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2話 そうだ旅に出よう、そうしよう
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ルイン達から一方的な追放を言い渡されたその日は、不貞腐れるように宿で寝過ごして、一晩かけて落ち着いた。
真面目な話、俺と言うリオが、新進気鋭の冒険者パーティ【紺碧の刃剣】を追い出されたことはすぐに噂になるはずだ。
パーティから追い出されるような"無能な冒険者“だ、どこのパーティだって受け入れたく無いだろう。
そうなると、この王都『クロスキングス』の冒険者ギルドに、俺の居場所はない。
ソロで冒険者活動を続けるにしても、一人だけでは限界がある、せいぜいその日暮らしをしつつ、ごくごく僅かな日銭を貯めてはすぐに使って無くなる、そんな日々の繰り返しを送るだろう。
それがダメだとは思わないが、このまま王都に居座り続けるなら、この先ずっと一人ぼっちだ。
「……フリーランスの冒険者、だな」
特定のギルドに所属せず、商隊の護衛や用心棒を請け負いながらあちこちを旅をするタイプの冒険者だ。
いつでも依頼を受けられるわけではないし、得られる報酬も安定しないが、あちこちを旅しながら美味しいものを食べ歩きしたいからと言う理由でフリーランスで活動する冒険者も一定数いる。
フリーランスの冒険者としてあちこちを転々として、王都から遠く離れた場所に腰を落ち着けるのもいいだろう。
「そうだな、そうしよう」
思い立ったが吉日、俺はベッドから跳ね起きて、酒場の方へ赴く。
商隊の護衛依頼が受けられるか確かめるためだ。
結論から言うと。
ここから馬車で三日ほどの距離にある、流通都市『カイツール』行きの商隊の護衛にまだ空きがあったので、すぐに受けさせてもらった。
報酬金自体は、商隊の護衛依頼としては安い方だが、食事付きならむしろ好条件だろう。
出発は明日の早朝、どうせ俺自身大した手荷物も無いので、常備品をいくつか買い足す必要はあるが、今からのんびり旅支度をしても夜までには余裕で間に合う。
翌早朝。
宿を引き払うなり、すぐに王都の出入口付近の広場へ向かう。そこが商隊と便乗者、護衛依頼を受けた冒険者達の待ち合わせ場所だ。
……ルイン、スコット、ヒルダの三人とは、これでもう二度と会うことは無いだろう。
スラム暮らしの頃から四人で一緒に頑張ってきたが、あいつらにとっての幼い頃からの友情や絆ってやつは、いとも簡単に放り捨てられるようなものだったとは、思いたくなかったな。
走馬灯のように脳裏に過るのは――
「……さて、行くとするか」
思い出さないように頭を振って、自分にそう言い聞かせた。
今思い出したら、俺はもうどこにも行けなくなってしまいそうだったから。
商人や冒険者達が各々出発準備をしている中を掻き分けて、依頼人及びこの商隊のリーダーを捜す。
商隊のリーダーなら、複数人と出発直前の最終確認とかしているはずだから、数人集まっている所を目印にして――それらしい集まりはすぐに見つかった。
中心にいるリーダーらしい初老の男は、頭髪や髭は白いが細身ながら引き締まった肉体を持ち、ラフに着こなしたジャケットが、旅慣れている風を見せつけている。
「すいません、昨日に飛び込みで護衛依頼を受けた、黒鉄級冒険者のリオです。代表者はどちらですか?」
声を張って、代表者はどちらさんですかとご挨拶。
対面式の依頼だからな、代表者や責任者に挨拶して顔を覚えてもらうのだ。
すると予想していた通り、初老の男が反応して、前に出てきた。
「おぉ、お前さんが最後に入ってきた冒険者だな?」
ニカッと人の好い笑顔を見せてくる。
「オレはこの商隊のリーダー、『アンドリュー』だ。よろしく頼むぞ」
「俺は黒鉄級冒険者のリオです。道中の荒事は任せてください」
「ハッハハッ!礼儀正しくて元気のいいのが一番だ!」
豪快に笑うアンドリューさんは、バシバシと俺の肩を叩く。
なんとなく、器の大きい人なんだと感じられる、不思議な人だ。
「よし、これで護衛の冒険者は全員揃ったな。そろそろ出発するぞ!」
アンドリューさんは声を張り上げて、準備を急がせる。
今回、この商隊の護衛依頼を受けているのは、俺を含めて八人ほど。いずれも俺と大して歳の離れていない若手の冒険者、青銅級や赤銅級がほとんどだろう。
冒険者には階級があり、下から順に、
青銅→赤銅→黒鉄→銀→金→白銀→黄金→白金→漆黒
の、九段階に分けられている。
俺自身は黒鉄級、下から三番目だ。
尤も、ほとんどの冒険者は銀か金止まり、引退までに白銀まで登り詰めれば上々と言ったところ。
白銀よりも上、つまり黄金以上の冒険者は階級こそあれど実質そこまでに至れる者はごく少数――それこそ、英雄と呼ばれるような者だろう。
慌ただしくなる面々の中、俺もアンドリューさんにどこの守りに就けばいいかと訊ね、この中で唯一の黒鉄級と言うことで、先頭の守りを任された。
ようは魔物が出てきたら、いの一番で突っ込んでくれってことな。
先頭の馬車の近くに陣取っていると、アンドリューさんが出発の号令を発した。
さて、旅立ちの時だ。
護衛依頼と言っても。
王都周辺は整備された見晴らしの良い平原で、魔物の縄張りである森に近付きさえしなければ、日中は比較的安全なものだ。
むしろ日中の内に危険なのは、野盗や山賊の類いの方が危険だ。
さすがに冒険者複数人が守りを固めているところを襲うような連中は、よほど大規模な集団か、ただのバカかのどちらかだが、なまじ狡猾なだけあってある意味で魔物よりも厄介な相手だ。
夜中は夜行性の魔物が彷徨くため、商隊が移動をする時は基本的に日中の内、暗くなる前に道中の村や集落に身を寄せたりするのだ。
王都から行き先である流通都市カイツールは、道中に村や集落が無いため、二日ほど野営で夜を過ごすことになるだろう。
野営をする時は、常に火を絶やさずに複数人が不寝番をしなければ、商隊はあっという間に夜行性の魔物によって全滅だ。
まぁ、今回は護衛の冒険者が複数いるし、不寝番は交代で替わることになるので、一睡も出来ないなんてことはない。
俺も周りの冒険者や商人の皆さんと会話をしたり、食事を共にしたりして、それなりに楽しく過ごしている。
いいなぁ、色んな人達とあれこれ共有し合う旅も、案外悪くないものだ。
真面目な話、俺と言うリオが、新進気鋭の冒険者パーティ【紺碧の刃剣】を追い出されたことはすぐに噂になるはずだ。
パーティから追い出されるような"無能な冒険者“だ、どこのパーティだって受け入れたく無いだろう。
そうなると、この王都『クロスキングス』の冒険者ギルドに、俺の居場所はない。
ソロで冒険者活動を続けるにしても、一人だけでは限界がある、せいぜいその日暮らしをしつつ、ごくごく僅かな日銭を貯めてはすぐに使って無くなる、そんな日々の繰り返しを送るだろう。
それがダメだとは思わないが、このまま王都に居座り続けるなら、この先ずっと一人ぼっちだ。
「……フリーランスの冒険者、だな」
特定のギルドに所属せず、商隊の護衛や用心棒を請け負いながらあちこちを旅をするタイプの冒険者だ。
いつでも依頼を受けられるわけではないし、得られる報酬も安定しないが、あちこちを旅しながら美味しいものを食べ歩きしたいからと言う理由でフリーランスで活動する冒険者も一定数いる。
フリーランスの冒険者としてあちこちを転々として、王都から遠く離れた場所に腰を落ち着けるのもいいだろう。
「そうだな、そうしよう」
思い立ったが吉日、俺はベッドから跳ね起きて、酒場の方へ赴く。
商隊の護衛依頼が受けられるか確かめるためだ。
結論から言うと。
ここから馬車で三日ほどの距離にある、流通都市『カイツール』行きの商隊の護衛にまだ空きがあったので、すぐに受けさせてもらった。
報酬金自体は、商隊の護衛依頼としては安い方だが、食事付きならむしろ好条件だろう。
出発は明日の早朝、どうせ俺自身大した手荷物も無いので、常備品をいくつか買い足す必要はあるが、今からのんびり旅支度をしても夜までには余裕で間に合う。
翌早朝。
宿を引き払うなり、すぐに王都の出入口付近の広場へ向かう。そこが商隊と便乗者、護衛依頼を受けた冒険者達の待ち合わせ場所だ。
……ルイン、スコット、ヒルダの三人とは、これでもう二度と会うことは無いだろう。
スラム暮らしの頃から四人で一緒に頑張ってきたが、あいつらにとっての幼い頃からの友情や絆ってやつは、いとも簡単に放り捨てられるようなものだったとは、思いたくなかったな。
走馬灯のように脳裏に過るのは――
「……さて、行くとするか」
思い出さないように頭を振って、自分にそう言い聞かせた。
今思い出したら、俺はもうどこにも行けなくなってしまいそうだったから。
商人や冒険者達が各々出発準備をしている中を掻き分けて、依頼人及びこの商隊のリーダーを捜す。
商隊のリーダーなら、複数人と出発直前の最終確認とかしているはずだから、数人集まっている所を目印にして――それらしい集まりはすぐに見つかった。
中心にいるリーダーらしい初老の男は、頭髪や髭は白いが細身ながら引き締まった肉体を持ち、ラフに着こなしたジャケットが、旅慣れている風を見せつけている。
「すいません、昨日に飛び込みで護衛依頼を受けた、黒鉄級冒険者のリオです。代表者はどちらですか?」
声を張って、代表者はどちらさんですかとご挨拶。
対面式の依頼だからな、代表者や責任者に挨拶して顔を覚えてもらうのだ。
すると予想していた通り、初老の男が反応して、前に出てきた。
「おぉ、お前さんが最後に入ってきた冒険者だな?」
ニカッと人の好い笑顔を見せてくる。
「オレはこの商隊のリーダー、『アンドリュー』だ。よろしく頼むぞ」
「俺は黒鉄級冒険者のリオです。道中の荒事は任せてください」
「ハッハハッ!礼儀正しくて元気のいいのが一番だ!」
豪快に笑うアンドリューさんは、バシバシと俺の肩を叩く。
なんとなく、器の大きい人なんだと感じられる、不思議な人だ。
「よし、これで護衛の冒険者は全員揃ったな。そろそろ出発するぞ!」
アンドリューさんは声を張り上げて、準備を急がせる。
今回、この商隊の護衛依頼を受けているのは、俺を含めて八人ほど。いずれも俺と大して歳の離れていない若手の冒険者、青銅級や赤銅級がほとんどだろう。
冒険者には階級があり、下から順に、
青銅→赤銅→黒鉄→銀→金→白銀→黄金→白金→漆黒
の、九段階に分けられている。
俺自身は黒鉄級、下から三番目だ。
尤も、ほとんどの冒険者は銀か金止まり、引退までに白銀まで登り詰めれば上々と言ったところ。
白銀よりも上、つまり黄金以上の冒険者は階級こそあれど実質そこまでに至れる者はごく少数――それこそ、英雄と呼ばれるような者だろう。
慌ただしくなる面々の中、俺もアンドリューさんにどこの守りに就けばいいかと訊ね、この中で唯一の黒鉄級と言うことで、先頭の守りを任された。
ようは魔物が出てきたら、いの一番で突っ込んでくれってことな。
先頭の馬車の近くに陣取っていると、アンドリューさんが出発の号令を発した。
さて、旅立ちの時だ。
護衛依頼と言っても。
王都周辺は整備された見晴らしの良い平原で、魔物の縄張りである森に近付きさえしなければ、日中は比較的安全なものだ。
むしろ日中の内に危険なのは、野盗や山賊の類いの方が危険だ。
さすがに冒険者複数人が守りを固めているところを襲うような連中は、よほど大規模な集団か、ただのバカかのどちらかだが、なまじ狡猾なだけあってある意味で魔物よりも厄介な相手だ。
夜中は夜行性の魔物が彷徨くため、商隊が移動をする時は基本的に日中の内、暗くなる前に道中の村や集落に身を寄せたりするのだ。
王都から行き先である流通都市カイツールは、道中に村や集落が無いため、二日ほど野営で夜を過ごすことになるだろう。
野営をする時は、常に火を絶やさずに複数人が不寝番をしなければ、商隊はあっという間に夜行性の魔物によって全滅だ。
まぁ、今回は護衛の冒険者が複数いるし、不寝番は交代で替わることになるので、一睡も出来ないなんてことはない。
俺も周りの冒険者や商人の皆さんと会話をしたり、食事を共にしたりして、それなりに楽しく過ごしている。
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