の役にも立ってないだろうが」
ルインは俺に指を差してそう言ってのけた。
何の役にも立ってないと言われてもな。
「いや、確かに使い勝手は少し悪いけど、なかなか使えるスキルだって前にも言っただろ」
俺のこの【タイム連打】がどういうスキルなのかと言えば、
『時を止める代わりに自分も動けなくなる』と言うものだ。
時を止められると言うのは凄そうに思えるが、同時に自分も動けなくなってしまうので、実質的に『時を止められるだけで事態は何も変わらない』のだ。
端から見れば、特に役に立ちそうにないように思えるが、ようは使いようだ。
それにスキルに頼るだけじゃなく、剣術を磨き、身体を鍛えることも忘れなかったし、戦いでも積極的に攻撃に参加していたと思うんだが。
「どこがだ?お前のそのハズレスキルが、俺達の役に立ったこと、一度でもあったか?無いだろ?」
心底から侮蔑するように俺を見下すルイン。
「これまでは同じスラムのよしみでパーティに入れてやっていたが、俺達【紺碧の刃剣】はこれからもっと有名になる。そこに、お前って言うハズレスキル持ちがいるってのは、マイナスにしかならないんだよ」
……これは、人の話を聞かない時のルインだ。
昔からそうだ、ルインは一度自分が正しいと思ったら、そう簡単にその考えを曲げたりしない。
「そう言うこった、とっとと抜けな」
スコットもルインに同調している辺り、最初からこうなることを予想してたな?
「待てよ、だからっていきなり過ぎだ!」
俺をパーティから追い出したいのは分かったが、だからって言い方ってものがある!
「ヒルダ、お前はどうなんだよ?」
ここまで一度も口を開いていないヒルダは、
「……」
うつむきがちに俺から顔を逸らしただけだった。
……ヒルダも同じと言うことは、この三人は最初からグルになって俺を追い出すつもりだったのか。
「パーティリーダーとして命令だ。抜けろ、リオ」
そうまでして、どうしても俺が邪魔か……
「……分かった、そんなに邪魔ならこっちから出ていってやるよ」
これ以上いても、ケツの据わりが悪くなるだけだ。
足元に置いていたロングソードを背負い、手荷物を担いで席を立つ。
「今まで世話になった、じゃぁな」
自分でも驚くほど冷たくそう吐き捨てて、俺は酒場を後にした。
「………………ごめんなさい、リオ」
去り際に、ヒルダが何か呟いたように聞こえたが、もうどうでもいい。
「そう言えば、知ってるか?先日、後宮に聖女様が召還されたらしいぞ」
「聖女様って、お伽噺とかで聞く、アレか?マジで召還されたのか?」
「おうよ、後宮に詰めてる兵士から聞いたからな。なんでも、聖女に愛された国は永きに渡って繁栄と豊穣をもたらすんだとか」
「へー。そんな話より、俺は第一王子が婚約破棄した話の方が気になるけどな」
「マジかよ、そっちは初耳だ。第一王子の婚約者って誰だっけ?」
「『アイリス』公爵令嬢だったっけな、今年で17になる。でも、容姿端麗かつ品行方正、家は清廉潔白で有名な公爵家って聞くけど、なんで婚約破棄されたんだろうな?」
「さぁ、その聖女様と結婚したかったんじゃね?ほら、こう、「私は聖女様に真実の愛を見つけた!アイリスよ、お前との婚約を破棄する!」ってな。つーか、そもそもそんな簡単に婚約破棄とか出来るもんなのか?」
「普通は無理と言うか、家の名とか外聞とかもあるからしたくても出来ないだろうよ。下手に婚約破棄なんてしたら、周囲から何言われるか分かったもんじゃないからな」
「じゃ、あれじゃね?聖女様と結婚したいから、公爵令嬢にそれっぽくでっち上げて濡れ衣を着せて、体よく婚約破棄したとか?」
「あー、なるほどな。確かにそれが一番脛に傷が入らないし、都合良さそうだもんな。濡れ衣を着せたってなると、公爵家はどうなるんだろうな?」
「罪状にもよんじゃね?爵位取り上げられてブタ箱行きか、後宮から追放か、御家ごと取り潰しか。ま、俺らみてぇな冒険者には関係ねぇか」
「だな。あー、今日の酒も不味いわぁ……」
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