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ー番外編ーヴィオレット*隣国編*
㉓
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エステリーナの顔を見た瞬間、込み上げてくる憎悪が押さえきれず殺気となって表情や態度に現れてしまっていた・・・
「あら、随分な表情ね・・・愛する婚約者に向かって・・・フフフ・・・」
「それに折角の髪を切ってしまうなんて・・・これからはそんな勝手は許しませんわよ。」
神経が狂っているのか、殺気を浴びても動じないエステリーナは「それで?平民に落ちて反省は出来たのかしら・・・」と聞いてくる・・
必死に自分の中にある理性で憎悪や殺意を押さえ込みながら言葉を紡いだ・・・
「ランドール伯爵家が没落した時貴女とは婚約破棄となったと聞いた。
・・・俺はもう貴方の婚約者などではない。」
「それに俺は自分勝手で傲慢な貴女を愛した事など1度もない。貴女達がした事を生涯許さないし、この先2度と関わりを持ちたくもない。」
「2度と俺に命令をしないでもらおう・・・」
セディルが心の内をはらしていく間、エステリーナの顔は怒りに染まり、その瞳はどんどん薄暗く鋭い物へと変わっていった・・・
「良いのかしら?・・・私にそんな態度をとって・・・貴方が今心を寄せている女がどうなっているかわかる?・・・」
「・・・は?・・・・・・」
「ふふふ・・・知りたい?
あの身元のわからない女ね・・・婚約者がいたらしいのよ。婚約者の男、かなり怪しかったけど会いたいみたいだったから居場所を教えてあげたの・・・。今頃は・・・ねぇ?・・・」
「な、何を・・・こ、婚約者?・・・・・・」
ヴィオラに婚約者がいたと聞き動揺するだが、調子にのったエステリーナの言葉によって怒りが爆発する事になる・・・
「あら・・・動揺しているわね・・・。
でもあんな素性もわからない女のどこがいいのかしら・・・その婚約者の男っていうのも、自分の保釈金目当てにその女を探していたみたいだし・・・フフフ・・・」
「それに他にも何か目的があるようなのよね・・・。婚約者からも大切にされない程度の女なんて貴方が相手にする価値はないわ。せいぜい他所の男に使い捨てられればいいのよ・・・」
「・・・だ、まれ・・・だまれ・・・黙れッッッ!!!」
「貴様がヴィオラを侮辱するなど許さない!」
セディルの側へとやって来たエステリーナは指をセディルの頬に滑らせながら微笑む・・・だがその口から溢れた言葉にセディルは怒りが止められずその手もろとも、エステリーナを突き飛ばした・・・
「きゃあッッッ・・・」
「はあ、はあ、はあ、・・・・・・」
「何をしたかわかっているのッッッ!!!
・・・セディルバルドッッッ!!!」
地面に叩きつけられたエステリーナは怒りを露に叫びだしていた。
セディルはそんな言葉聞こえないとばかりに歩きだし、両親のいる馬車へと戻った・・・
いきなり馬車の扉が開き驚いている2人に、「エステリーナがヴィオラに何かをしたみたいだ。」
「・・・俺だけモーラナ町へ戻って様子を見てきていいか?」とセディルが焦った様子で聞いてきた・・・
すると2人は・・・
「こんな所で何してるのさっさと行きなさい!」
「ヴィオラさんを守りたくてもう1度剣をとったのだろう?・・・今使わなくていつ使うんだッッッ!!」
「私達には公爵家の方々がついているから心配しなくてもいいわッッッ!」と言ってくれた・・・
公爵家の護衛達も「この場は我等にお任せを・・・モーラナ町へはこの馬をお使い下さい。」と言って馬を差し出してくれた。
有り難く馬に跨がり、セディルはエステリーナの叫び声に振り返る事はなく、モーラナ町へとたった1人で引き返して行った・・・
そして・・・最後まで醜悪な姿で騒ぎ続けていたエステリーナに護衛達は無表情で近づき、
「公爵家の命により貴女を捕縛します。」と告げ令嬢に対する配慮など皆無の様子でエステリーナを縛り上げ、口に布を噛ませ自害出来ぬようにした後、顔には布袋を被せて拘束して馬にくくりつけた。
だがそんな姿に不満があるのか・・・唸り声が聞こえていたが護衛達は冷たい視線をその物体へと向け、
「貴様は手を出してはいけない方に出したんだ・・・」
「我等公爵家が大切にしている方に対する侮辱に狼藉・・・」
「許されるものか・・・死を覚悟するんだな」
「お前に日の光は2度と浴びさせない・・・」
恐るべき言葉を発して言った・・・。
エステリーナは知らなかった・・・
セディルがこの先エステリーナがどんな脅しをかけてきても屈しないと決めていた事を・・・どんなに自分が惨めな最後を遂げようともエステリーナの手だけは取らないと決めていた事を・・・
そして自分が身元のわからない女と罵った女が現公爵の姪で公爵家の人間からとてつもない愛情を受けている存在だという事を・・・
更にはヴィオラの元婚約者が自分の望みを叶える為、エステリーナ達が尻込みしないように、敢えてヴィオレットがこの国ではウィルトリア公爵家の縁者である事を隠していたという事を・・・
自分が騙され貶められていく側になるなど想像もしていなかったエステリーナは何が起きているのかまるで理解できなかった・・・
そして護衛達の言葉通り、エステリーナがこの日を境に日の光を浴びる事はなく、父親と再会したのも冷たく薄暗い地であった・・・
「あら、随分な表情ね・・・愛する婚約者に向かって・・・フフフ・・・」
「それに折角の髪を切ってしまうなんて・・・これからはそんな勝手は許しませんわよ。」
神経が狂っているのか、殺気を浴びても動じないエステリーナは「それで?平民に落ちて反省は出来たのかしら・・・」と聞いてくる・・
必死に自分の中にある理性で憎悪や殺意を押さえ込みながら言葉を紡いだ・・・
「ランドール伯爵家が没落した時貴女とは婚約破棄となったと聞いた。
・・・俺はもう貴方の婚約者などではない。」
「それに俺は自分勝手で傲慢な貴女を愛した事など1度もない。貴女達がした事を生涯許さないし、この先2度と関わりを持ちたくもない。」
「2度と俺に命令をしないでもらおう・・・」
セディルが心の内をはらしていく間、エステリーナの顔は怒りに染まり、その瞳はどんどん薄暗く鋭い物へと変わっていった・・・
「良いのかしら?・・・私にそんな態度をとって・・・貴方が今心を寄せている女がどうなっているかわかる?・・・」
「・・・は?・・・・・・」
「ふふふ・・・知りたい?
あの身元のわからない女ね・・・婚約者がいたらしいのよ。婚約者の男、かなり怪しかったけど会いたいみたいだったから居場所を教えてあげたの・・・。今頃は・・・ねぇ?・・・」
「な、何を・・・こ、婚約者?・・・・・・」
ヴィオラに婚約者がいたと聞き動揺するだが、調子にのったエステリーナの言葉によって怒りが爆発する事になる・・・
「あら・・・動揺しているわね・・・。
でもあんな素性もわからない女のどこがいいのかしら・・・その婚約者の男っていうのも、自分の保釈金目当てにその女を探していたみたいだし・・・フフフ・・・」
「それに他にも何か目的があるようなのよね・・・。婚約者からも大切にされない程度の女なんて貴方が相手にする価値はないわ。せいぜい他所の男に使い捨てられればいいのよ・・・」
「・・・だ、まれ・・・だまれ・・・黙れッッッ!!!」
「貴様がヴィオラを侮辱するなど許さない!」
セディルの側へとやって来たエステリーナは指をセディルの頬に滑らせながら微笑む・・・だがその口から溢れた言葉にセディルは怒りが止められずその手もろとも、エステリーナを突き飛ばした・・・
「きゃあッッッ・・・」
「はあ、はあ、はあ、・・・・・・」
「何をしたかわかっているのッッッ!!!
・・・セディルバルドッッッ!!!」
地面に叩きつけられたエステリーナは怒りを露に叫びだしていた。
セディルはそんな言葉聞こえないとばかりに歩きだし、両親のいる馬車へと戻った・・・
いきなり馬車の扉が開き驚いている2人に、「エステリーナがヴィオラに何かをしたみたいだ。」
「・・・俺だけモーラナ町へ戻って様子を見てきていいか?」とセディルが焦った様子で聞いてきた・・・
すると2人は・・・
「こんな所で何してるのさっさと行きなさい!」
「ヴィオラさんを守りたくてもう1度剣をとったのだろう?・・・今使わなくていつ使うんだッッッ!!」
「私達には公爵家の方々がついているから心配しなくてもいいわッッッ!」と言ってくれた・・・
公爵家の護衛達も「この場は我等にお任せを・・・モーラナ町へはこの馬をお使い下さい。」と言って馬を差し出してくれた。
有り難く馬に跨がり、セディルはエステリーナの叫び声に振り返る事はなく、モーラナ町へとたった1人で引き返して行った・・・
そして・・・最後まで醜悪な姿で騒ぎ続けていたエステリーナに護衛達は無表情で近づき、
「公爵家の命により貴女を捕縛します。」と告げ令嬢に対する配慮など皆無の様子でエステリーナを縛り上げ、口に布を噛ませ自害出来ぬようにした後、顔には布袋を被せて拘束して馬にくくりつけた。
だがそんな姿に不満があるのか・・・唸り声が聞こえていたが護衛達は冷たい視線をその物体へと向け、
「貴様は手を出してはいけない方に出したんだ・・・」
「我等公爵家が大切にしている方に対する侮辱に狼藉・・・」
「許されるものか・・・死を覚悟するんだな」
「お前に日の光は2度と浴びさせない・・・」
恐るべき言葉を発して言った・・・。
エステリーナは知らなかった・・・
セディルがこの先エステリーナがどんな脅しをかけてきても屈しないと決めていた事を・・・どんなに自分が惨めな最後を遂げようともエステリーナの手だけは取らないと決めていた事を・・・
そして自分が身元のわからない女と罵った女が現公爵の姪で公爵家の人間からとてつもない愛情を受けている存在だという事を・・・
更にはヴィオラの元婚約者が自分の望みを叶える為、エステリーナ達が尻込みしないように、敢えてヴィオレットがこの国ではウィルトリア公爵家の縁者である事を隠していたという事を・・・
自分が騙され貶められていく側になるなど想像もしていなかったエステリーナは何が起きているのかまるで理解できなかった・・・
そして護衛達の言葉通り、エステリーナがこの日を境に日の光を浴びる事はなく、父親と再会したのも冷たく薄暗い地であった・・・
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