外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人

文字の大きさ
102 / 298
森の一族

9.敵襲来?

しおりを挟む
 テツヤたちが洞窟に入ってしばらくした後、森の中にある集落に一人戻る影があった。

「お頭、どこに行ってやしたんで?」

 屈強な男たちがその人物を迎え入れた。

「ケストレル、ニソス、バザード、あんたらちょっと蝙蝠窟に行っといで。そこから人が出てきたらここに連れてくるんだよ。必要なら他に何人か連れて行きな」

 その人物は近寄ってきた三人の男たちに素早く命令を下した。

「了解で」

 男たちは疑問を持つこともなくその命令を受け入れた。

「ついでにちょいと脅かしてやんな。なんならいつもみたいに金品をぶん捕ってもいいよ。でも危険だと思ったらすぐにやめるんだよ。ここに連れてくるのが第一だからね」

「合点承知」

 その言葉に男たちは目を光らせながら相好を崩した。

 上手くいけばちょいとした小遣い稼ぎになりそうだ。



「テツヤ、とか言ったかね。その実力確かめさせてもらうよ」

 男たちが去った後でその人物は不敵に笑みを浮かべた。




    ◆




「まずはそのバット・グアノを掘りだす人員の確保だな。旧カドモイン領各地へ送るための輸送手段も考えねば…」

 そんなのことを話しながら洞窟を出ようとした時、外に人の気配がすることに気付いた。

 しかも一人だけじゃなく複数人いる。


「みんなはここで待っていてくれ」

 みんなを待たせて俺は辺りを警戒しながら一人で洞窟の外に出た。

 殺気は感じない。


 洞窟を出るとそこには三人の男がいた。

 弓と短刀で武装していて様々な濃淡を持った緑色の布をパッチワークした生地で作ったフード付きのケープとズボンを身に着けている。

 まるで迷彩服だ。

 服越しにも屈強な体をしていることがわかる。


 軽装で防具は革製の胴当て、脛あて、手甲くらいしか身に着けていないけれど武器も防具も相当に使い込まれていて実戦経験豊富なことを伺わせる。


「何か用かい?」

 俺は努めて明るく答えた。

 まずは敵意がないことを示さないと。


「用だあ?てめえ、ここが誰の土地かわかってんのか?」

 真ん中の一番ガタイのいい男がいきなりドスの効いた声を張り上げた。

 前言撤回、少しでも攻撃の意思を見せたら排除することにしよう。


「いや、知らないなあ。おたくら知ってるのかい?」

「てめえ、ふざけてんのか!…と言いてえところだが俺も鬼じゃねえ。有り金だしゃあ痛い目には遭わさねえよ。とっとと出すんだな」

「なんであんたらに金を出さなきゃいけないんだ?」

「てめえ、この状況が分かってんのか?こっちは三人いるんだぞ?ったく、馬鹿なのか?通行料だよ、通・行・料!おら、さっさと出せよ」

 こいつら見た目と違って意外と悪い奴じゃないのかも。

 とは言えいきなり金を出せと言われてホイホイ出す気は毛頭ないんだけど。


「だからそれがわからないんだよ。なんで通行料をあんたらに払わなくちゃいけないんだ?」


 真ん中の男が盛大にため息をついた。

「ったく、本当はこんなことしたくねえんだが、拳でわからせるしかねえみてえだな」

 そう言ってボキボキと拳を鳴らしながら近づいてきた。


「てめえの物わかりのなさを恨むんだな」

 そう言って拳を振り下ろそうとした瞬間、おれはその男の足下の地面を操作してぎりぎり拳の届かない位置へずらした。

 男は拳が空を切った弾みで体勢を崩して盛大にすっころぶ。


「て、てめえ!」

 無様に転がった事実に気付いた男が顔を真っ赤にして立ち上がった。

 そして何度も拳を繰り出すがその度に地面を動かしたから俺には届かない。


「こ、この野郎…どうやら本気で怒らせたいらしいな」

 異常な事態に残りの男たちも身構えた。


「俺たちの本領は地上じゃねえ!見よ!」

 叫ぶなり三人は空中高く飛び上がり、樹上の中へと消えていった。

 そして音もなく放たれた矢が俺の足下に突き刺さる。


「くくく、森の中こそ俺たちが真の力を発揮する場所。高所を取られたことを悔やむんだな」


 囁くような笑い声が辺りに響き渡る。


「いや、そろそろ本題に入らせてくれ」


 言うなり俺は周囲に生えていた木を土ごと持ち上げた。


「う、うわああああっ!?」

 はたきを振るうようにバタバタと木を揺すると先ほどの男たちがぽたぽたと地面に落ちてきた。

 全員で六人いる。

 やっぱり元から木の上に潜んでいたか。

 気配でバレバレだったんだけどね。



 男たちを地面に落としてから木を元の位置に戻す。


「ば、化け物なのか…?」

 男たちの顔に恐怖が浮かんでいる。

「化け物とは心外な。それよりそろそろ話してもらおうかな。なんでこんな真似をしたのか」



「…す、すまねえ。これはあんたを試しただけだったんだ。そのことについては謝る。だから許してくれ」


 しばしの沈黙の後で男たちが口を開いた。

「試した?」

「ああ、実はあんたには俺たちの集落に来てもらいたいんだ。話はそこで頭に聞いてもらいたい」

「良いよ。案内してくれ」

 俺はあっさり承諾した。


「ほ、本当にいいのか?頼んだ俺が言うのもなんだが少しは怪しんだ方が良いんじゃないのか?」

 俺の言葉に男たちの方が驚いている。


「元々お宅らの本拠地に行くつもりだったんだ。強引に行くか誘われていくかの違いでしかないからね。ということでちょっと行ってくるよ」

 俺は洞窟の中から様子を見に出てきたリンネ姫一行に手を振った。


「こ、こりゃあ…?」

 美女ばかりが何人も洞窟から出てきたことに男たちが目を白黒させている。


「あんたらは運がいいぞ。あの方はこの国のお姫様なんだ。俺じゃなくてあの方にさっきみたいなことをしようとしたら今頃首と胴体が泣き別れしてたぞ」

 こっそり耳打ちをすると男たちがぎょっとして俺の方を見てきた。

「ほ、本当…なのか?」

「あの高貴な姿を見てわからないのか?まあ今は洞窟に入ってたからちょっと汚れてるけど」


「ひ、姫様を連れてくるとか、あんた一体何者なんだ…?」

「まあそれはおいおいね」

 俺は男の肩を叩くとリンネ姫の方へ向かっていった。


「そういうことだからちょっとお呼ばれしてくるよ」

「大丈夫なのか?」

 リンネ姫が心配そうに聞いてきた。

「ああ、多分そんなに悪い連中じゃなさそうだ。それにこういうのも領主の務めだろ?」

「まあお主なら大丈夫か」

 リンネ姫が苦笑しながらため息をついた。


「だが気を付けるのだぞ」

「ああ、わかってるよ」

 俺はリンネ姫にウィンクをすると男たちの方へ戻っていった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!! 祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。 「よし、とりあえず叩いてみよう!!」 ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。 ※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

美女エルフの異世界道具屋で宝石職人してます

網野ホウ
ファンタジー
小説家になろうで先行投稿してます。 異世界から飛ばされてきた美しいエルフのセレナ=ミッフィール。彼女がその先で出会った人物は、石の力を見分けることが出来る宝石職人。 宝石職人でありながら法具店の店主の役職に就いている彼の力を借りて、一緒に故郷へ帰還できた彼女は彼と一緒に自分の店を思いつく。 セレナや冒険者である客達に振り回されながらも、その力を大いに発揮して宝石職人として活躍していく物語。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

転生ジーニアス ~最強の天才は歴史を変えられるか~

普門院 ひかる
ファンタジー
 ここ神聖帝国に地球から異世界転生してきた天才チートな男がいた。  彼の名はフリードリヒ・エルデ・フォン・ツェーリンゲン。  その前世からしてケンブリッジ大学博士課程主席卒業の天才量子力学者で、無差別級格闘技をも得意とするチートな男だった彼は、転生後も持ち前のチート能力を生かし、剣術などの武術、超能力や魔法を極めると、人外を含む娘たちとハーレム冒険パーティを作り、はては軍人となり成り上がっていく。  そして歴史にも干渉し得る立場となった彼は世界をどうするのか…

元天才貴族、今やリモートで最強冒険者!

しらかめこう
ファンタジー
魔法技術が発展した異世界。 そんな世界にあるシャルトルーズ王国という国に冒険者ギルドがあった。 強者ぞろいの冒険者が数多く所属するそのギルドで現在唯一、最高ランクであるSSランクに到達している冒険者がいた。 ───彼の名は「オルタナ」 漆黒のコートに仮面をつけた謎多き冒険者である。彼の素顔を見た者は誰もおらず、どういった人物なのかも知る者は少ない。 だがしかし彼は誰もが認める圧倒的な力を有しており、冒険者になって僅か4年で勇者や英雄レベルのSSランクに到達していた。 そんな彼だが、実は・・・ 『前世の知識を持っている元貴族だった?!」 とある事情で貴族の地位を失い、母親とともに命を狙われることとなった彼。そんな彼は生活費と魔法の研究開発資金を稼ぐため冒険者をしようとするが、自分の正体が周囲に知られてはいけないので自身で開発した特殊な遠隔操作が出来るゴーレムを使って自宅からリモートで冒険者をすることに! そんな最強リモート冒険者が行く、異世界でのリモート冒険物語!! 毎日20時30分更新予定です!!

処理中です...