外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人

文字の大きさ
108 / 298
ボーハルト復興

15.雨降って地固まる

しおりを挟む
 アマーリアとソラノの言葉通り夜中から凄い嵐がやってきた。

 嵐は夜のうちに通り過ぎていったけど凄まじい雨で屋敷が壊れるんじゃないかと思う位だった。

 というか実際屋敷は壊れかけてあちこち雨漏りが起きていたんだけど。

 折角来たんだから雨漏りくらいは直してあげようかなんてことを考えながらロビーで帰る準備をしているとホランドが鬼気迫る顔で出ていくのが見えた。


「どうしたんですか?」

「ボーハルトに行きます!」

 後を追いかけて尋ねるとホランドは足を止めることなくそう答えてきた。


「あの町は水に弱いんです!この場所であれだけ増水しているならボーハルトはひとたまりもない」

 そう言って目の前の川を指差した。

 ボーハルトに向かって流れる川は穏やかだった昨日とは打って変わって茶色い濁流となっている。


「だったら俺が送っていきますよ」

 俺たちは行きに使った荷台を飛ばしてボーハルトに向かった。

「この川はボーハルトのところで大きく湾曲していて大雨が降るとそこから溢れるんです。早く行かないと住民たちが!」

 

「あの~、そのことなんですけど…」

 俺はおそるおそる聞いてみた。


「ああしちゃったんですけど、大丈夫ですかね?」

「こ、これは……!」

 俺が指差した先を見てホランドが絶句した。


 眼下には水に沈んだ街が広がっていた。

 とは言っても氾濫で浸水したわけじゃない。

 川から分岐を作って誰も住んでいない地域を遊水地に変えておいたのだ。

 川の水位が一定量を超えると遊水地に水が流れ込むようになっている。

 この遊水池のお陰で川は氾濫せず、町の他の場所に浸水被害は起きていない。

「実は前からアマーリアに、ええと彼女は水属性使いなんですけど、この町は水に弱いと言われてたんでちょっと改造しておいたんですけど…駄目でしたか?」

 以前ボーハルトの上空を飛んでいた時にアマーリアが川を見てそう指摘してきたのだ。

 あの川は過去に何度も氾濫を起こしているから何か対策が必要だと。

 そこで周囲をスキャンして一番水が溜まりやすそうな新市街部分全体を巨大な遊水地に変えておいたのだ。

 計算だと今回の三倍の水量でも貯められるようになっている。

 でも今から町長になってくれとお願いしているホランドの許可を得ずにやらなかったのは不味かったかな。




「クク、ククク、クハハハハハハ!!!!アーハッハッハッハッハ!!!!!!」

 突然ホランドが笑い出した。

 腹を抱えて体を折り畳み、目尻から涙を浮かべながら笑っている。


「ど、どうしたんですか?」

 突然のことに俺は驚くしかなかった。


「すいません」

 しばらく笑い転げた後でホランドは息を整えて口を開いた。


「あの水に沈んだ地域は私が開発した場所だったんです」

「え、そ、そうだったんですか?それはすいませんでした!知らなかったものでつい」


 やべえ、ひょっとして逆鱗に触れたせいでおかしくなっちゃったのか?

 いや、いいんですよ、とホランドは手を振った。


「あの場所が水害に弱いことはわかっていたんです。あそこに街を作ることは反対だったのですが当時の私はカドモインの強引な要求を突っぱねることができなかった」

 そう言って水に沈んだ街を見下ろした。


「新市街ができたその年に大きな水害が起きて多くの被災者を出しました。それ以来雨が降れば浸水する街とまで言われるようになり、住民の方々に大きな迷惑をかけてしまいました」

 ホランドは自嘲するように息を吐いた。

「世間ではカドモインとの政戦に破れて隠遁したなんて言われてますが、本当はプレッシャーに負けて逃げ出しただけなんです」

 告白の後でホランドはこちらを向いた。


「しかしテツヤさん、あなたのしたことで吹っ切れました。私にもう一度チャンスをくれませんか?私にそんな資格があるとは思えませんが、どうかボーハルトの復興を手伝わせてください」

 まっすぐ見つめるその眼には昨日のようなためらいや戸惑いの陰りはなかった。

「もちろんだよ。さっきホランドさんは真っ先にボーハルトの住民のことを思案していたじゃないか。そういう人がこの町には必要なんだ。こちらこそよろしく頼むよ」

 俺の差し出した手をホランドはがっしりと掴んだ。



    ◆



「そういう訳で、またボーハルトに戻ることになったんだ。ミヤオ、君さえよければついてきてくれないだろうか?」

 屋敷に戻ったホランドはすぐさま引っ越しに取り掛かると言ってまずはミヤオに事の次第を説明していた。



「何を言ってるんですか」

 しばらくの沈黙の後、ミヤオがホランドの胸を人差し指で軽くつついた。

「仕事に熱中したら倒れるまで止めない、食べ物の好き嫌いは激しい、洗濯や掃除の仕方も知らない、そんな人の面倒を見れるのなんて私くらいのものですよ」

「ミヤオ、それじゃあ…!」

「そもそも私は都会娘なんです。こんな片田舎さっさと片付けてボーハルトに戻ることにしましょう」



「最初はどうなることかと思ったが、どうやら一件落着のようだな」

 いつの間にかアマーリアが側に来ていた。

「ああ、でも本当に大変なのはこれからだろうな」

「そのために私たちがいるんだろう?」

 アマーリアと同じように俺の隣に来ていたソラノがそう言ってにっこりと笑った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!! 祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。 「よし、とりあえず叩いてみよう!!」 ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。 ※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

美女エルフの異世界道具屋で宝石職人してます

網野ホウ
ファンタジー
小説家になろうで先行投稿してます。 異世界から飛ばされてきた美しいエルフのセレナ=ミッフィール。彼女がその先で出会った人物は、石の力を見分けることが出来る宝石職人。 宝石職人でありながら法具店の店主の役職に就いている彼の力を借りて、一緒に故郷へ帰還できた彼女は彼と一緒に自分の店を思いつく。 セレナや冒険者である客達に振り回されながらも、その力を大いに発揮して宝石職人として活躍していく物語。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

転生ジーニアス ~最強の天才は歴史を変えられるか~

普門院 ひかる
ファンタジー
 ここ神聖帝国に地球から異世界転生してきた天才チートな男がいた。  彼の名はフリードリヒ・エルデ・フォン・ツェーリンゲン。  その前世からしてケンブリッジ大学博士課程主席卒業の天才量子力学者で、無差別級格闘技をも得意とするチートな男だった彼は、転生後も持ち前のチート能力を生かし、剣術などの武術、超能力や魔法を極めると、人外を含む娘たちとハーレム冒険パーティを作り、はては軍人となり成り上がっていく。  そして歴史にも干渉し得る立場となった彼は世界をどうするのか…

元天才貴族、今やリモートで最強冒険者!

しらかめこう
ファンタジー
魔法技術が発展した異世界。 そんな世界にあるシャルトルーズ王国という国に冒険者ギルドがあった。 強者ぞろいの冒険者が数多く所属するそのギルドで現在唯一、最高ランクであるSSランクに到達している冒険者がいた。 ───彼の名は「オルタナ」 漆黒のコートに仮面をつけた謎多き冒険者である。彼の素顔を見た者は誰もおらず、どういった人物なのかも知る者は少ない。 だがしかし彼は誰もが認める圧倒的な力を有しており、冒険者になって僅か4年で勇者や英雄レベルのSSランクに到達していた。 そんな彼だが、実は・・・ 『前世の知識を持っている元貴族だった?!」 とある事情で貴族の地位を失い、母親とともに命を狙われることとなった彼。そんな彼は生活費と魔法の研究開発資金を稼ぐため冒険者をしようとするが、自分の正体が周囲に知られてはいけないので自身で開発した特殊な遠隔操作が出来るゴーレムを使って自宅からリモートで冒険者をすることに! そんな最強リモート冒険者が行く、異世界でのリモート冒険物語!! 毎日20時30分更新予定です!!

処理中です...