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31話 リオくんと一緒にいる方が面白そうだから
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「――と言うことで、私はめでたくギルドマスターをクビになり、行く宛が無くなったので、アンドリューさんの商隊に身を寄せることにしましたとさ」
「「「い や 絶 対 嘘 で し ょ そ れ 」」」
ギルドマスターをクビになったと言うリーゼマスター……いや、リーゼさん?の経緯を聞いて、俺とアイリス、エトナの三人は同時にツッコミを入れた。
カイツールを出立し、歓楽街のネオライトへ向けてテケテケと商隊が歩み始めている間。
突然、ギルドマスターをクビになったと言うリーゼさんの経緯や事情を、アンドリューさんを含めた四人で聞いていたのだが。
リーゼさん曰く、
・職務中の飲酒
・ギルド職員や冒険者へのパワーハラスメント
・市民への弾圧
・資産の横領
・他ギルドとの賄賂・癒着
・上記罪状の隠蔽
と言った罪状を理由に、エトナがギルドの監査局に密告したことで、ギルドマスターの座を追われたのだと言うが。
「あの……わたしはそんな密告などしていません」
他ならぬエトナ本人がそれを否認した。
「あら、ちゃんとエトナちゃんのサインが記された書類ならここにあるよ?」
そう言ってリーゼさんは手荷物のファイルから、一枚の紙を取り出してみせた。
……それは確かに先の罪状を書かれており、サインもエトナのフルネーム『エトナ・ナイアード』が記載されている。
「こ、これは確かにわたしの字……え、でも、なんで?」
サインは確かにエトナ本人の字であり、エトナは確かに自分の字ですと自認しているが、しかしそうだとしてもこんな書類を書いた覚えはないとも言う。どういうことだ?いやそもそも何故その書類を本人が持っているのか。
「それはそうだよ。だってこのサイン、私が自分で書いたんだから」
「「「???」」」
ますます分からない。
「もちろん、エトナちゃんの筆跡を真似してね。まぁ、筆跡なんて一々細かく確認するほど監査局もそこまで暇じゃ無いだろうし」
それにねとリーゼさんは続けて、
「後任のギルドマスターの推薦に、業務の引き継ぎ、その他もろもろ残しておいたらまずい仕事とかは、ちゃんと全部片付けておいたから大丈夫!我ながら完璧なマッチポンプ!」
「あ、マッチポンプって自分で認めるのか」
思わず素でツッコんでしまった。
「もちろん、後任者の推薦とかはエトナちゃんの名義を使ったから足が付くことも無いしね」
「………………なんだか頭が痛くなってきました」
片手を額に置いて、エトナは深く深ぁく溜め息を吐いた。
自分の名義を無断で使用されていたと知ればこんな溜め息を吐きたくもなるだろう。
「え、えぇと……ギルドマス、じゃなくて、リーゼさん。白銀級冒険者、と言うのは?」
アイリスが遠慮がちに挙手したのを見て、リーゼさんは懐から白に近い銀色――白銀色のギルドカードを見せた。
「ご覧の通りだよ。偽造カードではないから安心してね」
「本当に、白銀級冒険者なのですね……」
アイリスは物珍しげに、白銀級のギルドカードを見つめる。
かく言う俺も、白銀級のギルドカードを見るのは初めてだったりする。
「じゃぁ、リーゼさんのスキルは何ですか?」
今度は俺が質問する。
白銀級ともなれば相当な力と才能の持ち主だ、一体どんな化け物スキルなのか。
「スキル?【暗黒魔術師】だけど?」
なんかすげぇ物騒なスキル名を事も無げに言いやがったぞこの元ギルドマスター。
「……ちなみに、スキルの内容は?」
「んー、それなりに強い闇属性と氷属性の魔術が使えるくらいで、何か特殊なことが出来るとかは無いかな」
それつまり、白銀級レベルで放たれるシンプルに強い魔術と言うこと、器用貧乏にあれこれ出来るようになるよりも、よっぽど有用なスキルだな。
エトナを拉致した冒険者達の武器を瞬時に凍らせたのも頷ける。……尤も、その気になれば人間を一方的に凍死させることも訳無いんだろうが。
すると、ここまで聞き役に徹していたアンドリューさんが口を開いた。
「うむ。してリーゼさん、本音はどうなんだ?」
本音……それもそうか、わざとクビになったのは分かるが、それは何故か?と言う質問がまだだったな。
それに対してリーゼさんは「んー、そうだねぇ」と目を閉じて言葉を選ぶような間を置く。
「ひとつは、エトナちゃんをギルドの受付嬢から転職させた責任。この娘、故郷の母と妹のために仕送りをしてるし、安定した収入源を取り上げてしまったから。いざとなったら、私のポケットマネーで給与を支払うつもりだよ」
エトナは故郷の家族のために、一人で出稼ぎに……なんて家族想いなんだ、気を抜いたら涙腺が緩む……ッ。
「もうひとつは……」
するとリーゼさんは、涙腺崩壊を食い止めた俺に視線を向ける。
「リオくんと一緒にいる方が面白そうだから、かな?」
「お、面白そうだから?」
なんつー理由だ。それでわざわざエトナの名義を無断で使用してまで自分で自分をギルドから追放させたのか。
「そうかそうか!つまらん人生より、面白い人生の方がいいに決まってるよな!」
いつも通り「ハッハハッ!」と上機嫌に笑うアンドリューさん。それでいいんかい。
「まぁそう言うことだから、リオくんとアイリスさん、これから冒険者としてよろしくね♪」
「はい、よろしくお願いいたします」
アイリスはアイリスで律儀に挨拶を返すし、生真面目だなぁ。
正直、白銀級が、黒鉄級と青銅級によろしくされても気が引けるやら畏れ多いやら……まぁ、アンドリューさんは喜んで採用したんだし、頼りすぎない程度にはアテにさせてもらおうか。
「「「い や 絶 対 嘘 で し ょ そ れ 」」」
ギルドマスターをクビになったと言うリーゼマスター……いや、リーゼさん?の経緯を聞いて、俺とアイリス、エトナの三人は同時にツッコミを入れた。
カイツールを出立し、歓楽街のネオライトへ向けてテケテケと商隊が歩み始めている間。
突然、ギルドマスターをクビになったと言うリーゼさんの経緯や事情を、アンドリューさんを含めた四人で聞いていたのだが。
リーゼさん曰く、
・職務中の飲酒
・ギルド職員や冒険者へのパワーハラスメント
・市民への弾圧
・資産の横領
・他ギルドとの賄賂・癒着
・上記罪状の隠蔽
と言った罪状を理由に、エトナがギルドの監査局に密告したことで、ギルドマスターの座を追われたのだと言うが。
「あの……わたしはそんな密告などしていません」
他ならぬエトナ本人がそれを否認した。
「あら、ちゃんとエトナちゃんのサインが記された書類ならここにあるよ?」
そう言ってリーゼさんは手荷物のファイルから、一枚の紙を取り出してみせた。
……それは確かに先の罪状を書かれており、サインもエトナのフルネーム『エトナ・ナイアード』が記載されている。
「こ、これは確かにわたしの字……え、でも、なんで?」
サインは確かにエトナ本人の字であり、エトナは確かに自分の字ですと自認しているが、しかしそうだとしてもこんな書類を書いた覚えはないとも言う。どういうことだ?いやそもそも何故その書類を本人が持っているのか。
「それはそうだよ。だってこのサイン、私が自分で書いたんだから」
「「「???」」」
ますます分からない。
「もちろん、エトナちゃんの筆跡を真似してね。まぁ、筆跡なんて一々細かく確認するほど監査局もそこまで暇じゃ無いだろうし」
それにねとリーゼさんは続けて、
「後任のギルドマスターの推薦に、業務の引き継ぎ、その他もろもろ残しておいたらまずい仕事とかは、ちゃんと全部片付けておいたから大丈夫!我ながら完璧なマッチポンプ!」
「あ、マッチポンプって自分で認めるのか」
思わず素でツッコんでしまった。
「もちろん、後任者の推薦とかはエトナちゃんの名義を使ったから足が付くことも無いしね」
「………………なんだか頭が痛くなってきました」
片手を額に置いて、エトナは深く深ぁく溜め息を吐いた。
自分の名義を無断で使用されていたと知ればこんな溜め息を吐きたくもなるだろう。
「え、えぇと……ギルドマス、じゃなくて、リーゼさん。白銀級冒険者、と言うのは?」
アイリスが遠慮がちに挙手したのを見て、リーゼさんは懐から白に近い銀色――白銀色のギルドカードを見せた。
「ご覧の通りだよ。偽造カードではないから安心してね」
「本当に、白銀級冒険者なのですね……」
アイリスは物珍しげに、白銀級のギルドカードを見つめる。
かく言う俺も、白銀級のギルドカードを見るのは初めてだったりする。
「じゃぁ、リーゼさんのスキルは何ですか?」
今度は俺が質問する。
白銀級ともなれば相当な力と才能の持ち主だ、一体どんな化け物スキルなのか。
「スキル?【暗黒魔術師】だけど?」
なんかすげぇ物騒なスキル名を事も無げに言いやがったぞこの元ギルドマスター。
「……ちなみに、スキルの内容は?」
「んー、それなりに強い闇属性と氷属性の魔術が使えるくらいで、何か特殊なことが出来るとかは無いかな」
それつまり、白銀級レベルで放たれるシンプルに強い魔術と言うこと、器用貧乏にあれこれ出来るようになるよりも、よっぽど有用なスキルだな。
エトナを拉致した冒険者達の武器を瞬時に凍らせたのも頷ける。……尤も、その気になれば人間を一方的に凍死させることも訳無いんだろうが。
すると、ここまで聞き役に徹していたアンドリューさんが口を開いた。
「うむ。してリーゼさん、本音はどうなんだ?」
本音……それもそうか、わざとクビになったのは分かるが、それは何故か?と言う質問がまだだったな。
それに対してリーゼさんは「んー、そうだねぇ」と目を閉じて言葉を選ぶような間を置く。
「ひとつは、エトナちゃんをギルドの受付嬢から転職させた責任。この娘、故郷の母と妹のために仕送りをしてるし、安定した収入源を取り上げてしまったから。いざとなったら、私のポケットマネーで給与を支払うつもりだよ」
エトナは故郷の家族のために、一人で出稼ぎに……なんて家族想いなんだ、気を抜いたら涙腺が緩む……ッ。
「もうひとつは……」
するとリーゼさんは、涙腺崩壊を食い止めた俺に視線を向ける。
「リオくんと一緒にいる方が面白そうだから、かな?」
「お、面白そうだから?」
なんつー理由だ。それでわざわざエトナの名義を無断で使用してまで自分で自分をギルドから追放させたのか。
「そうかそうか!つまらん人生より、面白い人生の方がいいに決まってるよな!」
いつも通り「ハッハハッ!」と上機嫌に笑うアンドリューさん。それでいいんかい。
「まぁそう言うことだから、リオくんとアイリスさん、これから冒険者としてよろしくね♪」
「はい、よろしくお願いいたします」
アイリスはアイリスで律儀に挨拶を返すし、生真面目だなぁ。
正直、白銀級が、黒鉄級と青銅級によろしくされても気が引けるやら畏れ多いやら……まぁ、アンドリューさんは喜んで採用したんだし、頼りすぎない程度にはアテにさせてもらおうか。
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