ヒロインはモブの父親を攻略したみたいですけど認められません。

haru.

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ー番外編ーヴィオレット*隣国編*

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あれからマルロは院長様に何度もやってみたい。お願いします。と頼んでいたが、先程の女性が迎えに来て、この場から退席する事になった。

院長様はマルロの言葉や熱意を受けてか、難しそうな顔をして、「あと5年で死ぬかもしれない人生・・・子供からはっきり言われたのは初めてです。・・・ですが立て続けに仲間達が不幸になったり亡くなってすれば、そう思うのも無理はありませんね・・・」と苦しそうに呟いた・・・

「ですが、院長様も何もしていなかった訳ではありませんよね?
先程この部屋に来るまでに絵本を手に持った子供達とすれ違いました。」

「本はとても高額な物です。いくら公爵家からの援助があるとはいえ、この大人数が日々の暮らしをしていたら本なんて高価な物は買えません。恐らく色々な所を切り詰めて本を買っていたのではありませんか?子供達に文字を覚えさせる為に・・・。」

院長様は苦笑いをしながら、頑張ってはみたのですが私自身あまり学がなく、子供に勉強をさせる方法もわからなくて、読み聞かせをしたり、文字を見せてあげる事しか出来ませんでした。と落ち込んでいた。

子供達は幸せだと思う。
ここまで自分達の事を考えてくれている人が院長様で。悪い人なら予算を着服とかもあるのに、子供達為に本を買うなんて・・・愛されているよね・・・。

「ヴィオラ様、後で子供達にも確認は取りますが、まずは私の結論を伝えさせて下さい。」

「私も子供達に幸せな未来を歩んでもらいたいと思っています。・・・ヴィオラ様があの子達にその力を与えてくれるのならば、どうかお力を御貸しください。よろしくお願い致します」

院長様は涙を浮かべながら微笑み私へと頭を下げた・・・

「はい。こちらこそ、精一杯やらせて頂きます。どうかよろしくお願いします。」

こうして私は孤児院の支援者となった・・・

話し合いの間ずっとセディル手負いの獣という人は薄暗い目をして私を見ていた・・・

現在子供は計23人。乳幼児を除いて10歳未満が14人、10歳以上が6人いる。
院長様が今回の私の計画を説明してくださり、1名を除いて参加してくれる事になった。

10歳以上の子は私と院長様を含めた3人で個別相談をしてやってみたい事、私の初期投資への返金方法等を相談した。

やってみたい事は皆色々でお菓子を作ってみたいという子や服を作ってみたいという子、物を作りたいという子、騎士になりたいという子がいた・・・

全ていきなりやってお金が稼げる訳ではないから、出来る範囲のアイディアを私が出して微調整を重ねていった・・・

因みに私への初期投資の返金は皆、保証があった方がいいからと売上の一割を私へ渡す事を選んだ。


そして勉強の方はというと・・・
読み書き、算出の勉強を始めるのは3歳から遊びながら学ぶ事を始め、勉強に慣れた子達には私がついて教えてあげた。

どうしてかというと、今まで勉強をした事がない子にいきなり頭ごなしに勉強させると覚える事を拒否するようになってしまうからだ。

本人の勉強の進み具合を見て徐々にレベルを上げていく方式だ・・・

まずは文字を読む事・・・これは孤児院に本があった事もあり覚えは早かった。

まずは、孤児院の目立つ所に文字一覧表と、1~10の数字一覧表を貼り文字や数字に慣れ親しませる。そして遊びの一環として物を取ってくるというゲームをやらせた。

お題となる文字を見せて、競争で物を取ってこさせる。
慣れてきたら子供達同士交代でお題を出す子、物を取りに行く子で遊んでもらった。

次に文字を書く事これに関しては今日1日やった事、楽しかった事、大変だった事、何でもいいから1日1枚手紙を書いて貰う事にした。

最後に算出だがこれは院長様達にも協力してもらい、日常的に数字に関する質問をしてもらったり、問題を出してもらった。
例えば・・・目の前にあるじゃがいもは何個ある?とかから始まりこの黒パンとチーズ、合わせて何個?とかこの林檎3つ食べたら何個残る?といった感じで出してもらい、慣れてきた子には筆算を教える事で大きい数にも対応出来るように勉強していった・・・

そして10歳未満の子達が勉強の他にも何かやりたいと言うので10歳になった時に働けるように何か出来る事を増やしておくのもいいんじゃないかと言ったら、あれをやりたい、これをやってみたいと要望が出て孤児院では何故か習い事教室みたいな事を近い将来、始めるようになっていくのであった・・・

そして一人だけ参加しなかった子というのは、最初マルロが言っていた来年が15歳のルイスという子だった・・・

ルイスはあと1年しかない事、今まで何をやっても上手くいかなかった事など孤児として生きてきてプライドや根性がボロボロになってしまっていた。

「俺なんて今更頑張っても・・・」
「どうせ俺は孤児だから・・・」
「誰からも必要とされない。生きる価値のない奴なんだ・・・」

そんなルイスの様子を見たレイが「何もやらないならお前は来年死ぬ事を選ぶんだな。」と発破をかけた・・・すると・・・

「死にたくなんかねぇよ!!!!!」

怒りのあまり息を荒くしながら怒鳴り出した。そして「死にたくないのか、なら生きろ。」と言い、私に向かって「こいつ俺が貰っていきます。」と言い無理矢理連れていった・・・

後で確認したらルイスは体格がよく孤児院で力仕事ばかりしていたから筋肉もある。だから護衛にすべく鍛えるとルイスは意気込んでいた。
それを見たサンが騎士志望の子供に護衛の素晴らしさ、主に仕える事の尊さを伝え、サンも弟子をゲットしていた。13歳のロベルトという男の子だ。
(何故かたまにロベルトからお祖父様の話をねだられる・・・)

因みにこの2人は自分達の弟子だから初期投資はレイとサンで行うそうだ・・・

こうして孤児院の子供はそれぞれ、毎日忙しく過ごしていた。




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