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11話 陸の覇者
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「も、もう追い付いて来やがった!?」
ヴェイルワイバーンから逃げてきただろう冒険者達が慌てふためく。
グォガァァァァァッ!!とまるで怒り心頭の咆哮を上げるヴェイルワイバーン。どうやらかなり気が立っているらしい。
ヤツの狙いが何かは分からない――恐らく彼らが運んでいる荷物が目当てか?――が、このままでは俺はともかくアイリスまでもが危ない。
ならば……ヴェイルワイバーンが彼らに攻撃を仕掛ける前に先手を打つ。
地面に指を突っ込んで湿った土を掘ると、それをヴェイルワイバーンの顔に投げ付け、同時に冒険者達から離れるように駆け出す。
すると、顔に土を掛けられたヴェイルワイバーンの怒りが俺に向けられる。
「アイリス!彼らと一緒に拠点まで逃げろ!」
「リオさん!?」
「こいつは、俺がなんとかする!」
黒鉄級の俺が、銀級レベルのヴェイルワイバーン相手にどこまでやれるかは分からないが、最低でもアイリスと彼らが拠点に逃げ込むまでの時間稼ぎは出来るだろう。
ロングソードを抜き、ヴェイルワイバーンの頭部甲殻を一当てして、すぐに手を引っ込めて距離を置く。
ヴェイルワイバーンの怒りの矛先が完全に俺に向けられ、その威圧感と恐怖に足が震えそうになるが、敢えて強く地面を踏んで音を立て、ヤツの注意を俺に向けさせる。
よし、素直でいい子だ。が、アイリスはまだ戸惑ってこの場にいる。
「早く行け!ここにいたら死ぬぞ!」
「ッ……」
ヴェイルワイバーンの注意がアイリスに向かないように、彼女には目を向けずに声を荒げる。
アイリスが踵を返して、先に逃げた冒険者達を追うように走っていくのを尻目にしながら、
「さぁ、俺の相手をしてもらおうか」
左手の中指を立てて、クイクイと手前側に向ける。
それを挑発と見たか、ヴェイルワイバーンは俺を見据え、口蓋からメラメラと燃えるものを滾らせて、
――【タイム連打】、発動――
同時にピタリと世界が止まり、俺は動けない身体のまま思考だけを回転させ、ヴェイルワイバーンの生態を思い出す。
ヴェイルワイバーンは、陸上での戦闘力に秀でており、その強靭な脚力を活かした突進や跳躍で動き回り、牙による噛み付きや、翼爪や尻尾の棘をぶつけてくるなど、地に脚を着けた戦いを得意とするが、それとはもうひとつ脅威がもうひとつある。
それは、球状の火炎ブレスを吐き出してくることだ。
火属性の初級攻撃魔法の『ファイアボール』などとは比べ物にならない熱量と破壊力を持ち、頑丈な煉瓦造りの建造物でさえ、直撃すれば損壊は免れない。
火炎ブレスの前触れとして、ヴェイルワイバーンの口周りには炎が見えるので、それが見えたら絶対に正面には立つな、すぐに横へ躱すべし……と、魔物図鑑で読んだことがある。
――【タイム連打】、解除――
と同時に地面を蹴り上げ、ヴェイルワイバーンの正面から飛び退き、その一秒後に火炎ブレスが通り過ぎた。
流れ弾がアイリスや冒険者達に当たらないように立ち回っているので、後ろは気にしない。と言うか後ろを気にしている暇はない。
火炎ブレスを吐き出した隙は大きい、飛び退いて着地した足でそのまま地面を蹴り、ヴェイルワイバーンの側頭部に肉薄し、
「しっ!」
短く呼吸、踏み込みと共にロングソードをヴェイルワイバーンの側頭部に叩き込む。
頭部甲殻を砕き、その下の脆い肉に明確な裂傷を刻み込んだそれは、ヴェイルワイバーンを苦しげに唸らせ、手応えも合わせて良好な一撃。
が、それだけでは魔物――特に飛竜種のこいつらは倒れない。
すぐさま反撃とばかり牙を剥こうとするヴェイルワイバーンだが、
――【タイム連打】、発動――解除――発動――解除――発動――解除――発動――と、【タイム連打】の発動と解除を高速で繰り返す。
スキルの恩恵によって習得、会得した魔法や特技などは、基本的に魔力を代償として発動させるもので、使いすぎれば代償に必要な魔力が足りず、代償の代償として体力を奪われる。
ようは、下手な連発は出来ないと言うものだ。
だが、俺のこの【タイム連打】は、発動に必要な魔力が限りなくゼロに等しい。
全く魔力が必要ないわけでは無いのだが、短時間で何度発動しても、魔力の消耗を全く感じないのだ。
つまり、実質的にノーリスクで何度でも使える。
それをいいことに利用し、【タイム連打】の発動と解除を高速で繰り返すことで、
敵の動きをスローモーションのように視認する。
当然、俺自身の動きもスローモーションになってしまうのだが、それを認識出来ているのは【タイム連打】の術者である俺だけ。
敵の動きを遅らせて視認し、それに合わせるこちらは最も安全な手段で対応し、反撃を打ち込む。
これが俺の、【タイム連打】と言う謎スキルを有効活用するために導き出した答えだ。
有効活用している、と言うのは俺にしか分からないし、そう言った理由もルイン達には話したのだが……ルイン達からすれば、俺が本当に【タイム連打】なんてハズレスキルを使いこなしているのかどうか分からないのだ。何せ、【タイム連打】で時を止めていることを自覚出来るのは俺だけなのだから。
そうしてヴェイルワイバーンが噛み付こうとしているのを見抜くなり、深追いはせずにすぐに飛び退いてヤツの牙を躱す。
ひとまずはこいつを撃退にまで持ち込みたいが、俺一人でどこまでやれるか……
ヴェイルワイバーンから逃げてきただろう冒険者達が慌てふためく。
グォガァァァァァッ!!とまるで怒り心頭の咆哮を上げるヴェイルワイバーン。どうやらかなり気が立っているらしい。
ヤツの狙いが何かは分からない――恐らく彼らが運んでいる荷物が目当てか?――が、このままでは俺はともかくアイリスまでもが危ない。
ならば……ヴェイルワイバーンが彼らに攻撃を仕掛ける前に先手を打つ。
地面に指を突っ込んで湿った土を掘ると、それをヴェイルワイバーンの顔に投げ付け、同時に冒険者達から離れるように駆け出す。
すると、顔に土を掛けられたヴェイルワイバーンの怒りが俺に向けられる。
「アイリス!彼らと一緒に拠点まで逃げろ!」
「リオさん!?」
「こいつは、俺がなんとかする!」
黒鉄級の俺が、銀級レベルのヴェイルワイバーン相手にどこまでやれるかは分からないが、最低でもアイリスと彼らが拠点に逃げ込むまでの時間稼ぎは出来るだろう。
ロングソードを抜き、ヴェイルワイバーンの頭部甲殻を一当てして、すぐに手を引っ込めて距離を置く。
ヴェイルワイバーンの怒りの矛先が完全に俺に向けられ、その威圧感と恐怖に足が震えそうになるが、敢えて強く地面を踏んで音を立て、ヤツの注意を俺に向けさせる。
よし、素直でいい子だ。が、アイリスはまだ戸惑ってこの場にいる。
「早く行け!ここにいたら死ぬぞ!」
「ッ……」
ヴェイルワイバーンの注意がアイリスに向かないように、彼女には目を向けずに声を荒げる。
アイリスが踵を返して、先に逃げた冒険者達を追うように走っていくのを尻目にしながら、
「さぁ、俺の相手をしてもらおうか」
左手の中指を立てて、クイクイと手前側に向ける。
それを挑発と見たか、ヴェイルワイバーンは俺を見据え、口蓋からメラメラと燃えるものを滾らせて、
――【タイム連打】、発動――
同時にピタリと世界が止まり、俺は動けない身体のまま思考だけを回転させ、ヴェイルワイバーンの生態を思い出す。
ヴェイルワイバーンは、陸上での戦闘力に秀でており、その強靭な脚力を活かした突進や跳躍で動き回り、牙による噛み付きや、翼爪や尻尾の棘をぶつけてくるなど、地に脚を着けた戦いを得意とするが、それとはもうひとつ脅威がもうひとつある。
それは、球状の火炎ブレスを吐き出してくることだ。
火属性の初級攻撃魔法の『ファイアボール』などとは比べ物にならない熱量と破壊力を持ち、頑丈な煉瓦造りの建造物でさえ、直撃すれば損壊は免れない。
火炎ブレスの前触れとして、ヴェイルワイバーンの口周りには炎が見えるので、それが見えたら絶対に正面には立つな、すぐに横へ躱すべし……と、魔物図鑑で読んだことがある。
――【タイム連打】、解除――
と同時に地面を蹴り上げ、ヴェイルワイバーンの正面から飛び退き、その一秒後に火炎ブレスが通り過ぎた。
流れ弾がアイリスや冒険者達に当たらないように立ち回っているので、後ろは気にしない。と言うか後ろを気にしている暇はない。
火炎ブレスを吐き出した隙は大きい、飛び退いて着地した足でそのまま地面を蹴り、ヴェイルワイバーンの側頭部に肉薄し、
「しっ!」
短く呼吸、踏み込みと共にロングソードをヴェイルワイバーンの側頭部に叩き込む。
頭部甲殻を砕き、その下の脆い肉に明確な裂傷を刻み込んだそれは、ヴェイルワイバーンを苦しげに唸らせ、手応えも合わせて良好な一撃。
が、それだけでは魔物――特に飛竜種のこいつらは倒れない。
すぐさま反撃とばかり牙を剥こうとするヴェイルワイバーンだが、
――【タイム連打】、発動――解除――発動――解除――発動――解除――発動――と、【タイム連打】の発動と解除を高速で繰り返す。
スキルの恩恵によって習得、会得した魔法や特技などは、基本的に魔力を代償として発動させるもので、使いすぎれば代償に必要な魔力が足りず、代償の代償として体力を奪われる。
ようは、下手な連発は出来ないと言うものだ。
だが、俺のこの【タイム連打】は、発動に必要な魔力が限りなくゼロに等しい。
全く魔力が必要ないわけでは無いのだが、短時間で何度発動しても、魔力の消耗を全く感じないのだ。
つまり、実質的にノーリスクで何度でも使える。
それをいいことに利用し、【タイム連打】の発動と解除を高速で繰り返すことで、
敵の動きをスローモーションのように視認する。
当然、俺自身の動きもスローモーションになってしまうのだが、それを認識出来ているのは【タイム連打】の術者である俺だけ。
敵の動きを遅らせて視認し、それに合わせるこちらは最も安全な手段で対応し、反撃を打ち込む。
これが俺の、【タイム連打】と言う謎スキルを有効活用するために導き出した答えだ。
有効活用している、と言うのは俺にしか分からないし、そう言った理由もルイン達には話したのだが……ルイン達からすれば、俺が本当に【タイム連打】なんてハズレスキルを使いこなしているのかどうか分からないのだ。何せ、【タイム連打】で時を止めていることを自覚出来るのは俺だけなのだから。
そうしてヴェイルワイバーンが噛み付こうとしているのを見抜くなり、深追いはせずにすぐに飛び退いてヤツの牙を躱す。
ひとまずはこいつを撃退にまで持ち込みたいが、俺一人でどこまでやれるか……
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