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22話 事後処理と後始末
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エトナを拉致した三人を踏ん縛って一纏めにしたら、リーゼマスターがカイツールの騎士団に通報しに向かってくれて、すぐに駆け付けに来てくれた。
縄に縛られたままの三人組が騎士団に連行されていくのを尻目にしつつ、エトナを含む俺達五人は騎士団長から事情聴取を受けていた。
と言っても大体の説明はリーゼマスターと、被害者であるエトナが受け答えし、俺とアイリス、アンドリューさんはただの協力者として二、三ほど質問されただけだが。
途中、リーゼマスターは一枚の依頼状を騎士団に見せていた。
それは、さっきの空き家でアイリスが見つけたと言う、やけに高額報酬――通常価格の十倍近く――の飛竜種の卵の納品依頼……恐らく正規の依頼ではない裏の冒険者機関、通称、"闇ギルド“からのものだろう。
彼ら三人は、この高額報酬に目が眩んで密猟依頼を受けてしまったのか。
この依頼状こそが即ち犯罪の証拠になるため、飛竜種の卵の密猟依頼者は、程無くして騎士団に逮捕されるだろう。
「ご協力ありがとうございます。では、彼ら三人の身柄はこちらで責任を持って拘束し、然るべき対応を致します」
事情聴取は十分として、騎士団長はそう告げる。
「えぇ、彼らには前科もありますので、その分も含めて公正なる裁きをお願いしますね」
リーゼマスターの言う"前科“は、昨日の『卵泥棒』の一件だ。
三日間大人しくしておけばそれで良かったのに、こうなってしまったらどれだけ罪が重くなるやら。下手すれば極刑も有り得る。
「承知致しました。それでは、失礼致します」
リーゼマスターに一礼してから、騎士団はぞろぞろと後にしていき、空き家に残るのは俺達だけ。
事態がようやく終息したと見て、リーゼマスターは俺とアイリス、アンドリューさんに向き直った。
「リオくんとアイリスさん、それとアンドリューさん。此度は助かりました。あなた達のおかげで、エトナちゃんも無事救出出来ました。本当にありがとうございます」
「……あ、ありがとうございます」
一歩遅れてエトナもお辞儀。
「いえ、何にせよこれ以上大きな問題にならなくてよかったです」
本当にそうだ。
俺達が駆け付けるのがもう少し遅かったら、エトナは"もっとひどいこと“をされていただろうことは想像するに容易い。そうなったらそうなったで、あの三人は極刑確定だったかもしれないが……いやそれは考えなくていいか。
「……男性の冒険者はみんな"こう“なのかと思いたくはないですけど、やはり許せません」
アイリスから物凄い怒気を感じる……気持ちは分からないでもないが落ち着いてくれ。
「全くだ。レディに手荒な真似をするなど、言語道断だ」
アンドリューさんも腕組みをして「全く気に入らん」と鼻を鳴らしている。
「ひとまず、一度酒場まで来てもらえるかな?リオくんとアイリスさんには報酬を、アンドリューさんにはお礼をしませんと」
冒険者である俺とアイリスには報酬、アンドリューさんは一般人なので、報酬ではなくお礼をしたいと言うリーゼマスター。
俺達三人も一度は遠慮したものの、「こちらの沽券や体裁もあるから、受け取ってくれないとむしろ私達ギルド関係者の方が困る」と言われてしまったら、無理にでも受け取るしかないのだが。
酒場に戻り、昼食ついでに後始末の協力やら報酬の受け取りやらに気が付けばもう夕方頃、雨も止んだ。
エトナの捜索よりも、騎士団の聴取や酒場に戻ってからの後始末の方が時間がかかったのだ。
酒場の前でアンドリューさんと別れてから。
「エトナちゃん、無事でよかったですね」
夕陽に照らされたアイリスの自然な笑顔が眩しい。
「だな」
エトナを救出出来てよかった、と言うのは俺もそうだが……ひとつ、気がかりがある。
――大体、こいつは他の冒険者相手でも似たようなことやってるんだ!何かちょっとでもありゃすぐに呼び止めてギルドマスターを呼びやがって!――
あの時のリーダーが言っていた言葉だ。
その時俺は「それは彼女が受付嬢の仕事を真面目にやっているからだ」と言い切ったが。
真面目に受付嬢の仕事をしているのは大いに結構……だが、同時にそれは『融通の利かなさ』に繋がるのではないか?
そこで思い当たったのは、"卵泥棒“が発覚した時のリーゼマスターの対応だ。
彼女はあの三人組に対して、「無断で魔物の卵の採取は禁止!はい罰則!卵も没収!」と言う風に上から押さえ付けたりせず、危険を冒しただろう彼らへの労いとして卵を言い値で買い取り、それに伴う謹慎処分も三日間だけと、かなり穏便に事を済ませようとした。
もしエトナがギルドマスターの立場なら、有無を言わさず罰則を言い渡し、卵もその場で没収しただろう。
他の冒険者にも似たようなことをやっていた――つまり、ギルドの立場を笠に着てなんでもかんでも極端に白黒つけようとしている、と思われたのか。
リーゼマスターの柔軟な対応と比較すれば、それは確かに冒険者側の不満を募らせるかもしれない。
決してエトナの対応が間違っているわけではないし、規則に則ればむしろその通りなのだが……相手も人間だ、理解と納得と感情はそれぞれ別に存在するし、物事全てを善悪で割り切れる者もいないだろう。
エトナの強硬な態度に、彼ら三人の不満の矛先が向いてしまった――というのが、今回の事件発生の要因か。
俺個人の心情としては、エトナのように生真面目な受付嬢は好ましいんだがなぁ……
まぁ、一冒険者がそこまで考えても仕方ない、後のことはリーゼマスターが何とかするだろう。
気がかりをそこでやめて、今日の宿を確保しに行く。
縄に縛られたままの三人組が騎士団に連行されていくのを尻目にしつつ、エトナを含む俺達五人は騎士団長から事情聴取を受けていた。
と言っても大体の説明はリーゼマスターと、被害者であるエトナが受け答えし、俺とアイリス、アンドリューさんはただの協力者として二、三ほど質問されただけだが。
途中、リーゼマスターは一枚の依頼状を騎士団に見せていた。
それは、さっきの空き家でアイリスが見つけたと言う、やけに高額報酬――通常価格の十倍近く――の飛竜種の卵の納品依頼……恐らく正規の依頼ではない裏の冒険者機関、通称、"闇ギルド“からのものだろう。
彼ら三人は、この高額報酬に目が眩んで密猟依頼を受けてしまったのか。
この依頼状こそが即ち犯罪の証拠になるため、飛竜種の卵の密猟依頼者は、程無くして騎士団に逮捕されるだろう。
「ご協力ありがとうございます。では、彼ら三人の身柄はこちらで責任を持って拘束し、然るべき対応を致します」
事情聴取は十分として、騎士団長はそう告げる。
「えぇ、彼らには前科もありますので、その分も含めて公正なる裁きをお願いしますね」
リーゼマスターの言う"前科“は、昨日の『卵泥棒』の一件だ。
三日間大人しくしておけばそれで良かったのに、こうなってしまったらどれだけ罪が重くなるやら。下手すれば極刑も有り得る。
「承知致しました。それでは、失礼致します」
リーゼマスターに一礼してから、騎士団はぞろぞろと後にしていき、空き家に残るのは俺達だけ。
事態がようやく終息したと見て、リーゼマスターは俺とアイリス、アンドリューさんに向き直った。
「リオくんとアイリスさん、それとアンドリューさん。此度は助かりました。あなた達のおかげで、エトナちゃんも無事救出出来ました。本当にありがとうございます」
「……あ、ありがとうございます」
一歩遅れてエトナもお辞儀。
「いえ、何にせよこれ以上大きな問題にならなくてよかったです」
本当にそうだ。
俺達が駆け付けるのがもう少し遅かったら、エトナは"もっとひどいこと“をされていただろうことは想像するに容易い。そうなったらそうなったで、あの三人は極刑確定だったかもしれないが……いやそれは考えなくていいか。
「……男性の冒険者はみんな"こう“なのかと思いたくはないですけど、やはり許せません」
アイリスから物凄い怒気を感じる……気持ちは分からないでもないが落ち着いてくれ。
「全くだ。レディに手荒な真似をするなど、言語道断だ」
アンドリューさんも腕組みをして「全く気に入らん」と鼻を鳴らしている。
「ひとまず、一度酒場まで来てもらえるかな?リオくんとアイリスさんには報酬を、アンドリューさんにはお礼をしませんと」
冒険者である俺とアイリスには報酬、アンドリューさんは一般人なので、報酬ではなくお礼をしたいと言うリーゼマスター。
俺達三人も一度は遠慮したものの、「こちらの沽券や体裁もあるから、受け取ってくれないとむしろ私達ギルド関係者の方が困る」と言われてしまったら、無理にでも受け取るしかないのだが。
酒場に戻り、昼食ついでに後始末の協力やら報酬の受け取りやらに気が付けばもう夕方頃、雨も止んだ。
エトナの捜索よりも、騎士団の聴取や酒場に戻ってからの後始末の方が時間がかかったのだ。
酒場の前でアンドリューさんと別れてから。
「エトナちゃん、無事でよかったですね」
夕陽に照らされたアイリスの自然な笑顔が眩しい。
「だな」
エトナを救出出来てよかった、と言うのは俺もそうだが……ひとつ、気がかりがある。
――大体、こいつは他の冒険者相手でも似たようなことやってるんだ!何かちょっとでもありゃすぐに呼び止めてギルドマスターを呼びやがって!――
あの時のリーダーが言っていた言葉だ。
その時俺は「それは彼女が受付嬢の仕事を真面目にやっているからだ」と言い切ったが。
真面目に受付嬢の仕事をしているのは大いに結構……だが、同時にそれは『融通の利かなさ』に繋がるのではないか?
そこで思い当たったのは、"卵泥棒“が発覚した時のリーゼマスターの対応だ。
彼女はあの三人組に対して、「無断で魔物の卵の採取は禁止!はい罰則!卵も没収!」と言う風に上から押さえ付けたりせず、危険を冒しただろう彼らへの労いとして卵を言い値で買い取り、それに伴う謹慎処分も三日間だけと、かなり穏便に事を済ませようとした。
もしエトナがギルドマスターの立場なら、有無を言わさず罰則を言い渡し、卵もその場で没収しただろう。
他の冒険者にも似たようなことをやっていた――つまり、ギルドの立場を笠に着てなんでもかんでも極端に白黒つけようとしている、と思われたのか。
リーゼマスターの柔軟な対応と比較すれば、それは確かに冒険者側の不満を募らせるかもしれない。
決してエトナの対応が間違っているわけではないし、規則に則ればむしろその通りなのだが……相手も人間だ、理解と納得と感情はそれぞれ別に存在するし、物事全てを善悪で割り切れる者もいないだろう。
エトナの強硬な態度に、彼ら三人の不満の矛先が向いてしまった――というのが、今回の事件発生の要因か。
俺個人の心情としては、エトナのように生真面目な受付嬢は好ましいんだがなぁ……
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